REVIEW
世界をトリコにした名作LGBTQドラマの続編が配信開始! 『ハートストッパー』シーズン2
LGBTQの高校生たちのリアリティや喜びを描いた名作ドラマ『ハートストッパー』のシーズン2が、待望の配信開始! シーズン1の涙、涙のフィナーレの後、いったいどんなストーリーが展開されるのでしょうか?

英国の高校に通うラガーマンのニックと、校内でカミングアウトしている“典型的”なタイプのチャーリーが、まさかの恋に落ちるという、ゲイの夢を体現したかのような青春ラブストーリーであり、男子校から女子校に転校するトランス女子や、女子カップルなども登場するクィア・ドラマであり、好きという気持ちから自身がバイセクシュアルだと気づき、戸惑うニックのことを全世界の視聴者が応援し、感動のハッピーエンドを迎えた名作ドラマ『ハートストッパー』。ニックを演じたキット・コナーが自身もバイセクシュアルであるとカムアウトしたり(あまり本意ではない仕方ではありましたが)、先日のロンドンプライドのNetflixフロートに『ハートストッパー』のキャストたちが乗ってパレードを盛り上げたり、ドラマにまつわるエピソードもエキサイティングで、シーズン2にも注目が集まっていました。
8月3日から配信スタートとなったシーズン2の第1話〜第3話のレビューをお届けします。
(後藤純一)




とにかくもう、ニックが素敵で、愛らしくて…目がハートになります。ガタイがよくて、ハンサムで、優しくて…でも恋人の前では甘えたり、弱さを見せたりも…。ニックとチャーリーのラブラブっぷりにこちらまで幸せな気持ちになり、全力で二人を応援したくなります。
なのですが、ニックはGCSE(全国統一試験)のための勉強で忙しく、チャーリーは両親にニックとつきあい始めたと伝えると、泊まりは禁止だ!と、学校の勉強を優先しろ!と厳しく言われ、なかなか会うことができない日々が続き…。
しかも、GCSEに向けた集中授業で、ニックの隣の席になったのは、なんと、以前チャーリーに体だけの関係を迫ったクローゼットのベンで、ベンはニックに「君も僕と同じだ。バイセクシュアルだってことをカミングアウトできないじゃないか」と言われ、ニックはラグビー部員にカムアウトすることを決意します。
試験が終わったあとの開放的なパーティで、ニックはいよいよ、部員へのカミングアウトを実行するぞと意気込んでいたのですが…。
夜、ベッドの上で、二人が「なぜカミングアウトしたら面倒事が起こるんだろうね?」「わかりあえない人もいる。ひどいことを言う奴も大勢いるよ」とメールのやり取りをするシーンは、とても切ないです。
年下ながらカミングアウトに関しては先輩であるチャーリーは、カミングアウトがうまくいかなくて凹んだニックを慰めます。そのときのチャーリーは、本当に頼もしく、強く、カッコよく見えました。
一方、チャーリーの素敵な友人たちも、恋の季節を迎えます。
トランスガールのエルと、アジア系で髪型がユニークなタオは、ずっと親友で、でもお互いにそれ以上の思いを抱いていることを感じていて。エルがアートスクールに行くことを決め、離れ離れになってしまうことがわかり、しかもオープンスクールでエルにクィアなお友達ができて楽しそうにしている様子をインスタで知ったタオは、自分の寂しさや嫉妬の正体が、親友だからではなく恋なのだと気づき、ついに告白を決意します。
ずっと脇役的なキャラクターで、セリフも少ない、太めで地味なアイザックにも、ついに素敵な相手(男の子)が現れます。世界中のアイザック・ファンが「待ってました!」とばかりに拍手喝采を送る様子が目に浮かぶようです。
悩める高校生たちを取り巻く大人たちのサポートの姿勢が描かれているのも、とても意味があると感じました。
第2話で、ニックの兄が帰省してきたのですが、この兄が本当にロクでもない、最低な奴で、ニックは言いたくなかったのに、チャーリーとのことがバレて、兄にイヤなことを言われ…。でも理解あるお母さんがフォローし、ニックを守ってくれるのです。強い味方です(ちなみにお母さん役を演じているのは『女王陛下のお気に入り』でアカデミー主演女優賞に輝いたオリヴィア・コールマン。迫力があります)
それから、第3話。ラグビー部の顧問の先生(コーチ?)が素晴らしいです。泣けます。
このあと、みんなは修学旅行でパリに向かいます。
いったいどんな旅になるのか、楽しみです。
『ハートストッパー』シーズン2
2023年/英国/原作:アリス・オズマン『Heartstopper』/監督:ユーロス・リン/出演:キット・コナー、ジョー・ロック、ウィルアム・ガオ、ヤスミン・フィニーほか
INDEX
- 美しい少年たちのひと夏の恋と永遠の別れを描いた青春映画――『Summer of 85』
- 80年代UKのゲイたちの光と影:ドラマ『IT’S A SIN 哀しみの天使たち』
- 映画『日常対話』の監督が綴った自らの家族の真実――『筆録 日常対話 私と同性を愛する母と』
- "LGBT"以前の時代に愛し合い、生き延びてきた女性たち――映画『日常対話』
- 映画『世紀の終わり』(レインボー・リール東京2021)
- 映画『叔・叔(スク・スク)』(レインボー・リール東京2021)
- 映画『シカダ』(レインボー・リール東京2021)
- 映画『ノー・オーディナリー・マン』(レインボー・リール東京2021)
- 映画『恋人はアンバー』(レインボー・リール東京2021)
- 台湾から届いた感動のヒューマン・ミステリー映画『親愛なる君へ』
- 日本で初めて、公募で選ばれたトランス女性がトランス女性の役を演じた記念碑的な映画『片袖の魚』
- 愛と自由とパーティこそが人生! 映画『シャイニー・シュリンプス!愉快で愛しい仲間たち』レビュー
- 苛烈なホモフォビアに直面しながらも必死に愛し合おうとするけなげな二人…しかし後半は全く趣旨が変わる不思議な映画『デュー あの時の君とボク』
- かけがえのない命、かけがえのない愛――映画『スーパーノヴァ』
- プライド月間にふさわしい観劇体験をぜひ――劇団フライングステージ『PINK ピンク』『お茶と同情』
- 同性と結婚するパパが許せない娘や息子の葛藤を描いた傑作ラブコメ映画『泣いたり笑ったり』
- 家族的な愛がホモフォビアの呪縛を解き放っていく様を描いたヒューマンドラマ: 映画『フランクおじさん』
- 古橋悌二さんがゲイであること、HIV+であることをOUTしながら全世界に届けた壮大な「LOVE SONG」のような作品:ダムタイプ『S/N』
- 恋愛・セックス・結婚についての先入観を取り払い、同性どうしの結婚を祝福するオンライン演劇「スーパーフラットライフ」
- 『ゴッズ・オウン・カントリー』の監督が手がけた女性どうしの愛の物語:映画『アンモナイトの目覚め』
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