g-lad xx

NEWS

初めて同性カップルの祝福を承認し、権利保障も支持したフランシスコ教皇が亡くなりました

2025年04月21日

 フランシスコ教皇が4月21日(現地時間)、亡くなりました。

 キリスト教会最大の会派で世界に15億人近い信者を有するカトリック教会の最高指導者として絶大な影響力を持つローマ教皇ですが、実際は同性愛者だらけである(サンフランシスコのカストロよりもゲイ率が高い)バチカンにあって、ヨハネ・パウロ2世はLGBTQの権利を求める動きを繰り返し批判し、ベネディクト16世は同性愛を「内在的なモラルの悪魔」だと述べ、新年の挨拶で「同性婚は人類の未来にとって脅威の一つ」と述べ、シビルユニオンにすら反対して抗議デモを引き起こしました。しかし、フランシスコ教皇はそうではありませんでした。戦後の教皇のなかで、フランシスコ教皇ほど同性愛に寛容な方はいませんでした。
 
 フランシスコ教皇は2013年に就任した直後、同性愛の聖職者についてどう考えるかを聞かれて「誰かがゲイで、そして彼が神を求めているのであれば、それは私がどうこう言うべきことではありません(私に裁く資格はあるのか)」と答えています。
 2014年には同性愛者を受け容れるべきだとの見解を公に示しました。
 2020年、「同性愛者は神の子であり、家族を持つ権利を持っている」として史上初めて同性カップルの権利を保障する法を認めるべきだと発言し(結婚までは賛成しませんでした)、様々なLGBTQ支援団体が歓迎の意を表明しました。
 2023年には司祭が同性カップルを祝福することを承認し、LGBTQのカトリック教徒にとって、大きな前進となりました。
 教会内の保守派からの反発も招きつつ、教皇は、LGBTQだけでなく女性のために、また、移民や難民のためにも闘い、改革を続けたとされています。

 一方、バチカンが2024年に発表した社会問題に関する見解をまとめた新文書では、「受胎の瞬間に人に与えられる固有の尊厳を脅かす危険がある」として性別適合手術に反対しており、教皇もこれを承認していました(詳細はこちら)。トランスジェンダーの権利については後ろ向きだったのです。『教皇選挙』のラストシーンは、そのことに対する批判だったと考えられます。
 
 映画『教皇選挙』をご覧になった方は、映画の冒頭で亡くなる教皇のモデルがフランシスコ教皇であることをご存じでしょう。教皇が亡くなった後、コンクラーベ(教皇選挙)が厳粛に執り行われますが、映画では、リベラルな改革派だった教皇の後継者にふさわしい人を選ぼうとする主人公たちの思惑に対し、保守的だったり、あまり素行がよくない人たちが台頭してきたり、さまざまな謀略が陰で渦巻き、泥仕合の様相を呈します…そうした描写がどこまでリアルなのかはわかりませんが、フランシスコ教皇が亡くなった後のコンクラーベでは、私利私欲に走らない、LGBTQにも優しい、心から民のためを願い、世界平和に身を捧げられるような立派な方が教皇に選ばれることを、世界中の方たちが願っていることでしょう。
 そして、新しい教皇が、LGBTQの中でも最も厳しい逆風に晒されているトランスジェンダーやノンバイナリーの人たちの受難に目を向け、カトリック教会が彼ら・彼女らを祝福する日が来ることを祈ります。

 
 
 
参考記事:
祈り続けた“平和”と“寛容” 前日に最後の言葉…フランシスコ教皇(88)死去(テレビ朝日)
https://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/900023203.html
悲しむ母国アルゼンチン ローマ教皇死去(時事通信)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2025042101048
ローマ教皇フランシスコ死去…同性婚・人工妊娠中絶に比較的寛容な姿勢、「開かれた教会」目指す(読売新聞)
https://www.yomiuri.co.jp/world/20250421-OYT1T50199/
「対話にイエス、暴力にノー」 死去のローマ教皇 ことばを振り返る(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20250421/k00/00m/030/172000c
教皇フランシスコ死去 南米からヴァチカンへ……カトリック教会を変えた伝統的な教皇(BBC)
https://www.bbc.com/japanese/articles/c20xd4rrewpo

INDEX

SCHEDULE