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NEWS ZEROで鈴木亮平さんが「社会を変えてみる勇気が求められている」と語ったインタビューが素晴らしかったです

2023年02月18日

 連日のようにマスメディアで、同性婚をはじめLGBTQ関連の法整備、権利擁護をサポートする報道がなされています。

 こちらでもお伝えしたように2月17日、日テレ「news zero」に鈴木亮平さんが出演し、『エゴイスト』の主人公の浩輔(鈴木亮平さん)が龍太(宮沢氷魚さん)の家を訪ね、お母さんには友人であるということにしていたので、「結婚は?」などと聞かれる場面と、そこに重ねるように「ずっとこうやって演じて生きていかなきゃいけないのかっていうことを初めて体感した時に、話で聞いていたよりはるかにつらいな、これは、と思った」という鈴木亮平さんが語っていました。このインタビューのロングバージョンが18日に放送され、ゲイの方からも「泣いた」という声が上がるなど、反響を呼びました。
 自分がゲイ役を演じることで世間のゲイに対する偏見を助長させてしまうのではないかと心配し、オファーを受けるかどうかすごく悩んだという鈴木亮平さん。監督さんとよく話し、LGBTQ+インクルーシブディレクターがきめ細かく監修し、セックスシーンについてもインティマシーコーディネーターがつき、友人役もすべてゲイの方が演じ、といった座組になるということで、そこまでするなら、と引き受けたと語っていました。
 『エゴイスト』への出演をきっかけに、本を読んだり、ドキュメンタリーを観たりして勉強し、自分自身が、後輩になにげなく「彼女いないの?」「いつ結婚するの?」となどと聞いてしまっていた、相手が同性愛者である可能性を考えていなかったとい無意識の偏見に気がつき、反省したという鈴木亮平さん。「その無意識の偏見とか知らないということが、いかに人を傷つけていたかもしれない。今まで自分が育ってきた価値観とか、常識と自分では感じていたことが、いかに偏っていたのかいうのを実感するきっかけにもなりました」と語ります。
「自分の感覚っていうのは、恐らくこの社会の中で、子どもの頃から培われていたもので、そこに偏見があるんじゃないかっていう自分の意識とか感情を疑って、それが誰かを傷つける結果を招いているんだとしたら、それはもう社会がより良く変化させていくしかないよね、というところを僕はこの映画をやりながら非常に感じました」 
 インタビューの後半で鈴木さんは、テレビとか映画が性的マイノリティを描く、その描き方が変わらなければいけない、当事者が出ることも重要だと語りました。「マイノリティを描く場合は、当事者が見たときにこれは自分たちを描いた物語だなって思ってもらえるかが大事だなと思っていまして。(今後は)今よりもはるかにマイノリティを演じる場合には当事者の方が演じることが当たり前になってくると思いますし、そうあるべきだと思います」「(当事者の俳優が)今あまりにも少な過ぎるなというのは恐らく、こちら側業界側の問題が非常に大きくて。性的マイノリティでいうと、カミングアウトするとキャリアに非常に大きな影響が出るという現実があるんですよ」
 最後に、同性婚の法制化や、社会を変えていくということについて、大事なメッセージを伝えてくれました。
「異性愛者であるとか、性的にマジョリティであるっていうことが当然として、その前提の下に成り立っているシステムとか、僕たちの意識というものがまだまだたくさん残っているなというのを感じます。それを一つ一つみんなが納得して変えていける方法っていうのを探っていかないといけないかなと思いますし、それには教育がとても大事だと思いますし、同性婚の法制化も含めての法律面での法の整備というものが、これから本当に議論が急がれる問題だなと思っています」
「例えば同性婚を法制化するかどうかという問題に関しては、本当に基本的なところでの人間としての尊厳の話や、人権というところの話なんじゃないかなと。国が、“あなたたちの性のあり方っていうのは当然なんですよ”っていうことを明言することで、生きづらい思いをしている方たちが、当たり前のように権利を受けることができるという。そこははじめの一歩としては有効だと思いますし、僕も含めて(性的マイノリティについて)知らないという人たちが圧倒的だと思うんですよね。知らないものを恐れるっていうのはすごくよくわかるんですけれども、そこを一歩踏み出してみて、自分たちの社会を変えてみようというその勇気が今求められているんじゃないかなと思います」
 鈴木亮平さんのとても真摯な、心からの言葉は、ジェンダーやセクシュアリティを問わず多くの人々の胸を打つものがあったと思います。本当に素晴らしかったです。これがアライというものでしょう。感謝です。
(なお、ORICONによると、10日から公開された『エゴイスト』は動員ランキングトップ10に入ったそうです。この調子でロングランヒットを続け、全国隅々まで上映され、たくさんの方にご覧いただけるといいですね)
 
 
 同じ18日、同性婚をめぐる首相秘書官の差別発言について昨年のMR.GAY JAPANでグランプリに選ばれた田中愛生(あいき)さんが語るインタビュー記事が朝日新聞に掲載されました。
 田中さんは「やっぱり傷つきますし、社会全体が自分たちを嫌っているんじゃないかという思いに陥ってしまいます。自殺を考えてしまうという内容のツイートをした人もいました。一方、国のトップの人たちが自分たちをないがしろにするような発言が繰り返されることに、残念な意味で慣れてしまった自分がいる。心の平穏を保つために、慣れないといけなくなっているんです」と語りました。
『世の中が「オッケー」な雰囲気になってきているのに前進しないのは、そもそも首相が社会に思いをめぐらせていないからではないかと感じてしまいます。今回の発言で世界各国から、国としてのモラルが問われる事態になっていることを自覚するべきだと思います」
「(差別を禁止すると分断が起きるという発言について)「分断が起きる」ということは、世の中に差別発言をしかねない人たちが元々いて、禁止になるとその人たちが排除されてしまうと思っているのでしょうか。(そういう人が)いることを前提にするなら、なおさら差別への対応が必要と考えるべきです。理解増進法にとどまらず、差別禁止法の制定までしてもらいたいです」
 田中さんは昨年、ベトナムであった性的マイノリティの権利を考える国際会議(ホーチミンで開催されたILGA Asia Conference 2022のことだと思います)に参加した際、同じ30代のゲイの方が「結婚しようと思って」台湾に移住すると話していたことに衝撃を受けたそうです。そして「結婚の自由をすべての人に」訴訟東京地裁判決の翌日、違憲状態とする判決が出たことを会議の場で報告すると、「少しの前進でも素晴らしい」と拍手が起きたそうです。
「同性婚ができるようになってもいいという人が多いのに、政府で議論が進まないのが不思議です。同性婚の制度は婚姻の対象を広げるものであって、いまの制度を使っている人たちが苦しむわけではありません。生理的な嫌悪感を持つ人がいるかもしれないですが、反対する根拠にはならないと思っています」

 
 NHK東海NEWSは、17日に行なわれた「結婚の自由をすべての人に」訴訟の弁護団の方々によるYouTubeライブ配信のことをレポートしてくれました。
 「結婚の自由をすべての人に」愛知訴訟の水谷弁護士がお話している様子のほか、名古屋地裁で今年5月30日に判決が言い渡されることなども報じられました。配信に携わった松本直也さんは「今回のライブ配信を行うことで、変化を起こそうとしている人がいることを伝えたかった。決して希望を捨てないでほしいというメッセージが届けられたらいいです」と話していました。
 なお、この配信はアーカイブが残っており、こちらからご覧いただけます。まだご覧いただいてない方もお時間があるときにぜひ。
 




参考記事:
ゲイ役演じた鈴木亮平 今求められるのは「自分たちの社会を変えてみようという勇気」(日テレNEWS)
https://news.ntv.co.jp/category/culture/a88a2f3bb758473f98c66d41e0b979d1

岸田首相や秘書官の発言に「ミスター・ゲイ・ジャパン」が感じたこと(朝日新聞)
https://digital.asahi.com/articles/ASR2J5VJ0R2BTZNB00L.html

愛知 “性的マイノリティーに理解を” 弁護士らライブ配信(NHK)
https://www3.nhk.or.jp/tokai-news/20230218/3000027712.html

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