REVIEW
ゲイ感涙!な海外ドラマ『Glee』
『ハイスクール・ミュージカル』の合唱版(FOX版)と言われ、全米で大ヒット中のミュージカル・ドラマ『Glee』。歌とダンスのシーンだけでなく、ストーリーも素晴らしく、ゲイが喜ぶ要素が「これでもか!」と詰め込まれたゲイ必見(感涙)なプレミアムドラマです。


全米で話題沸騰中(シーズン3まで制作決定!)、日本でも高視聴率をマーク中という海外ミュージカルドラマ『Glee』。ヴィクトリア・ベッカム、ジェニファー・ロペス、スーザン・ボイルらの出演が噂され、マドンナやガガのフィーチャリングをうらやましく思ったブリトニーが「自分の曲も使って」と語ったり、一種の社会現象を起こしている、なんともゴージャスなドラマです。
そして、先日見事にGLAADメディア賞も受賞したように、ゲイにとって見逃せないドラマでもあるのです。

舞台はオハイオ(田舎)の高校。かつては輝いていたものの、今や衰弱し、廃部寸前となっていたグリークラブを、栄光当時のグリークラブの花形シンガーであった熱血教師のウィルが、立て直そうと決意。新入部員を募集して入ってきたのは、いじめられっ子の女の子、ゲイ、太った黒人の女の子、アジア系の女の子、車いすの生徒など、いわゆるイケてないメンバー。そんな中、アメフト部の花形クォーターバックであるフィンを無理やり入部させることに成功し、地区大会優勝に向けて練習に励みます。
ドラマ内で使われる歌は、昔流行った懐かしのヒット曲からミュージカルのスタンダードナンバーまでもりだくさん。アメフト部員がビヨンセの『Single Ladies』を歌って踊るシーンは抱腹絶倒。次から次に知ってる曲が歌われているのが心地よく、思わずサントラを買いたくなります。

このドラマで僕ら的に超重要なキャラクターがゲイのカートです。アレキサンダー・マックィーンがデザインしたふわふわのセーターを着て見事な高音を響かせるカートは、グリークラブのディーバ、レイチェルに対抗したり、男らしさを要求する父親との間の葛藤に悩んだりします。
カート役を演じている19歳の個性派俳優クリス・コルファーは、ゲイ雑誌『Advocate』のインタビューで自身もゲイであることをカミングアウトしています。
この『Glee』、第13話まで放送されてきましたが、これまでの中で最も素晴らしかった第9話のエピソードの一部をご紹介してみたいと思います。

ゲイのカートは、葛藤しながらも父親にカミングアウトし、受け入れてもらうことができました。が、父親は「お前の息子はホモだ」といういやがらせの電話を受けていました。
カートは、ミュージカル『Wicked』の歌が地区大会の候補曲になったのを知り、「僕のほうがソロをうまく歌える」とレイチェルに挑戦状をつきつけます。父親は「なぜ女性でなければならないのか、差別じゃないのか」と学校に乗り込みます。結果、部内でオーディションが行われることになります。勝負はイーブンでしたが、カートは、最後の最後に高音を外し、負けてしまいます。「わざと負けたんだ」とカートは父親に言います。「僕は5歳の頃にゲイだと自覚し、強くなった。でも、父さんが匿名の電話に傷ついたりするのを見てられない。僕が人前で歌えば、きっと父さんはもっといやがらせを受けるよ」。父親は「母さんそっくりだな…。カート、タイヤ交換を手伝ってくれ」。カートは「着替えて来る。この服、アレクサンダー・マックイーンなんだ」
一方、鬼コーチのスーは、チアリーディング部にダウン症の女生徒を入部させます。シュースターは「絶対、何か裏がある」と訝しみます。スーはダウン症の女生徒を「他の生徒と同じように」特訓し、それはシュースターから「いじめ」だと言われますが、彼女は笑顔でした。なぜスーがそんなに彼女の面倒を見るのか…その理由は、あまりにも意外なことでした…
FOXの『Glee』は現在、第14話の公開待ちで、これまでのエピソードを連続放送している最中です。30日の日曜日には「イッキ見サンデー」と題して第7話~第13話をまとめてお送りします。FOXを視聴できる方はぜひ、エアチェックしてみてください。
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『Glee』イッキ見サンデー
5月30日(日)14:00〜19:30 第7話~第13話を放送
INDEX
- トランス女性の生きづらさを描いているにもかかわらず、幸せで優しい気持ちになれる素晴らしいドキュメンタリー映画『ウィル&ハーパー』
- 「すべての愛は気色悪い」下ネタ満載の抱腹絶倒ゲイ映画『ディックス!! ザ・ミュージカル』
- 『ボーイフレンド』のダイ(中井大)さんが出演した『日本一の最低男 ※私の家族はニセモノだった』第2話
- 安堂ホセさんの芥川賞受賞作品『DTOPIA』
- これまでにないクオリティの王道ゲイドラマ『あのときの僕らはまだ。』
- まるでゲイカップルのようだと評判と感動を呼んでいる映画『ロボット・ドリームズ』
- 多様な人たちが助け合って暮らす団地を描き、世の中捨てたもんじゃないと思えるほのぼのドラマ『団地のふたり』
- 夜の街に生きる女性たちへの讃歌であり、しっかりクィア映画でもある短編映画『Colors Under the Streetlights』
- シンディ・ローパーがなぜあんなに熱心にゲイを支援してきたかということがよくわかる胸熱ドキュメンタリー映画『シンディ・ローパー:レット・ザ・カナリア・シング』
- 映画上映会レポート:【赤色で思い出す…】Day With(out) Art 2024
- 心からの感謝を込めて――【スピンオフ】シンバシコイ物語 –少しだけその先へ−
- 劇団フライングステージ第50回公演『贋作・十二夜』@座・高円寺
- トランス男性を主演に迎え、当事者の日常や親子関係をリアルに描いた画期的な映画『息子と呼ぶ日まで』
- 最高!に素晴らしい多様性エンターテイメント映画「まつりのあとのあとのまつり『まぜこぜ一座殺人事件』」
- カンヌのクィア・パルムに輝いた名作映画『ジョイランド わたしの願い』
- 依存症の問題の深刻さをひしひしと感じさせる映画『ジョン・ガリアーノ 世界一愚かな天才デザイナー』
- アート展レポート:ジルとジョナ
- 一人のゲイの「虎語り」――性的マイノリティの視点から振り返る『虎に翼』
- アート展レポート:西瓜姉妹@六本木アートナイト
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