REVIEW
アート展レポート:TORAJIRO個展「A Light That Never Goes Out」
TORAJIROさんの個展「Boys Just Want to Have Fun」が銀座のAKIO NAGASAWA Gallery GINZAで始まりました。初日のレポートをお届けします

昨年7月の個展と同じ会場の「AKIO NAGASAWA Gallery GINZA」で9月9日(重陽=菊の節句ってところがいいですね。たいへんゲイゲイしい日です)、TORAJIROさんの個展「A Light That Never Goes Out」がスタートし、レセプションパーティが催されました。前回同様、タキシードを着た方がワインをくださったりして優雅で贅沢な時間を過ごすことができつつ、友人・知人にもお会いして絵について語ったりしながら鑑賞できて、楽しかったです。
公式サイトのステートメントにもあるように、今回の個展は、戦争が終わらない世界の状況や、家父長制やホモソーシャル(女性やゲイを抑圧する元凶)がなくならない日本の状況を憂いながら、そんな暗闇の中でもなくならない微かな灯火を表現したものでした。それは、パートナーの肌のぬくもりであったり、何気ない日常生活の喜びであったり、動物や自然であったり。それらが静かな希望として観る人の眼前に立ち現れ、魅了する、そんな展覧会でした。
どの作品もかわいいのは前提として、個人的に今回惹かれたのは、今回のフライヤーにもなっているいちばん大きな作品(ムーンボウの下、ボートを漕いでいく絵。とてもセクシーな作品でもあります)もさることながら、有名な(ジョン&ヨーコの)「WAR IS OVER! (IF YOU WANT IT)」の「IF YOU…」をわざと見えなくした、戦争は絶対に終わるんだとさりげなく断定的に表現した作品や、胸毛や腹毛が草花になっているマッチョな男性が手に四つ葉のクローバーを持ってる作品(なんと、写真を撮り忘れました…残念)などでした。たぶん大学生の男の子が「山川草木悉有仏性(自然界のあらゆる存在に仏性が宿っているという意味)」と書かれた本を持っている作品などもあり、これまではキリスト教モチーフ(ノアの方舟とかエデンの園とか)が多かったけれども、ここにきて仏教の言葉が出てきたということが印象的でもありました。思い切って漫画的なポップな表現を取り入れている作品なんかもあったりして、観てて楽しかったです。








特筆すべきは、今回初めてグッズ(Tシャツとアクスタ)が販売されていたことです。
さすがに絵には手が届かないけど(TORAJIROさんの作品、どんどん価値が上がっています。もしほしいと思う方は、今のうちに!)、Tシャツいいなと思って買ってしまいました。

余談というか、もしかしたら的外れかもしれないのですが、TORAJIROさんの描く「悲しそうな目をしたガチムチなゲイの男の子」って、奈良美智さんが描く「逆三角形の目の少女」的な、時代を象徴するキャラクターになりつつあるんじゃないかと思いました(パルコの壁画になったとき、すでにそうなってたんですよね、きっと)
さらに結構マニアックかもしれない話なのですが、今回の個展のタイトル、「A Light That Never Goes Out」は、伝説のバンド、The Smithsの代表曲の一つ「There Is A Light That Never Goes Out」へのオマージュなんじゃないかと思っていて、もしそうだとしたら、とてもうれしいです。The Smithsは学生時代に本当に聴きまくってて(レコードも全部持ってます)滅多に外タレのライブに行かない自分がモリッシーの来日公演のときに舞浜まで出かけたほどです。「There Is A Light That Never Goes Out」はThe Smithsの中でもいちばん好きな曲で、「今夜僕を連れ出して」で始まる切ない歌なのですが、若い頃の僕は、連れ出してって言ってる相手がどうしても男性だとしか思えなくて、当時の自分の心境にシンクロしまくってました。
ともあれ、この素敵な個展は約1ヵ月間、10月10日まで開催されます。ぜひお出かけください。
(後藤純一)
TORAJIRO個展「A Light That Never Goes Out」
会期:2026年9月9日(水)-10月10日(土)★オープニング・レセプション:9月9日(水)18:00–20:00
会場:AKIO NAGASAWA Gallery Ginza
開廊時間:火〜土 11:00–19:00 (土 13:00–14:00 CLOSED)
休廊日:日・月・祝日
INDEX
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