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M痘(サル痘)の9例目、10例目の感染が東京都で確認されました

2023年01月26日

 1月18日の記事で、日本ではまだM痘(サル痘)は感染拡大していないようだとお伝えしたのですが、翌19日、東京都に住む30代の男性が感染していることが発表され、25日にも都内の30代の男性が感染していることが発表されました。国内で9例目、10例目となる患者さんが東京都で相次いで確認されたということになります。

 
 都によると、9例目の男性は今月上旬ごろから発疹や発熱、倦怠感などの症状が見られ、16日に医療機関を受診し、その後の都の検査で感染が確認されました。医療機関に入院し、状態は安定しているということです。男性は最近の海外への渡航歴はなく、都は感染経路の確認を進めています。現時点で周囲への感染拡大は確認されていません。
 また、10例目の男性は、発疹、発熱、リンパ節の腫れなどの症状が見られ、23日に医療機関を受診し、感染が確認されました。やはり最近の海外への渡航歴はありません。状態は安定しているそうです。
 
 先月の「PrEP利用者・支援のためのオンラインセミナー」にも登壇した千葉大学医学部附属病院感染制御部・感染症内科の谷口俊文ドクターは、「都内で流行が拡大していると予想。これから報告がパラパラと出てくるかもしれません」とTwitterに投稿しています。
 
 感染状況やゲイ・バイセクシュアル男性コミュニティ向けの情報についてはaktaがいち早くTwitterでお伝えしてくれると思いますので、ぜひフォローしてください。
 
 
 まだわかりませんが、都内でM痘が感染拡大しはじめているかもしれませんので、M痘についての基本的な情報を整理してお伝えします。
 M痘の潜伏期間は5~21日(7~14日目に症状が現れることが多いようです)、COVID-19と異なり、症状が現れる前に感染させるということはありませんので、もし発疹※が肛門や性器、顔、四肢などに現れた場合はすぐに最寄りの医療機関を受診し(すべての医療機関で検査や診療を行なうことは難しいかもしれませんので、できれば感染症指定医療機関へのご相談をおすすめします)、人との接触を避けるようにしましょう。欧米では発熱を伴わないケースも報告されているそうですので、熱がないからといって安心せず、発疹が現れたらすぐに病院に行きましょう。
 もし病院で(“サル痘はゲイがかかる病気”という誤った情報が流布していることもあり)サル痘かもしれないですと伝えたら、ゲイだと疑われるのでは…と心配する方もいらっしゃるかと思います。そもそもサル痘は性感染症ではありませんし、性別や性的指向に関係なく誰にでも感染する病気です。病院でも(渡航歴などは聞かれるかもしれませんが)性的指向などは聞かれないと思いますし、万が一聞かれても答える必要はないと思います。あとはこちらの図にあるように、保健所や都のほうで検査を進め、陽性とわかったら入院へ、という流れになりますので、その流れのどこかで、感染症対策の専門家の方が、感染経路を調べるためにいろいろお聞きすることがあり、もしかしたら性的指向が伝わってしまう場合もあるかもしれませんが、それがそのまま公表されることはありません。プライバシーはきちんと守られます。
 熱が出たり、発疹が痛んだりするかもしれませんが、重症化したり、亡くなったりすることはほとんどありません(海外での死亡事例は、免疫不全状態にあった方でした)。2~4週間の経過で自然治癒していきます。安心して検査・治療に臨みましょう。

※初めは「丘疹」という皮膚から扁平状に隆起した発疹が出るそうです。こちらに病変の画像が載っています(生々しいので、ご注意ください)
 
 M痘についての詳細はこちらのコラムにまとめてありますので、お時間あるときにご覧ください。
 
 
参考記事:
「サル痘」の感染確認 東京都内に住む30代男性 国内で9例目(NHK)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230119/k10013954221000.html
サル痘の感染者を新たに確認、都内で7例目…国内では9例目(読売新聞)
https://www.yomiuri.co.jp/national/20230120-OYT1T50075/

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