REVIEW
ドラマ『隣の家族は青く見える』
1月18日、ゲイカップルが登場するフジテレビのドラマ『隣の家族は青く見える』の放送がスタートしました。第1話のレビューをお届けします。
こちらのニュースでもお伝えしていたように、昨年ゲイがらみで失敗したフジテレビが今期、ゲイカップルも登場するドラマを堂々放送!ということで、注目されている『隣の家族は青く見える』がスタートしました(なお、その後の情報によると、あの事件があったからゲイを登場させたというわけではなく、3〜4年前から構想されていたそうです)。2018年1月18日に放送された第1話のレビューをお届けします。(後藤純一)
キホン、コメディなので、楽しく観れる感じです。Mr.Chidrenがドラマのために書き下ろした新曲「here comes my love」も、ポップな曲調に力強く前向きな愛を表現した歌詞が乗った、とてもいい歌でした。
さて、ゲイカップルの描かれ方についてです。すでに放送されていて、見逃し配信でもご覧いただけるようになっていますので、ある程度どんな展開だったか書いてしまいますね(それでも知りたくないという方は読まずにスルーしてください)
ドラマの舞台となるコーポラティブハウス(4世帯の集合住宅)をデザインした一級建築士の渉(わたる)が、行きつけのワインバーで飲んでいると、結婚式帰りの若い人たちの集団がいて、渉はその中にいたイケメン・朔(さく)に目が釘付けになります。朔はトイレで寝てしまっていて、マスターと渉が介抱し、朔は「つきあっていた相手が結婚することになって、式に呼ばれた。普通呼ぶか?と思いつつ、相手がどんな「女」か見てみたいと思って、行ってきた」と言い、そこでゲイであることがわかります(なかなか巧みなセリフです)。渉は酔っ払っている朔を抱え、家まで送ることにしますが、途中、薄暗い路地で、朔が渉に「壁ドン」して、「わたるんもこっちの人だよね?」と言って、キス…。そこから二人の関係が始まります。
1年後、無事にコーポラティブハウスが完成し、住人たち(渉も単身で住んでいます)がお正月の餅つきをしているところに、突然、朔がやってきて、渉は慌てます。朔は「部屋を解約してきちゃった。ここに住まわせて」と言います(その行動に対して「非常識!」と憤慨する方もいらっしゃることでしょう…でも彼氏にベタ惚れしてると許しちゃったりもしますよね)。そうして朔はこのにぎやかなコーポラティブハウスの住人になることになりました。
第1話はこんな感じです。2話以降、朔が住人たちとからんでいくことになりそうです。早晩ゲイだとわかってしまうでしょうが、隣近所の住民たちがどういう反応を見せるのか…気になるところです。
眞島秀和さん演じる一級建築士の渉はヒゲをたくわえているイケメン30代、北村匠海さん演じる朔はちょっと小悪魔系なジャニ系20代。主流ではないかもしれないけど、確かにこういうカップルもいるよね、と。少なくとも「こんなゲイはいない!」という感じではありませんでした。
二人の出会いがハッテン場や二丁目ではなく、どこにでもあるようなワインバーだったところがイマドキっていうか、ステレオタイプにならないようにという配慮なのかな?と感じました。
ちなみにLGBT監修としてゲイの森永貴彦さん(LGBT総合研究所)の名前がクレジットされていました(『女子的生活』もトランスジェンダーの方が監修にあたっています)。信頼できる当事者の方に監修をお願いするのは、とてもいいことですね。
木曜劇場『隣の家族は青く見える』
フジテレビ系
2018年1月18日より毎週(木)午後10時~10時54分放送
キャスト:深田恭子、松山ケンイチ、平山浩行、高橋メアリージュン、北村匠海、眞島秀和、真飛 聖、野間口 徹、伊藤かずえ、高畑淳子
※FODの見逃し配信で無料で視聴できます→こちらからどうぞ
INDEX
- 女性と同性愛者を抑圧し、ペストで死ぬ人々を見殺しにする腐敗した権力者への叛逆を描いた映画『ベネデッタ』
- トランスジェンダーへの偏見や差別に立ち向かうために読んでおきたい本:『トランスジェンダー問題: 議論は正義のために』
- 『痛快!明石家電視台』ドラァグクイーン大集合SP
- 殺伐とした世界に心を痛めるすべての人に観てほしいドラマ『THE LAST OF US』第3話
- 3人のドラァグクイーンのひと夏の旅を描いたハートフル・コメディ映画『ひみつのなっちゃん。』
- 40歳のゲイの方が養護施設で育った複雑な生い立ちの20歳の男の子を養子に迎え入れ、新しい家族としての生活を始める姿をとらえたドキュメンタリー映画『二十歳の息子』
- 貧しい家庭で妹の面倒を見る10歳のゲイの男の子が新しい世界を切り開こうともがき、成長していく様を描いた映画『揺れるとき』
- ゲイコミュニティへのリスペクトにあふれ、あらゆる意味で素晴らしい、驚異的な名作『エゴイスト』
- ドラァグクイーンの夢のようなロマンスを描いたフランス発の短編映画『パロマ』
- 文藝賞受賞、芥川賞候補の注目作――ブラックミックスのゲイたちによる復讐を描いた小説『ジャクソンひとり』
- ドラァグクイーンによる朗読劇『QUEEN's HOUSE〜あなたの知らないもうひとつの話〜TOKYO』
- 伝説のゲイ・アーティストの大回顧展『アンディ・ウォーホル・キョウト』
- 謎めいたゲイ・アーティストの素顔に迫るドキュメンタリー映画『アンディ・ウォーホル:アートのある生活』
- 『ボヘミアン・ラプソディ』の感動再び… 映画『ホイットニー・ヒューストン I WANNA DANCE WITH SOMEBODY』
- 近年稀に見る号泣必至の名作ゲイ映画『世界は僕らに気づかない』
- ぼくらはシンコイに恋をする――『シンバシコイ物語』
- ゲイカップルやたくさんのセクシャルマイノリティの姿をリアルに描いた優しさあふれる群像劇『portrait(s)』ほか
- TheStagPartyShow movies『美しい人』『キミノコエ』
- Visual AIDS短編集『Being & Belonging』
- これ以上ないくらいヘビーな経験をしてきたゲイの方が身近な人たちにカミングアウトする姿を追ったドキュメンタリー映画『カミングアウト・ジャーニー』
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