REVIEW
アート展レポート:TORAJIRO 個展「NO DEAD END」
大阪・心斎橋PARCOにて開催中のTORAJIRO 個展「NO DEAD END」のレポートをお届けします。大阪では初の個展。新作も多数です。まだご覧になったことのない方は、これを機にぜひ実物をご覧になってみてください

g-lad xxでもたびたびご紹介してきたTORAJIROさん。ガチムチ系のカワイイ男の子をセクシーに描きつつ、男の子たちの悲しげな表情に象徴されるように、社会的なメッセージも(聖書などを引用しつつ)表現した独自の作風が高く評価され、2023年のTRPの時期には渋谷PARCO1階ロエベストア横の階段にその『”日常”という名の箱舟』という作品が大きな壁一面に描かれるという快挙も成し遂げています。
PARCOつながりで今回、心斎橋PARCOで大阪初の個展が開催されることになりました。全9点の作品を展示するうちの6点が今回のための新作です。
レポートをお届けします。
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心斎橋って大阪の渋谷・原宿みたいな街だと思うのですが(ちょっと歩くと裏原みたいなアメ村がありますよね)、そんな心斎橋の駅前にドーンと建ってるオシャレスポットがPARCOです(ちなみに2022年、W大阪、大丸心斎橋店、心斎橋PARCOが共同で大阪観光局のLGBTQツーリズムを支援するキャンペーンを展開しています)
その4階のプレミアムギャラリーセレクトショップ(横尾忠則さんのグッズとか売ってました)のギャラリースペースが、今回の展示会場でした。
男の子たちのポートレートが4点、並んでいます。大きさがほぼ揃っているのもポイントだと思いますが、獣人化してたりそれぞれに個性的な男の子たちがこうして並ぶと、何か…例えばゲイの世界の中でのいろんなタイプを表しているのかな、とか、いろいろ思ったりもします。
その下に並べられてるのは、TORAJIROさんの過去の作品を集めたアートブックです。ぜひ手に取って見てみてください。
今回の個展のフライヤーにも使われているオルフェウスの作品に見入ってしまいました。オルフェウスは毒蛇に噛まれて死んだ妻を取り戻すために冥界に入り、竪琴を弾いて、その哀切な音色を聴いて番犬ケルベロスも冥界の人たちもみんな涙したというギリシア神話の人です。この絵では、森の中で竪琴を弾き、動物たちが聴いているわけですが、奏でられているのは亡くなった伴侶を悼む痛切な音であるはずで、もしかしたら同性パートナーを喪った悲しみが表現されているのかもしれない、と思いました。
右手のモニターでは、7月の個展の様子がスライドで紹介されていました。
3人の男性の作品、パッと見、めっちゃセクシー!と思いましたが、よく見ると、これまで同様、アダムとイブの「楽園」とか、ノアの方舟とか、聖書からの引用があるように見受けられます。ユニコーンは欧米ではLGBTQのシンボルになっている生き物。その角には水を浄化し、毒を中和する不思議な特性があると言われています。いろんな物語やメッセージが読み取れます。
そして風神・雷神の作品など(スニーカーはいてたりするポップさがイイです)、7月の個展で展示されていた作品たちも展示されています。
ここにある作品はすべてお買い求めいただけます(すでに3点、購入済みになってました)。もし興味がある方は、会場にいる店員さんに声をかけてみてください。
TORAJIROさんによると、個展のタイトル「NO DEAD END」には、「袋小路のように道が閉ざされた状況でも、必ず別の出口や選択肢があるという思い」が込められています。「描かれた男性たちは、声高なスローガンではなく、沈黙と色彩によって感情の痕跡を残します。寄り添う動物たちとともに、ただそこに立ち尽くす姿は、“生きること・楽しむこと・愛すること”といった、ごく当たり前でありながら奪われやすい日常の尊さを静かに訴えます」
描かれた男性たちのセクシーさや動物たちのかわいさを愛でるだけでもいいと思いますし、そこに込められた静かなメッセージを感じ取るような見方もできると思います。
関西方面のみなさん、ぜひ足を運んでみてください。23日まで開催中です。
(文:後藤純一)
TORAJIRO 個展「NO DEAD END」
会期:2025年9月9日(火)〜9月23日(火祝)
会場:心斎橋PARCO 4階 プレミアムギャラリーセレクトショップ
入場無料
展示点数:全9点(新作6点)
企画運営:フォーカスリープ株式会社
企画協力:Akio Nagasawa Gallery
INDEX
- 台湾での同性婚実現への道のりを詳細に総覧し、日本でも必ず実現できるはずと確信させてくれる唯一無二の名著『台湾同性婚法の誕生: アジアLGBTQ+燈台への歴程』
- 地下鉄で捨てられていた赤ちゃんを見つけ、家族として迎え入れることを決意したゲイカップルの実話を描いた絵本『ぼくらのサブウェイベイビー』
- 永易さんがLGBTQの様々なトピックを網羅的に綴った事典的な本『「LGBT」ヒストリー そうだったのか、現代日本の性的マイノリティー』
- Netflixで今月いっぱい観ることができる貴重なインドのゲイ映画:週末の数日間を描いたロマンチックな恋愛映画『ラ(ブ)』
- トランスジェンダーのリアルを描いた舞台『イッショウガイ』の記録映像が期間限定公開
- 宮沢賢治の保阪嘉内への思いをテーマにしたパフォーマンス公演「OM-2×柴田恵美×bug-depayse『椅子に座る』-Mの心象スケッチ-」
- 絶望の淵に立たされた同性愛者たちを何とか救おうと奮闘する支援者たちの姿に胸が熱くなる映画『チェチェンへようこそ ―ゲイの粛清―』
- スピルバーグ監督が世紀の名作をリメイク、新たにトランスジェンダーのキャラクターも加わったミュージカル映画『ウエスト・サイド・ストーリー』
- 同性愛者を含む4人の女性たちの恋愛やセックスを描いたドラマ『30までにとうるさくて』
- イケメンアメフト選手のゲイライフを応援する番組『コルトン・アンダーウッドのカミングアウト』
- 結婚もできない、子どももできないなかで、それでも愛を貫こうとする二人の姿を描いたクィアムービー『フタリノセカイ』
- 家族のあたたかさのおかげで過去に引き裂かれた二人が国境を越えて再会し、再生する様を描いた叙情的な作品――映画『ユンヒへ』
- 70年代のゲイクラブ放火事件に基づき、イマの若いゲイと過去のゲイたちとの愛や友情を描いた名作ミュージカル『The View Upstairs-君が見た、あの日-』
- 何食べにオマージュを捧げつつ、よりゲイのリアルを追求した素敵な漫画『ふたりでおかしな休日を』
- ゲイの青年がベトナムに帰郷し、多様な人々と出会いながら自身のルーツを探るロードムービー『MONSOON モンスーン』
- アウティングのすべてがわかる本『あいつゲイだって ――アウティングはなぜ問題なのか?』
- ホモソーシャルとホモセクシュアル、同性愛嫌悪、女性嫌悪が複雑に絡み合った衝撃的な映画『パワー・オブ・ザ・ドッグ』
- 世紀の傑作『RENT』を生んだジョナサン・ラーソンへの愛と喝采――映画『tick, tick… BOOM!:チック、チック…ブーン!』
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- 人種や性の多様性への配慮が際立つSATC続編『AND JUST LIKE THAT... セックス・アンド・ザ・シティ新章』
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