REVIEW
アジア系ゲイが主役の素晴らしくゲイテイストなラブコメ映画『ファイアー・アイランド』
アジア系のゲイたちを主役に、ゲイリゾート「ファイアーアイランド」を舞台にひと夏の恋模様を描いた素敵なラブコメ映画が配信中。「こんな映画を待っていた!」って感じの必見作です。ぜひご覧ください!

げんなりさせられるようなニュースが続く今日この頃…。アジア系のゲイたちが主役の、ファイアーアイランドを舞台にしたひと夏の恋模様を描いた素敵なラブコメ映画『ファイアー・アイランド』を観て、笑って泣いて、ハッピーな気持ちを取り戻しましょう。レビューをお届けします。



ゲイのニューヨーカーのリゾート地であり「ゲイの楽園」として世界的に有名なファイアー・アイランド。トム・ビアンキが写真集も発表していたり、『ノーマル・ハート』の冒頭でもそのパーティの様子が描かれていたりします。1976年、ファイアー・アイランド・パインズのレストランで、テリー・ウォーレンというドラァグクイーンが入場拒否されるという事件が起こり、その話を聞いた友人のドラァグクイーンが7月4日、最高にゴージャスな装いで海上タクシーでレストランに乗り付けるというデモンストレーションを行ない、そこから毎年、クイーンたちが大挙して船でファイアー・アイランドのパインズに押しかける「パインズの逆襲」というイベントが恒例になったりもしています。米国のゲイコミュニティにとって特別な思い入れのあるリゾート地なのです。
2022年、ファイアー・アイランドを舞台にした、その名も『ファイアー・アイランド』というゲイたちの友情とロマンスを描いた青春ラブコメ映画が製作されましたが、主役は白人ではなく、アジア系のゲイたちです。コメディアン兼脚本家のジョエル・キム・ブースターがジェーン・オースティンの最高傑作『高慢と偏見』にインスパイアされて脚本を書き、プロデュースも手がけ、主人公も演じています。監督は『SPA NIGHT』のアンドリュー・アン。主人公の親友の役はエミー賞に2度ノミネートされているコメディアンのボーウェン・ヤン、ほかにもコメディアンのマーガレット・チョー、フィリピン系アメリカ人のコンラッド・リカモラといったゲイ・バイセクシュアルの俳優も出演しています。アメリカでは最もマイノリティな(コロナ禍で風当たりも強くなっている)アジア系のクィアが中心になっているところが画期的です。
そんな『ファイアー・アイランド』は、有名な映画批評サイト「Rotten Tomatoes」での批評家スコアが驚異の100%を叩き出し、「『ファイアー・アイランド』こそが初のまともなゲイ・ロマコメになるかもしれない」とも評されました。
<あらすじ>
ノアと親友のハウイーら仲間たちの恒例行事は、ファイアー・アイランドで夏休みを共に過ごすこと。しかし、到着したのも束の間、休暇を過ごす友人エリンの家は今年で売却されることが決まり、思いがけず今年がファイアーアイランドで一緒に過ごす最後の夏となってしまう。最後の夏を最高の思い出にすべく、ノアたちはハウイーが理想の相手に出会えるよう、手助けをすることを決意する。ハウイーが医師のチャーリーと意気投合する一方で、ノアはいけすかない金持ちグループにいるウィルのことが気になりはじめ…。



主人公のノア(ジョエル・キム・ブースター)は、マッチョな肉体を武器に、ファイアー・アイランドではヤリまくろうと意気込んでいるSEXY BOY。しかし、以前同じレストランでバイトしていてアジア系として同じような思いを分かち合ってきた親友・ハウイー(ボウエン・ヤン)のことを気遣い、ハウイーがセックスできるまで自分もしないと言い、恋がうまくいくよう手助けすることに。ハウイーは彼氏がいたことがなく、自分のことなんか誰も好きになってくれないと思ってしまうようなタイプで(でもきっとハウイーのことがいいと思ってくれる人はいるはず、と思うような魅力もあります)、バーで背の高い白人で優しそうな雰囲気のチャーリーがハウイーに手を振ってくれたのを、ノアは見逃さず、全力で応援。しかし…というのがメインストーリー。そして、チャーリーがいつも一緒にいるお金持ち仲間のなかに弁護士をしているフィリピン系のウィルがいて、一見、素敵な人なのですが、ノアは、ウィルが自分たち貧乏人のグループを見下しているようなことを言っているのを立ち聞きし、なんて高慢なやつ!と腹を立て…(この辺りが『高慢と偏見』です)。そうこうしているうちにノアは、OnlafansとかやってるようなあからさまなSEXY系白人のデクスとラブラブに。しかしウィルは「デクスには気をつけろ」と忠告し、ノアは反発し…といった、複雑な人間模様も描かれます。
ハウイーの恋の行方は? そして、ノアはウィルとの関係を修復できるのか?…ぜひ映画をご覧になって確かめてください。
有名な小説をベースにしているだけあってお話もしっかりしてますし(教養が感じられ)、ラストまで一気に観てしまえる極上のラブコメに仕上がっています。きっとホロリとさせられ、すがすがしい気持ちで観終えることができます。アンダーウェアパーティや、その会場の中にあるダークルームの様子、セックスのシーンが堂々と描かれているのもスゴいです(さすがにチン○は映ってないですが、行為がけっこうダイレクトに描かれています)。監督も俳優もみんなゲイで、ゲイシーンのリアルが肯定的に描かれ、しかもアジア系ゲイが主役の、笑ったり泣いたりしながら観て楽しめる、こんな映画を待っていた!という方も多いであろう作品です。ぜひご覧ください。
ファイアー・アイランド
原題:Fire Island
2022年/米国/105分/監督:アンドリュー・アン/出演:ジョエル・キム・ブースター、ボーウェン・ヤン、マーガレット・チョーほか
ディズニープラス「スター」にて独占配信中
INDEX
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