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レポート:NLGR+2012(1)

6月2日(土)~3日(日)、今年も名古屋でNLGR+が開催され、昨年よりもたくさんの人たちが参加して盛り上がりを見せました。今回は同性結婚式に企業の支援が入った点が素晴らしく、ますます充実したイベントとなりました。レポートを前後編に分けてお送りします。

レポート:NLGR+2012(1)

6月2日(土)~3日(日)、今年も名古屋でNLGR+が開催され、昨年よりも多い約3500人もの方たちが参加して盛り上がりを見せました。HIV検査を受けた方の人数も昨年を上回ったそうです。2日間にわたるお祭りウィーケンドの間、名古屋のコミュニティの方たちのあたたかさにふれることができ、たくさんの笑いや感動をいただいたのはもちろんですが、特に今回は、同性結婚式に企業の支援が入った点が新しく、ますます充実したイベントとなった気がしました。そんなNLGR+2012のレポートを前後編に分けてお送りします。(後藤純一)


ステージイベント 1日目



 15時前、会場の池田公園に到着すると、色とりどりのブースも並び、名古屋のドラァグクイーンやGOGO BOYSが大挙出演する「区立女装高校」目当ての方たちでしょうか? 初めて見るようなイケメンが多数、集まっていました。
 15時過ぎ、柏本さん&いまえさんのMCでNLGR+が元気よくスタート!しました。
 オープニングの「出し物」は「区立女装高校」。名古屋が誇るドラァグクイーンやGOGO BOYが大勢出演!ということで、ベンチ席の前にもお客さんが詰めかけ(アリーナ?)、楽しみました。宝塚ばりの華やかなショーに続き、MCのカナコさんが「今年は前半が文化祭、後半が体育祭という趣向です」とアナウンス。前半は女装でサックスを演奏したり、生歌を披露したり、書(といっても書かれた言葉が「ワイルドだろう〜」とか。あとゴルゴ13の顔とか)を展示しつつ、合間にHIV検査などについてのクイズが行われました。後半はGOGO BOYSのエロい準備体操に続き、ヅラ盛り競争、ダンス・リレー対決などが行われ、会場は大いに盛り上がりました。

 続いて登場したのは、二丁目で活躍するハロプロ公認の5人組ゲイアイドルユニット「二丁ハロ」。みんな大好き・モー娘。のヒット曲メドレーをはじめ、3パターンの衣装替えでオーディエンスを魅了。ダンスも衣装もさすがのクオリティ。しゃべりもこなれていて、いろんな意味で「プロ」を感じさせるパフォーマンスでした。子どもたちも面白そうに見ているのが印象的でした。
 
 続いてはライブの時間。まずは大阪のガチムチ野郎系バンド、Fall For Guys。正統派のハードロックで聴かせました。前の席で観ているお客さんもそういう体型の方が多く、初期のNLGRを彷彿とさせるものがありました。続いては『週刊女性』に地方のカリスマタレントとして紹介されたこともあるという柏本圭二郎さん。今回も派手な演出で、ピンクレディーなどゲイ好みな選曲で盛り上げ、楽しませてくれました。助っ人で登場した大阪のバーのマスターや名古屋のクイーンの方たちなども素敵でした。

 日も暮れかけてきた頃、HIV陽性者支援団体「LIFE東海」代表のシンヤさんとピンク・フラミンゴのKENちゃんのトークが行われました。東海地区のHIV感染の現状などを、シリアスすぎないようなトーンでお話してくれました。HIV陽性者の手記の朗読も行われ、聴いていた方たちは陽性者への共感を深めると同時に、HIVのことを身近でリアルに感じることができたのでは?と思いました。

 それから、今回初登場だと思うのですが、「女子大ハロプロ部 DXハンター」というグループが、ダンスを披露しました。ノンケさんと女装(ゲイ?)の方の混合チームで、とにかくすごくダンスが上手い! ステージ前は一気に人だかりができ、みなさん見入っていました。

 そして、1日目のトリを飾ったのはNSM(Nagoya Sexual Minority)48。若いセクシュアルマイノリティ女性やFTMの方たちによるグループですが、AKBやSKE(名古屋だけに)の10曲近いレパートリーを、本当に感心するくらい見事に踊っていました。それだけでも拍手モノだったのですが、1人、今回で卒業する方がいるということで、リーダーの方が「ケンカになったとき間に入ってくれたよね。しっかり者の○○ちゃん、本当にありがとう」と、感謝の気持ちを綴った手紙を読んだりして(うっかり泣きそうに…)、青春!!って感じでした。


ステージイベント 2日目

 2日目のNLGR+はブラスバンド「Wing」の演奏でさわやかに幕を開けました。今回も合唱サークルの方たちや手話サークル「手話人」のみなさんがコラボし、感動的な演奏になりました。

 10月に名古屋初のパレードを開催する団体「PROUD LIFE」は、団体のアライ(支援者)でもある弁護士さんを招き、「アイカタ(同性のパートナー)にもしものことがあったときのために、どんな手だてがあるか?」といったテーマでトークを行いました。

 続いて、すっかり恒例となった感のある虹組ファイツのライブ。今回は全員スウェットをはいて登場し、よりSEXYにアピール。ハロプロじゃないけど、卒業した方もいれば新人さんもいて、ソロデビューもあったりしつつ、オリジナルの(ゲイの間で人気ないろんなアイドルの曲を思い起こさせる)ゲイゲイしい曲を次々に披露。熱心なファンの方も来てましたし、すっかりゲイアイドルらしくなったなあと感じました(そのうち総選挙も!?)。あっという間の1時間でした。

 こちらもすっかり恒例となっている「僕らのゲイライフプロジェクト」。今回はゲイの老後について語り合うというものでした。ステージ前で聞いてるわけではなくても、公園で友達と立ち話してる人が「孤独死とか、響くわ~アタシもパートナーがほしい!」とかしゃべってたりしてました。





 16時半、いよいよNLGR+のメインイベント、VALENTY Weddingプロデュースによる同性結婚式がスタートしました。これまではステージ前に白いさらしでバージンロードが作られていましたが、今回はレッドカーペットを思わせる真っ赤な布が敷かれました。白と青の立派なタキシードを着たゲイカップルが、真っ赤なバージンロードを歩きだすと、公園を埋め尽くすほどの大勢の人たちが、大きな拍手を贈ります。お二人がステージに上がると、ミニスターと呼ばれる女性の方が、教会式でも神前式でもない「人間愛結婚式」を執り行いました(これまでは牧師さんでしたが、今回は宗教色がない、欧米で言うマリッジ・コミッショナーのような方が式を挙げたのでした)。いわゆる「誓います」ではなく、お互いがパートナーに対して自分で書いた手紙を読むというスタイルで、すごくいいなあと思いました。白いタキシードを着たせいいちさん(昨年は虹組ファイツで踊ってた方)は、パートナーのともゆきさんに「10のお願い」と題した手紙を読みました。「僕がご飯を作ったときは美味しいって言って食べてね」とか「こんな僕だけどずっと一緒にいてね」といったシンプルな文面なのですが、まるで自分のことのようにシンクロしたのでしょうか、泣けてきて仕方がありませんでした。
 二組目は、PROUD LIFE代表の安間優希さんと梓さんのカップル。最初にスクリーンで二人の「なれそめ映像」が流れました。優希さんはMTFトランスジェンダーの方で、梓さんとはおたがいに一目惚れだったそう(素敵!)。まだ戸籍上の性別を変えていないので、二人は(見た目は女性どうしのカップルですが)先日、籍を入れたんだそうです。そういうお二人が、バージンロードに花びらをまくブライズメイドに導かれ、10mくらい裾を引きずるような、本当にきれいなウェディングドレス姿で登場し、喝采を浴びていました。たぶんNLGR+史上最も美しいシーンだったのではないでしょうか。梓さんは「いろんな人の話を優しく聞いてあげているあなたが好きです。私が相手でもいいのかな?と一人で抱え込んでいた時『梓がいてくれるから私はがんばれる』って言ってくれたね。ありがとう」といった手紙を読み、「尊敬」という花言葉をもつ白い薔薇を優希さんに手渡しました。
 手紙の朗読が終わると、ミニスターの女性が、祝福の言葉をプレゼントしてくれたのですが、それがまた、とてもよかったです。「今から二人は一体です。歓びを手から手へ、悲しみを胸から胸へ、一つの夢を分かち合って、生あるかぎり、真心をもって、助け合って生きていくのです」「この世で二人が出会い、結ばれたことを、天に、ご両親に、友人に感謝しつつ、さらなる高みへとのぼっていきましょう」「私は今までたくさんの式に立ち会ってきましたが、こんなに素晴らしい式はありませんでした」「法律的には認められないけど、本当に素晴らしいカップルです。みなさん、心から祝福を。大きな拍手をお願いします」
 
 結婚式が感動のうちに終わり(目を潤ませていた方、多数)、式を挙げたカップルたちを囲んで、フィナーレのバルーンリリースが行われました。共同代表を務めた3人の方たちの挨拶の後、MCのカナコさんのカウントダウンのかけ声に合わせ、600個のレインボーカラーの風船が一斉に放たれ、真っ青な空へと高く、高く上がっていきました。バルーンリリースが終わると、それまで我慢していたのでしょう、せいいちさんが感極まって泣き出してしまい…その姿が忘れられません。

 こうして、2日間にわたって行われたNLGR+2012は、今回も本当に楽しく、意義あるものとして、参加者の方たちの胸に刻まれました。人々は三々五々、帰って行きました。そして、スタッフの方たちは、夕暮れのなか、テントをたたんだり、後片付けにいそしんでいました。
 この素晴らしいイベントに携わったキャスト・スタッフのみなさんに、心から感謝申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。

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