REVIEW
アート展レポート:moriuo個展「IN MY LIFE2023」
11月17日から新宿で開催されているmoriuoさんの個展「IN MY LIFE2023」をレポートします。幸せな気持ちになれる、本当に素敵な作品展です

2021年に開催されたmoriuoさんの「IN MY LIFE2021」に続く個展「IN MY LIFE2023」が始まりました。前回の作品に加え、「青春と黄昏」をテーマにした日々の暮らしをテーマにした新作が多数展示されていて見応えがありますし、幸せな気持ちになれます。レポートをお届けします。
会場の「新宿ダイアログ」は、二丁目エリアの斜向かい(世界堂の隣)に建っている細長い古い雑居ビルにあります。2FがLGBTQフレンドリーなカフェバーで、3Fが展示会場です(エレベーターがなく、階段になりますので、ご了承ください)。甲州街道や新宿御苑、新しくできた大きな道路を見渡せる素敵スペースです。
会場に入ってすぐ左手に、傘の下でキスする二人や、たぶんウエディングだと思われる「いま人生でいちばん幸せ」って感じの表情のカップルの絵が飾られています。(文字が小さくて老眼な私にはつらかったのですが「life goes on」というストーリー的な文章も掲示されています)
その左側には、同じ海辺のベンチを舞台に若い男性カップル、お年を召した男性カップル、女性カップルの3組が寄り添っていたりキスしてたりする絵が飾られています。白い服を着ているせいもあるかもしれませんが、若いカップルだとウエディング感があるのに対し、お年を召したカップルだと天国を感じさせて、面白いと思いました。その下のベンチに、前回展示されていた中高年カップルの絵も置かれていますし、左側には、やはり前回展示されていた野球部の男の子の告白や、プロボーズ、桜吹雪の下でのお年寄りカップルの絵などもあって、ものすごく「人生」を感じさせますし、ずっと観てるとなんだか泣けてきたりします。素敵な、今回のメインと言える壁面になっています。
窓辺のテーブルには、同じビルにある「so bar 徳秋」さんの周年のために描いた作品や、台湾パレード、福井LGBTQ映画祭など、オーダーを受けて描いた作品が展示されていて、その横には、花火の下の恋人たちだったり、野球部の男の子たちのキスだったり(フライヤーになっていた作品です)、雪の降る日、オフィスからお互いを思うカップルだったり、たいへんロマンティックな作品が展示されています。(「life goes on」のストーリーもぜひ読んでみてください)
前回も書きましたが、これまでのゲイのイラスト・絵画の多くは、20代〜40代くらいのマッチョ・ガチムチのセクシーな青年を描いたものでしたが、moriuoさんは子どもからお年寄りまで、今まであまり描かれてこなかった「ゲイライフ」というものを優しく、かわいらしくビジュアル化し、また、子育てするゲイカップルなど「未来」や「夢」をも見せてくれた作家さんだと思います。
それだけでなく、昨年あたりは、セクシーな作品にも挑戦していたりもして、会場の隅のほうにそういう作品を集めた冊子も展示してあったりするので、ぜひお手に取ってご覧ください。ポストカードも売切れが予想されるため、ぜひお早めに。
実に幸せな気持ちになれる、また、moriuoさんと直に会ってお話しできる、素敵な展覧会体験ができると思います。日曜までですので、二丁目に行くついでにぜひ、立ち寄ってみてください。
moriuo個展「IN MY LIFE2023」
会期:11月17日(金)〜19日(日)
会場:新宿ダイアログ(新宿区新宿3-1-32 新宿ビル1号館 3階)
開場時間:17日 12時〜20時、18日 12時〜21時、19日 12時〜19時
無料
※今後もゲイの作家さんの個展がいろいろ開催されます。特集:2023年秋冬のLGBTQアート展をご覧ください
INDEX
- トランス女性の生きづらさを描いているにもかかわらず、幸せで優しい気持ちになれる素晴らしいドキュメンタリー映画『ウィル&ハーパー』
- 「すべての愛は気色悪い」下ネタ満載の抱腹絶倒ゲイ映画『ディックス!! ザ・ミュージカル』
- 『ボーイフレンド』のダイ(中井大)さんが出演した『日本一の最低男 ※私の家族はニセモノだった』第2話
- 安堂ホセさんの芥川賞受賞作品『DTOPIA』
- これまでにないクオリティの王道ゲイドラマ『あのときの僕らはまだ。』
- まるでゲイカップルのようだと評判と感動を呼んでいる映画『ロボット・ドリームズ』
- 多様な人たちが助け合って暮らす団地を描き、世の中捨てたもんじゃないと思えるほのぼのドラマ『団地のふたり』
- 夜の街に生きる女性たちへの讃歌であり、しっかりクィア映画でもある短編映画『Colors Under the Streetlights』
- シンディ・ローパーがなぜあんなに熱心にゲイを支援してきたかということがよくわかる胸熱ドキュメンタリー映画『シンディ・ローパー:レット・ザ・カナリア・シング』
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- トランス男性を主演に迎え、当事者の日常や親子関係をリアルに描いた画期的な映画『息子と呼ぶ日まで』
- 最高!に素晴らしい多様性エンターテイメント映画「まつりのあとのあとのまつり『まぜこぜ一座殺人事件』」
- カンヌのクィア・パルムに輝いた名作映画『ジョイランド わたしの願い』
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