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【住民票続柄】世田谷区と中野区が11月から交付へ

2024年09月18日

 東京都世田谷区が同性カップルに対し、続柄の欄に事実婚の状態であることを示す「夫(未届)」「妻(未届)」と記載した住民票を11月から交付する方針を明らかにしました。中野区も11月から交付を始める方針であることを表明しました。いずれも東京23区では初めてとなります。 
 

 世田谷区の保坂展人区長は、今年6月の区議会で、上川あや区議の質問に答え、「事実婚表記につきましては(同性カップルの)当事者から多くの期待と要望が寄せられています。パートナーシップ宣誓制度を手がけた区として、当事者の実情により近いものとなると考え、(事実婚と同様の表記を)取り入れていきたいと思います。制度設計について早急かつ具体的な検討を指示しました」と答弁していましたが、対応時期については明らかにしていませんでした。9月18日の区議会で「希望する住民の身近な窓口で申出や交付が円滑にできるよう、関係部署に指示しており、11月の段階で取扱いを開始できるよう準備を進めている」と述べ、11月中に希望するカップルへの交付を始める方針を明らかにしました。これまで事務マニュアルの整備や顧問弁護士への確認などを進めてきて、現在、区役所や出張所など計10ヵ所の受付窓口で届出や証明書交付の対応ができるよう調整しているそうです。
 保坂区長によると、先行自治体の取組みも踏まえ、同様の検討をしている近隣の中野区などとも意見交換してきたそうです。92万人の人口を抱え、日本で初めて「パートナーシップ宣誓制度」を実現した世田谷区による導入は「意義深い」と語っています。

 世田谷区の発表を受けて、中野区も18日、世田谷区と同じ11月から運用を始める方針を固めました。住民票の見本を作るなどの準備を進めているそうです。

 NHKによると、住民票の「夫(未届)」「妻(未届)」といった続柄は健康保険の扶養家族となるなど社会保障制度で法律上の夫婦と同じ取扱いを受ける事実婚の夫婦に適用されているものですが、同性カップルについては、今回の対応で、表記は同じになるものの、制度的に同じ取扱いを受けられるようにはなりません。ただ、当事者からは「家族としてのつながりを感じられる」など、喜びの声が上がっています。
 世田谷区の古谷光枝さんは15年ほど前から同性のパートナーと暮らしていますが、当初は「同居人」と住民票に記載されることに違和感を持ち、別々の世帯としていました。一昨年、希望があれば同性パートナーを「縁故者」と記載できるようになったことを受けて、初めて世帯を一つにするよう届出を行なったんだそうです。古谷さんは「友人でもなく、家族だと思っていたので、『同居人』というのは他人のように感じて、嫌でした。『縁故者』も遠い親戚という感じがしますが、少しは近づいたと感じたので変更しました」と語りました。今回の対応については「素直にうれしく思いました。『妻(未届)』と変更できるようになったら、もちろんしたいです。さらにつながりを感じると思いますし、住民票上だけでも『妻(未届)』の記入ができるのはうれしいです」と語りました。一方、「法的な保障は何もないままなので、これで何か変わることはあまりないと思います」とも語り、「一つずつ一つずつ、男女には必要のない行程を踏みながら進んでいっていますが、いつか、生きている間に、未届という部分がなくなることを望みます(同性婚が認められるようになってほしい)」と訴えました。

 なお、総務省は「社会保障の窓口などで住民票だけで適用の可否を判断できなくなり実務上の問題が生じるおそれがある」などとしていますが、世田谷区は事務手続きで問題が起きないよう丁寧に対応していくとしています。
 
 
 同居している同性カップルが同一世帯であると届け出た場合、住民票の続柄は、通常「同居人」などと記載されますが(「縁故者」という表記を認めてくれる自治体もあります)、今年5月、長崎県大村市が松浦慶太さん&藤山裕太郎さんカップルに事実婚と同じ「夫(未届)」と記載した住民票を交付したことを受けて、同様の対応を行なう、または検討を表明する自治体が少しずつ増えてきました(現在、全国の8つの市町で実現しています。一覧はこちら
 世田谷区は人口92万人で、この運用をする最大規模の自治体になります。また、中野区も、おそらく日本一レベルでたくさんの同性カップルが暮らしていると思われる自治体の一つですので、今回の対応で恩恵を受ける方が飛躍的に多くなると期待されます。世田谷区より先に対応の検討を表明した杉並区も、早くこれに続いてくれるといいですね。




参考記事:
世田谷区「夫(未届)」「妻(未届)」記載住民票交付へ(NHK)
https://www3.nhk.or.jp/lnews/shutoken/20240918/1000109147.html
東京・世田谷区と中野区 同性カップルの住民票の続き柄を事実婚と同じ表記へ 11月から(NHK)
https://www.nhk.or.jp/shutoken/articles/101/012/04/
東京 世田谷区 同性カップルに「夫・妻(未届)」住民票交付へ(NHK)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240918/k10014585051000.html

11月から事実婚表記導入へ 世田谷区、同性カップル(共同通信)
https://nordot.app/1209124643594732040?c=302675738515047521

同性カップルの住民票に事実婚と同じ記載 中野区も 11月導入へ(朝日新聞)
https://digital.asahi.com/articles/ASS9L1SKVS9LOXIE007M.html
同性カップルの住民票に事実婚と同じ「未届」 世田谷区 11月から(朝日新聞)
https://digital.asahi.com/articles/ASS9L2HS3S9LOXIE002M.html

世田谷区、同性カップル住民票「夫(未届)」表記に 11月にも都内初(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20240918/k00/00m/040/243000c

世田谷区と中野区、同性カップルの続柄を「夫・妻(未届)」と住民票記載へ  11月にも開始(東京新聞)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/354865

11月から事実婚表記導入へ 世田谷区、同性カップル(サンスポ)
https://www.sanspo.com/article/20240918-RJ6ZC7LLU5IWDLOFMIRVG3JK2A/

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