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ベルリン国際映画祭で金熊賞に輝いたのはノルウェーの同性愛映画でした

2025年02月25日

　2月22日（現地時間）、第75回ベルリン国際映画祭の授賞式が開催され、（銀熊賞（短編映画）を水尻自子監督の『普通の生活』が受賞したこともニュースになりましたが）最高賞である金熊賞を同性愛を描いたノルウェー映画『Dreams（英題）』（監督：ダグ・ヨハン・ハウゲルート）が受賞しました。

 『Dreams』は、ハウゲルード監督による『Sex, Love, Dreams』3部作の完結編で、女子高生とフランス語の女性教師のラブストーリーです。物語は主に回想の形で進み、少女が出来事を基に執筆した小説を通じて語られるそうです。コンペティション部門に出品された19作品の中から金熊賞に選ばれました。
　朝日新聞によると、少女の恋の相手は女性教師で、母親は「性的児童虐待では？」と心配したり、手記を「クィアの目覚めが描かれている」と称賛したりするが、そこは主題とせず笑いに変えます。芸術家である祖母は「虐待」の懸念を一笑に付し、主人公は人生に一度の自分だけの体験が「クィア」という枠にはめられることに反発します。
　審査員長のトッド・ヘインズ監督は授賞理由を「愛に関するメディテーションであり、とても個性的でありながら皮肉な普遍的インパクトがある。知的で鋭い観察力で人間の欲望の原動力を探究し、突然驚くべき覚醒をもたらす」と語っています。
　ハウゲルード監督は「映画の題は『夢』だが、この賞は私の最も大胆な夢の上をゆく」と授賞式で喜びを語りました。
　米『ハリウッド・リポーター』の映画評論家デヴィッド・ルーニー氏は、本作を「繊細で魅力的、そしてしばしば非常にユーモラス」と評しています。
　日本でも今年、劇場公開されるようです。楽しみに待ちましょう。
　

　なお、ベルリン国際映画祭といえば、最も優れたLGBTQ（クィア）映画に贈られるテディ賞がよく知られています。
　映画チャンネルの「ベルリン国際映画祭「テディ賞」が持つ特別な意義とは？ LGBTQ+権利の後退に対抗しクィア映画を後押し」という記事によると、今年のテディ賞はトランプ政権の動向を受けて例年以上に意味を持つ年となる可能性があると海外メディアが報じており、「反LGBTQ+の風潮が強い今、テディ賞は多様性を守るシンボルとして世界の注目を集めている」とのことです。
　そんな注目のテディ賞の最優秀作品賞に輝いたのは、オーストラリアのLeela Varghese＆Emma Hough Hobbs監督によるレズビアン・アニメーション映画『Lesbian Space Princess』でした。「Clitopolisの華やかなレズビアンクイーンたちの娘である内向的なSaira姫は、ガールフレンドのKikiから突然別れを告げられ、気持ちが荒んでいた。Kikiが忘れられた未来のインセル、Straight White Maliensに拐われたとき、Arairaはレズビアンの最も強力な武器であるRoyal Labrysを身代金として運ぶために、快適なゲイスペースを後にしなければならなかった…」というあらすじで、ポップなSF作品のようです（特に米国でのバックラッシュを批判しているわけではなく、クィアネスを肯定するような作品だと思われます）
　同じく最優秀ドキュメンタリー／エッセイ映画賞に輝いたのは、ドイツのRosa von Praunheim監督による『Satanische Sau（Satanic Show）』という作品です。「ブリリアントな俳優、Armin Dallapiccolaのアルター・エゴによって演じられるショー。これは夢であり、パロディであり、私の人生の茶番である：私の死とセックスライフと再生との詩的な結びつきである…」
　それから、今回ティルダ・スウィントンに金熊名誉賞が贈られたように、テディ賞では『キャロル』というクィア映画史上に燦然と輝く不朽の名作を生み出したトッド・ヘインズ監督に特別テディ賞が贈られました。

　
　

　
参考記事：
ベルリン映画祭（2025）：金熊賞に同性愛を描いたノルウェー作品『Dreams』（The Hollywood Reporter Japan）
https://hollywoodreporter.jp/awards/95586/
社会派ベルリン映画祭はどこへ?　地味路線、目立つ「身の丈」の物語（朝日新聞）
https://digital.asahi.com/articles/AST2T1W30T2TUCVL01FM.html
ベルリン国際映画祭「テディ賞」が持つ特別な意義とは？ LGBTQ+権利の後退に対抗しクィア映画を後押し（映画チャンネル）
https://eigachannel.jp/movie/115304/

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