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オープンリー・レズビアンでZ世代のクィア・アイコンともなっているチャペル・ローンがMTVアワードで最優秀新人賞を受賞しました

2024年09月13日

 オープンリー・レズビアンのドラァグ・ポップ・スター、チャペル・ローンがMTV VMA(Video Music Awards)2024の最優秀新人賞を受賞し、LGBTQコミュニティに熱いスピーチを届けました。
 

 チャペル・ローンは1998年、米ミズーリ州生まれ。敬虔なクリスチャンの家庭で育ち、幼い頃からエンターテイナーになる夢を抱き、16歳の頃にYouTubeに投稿したオリジナル曲「Die Young」がきっかけとなり、17歳でメジャー・レーベルと契約を結ぶと、2017年にはデビューEP『School Nights』をリリース。21歳のとき、地元の大人から「悪魔の街」と教えられていたウェストハリウッドのゲイクラブに足を踏み入れ、「生まれ変わるかのような衝撃」に包まれたといいます。2020年、LAに特別な場所があると信じる南部出身のクィアの若者を主人公とした楽曲「Pink Pony Club」を発表。そして2022年には同性愛への憧れを綴った「Naked in Manhattan」によってセクシュアリティの表現を明確にし、女性どうしの赤裸々な性愛を歌う「Femininomenon」をリリースし、「My Kink is Karma」のMVに初めて顔面白塗りで出演しました(「チャペル」はドラァグのペルソナなんだそう)(彼女の故郷では同性愛者が“ピエロ”と呼ばれていて、だから、ピエロのように白く塗るんだそうです。 「このピエロ顔を見てろよ!」って感じで)
 2023年のツアーは各地で熱狂を巻き起こしました。そのショーは、ドレスコードの設定、地元ドラァグクイーンの出演など、観客の自由で創造的な盛り上がりが重視されていました。オリヴィア・ロドリゴとのデュエットとして話題になったチアリーディングソング「HOT TO GO!」は、観客と盛り上がるため制作されたライブアンセムでした。彼女はオリヴィア・ロドリゴのツアーのオープニング・アクトにも抜擢され、徐々にその知名度を伸ばしていきます。レトロな魅力とパワフルな歌唱力も持つ新時代のドラァグ・ポップ・スターが誕生したのです。
 2024年、チャペルのデビュー・アルバム『The Rise and Fall of a Midwest Princess』は全米2位、全英1位を獲得する大ヒットを記録し、これに続いてリリースしたシングル「Good Luck, Babe!」は全米6位、全英2位を記録しました。「Good Luck, Babe!」は同性愛者であることを隠そうとしている破局相手に対して憤る、捨て台詞のような歌詞で、痛ましい傷心と不条理への怒りが交錯する失恋ソングです。同年、コーチェラでのパフォーマンスが多くのメディアに賞賛され、ロラパルーザでは史上最高規模の観客を集めました。
 今年6月に「New York’s Governors Ball festival」でパフォーマンスした際は全身を緑に塗って自由の女神に扮し(インスタには「こういうポップスターが長年欠けていた」「大統領になって」とのコメントがついたそう)、一方、そのライブのステージで彼女は、「(自由の女神の)可愛いつま先に刻まれた言葉を忘れてしまった人のために言っておくと、『疲れ果てた、貧しい、自由の息吹を求めて身を寄せ合う群衆を私に与えたまえ』ですよ」「それはトランス(ジェンダー)の権利における自由を意味します。それは女性の権利における自由を意味します。そして特に、占領地で抑圧されているすべての人々の自由を意味します」と語り、ホワイトハウスの今年のプライド月間記念行事でパフォーマンスするよう招待されたものの断ったことを明かしました。その直後には、自身の最も怒りに満ちた楽曲「My Kink is Karma」を政府に捧げています。
 
 クィアなパフォーマンスでオーディエンスを魅了しつつ、LGBTQの権利擁護を真っ直ぐに訴える姿勢は、まるでレディ・ガガのようです。チャペルは、いま最も熱い視線を注がれるアーティストであり、Z世代のクィア・アイコンなのです。そんなチャペル・ローンが、かつてレディ・ガガがVIDEO OF THE YEARを含む全8冠に輝きパンセクシュアル宣言したマイリー・サイラスがドラァグクイーンと共演しテイラー・スウィフトが「You Need To Calm Down」で多くのLGBTQのパフォーマーとともにショーを披露しリル・ナズ・XがVIDEO OF THE YEARに輝くなど、数々の名場面を生んできたMTV VMAで最優秀新人賞に輝いたことは、必然だったのかもしれません。
 チャペルは受賞の喜びをこう語りました。
「信じられる!? VMAに来ているよ! 日記に書いたスピーチを読み上げるね。ありがとうMTV、アイランド・レコード、私のチーム、私の家族や友達。私をインスパイアしてくれた全てのドラァグアーティストにこの賞を捧げたいです。それから、ポップさをくれるクィアやトランスジェンダーの人々、私の歌を愛する人、もしくは嫌っている人やゲイのみんなに捧げたいです。私のファンや音楽を聴いてくれる人たち、私が喜びや恐れをシェアする時に耳を傾けてくれる人たち、聴いてくれてありがとう。そして、中西部でこれを見ているクィアキッズのみんな。みんなのことを見ているよ。みんなとも共感できるよ、だって私もみんなの仲間だから、それから誰かになりたい自分になれないって絶対に言わせないでね!」(素晴らしいスピーチですね!)
 チャペル・ローンはVMAのステージでジャンヌ・ダルクをイメージした「Good Luck, Babe!」のパフォーマンスも披露しました。(動画はこちら

 

参考記事:
チャペル・ローン、MTV VMA 2024「最優秀新人賞」を獲得!受賞スピーチにて感謝とクィア・コミュニティへエールを送る。さらに、ジャンヌ・ダルクをオマージュした「Good Luck, Babe!」パフォーマンス映像が公開!
https://e.usen.com/news/news-release/mtv-vma-2024good-luck-babe.html

MTV VMA 2024「最優秀新人賞」を獲得!受賞スピーチにて感謝とクィア・コミュニティへエールを送る さらに、ジャンヌ・ダルクをオマージュした「Good Luck, Babe!」パフォーマンス映像が公開!(UNIVERSAL MUSIC)
https://www.universal-music.co.jp/chappell-roan/news/2024-09-12/

今年大注目の新人、チャペル・ローンとは?:白塗りの“魔法少女”によるシンデレラストーリー(udiscovermusic)
https://www.udiscovermusic.jp/columns/who-is-chappell-roan

チャートを席巻中のチャペル・ローン、「自分らしさを貫いたからうまくいった」(VOGUE)
https://www.vogue.co.jp/article/chappell-roan-doesnt-care-about-charting-success

チャペル・ローン、米ホワイトハウスからのプライド月間記念行事への出演依頼を断る「すべての人に自由を」(Billboard JAPAN)
https://www.billboard-japan.com/d_news/detail/138551

「同性愛者はピエロって呼ばれて…」人気歌手が“白塗りメイク”に込めた想いを語る→SNSには16万いいね(BuzzFeed Japan)
https://www.buzzfeed.com/jp/larryfitzmaurice/why-chappell-roan-wears-white-face-paint-1



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