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ライアン・マーフィが史上4人目のゴールデングローブTV功労賞を贈られ、感動的なスピーチで涙を誘いました

2023年01月11日

 2023年1月10日(現地時間)、第80回ゴールデングローブ賞の受賞結果が発表され、『TAR(原題)』のケイト・ブランシェットが主演女優賞に、『ダーマー モンスター:ジェフリー・ダーマーの物語』のエヴァン・ピーターズが男優賞(リミテッドシリーズ/テレビムービー部門)に輝いたほか、『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』が2冠となりました。また、『glee/グリー』や『POSE』などの名作を手がけてきたライアン・マーフィが史上4人目のキャロル・バーネット賞(TV功労賞)を贈られ、感動的なスピーチで涙を誘いました。

 
 ゴールデングローブ賞のノミネートが発表、LGBTQ関連作品も多数とのニュースでお伝えしていたように、今回のGG賞ではたくさんのLGBTQ関連作品やLGBTQ俳優がノミネートされました。ちょっとLGBTQが申し訳程度に出ている、というのではなく、LGBTQをメインに描いている、主役がレズビアンやゲイであるような作品がこれだけ増えて、賞レースにも多数上がってくるのは本当に素晴らしいことです。今回の受賞結果(一覧はこちら)の中から、LGBTQが主役であったり、LGBTQに関する重要なエピソードが描かれている作品の受賞結果を以下にお伝えしていきます。
 
 まず、ケイト・ブランシェットが主演で、女性の同性愛を描いたドラマ映画『TAR(原題)』は、映画部門の作品賞(ドラマ部門)と主演女優賞(ドラマ部門)にノミネートされていましたが、見事にケイト・ブランシェットが主演女優賞(ドラマ部門)に輝きました。
 
 アジア系移民二世のゲイを描いたゲイ映画『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』は、映画部門の作品賞(ミュージカル・コメディ部門)や主演女優賞(ミュージカル・コメディ部門)など6部門にノミネートされていましたが、ミシェル・ヨーが主演女優賞(ミュージカル・コメディ部門)、キー・ホイ・クァンが助演男優賞に輝きました。

 ライアン・マーフィが原案、製作総指揮、共同脚本を務め、史上最悪の殺人犯と呼ばれるゲイのジェフリー・ダーマーを描いたドラマで、爆発的なヒットを記録したNetflixドラマ『ダーマー モンスター:ジェフリー・ダーマーの物語』は、ドラマ部門リミテッドシリーズ/テレビムービー部門で作品賞をはじめ4部門にノミネートされましたが、主演のエヴァン・ピーターズが男優賞(リミテッドシリーズ/テレビムービー部門)に輝きました。

 主要な登場人物の一人が、父親がゲイで、エイズで亡くなったと知ってショックを受けるというシーンが描かれていた『ホワイト・ロータス 諸事情だらけのリゾートホテル』は、作品賞(リミテッドシリーズ/テレビムービー部門)を受賞したほか、ジェニファー・クーリッジが助演女優賞(同)を受賞しました。

 また、主人公の友人としてトランス女性が登場する(トランス女優ハンター・シェイファーが演じている)ドラマ『ユーフォリア』は、主演のゼンデイヤが女優賞(ドラマ部門)を受賞しました。

 
 今回のGG賞で特筆すべきは、『glee/グリー』や『POSE』のようなLGBTQコミュニティにとっての金字塔的なドラマを多数手がけてきたライアン・マーフィが、テレビ界での長年の功績を称える賞であるキャロル・バーネット賞を史上4人目として受賞し、プレゼンターがビリー・ポーターで、そのコメントも胸熱でしたし、ライアン・マーフィも自身の作品に出演してくれたLGBTQ俳優たちに捧げる感動的なスピーチをしたことです。『Out』誌は、「ライアン・マーフィが今宵の涙をかっさらった」と評しています。
 
 ビリー・ポーターはライアンを紹介するにあたり、このように語りました。
「本当にたくさんの作品を生み出し、先見の明があり、ゲームチェンジャーであり、先駆者であり、真実のチャンピオンであり、恐れ知らずのボス、仕事中毒、アライ、メンター、友人…私にとってあなたがどれだけの存在かを言い表す言葉が英語にはもう見当たらりません」
「『POSE』のクリエイターも公に述べているように、ライアン・マーフィは162回も交渉してくれました。幸いなことに、163回目のミーティングで、私たちのコミュニティの物語の製作にYESが出たんです」

 ライアン・マーフィはステージに上がるやいなや、MJロドリゲスを称えはじめました。彼女に立つよう促し、「彼女は歴史を作った、スタンディングオベーションに値する」と聴衆に呼びかけました。
 続けて彼は、「私にとってのヒーロー」だと言って、レジェンダリーな俳優たちを褒めはじめました。
 ビリー・ポーターを「その世代の最もアイコニックな俳優」「ファッションを変えることで私の知見を変えた」と称えました。
 それから、女優兼コメディアンとして活躍する人気スターで2020年に同性歌手とサプライズ婚したニーシー・ナッシュ=ベッツについて「LAで生まれ、3人の子の母。彼女は数年前ジェシカと結婚しようとしたが、もう仕事ができないかもしれないと思った」「ニーシー・ナッシュは恐れずに愛を選び、今晩、彼女はGG賞にノミネートされている。愛してる」
 『ノーマルハート』でGG主演男優賞を受賞したマット・ボマーについて、「彼は1世紀にわたって存在してきた奇妙なルールを打ち負かした。アクションも、ロマンスも、ドラマも演じられる俳優だ」と評しました。
 今回、海兵隊の新兵訓練所と母親の家の両方で同性愛嫌悪に直面している若いゲイを描いた映画『The Inspection(原題)』で主演男優賞にノミネートされた(ライアン・マーフィの『ハリウッド』などにも出演した)ジェレミー・ポープについて、ライアンは、「ジェレミー・ポープは未来だ」と語りました。
 それから、これまで見たことのない番組を作るために一緒にやってきた俳優、プロデューサー、監督たちに謝辞を述べました。
 最後にライアンはこう述べました。
「LGBTQユースであるということはこの国ではタフなことで、世界でもそうだった。私はここに一つの言葉を挙げたい、それはフロリダだ。(LGBTQユースであることで)あなたはしばしば決して何者にもなれないと言われ、生き延びるために自身の持つ光を隠すように言われてきた。しかし、これを見ている子どもたちに私は、MJやビリー、ニーシー、マット、ジェレミーが可能性の好例だと提案できる。道はあなたの目の前に開けている、彼らが北極星だ」
  
 テレビ界での長年の貢献に対して送られるキャロル・バーネット賞はこれまで、キャロル自身、エレン・デジェネレス、ノーマン・リアに送られてきて、ライアン・マーフィは史上4人目となります。
 ライアン・マーフィはGG賞の常連で、その作品に出た俳優たちも常にノミネートされたり受賞したりしています。



 なお、2019年のアカデミー賞授賞式でタキシード・ドレスを着て世界的な注目を集めたビリー・ポーターは今回、ピンクのタキシード・ドレスで登場しました(「気絶するほど美しい」との声が上がったそうです)。こちらこちらの記事で、ラヴァーン・コックスやMJロドリゲスなど、レッドカーペットを歩いたクィア・セレブたちの写真をご覧いただけます。

 
参考記事:
Ryan Murphy Honors Queer Actors in Emotional Golden Globes Speech(Out)
https://www.out.com/celebs/2023/1/10/ryan-murphy-honors-queer-actors-emotional-golden-globes-speech
Golden Globes 2023: 15 LGBTQ+ Stars Who Walked the Red Carpet(Out)
https://www.out.com/celebs/2023/1/10/golden-globes-2023-15-lgbtq-stars-who-walked-red-carpet#media-gallery-media-1
2023 Golden Globes: Our Favorite Red Carpet Looks from Queer Celebs(them)
https://www.them.us/story/golden-globe-awards-2023-lgbtq-red-carpet-looks

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