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伊賀市の同性カップルが出した婚姻届を市長さんが受け取ってくれました

2026年08月04日

 三重県伊賀市にお住まいの嶋田さん&加納さんカップルが本日、同性婚実現への願いを込めて伊賀市役所に婚姻届を提出しました。これまで何度も同性カップルが婚姻届を出し、そのたびに不受理となってきましたが、伊賀市の稲森としなお市長はお二人の婚姻届を受け取り、「同性婚を禁止する法令は存在せず、同性カップルという属性を理由に婚姻制度から排除することは憲法理念に明らかに反しています」「国が個別案件において受理を認めるよう協議していくこととします」と述べました。

 
 嶋田さん&加納さんカップルは2016年、三重県伊賀市が日本で3番目に同性パートナーシップ証明制度を導入したことを知って大阪から移住し、「僕らの移住生活」というサイトを立ち上げ、農業などをしながら地元の人たちとの交流も深めていき、2020年には伊賀焼陶芸家とのコラボで湯飲み「虹焼」を制作、伊賀組紐メーカーとのコラボ「虹紐」はふるさと納税の返礼品にもなりました(詳細はこちら)。今年6月にはお二人をモデルにしたオーディオドラマ「にじいろの組みひも」がNHK FMで放送されました。
 お二人は「結婚の平等にYES!」キャンペーン三重県実行委員も務めていて、7月30日には愛知や岐阜のメンバーの方と一緒に記者会見に臨みました(今月末にイベントが予定されています。下記でお伝えします)。このキャンペーンに合わせて、三重県立名張青峰高校の美術部の方たちが、かわいいオリジナルの婚姻届をデザインしてくださったのですが(実際に記入したものをイベントで展示予定だそうです)、今回、嶋田さん&加納さんは、この高校生たちが作った婚姻届を提出したんだそうです。
 
 お二人の婚姻届提出への思いがXに投稿されていました。市役所で記者の方を前に読み上げられたそうです(「でも、今の⽇本では提出しても同性カップルである僕たちの婚姻届は受理されません。受理されないと分かっていて婚姻届を提出する。これほど悲しいことがあるでしょうか。」という部分は読み上げたくないです、という気持ちも伝えたそうです)
「皆さん こんにちは。
 本⽇はお忙しい中、そして暑い中お越しいただき、本当にありがとうございます。
 僕たちは今⽇これから婚姻届を提出します。
 僕たちは今までもずっと⼆⼈で婚姻届を出したいと思っていました。
 でも、今の⽇本では提出しても同性カップルである僕たちの婚姻届は受理されません。
 受理されないと分かっていて婚姻届を提出する。
 これほど悲しいことがあるでしょうか。
 僕たちも男⼥のカップルと同じように相⼿を⼤切に思い、同じように⼀緒に暮らし、同じ婚姻届に⼆⼈で名前を書きます。
 それなのに男⼥のカップルは受理され同性カップルは法律上の婚姻として扱われません。
 僕たちはこれまで、さまざまな場⾯で、「⾃分たちは男⼥のカップルと同じようには扱われない」ということを感じてきました。
 でもそれを「仕⽅がない」で終わらせたくありません。
 今⽇提出する婚姻届は高校生が僕たち⼆⼈のイラストを描いて作ってくださったものです。
 そして今⽇市⻑や市の職員の皆さんにも時間をつくっていただき、このような形で婚姻届を提出できることに、感謝の気持ちでいっぱいです。
 現在、同性婚訴訟は今年度中にも最⾼裁判決がでると⾔われています。
 僕たちが今⽇婚姻届を提出することはほんの⼩さな動きかもしれません。
 僕らが、⼤変なとき、くじけそうなとき、もう駄⽬かもしれないと思ったとき、ただひたすらがむしゃらに⽣きてきました。
 でも何年か経ってから、僕たちが苦しかったそのときに実は僕たちのために動いてくれていた⼈たちがいたことを知りました。
 パートナーシップ制度やさまざまな制度についても、その実現のために動いてくださった⽅々のことを知ったのは制度ができてからずっと後のことでした。
 だから僕たちは⾃分たちが今伊賀市で幸せに暮らすことができているのは名前も知らないたくさんの⼈たちのおかげだといつも思っています。
 僕たちの⼒は本当に⼩さいかもしれません。
 でもその⼩さな⼒が僕たちの周りで⽀えてくださる皆さんの⼒とつながり、そして全国のたくさんの⼩さな⼒とつながれば同性婚を実現できると信じています。
 今、僕たちの周りでは若い世代の皆さんがリーダーシップを発揮し新しい未来を切り開こうと頑張ってくれています。
 そんな彼らがこれから⽣きていく世界はどんな世界になっているでしょうか。
 僕たちが経験してきたような、「愛する⼈と結婚したいのに、結婚できない」そんな悲しさを次の世代には残したくありません。
 同性婚を実現して今度は僕たちから彼らへバトンをつないでいきたいです。
 そんな思いを込めて今⽇僕たちはこの婚姻届を提出します。」

 お二人の真摯な思いに正面から向き合った伊賀市の稲森市長は、「ぜひ受理したい」と応じてくれました。
 受理はできないけど形だけ受け取ったというのではありません。「国が個別案件において受理を認めるよう協議していく」ことを約束してくださいました。なんと素晴らしい市長さんでしょう。
 以下、稲森市長のFacebookの投稿です。
「憲法13条は法の下の平等を、憲法24条は婚姻の自由をうたっています。
 同性婚を禁止する法令は存在せず、同性カップルという属性を理由に婚姻制度から排除することは憲法理念に明らかに反しています。
 伊賀市に暮らす嶋田さん、加納さんの重みある婚姻届を受け取りました。
 国が個別案件において受理を認めるよう協議していくこととします」

 住民票続柄欄もそうでしたが、今回の件に続いて各地の自治体の首長さん(あるいは議会)が次々に婚姻届を受理するようになってくれたら、きっと何かが変わります。当事者だけでなく地方自治体も、こんなにも同性婚実現を求めているということが可視化され、最高裁判決にもいい影響を与えるのではないでしょうか。
 2004年2月、サンフランシスコ市長だったギャビン・ニューサムは、法的に同性婚が認められていないことは承知の上で、市として同性カップルへの結婚許可証・証明書の発行を敢行し、大変な反響を呼びました(司法により一時無効とされましたが、全米の議論を大きく動かす契機となりました。その後、「提案8号」のショックなども経て、長い闘いの末に、最高裁で同性婚が認められるようになったのはご存じの通りです)。稲森市長は日本のギャビン・ニューサムと呼ばれるようになるかもしれません。
 
 

<イベントのご案内>
 三重県津市で今月29日、婚姻平等の実現を願うイベントが開催されます。
 「LGBTQ+の子どもを持つ家族の想い」をテーマに、当事者の家族を持つ方がお話。トランスジェンダーの子を持つ浦狩知子さん(LGBTQの家族と友人の会などにも参加)、「カミングアウトジャーニー」福正大輔さんのパートナー・ぽんつくさんのお母様が登壇します。「僕らの移住生活」のお二人が聞き手をつとめます。
 「結婚の自由をすべての人に」愛知訴訟弁護団の水谷陽子弁護士が「結婚の平等(同性婚)実現に向けた道のり」と題し、これまでの訴訟の経緯や現在の状況などをわかりやすくお話します。
 三重県立名張青峰高校美術部の方たちがLGBTQのカップルを描いたオリジナル婚姻届に3組のカップルが実際に記入したものも展示されます。
 そのほかにも、
・「大切なあなたへ お手紙展」(東海3県の当事者カップルのお手紙)
・パートナーシップ制度・ファミリーシップ制度の紹介
・住民票の事実婚表記について
・世界の同性婚の状況
・同性婚訴訟における各高等裁判所の判決内容
など、結婚の平等をめぐるこれまでの歩みを振り返ることができるパネルを展示します。

日時:2026年8月29日(土)12:00-16:00
会場:三重県総合文化センター レセプションルーム
無料

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