REVIEW
アート展レポート:NUDE 礼賛ーおとこのからだ IN Praise of Nudity - Male Bodies Ⅱ
神保町の文房堂ギャラリーで開催中の「NUDE 礼賛ーおとこのからだ IN Praise of Nudity - Male Bodies Ⅱ」のレポートをお届けします。さまざまな手法で制作された多様なメイルヌード作品を堪能できる、素晴らしいアート展でした!

2022年に開催されて好評を博した「NUDE礼賛!「おとこのからだ」Praise of NUDE - About Male Body」が、3年ぶりに新たなアーティストを迎えて開催。今回も「イケメン画家」の木村了子さんがキュレーションを行ない、写真、絵画、彫刻等様々な手法により「おとこのからだ」を表現します。来場者の方々が気軽に参加できる男性モデル撮影会等のイベントも企画しているそうです。
JRの御茶ノ水駅から明治大キャンパスを横目に見ながら少し歩いて、駿河台下の交差点のところにある文房堂(世界堂みたいな画材屋です)の4Fにエレベーターで上がると、そこにはメイルヌードの楽園のような別世界が広がっていました。
今回のフライヤーにも使われているさわやか系イケメンマッチョの絵、まさかのワニに乗ってる絵で、巨大な屏風でした。その屏風の前に椅子が置いてあって、記念に写真を撮ることができます(受付にいる方が撮ってくれます)。その横に煌びやかなフォトブースもありました。
そして巨大な人拓。先日行なわれたイベントで妲井准さんという方をモデルにライブでとられた人拓です。すごく大きいです(いろんな意味で)
木村了子さんの銭湯の作品が素晴らしかったです。いろんな人種・民族の男性たち(しかも白人がいない)や、よく見ると獣人だったり鬼だったりも混ざっているし、義足の方とかもいて、そんな銭湯の番台に女性が座っているというのもよくて。以前ノリスケさんがハッテン場で100人くらい楽しんでるほのぼのテイストな作品を描いていらっしゃいましたが、それに次ぐ集団男裸絵作品じゃないかと。すっかり見入ってしまいました。
野村佐紀子さんの写真も展示されてました。荒木経惟(アラーキー)さんに師事し、メイルヌードを撮る女性のフォトグラファーの魁として『anan』の特集などでも話題になった大御所です(『バディ』時代にも何度もご紹介させていただきました)。陰翳深い作風で、今回の展示作品もかなり闇が濃い感じです。写真集のサンプルも置かれているので、ぜひ併せてご覧ください。
牧田恵実さんはファルス(男性器)をハイパーリアルに、美しい花と一緒に描く作風で、ここまで包茎のペニスを精密に描く方も珍しいと思い、ちんこを愛でるというよりも、どこか強迫観念的なものも感じたりしました。現在開催中の個展のチラシのプロフィール文に「私が男性器に着目して描いているのは、思春期の記憶や幼少期のトラウマに根ざしています」と書かれていて、なるほどな…と思いました(今はトラウマも癒えているそうです。よかったです)
成瀬ノンノウさんは「男のフェチズム展」などにも出展してらして、何度か作品を拝見したことがありました。今回は昭和のお家の洗面台の鏡に映った美男子や、まるで金魚鉢の中にいるかのような幻想的な作品に惹かれました。
TORAJIROさん、すごく頑張ってヌードをたくさん描いてて、ちんちんが見える絵とか、乳首をつまむという割とダイレクトな行為に及んでる作品は珍しいと思いました。どれもよかったのですが、個人的には全裸の男性が大きな白い熊と抱き合っている作品が、そのモフモフした肌触りが想像できたり、逆に、あの白熊になりたいというふうにも思えたりして、惹かれました。
その隣に、ぶっとい黒々とした陽物(実は神社とかにも奉納されていたりするのですが、古来より五穀豊穣を願い、男性器をかたどった張型のようなオブジェを作って祀るという伝統が日本にはあります)が日本間に飾られる日本刀のような趣で据え置かれている作品がありました。3つのうちの1つは回転するようになってて、雁首のところにリングみたいな装飾もついてて。淺野健一さんという彫刻家の方の作品です。格闘家(キックボクサー?)の男性の彫像もすごい迫力で、グローブとか目とかが光るようになっててカッコよかったです。
いちばん奥のスペースが、ゲイテイストな作品のお部屋になってました。
武内雄大さんの、そこはかとないメランコリーを感じさせる男の子の絵。その横に、ティッシュの塊を描いた絵も並べられていて(すでに購入済みでした)、一見なんの変哲もないティッシュなのに、文脈によってエロティックに見えるのが面白いなと思いました。
モデルさんを実にリアルにセクシーに描く六原龍さん。SASUKEさんと思われる方のたいへんえちえちな(目のやり場に困るような)作品には鼻血が出そうになりました。
今回、いちばん惹かれたというか「こんな人いるんだ」と驚いたのは、重野克明さんという方の作品でした。ちょっとしりあがり寿(大好き)みたいな飄々とした感じの男性たちがお風呂に入ってたり、裸で絵を描いてたり(自画像でしょうか)、縄で縛られたり(そのうっとりした表情の素敵さよ)、絵の横に「重野の夢は夜ひらく」とか書いて貼ってあったりして、たまらないです。ゆるいというか、全然本気じゃない感じがいいですね。特にエロさは感じないのですが、テイストが好きでした。
本当に見応えのある、とても素晴らしい展示でした。
正直、これは大きな美術館でやってもいいのでは?と思いました。それくらいの価値がある展示だと思います。
入場料500円なのですが、それくらい払う価値があると思いますし、TORAJIROさんの作品を使った御朱印ももらえたりします(TORAJIROさんの作品を手元に持っておけるってよくないですか? ファンとしてはうれしい限りです)
27日まで開催されてますので、ぜひ。
NUDE 礼賛ーおとこのからだ
IN Praise of Nudity - Male Bodies Ⅱ
会期:10月16日(木)〜27日(月)11:00-18:00
会場:文房堂ギャラリー(東京都千代田区神田神保町1丁目21−1 4F)
入場料:500円(税込)特典あり
出品作家:淺野健一、大山菜々子、木村了子、重野克明、武内雄大、小川クロ、torajiro、成瀬ノンノウ、野村佐紀子、牧田 恵実、六原龍
★今後もクィアな作品が展示されるアート展がたくさんあります。こちらの特集をご覧ください
INDEX
- 多様な人たちが助け合って暮らす団地を描き、世の中捨てたもんじゃないと思えるほのぼのドラマ『団地のふたり』
- 夜の街に生きる女性たちへの讃歌であり、しっかりクィア映画でもある短編映画『Colors Under the Streetlights』
- シンディ・ローパーがなぜあんなに熱心にゲイを支援してきたかということがよくわかる胸熱ドキュメンタリー映画『シンディ・ローパー:レット・ザ・カナリア・シング』
- 映画上映会レポート:【赤色で思い出す…】Day With(out) Art 2024
- 心からの感謝を込めて――【スピンオフ】シンバシコイ物語 –少しだけその先へ−
- 劇団フライングステージ第50回公演『贋作・十二夜』@座・高円寺
- トランス男性を主演に迎え、当事者の日常や親子関係をリアルに描いた画期的な映画『息子と呼ぶ日まで』
- 最高!に素晴らしい多様性エンターテイメント映画「まつりのあとのあとのまつり『まぜこぜ一座殺人事件』」
- カンヌのクィア・パルムに輝いた名作映画『ジョイランド わたしの願い』
- 依存症の問題の深刻さをひしひしと感じさせる映画『ジョン・ガリアーノ 世界一愚かな天才デザイナー』
- アート展レポート:ジルとジョナ
- 一人のゲイの「虎語り」――性的マイノリティの視点から振り返る『虎に翼』
- アート展レポート:西瓜姉妹@六本木アートナイト
- ラベンダー狩りからエイズ禍まで…激動の時代の中で愛し合ったゲイたちを描いたドラマ『フェロー・トラベラーズ』
- 女性やクィアのために戦い、極悪人に正義の鉄槌を下すヒーローに快哉を叫びたくなる映画『モンキーマン』
- アート展レポート「MASURAO GIGA -益荒男戯画展-」
- アート展レポート:THE ART OF OSO ORO -A GALLERY SHOW CELEBRATING 15 YEARS OF GLOBAL BEAR ART
- 1970年代のブラジルに突如誕生したクィアでキャムプなギャング映画『デビルクイーン』
- こんなに笑えて泣ける映画、今まであったでしょうか…大傑作青春クィアムービー「台北アフタースクール」
- 最高にロマンチックでセクシーでドラマチックで切ないゲイ映画『ニュー・オリンポスで』
SCHEDULE
- 02.07BEEFCAKE Vol.8
- 02.07RICE BALL
- 02.08deepspot vol.1
- 02.08昭和歌謡 & J-POP PARTY 新宿ドレミファ丼 DIGITAL DJ EDITION







