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バンコクプライドがパリ市からLGBTQIA+権利賞を贈られました

2024年08月09日

 バンコクプライド協会は、タイでのLGBTQの権利回復に尽力したとして、パリ市から「パリ市LGBTQIA+権利賞」インターナショナル賞を授与されました。タイ国営メディアNNTが8月6日に伝えています。
 

 8月5日、バンコクのフランス大使公邸でセレモニーが行なわれ、協会のメンバーがパリ副市長のジャン=リュック・ロメロ=ミッシェル氏から賞を授与されました。フランス大使のラミ・ランベール氏も出席しました。彼は「バンコクプライドへの授与を決めたのは、バンコク都の副知事が、婚姻平等を含め、いかにバンコクがLGBTQの権利の保護を進めてきたかを熱く語っていたことがきっかけです」と語りました。「それは議会の中の話ではありますが、活動家の働きかけによる動きであり、もしこの国に活動家がいなければ、平等の達成は不可能でした」「(婚姻平等の実現に)困難が伴うことはよくわかる。だから、私たちはバンコクプライドに授与することを決めたのです」

 パリ市LGBTQIA+権利賞は、LGBTQIA+の権利回復を図る活動に尽力してきた個人や組織を称えるために2018年に創設された賞です。
 この賞は、毎年5月17日、国際反ホモフォビア・トランスフォビア・バイフォビアの日に授与されます。フランスの団体に授与される「ナショナル賞」、フランス語圏の国々の団体に授与される「フランコフォニー賞」、その他の国々の団体に授与される「インターナショナル賞」の3つのカテゴリーがあります。
 バンコクプライドは今回、「インターナショナル賞」を贈られました。
 

 The JAPAN NEWSが今年のバンコクプライドに合わせてリリースした記事「四半世紀が経って、タイのLGBTQのプライドパレードは名実ともに成功を見た」には、バンコクでのプライドパレードの歴史がまとめられています。
 2022年からバンコクプライドを主催してきたAnn “Waaddao” Chumapornは、タイは10年前と変わったといいます。LGBTQのイシューがようやく社会的・ビジネス的に注目されるようになったと。
 バンコクで最初の大きな祝祭は、1999年のハロウィンに「Bangkok Gay Festival」の名称で開催されました。主催したPakorn Pimtonは、海外のパレードに参加してきて、タイでもパレードがあってほしいと思い、開催を決意しました。しかし、タイ社会はそんなにオープンではなく、「全員が、彼氏でさえ『そんなの不可能だ』と言った」そうです(1994年の日本と同じですね)。Pakornはたまたま成功しましたが、道路の使用許可を取り付けるために当局と交渉するのは難儀だったと言います。警察官の中には露骨に汚いものを見るような目で見た人もいるし、「お前はなぜこれをやる必要がある? そんなカトゥーイの…」と言われたそうです(「カトゥーイ」はちょうど日本語の「おかま」に当たる言葉です。今はコミュニティが使わないように求めています)。道路使用許可を得たあと、ショービジネスの世界に身を置いていたPakornは、テレビ局に宣伝協力や協賛を持ちかけたものの、全て断られたそうです。「当時は携帯もFacebookも何もない時代。ポスターをゲイバーに貼るくらいしかできなかった」
 それゆえに彼は、パレードの当日、タイだけでなく海外からも何千人も集まり、こぞってカラフルな衣装を身にまとい、風船を持ったり、フロートで踊ったりする光景を見て、当惑したそうです。こうしたタイでの最初のゲイパレードは内外で「エネルギッシュでカオスな」と報道されました。カオスと言われたのは、警察が道路を完全には封鎖してくれなかったので、フロートがバスや車に道を譲らなくてはいけなかったし、交通の混乱が生じたからです。
 こうして「Bangkok Gay Festival」は何年か開催されましたが、長続きはしませんでした。
 「プライド」という言葉が重要性を帯びてきたのは最近のことだ、と「Diversity In Thailand」のVitaya Saeng-Aroonは語ります。以前はLGBTQコミュニティにはあまり団体は多くなかったので「パレードにはメッセージは多くなかった。ただ楽しいパーティをやっていたような感じだった」と振り返ります。
 Waaddaoは2020年11月、若者たちが民主化を求めるデモの輪に加わるかたちで開催された約2000人の「Prai Parade(※Praiは平民という意味)」に参加し、会議室で話し合うだけでなく街頭に出って訴えることが政治的課題を前進させることを実感しました。そうして彼女は、2022年に「Bangkok Naruemit Pride(※Naruemitは創造という意味)」と題するプライドパレードを実現しました(シーロム通りを行進。記者会見に都知事も出席)。彼女は、パレードは「誰もが自分自身の存在や要求をアピールできる場」だとしつつも、婚姻平等をはじめとするLGBTQの権利回復やジェンダー平等の要求を明確に打ち出しました。2022年には婚姻平等法案だけでなく政府主導のシビルパートナーシップ法案も国会に提出され、「LGBTQを二級市民扱いするのか」との批判を呼びました。当時の政権は婚姻平等には後ろ向きだったのです。2023年はセントラルワールドなど商業施設が並ぶエリアでラーマ1世通りを通行止にして大規模にパレードを開催し、政府や大企業も後押しするようになりました。そして今年、ついに婚姻平等法案が成立する見込みとなり、首相もパレードに参加し、ワールドプライド誘致への意欲も表明するまでになりました。





参考記事: 
バンコクプライドがLGBTQ権利のためのパリ賞を受賞(タイランドハイパーリンクス)
https://www.thaich.net/news/20240806cc.htm

City of Paris awards Bangkok Pride(Bangkok Post)
https://www.bangkokpost.com/thailand/general/2841862/city-of-paris-awards-bangkok-pride

After a Quarter Century, Thailand’s LGBTQ Pride Parade Is Seen as a Popular and Political Success(The JAPAN NEWS)
https://japannews.yomiuri.co.jp/news-services/ap/20240602-189589/

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