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レポート:東京レインボーウィーク2014

「2014年、東京のゴールデンウィークを、レインボーウィークに!!」を合い言葉に展開された東京レインボーウィーク2014。全部でで50以上ものイベントが開催されましたが、その中からいくつかをレポートいたします。

レポート:東京レインボーウィーク2014

「2014年、東京のゴールデンウィークを、レインボーウィークに!!」を合い言葉に、4月27日(日)の東京レインボープライドをはじめとして、50以上ものLGBTイベントが開催された東京レインボーウィーク2014。Shangri-Laなど連日のようにゲイナイトが開催されていたこともあり、とてもすべてを回ることはできなかったのですが、参加することができたいくつかの催しをレポートいたします。(後藤純一)


ひときわ輝きを放っていたGAP原宿店
 

 こちらの「東洋経済」の記事でもフィーチャーされていましたが、今年の東京レインボーウィークでひときわ輝きを放っていた、シンボルとも言うべき存在感を示したのが、GAPです。原宿駅前にあるGAP原宿フラッグシップ店は、4月22日から5月12日まで、ファサードロゴ(店頭の巨大看板)を6色のレインボーカラーでデザインされた「世界でたった一つの」特別なロゴ仕様に変え、店内に入ってすぐの吹き抜けエントランス部分には巨大なレインボーのナイアガラインスタレーションが施され、特設のブースでパンフを配布し、といった素敵な展開を見せてくれました。

 Webサイト上では「1969年、サンフランシスコでブランドが誕生してからずっと、Gapはカスタマー、そしてエンプロイーの個性と多様性を尊重してきました。カスタマーに対しても、エンプロイーに対しても、公正さ、尊厳、そして敬意を持って接することは、ブランドのコアバリューのひとつです。2014年、Gapは『セクシュアル・マイノリティ(性的少数者、LGBT)の人たちが、より自分らしく、前向きに暮らしていくことのできる社会を、みんなで応援し、サポートとしよう』という東京レインボーウィーク2014の趣旨に賛同し、応援します」と宣言されました。同じ文言が、店頭で配布されたパンフレットにも書かれていました。

 そういうパンフを、原宿にお買い物に来た一般の方たちが持ち帰り、また、パレード帰りの方なども大勢お店に立ち寄って買い物したり、レジで「素敵な試みをしてくれてありがとう」と伝えたら、「こちらこそお越しくださってありがとうございます」と返してくれたり、そういう声がTwitter上にあふれたり、本当に大きな反響がありました。

 今回、このレインボーな企画を実現するために、原宿店の100名ほどのスタッフの方のほとんど(約9割)がストレートの方だったため、セクシュアルマイノリティに関する基礎知識から、参加する意義、当事者カスタマーへの対応まで修得できるような特別なトレーニングが行われたそうです。

 こうした動きは、突発的に起こったものではなく、社内にゲイの方がいて、会社に働きかけを行い(運よく、そういう取組みに適した部署にいたそうです)、もともとGAPが本国ではゲイフレンドリーだった(アメリカのLGBT団体が作成している「企業平等度指数」において連続で100点満点を取得している)ことも幸いして、今回のキャンペーンが実現したそうです。

 この原宿店のレインボーキャンペーンによって、お客さんの入りが一気に増えたそうで、お店の方たちもにわかにセクシュアルマイノリティのお客さんを意識するようになったそうです。彼は「全国に5000人のスタッフがいる。今後もこういうことを広げていきたい」と語っていました。

 たぶん、彼のような人は、あまり知られていないだけで、これまでにもたくさんいたんだと思います。表には出ないけど、勇気をもって社内で働きかけを行い、時代を一歩前に進め、世界を少しだけ善い方向に動かした人たち。そんなタイガーマスクみたいな(?)無名のヒーローたちに、あらためて拍手を贈りたい気持ちです。
 

中野駅前でイベント&写真展開催!

 5月1日(木)、19時半から中野駅前(サンプラザ前)広場で開催された「トーク オブ レインボーウィーク in 中野」。もともとUstreamやYouTubeで配信されている「ゲイズトーク」のスペシャル版として企画された公開トークイベントです。中野区が後援について、ブルボンヌさん、エスムラルダさん、小原たかきさん(AiSOTOPE LOUNGEマネージャー)、荒木順子=ジャンジさん(akta)に加え、現職の田中大輔区長もパネラーとして参加してくれました。
 公の場でのイベントとはいえ、笑いがふんだんに盛り込まれたトーク展開となり、中野区長は「なんだか二丁目にいるようで楽しいです」と、意外とくだけた受け答えをしてくれて、好感度を上げていました。
 後半、ジャンジさんがHIVやSAFER SEXのことについて語ったあと、今日のお題「同棲はした方がいいか?」に突入。約15名ほどの投稿を読み上げ、コメントしつつ(エスムラルダさんに彼氏ができたとか、ブルボンヌさんが部屋を借りる際に初めは「男どうしだと部屋を汚される」と言われて断られたとか、さまざまなエピソードを投入しつつ)、最終的に約44%の方が「同棲した方がいい」と思っているという結果に。
 広場ではお酒のブースやお好み焼きの屋台も出て(地元の方がご厚意で出してくださったそうです)、お客さんもほろ酔いでトークを楽しんでいました。新井薬師のバー「ZATTA」のお客さんが多数ご来場していたのをはじめ、GGに通っているガチムチ系の方や、ワンちゃんをつれたゲイの方、レズビアンカップル、トランスジェンダーの方、通りすがりのストレートの方など、本当にいろんな方が楽しんでいました。
 同日、中野駅の高架下では、「Love is Colorful ~それは人の数ほどさまざまに~」という写真展も開催されていて、女性どうしのカップルの結婚式の写真がバーンと展示されていました。(そのお二人もイベントでコメントしていました。昨年、都庁で式を挙げたそうです。おめでとうございます!)
 それから、同じくイベントでコメントしていた方として、保護動物(飼育放棄や虐待などによって捨てられたり、殺処分の対象となった犬猫)との暮らしをサポートする「×××スクウ」の方もいらっしゃいました。イベントには、×××スクウを通じてワンちゃんを飼いはじめたというゲイの方もいらしていました。
 ゲイがたくさん住んでいる(ベッドタウンである)中野で、このような催しが行われ、いっそう「ゲイが暮らしやすい街」を印象づけたことは、とても意義があると思います。しかも、中野区が後援についてくれたというのが画期的!(ゲイの中野区議、石坂わたるさんの功績です)

 イベントの翌々日、石坂さんにお会いしたので少しお話を聞いてみました。3月半ばに企画が持ち上がってから中野区に後援を取り付け、公園の使用許可を取り付け、ということで、大変だったそうです(後援が決まったのが直前とか)。しかし、そのような短期間で事が運んだのは、日頃、石坂さんが周囲と信頼関係を築いていたおかげだという気がします。石坂さんが配布していた「たつのこ新聞LGBT版」を見ると、けっこう地道に区議会でLGBTに関する質問をしてきたことがわかります。区議になってからの3年間、区議会や区長さんにLGBTの抱える問題などを伝え、意識を変えてきたのです。
 イベントの後、石坂さんが区長さんに「どうでした?」と聞いてみたところ、「きっと今回イベントに来れなかったような人もたくさんいるだろうからね…(そういう人たちに向けてどう動いていくかだね)」というようなことをおっしゃってくださったそうです。多くの方は、まずLGBTが見えていないし、見えても目の前にいる人だけで判断しがちで、来ることができなかった方へ思いをめぐらすというのは、なかなかできないことだと思います。素晴らしい方だと思いました。

 
「LGBT職場環境アンケート報告会 ~データを職場環境改善のチカラに~」

 5月3日(土)午後、表参道の東京ウィメンズプラザ視聴覚室で開催された「LGBT職場環境アンケート報告会 ~データを職場環境改善のチカラに~」。昨年来、NPO法人虹色ダイバーシティがインターネット上で「LGBTに関する職場環境アンケート」を実施してきました(g-lad xxも協力させていただきました)。このアンケート結果を集計・分析し、コミュニティに還元する、今後の活動の一助として活用してもらうというのが、この会の趣旨です。
 昨年と同様、100人規模の会場がほぼ満員という盛況さで、この問題への関心の高さを窺わせました。セクシュアルマイノリティの方だけではなく、企業の方、団体の方、議員の方など、いろんな方がいらしていたようです。
 アンケートの回答者も、今年は調査対象をLGBT当事者だけでなく「日本の職場で働いた経験のある方」に拡大したこともあり、昨年の1100人超から1800人超に増えました。
 前半は、アンケート結果の報告。今回は国際基督教大学ジェンダー研究センターhttp://web.icu.ac.jp/cgs/a-cgs/の方が分析のお手伝いをしてくれて、いろんな角度から見れるようになっていました。内容で印象に残ったのは、「差別的な職場は、当事者だけじゃなくストレート(シスジェンダー)の方にとっても、やる気がそがれる、居心地の悪い、そこにいたくなくなるような職場だ」という結果が出てきたことです。
 後半は、トランスジェンダーの方とレズビアンの方が職場について語り、質疑応答が行われました。トランスジェンダーの方の就業について、これまであまりお話を聴いたことがなかったので、目からウロコでした(就職活動のために大学1年からSRSの準備を始めなきゃ、と思っている方も多いそうです。学内だけじゃなく企業内でもトランスできるような体制づくりが望まれるところです)
 それから、質疑応答のあと、自身の体験を語る時間が設けられ、日本の中小企業でもトップが理解ある人だと一気に変わることもあるんですよ、とか、いろんなお話が出てきました。
 2時間があっという間で(時間が足りないくらいに感じました)、熱気を帯びた、たいへん有意義なイベントでした。
 これまで数多くの企業や官公庁に出かけていってLGBT講習会を行い、支援者(アライ)を増やすことに成功してきた(その成功例の最たるものが淀川区でしょう)NPO法人虹色ダイバーシティ。このアンケート調査、分析、報告会の開催という活動も、ギリギリの予算の中で行っており、来年開催できるかどうか…という状況だそうです。応援したい!という方、ぜひこちらをご覧ください。


「Living Togetherのど自慢」


東京レインボープライド代表
山縣真矢さん

九州男のまっちゃん(左)と
司会のジャンジさん(右)
 5月6日(火祝)夕方、二丁目のバー「九州男」で、東京レインボーウィークをしめくくるイベント「Living Togetherのど自慢」が開催されました。「九州男」は二丁目随一の広いお店ですが、この日はわりといっぱいになっていて、司会のジャンジさんがいつものスタイルで登場すると、大きな拍手が起こりました。
「Living Togetherのど自慢」は、出演者の方が、HIV陽性者の書いた手記を朗読したあとその手記についてコメントし、そしてカラオケで1曲歌う、そしてコメンテーターの方がそのパフォーマンスについてコメントする(ほめたたえる)という構成になっています。
 最初に登場した方は、陽性者として、1997年に感染がわかって以降の自身の体験を語り(親身になって相談に乗ってくれた先生がいて、救われた、と感謝を述べたり)、「やさしくなりたい」を歌いました。次に登場した方はどこにでもいそうな主婦の方で、「後ろでわーって騒ぐことしかできませんが」と前置きしてAKBを熱唱(笑)。それから、二丁目の「Pazoo」というゲイバーの方たち(ハチ&タクミさん)が登場。マスターと思しき方がリーディングのあと、かなりお上手な歌を披露してくれました(のですが、もう一人の方は何もせずに座って見守っているだけでした)。ある意味、次にどんな展開になるか予想もつかない、そういう面白さもあり、また、お客さんも懐の深い方ばかりで、心から楽しんでいる様子で、あたたかい拍手を贈っていました。
 少しの休憩時間のあと、後半がスタート。MtFトランスジェンダーの畑野とまとさんが登場。アメリカで、トランスした女性のHIV陽性率がシスジェンダー女性の49倍に上るというデータが発表されたこと、MtFトランスジェンダーは就職が難しく、セックスワーカーになる人が多いという実態がある、というお話をされ、ギターの弾き語りを披露しました。最後、トリをつとめたのは、東京レインボープライド代表の山縣真矢さん。パートナーの方をエイズで亡くした経験についての手記を読んだあと、「誰もがいつか亡くなります。命はリレーです。私たち遺された者は、生かされているんだと思います」とか「死は平等です。しかし、死の扱われ方はそうではありません。生前から差別されている人もいます」といったお話をして、(「泣きなさい 笑いなさい」の)「花」を歌ってくれました。ただただ、素晴らしかったです(正直、涙腺が決壊しました)
 最後に、ジャンジさんと「九州男」の初代マスター・まっちゃんが登場し、「今年は冷夏かもね、そういえばジュディオングが麗華って歌ってたね」といった軽快な漫談を繰り広げ、復興支援ソング「花は咲く」をデュエット。コメンテーターの方や客席にもマイクを回し、会場がひとつになっていました。 
 とある来場者(HIVではないけども、命にかかわる難病を抱えた方)は、「初めて来てみたけど、とても癒されました。自分も大きな病気をしているけど、励まされたし、元気が出ました。本当に来てよかったです」と笑顔で語っていました。

 HIV陽性者の書いた手記を代読するというかたちで陽性者に寄り添いながらHIVを身近でリアルなものに感じようと呼びかける「Living Together」のイベントは、約10年前にこの「九州男」で始まりました(「九州男」のまっちゃんは、aktaができる以前の90年代からMASH東京の「STD勉強会」に会場を提供するなど、多大な貢献をしてくださっていました)。2004年から「advocates tokyo」(のちに「ArcH」)で「Living Together Lounge」が定例化し、また、aktaのジャンジさんの発案でこの「Living Togetherのど自慢」もスタート。本当にたくさんの方たち(二丁目でふつうに飲んでるゲイの方など)がたくさんステージに上がり、歌ったり、語ったり、素敵なパフォーマンスを見せてくれました。

 それから、g-lad xxでも昨年、「コミュニティセンター「akta」が無くなる!?」という記事をお届けしましたが、いよいよ厚労省の予算の削減によって全国のコミュニティセンターの存続が危ぶまれているそうです。aktaにも存続を求める署名の用紙が置かれていて、パレードの時にも多くの署名が集まったそうです(時機を見て、Webでの展開も考えているそうです)。ぜひ、署名にご協力ください。


東京レインボーウィーク2014を振り返って

 残念ながら参加できなかったのですが、東京レインボープライドの前夜である4月26日(土)、渋谷「VISION」で東京レインボーウィークの公式オープニングパーティ「PINK DOT JUNGLE」が開催されました。あのデヴィッド・モラレスやDJ Gomiらが降臨し、東京椿油が華麗なショーを繰り広げ、サプライズでMISIAさんが登場してライブを披露、1000人以上ものオーディエンスが熱狂!という、本当に素敵な一夜となったそうです。

 東京レインボープライドも、すでにお伝えしたように大成功を収めました(さまざまな奇跡が起こり、感動が生まれました)
 同日夜に開催された公式アフターパーティも、バビ江ノビッチさん、エスムラルダさん、メイリー・ムーさん、エンジェルジャスコさん、チッコーネさん、松坂牛子さん、円奴さん、CHIHARUさん、PINKOさん、奥ヒダヴァギナさん、ピンクレゲイー(奇跡の復活!)、虹組ファイツ、MAGA、Party Animal$、ハプニング娘。や今をときめくGOGO BOYSのみなさん、コレステロールタクヤさんほか、ゲイシーンで活躍するたくさんのパフォーマーが出演し、夢の共演といった趣になっていました。そして、サプライズで楽しんごさんが登場し、トークだけでなく1曲歌ったりというサービスっぷりで盛り上げてくれました。

 本当は「東京国際レズビアン&ゲイ映画祭 春の名作劇場」や「LGBTと老後」、「HIV/エイズとともに歩んだ20年と、これからのこと。」など、行きたい催しはたくさんあったのですが、パレード&アフターの疲れがたたってダウンし、断念…。体がいくつもあればいいのに…と思いました。中盤〜後半は頑張って3つのイベントに参加でき、いちおうレポートを書けるくらいになったので、よかったです。来年はもっとたくさん行けたらいいな…(個人的なつぶやきになってますね。すみません)
 
 東京レインボーウィーク全体としてどれだけの人たちがイベントに参加したのかわかりませんが(東京レインボープライドだけで15,000人ですから、のべで20,000人とか?)、かつてない規模でたくさんの方が運営にかかわったり参加したり、というものになったことは間違いなさそうです。

 あらためて振り返ってみると、東京レインボーウィークでは、「LGBTがもっと前向きに生きられるように」という思いを同じくするたくさんの方たちが、いま自分にできることを持ち寄り、実に多様で豊かなムーブメントを生み出していました。そうした催しのひとつひとつは、オープニングパーティほど大規模ではない、手作り感あふれるものだったかったかもしれませんが(だからこそ素晴らしい、と感じる方も多かったのでは?)、総体としてメディアにもたくさん取り上げられ、確実に前進につながったと思います。

 セクシュアリティやジェンダーアイデンティティや年齢や国籍を問わず、誰もが参加できる(その気になればイベントも主催できる)ゆるやかなネットワークとして、今後もぜひ、続いていってほしいなと思いました。

 本当におつかれさまでした&ありがとうございました、と主催者の方たちに申し上げたいと思います。
 今年あまり参加できなかったという方も、来年はぜひ、興味のあるところから参加してみてください。