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米軍の同性愛者排除政策が撤廃され、歴史が動きました

 12月18日、米連邦議会上院は、事実上同性愛者の米軍勤務を禁じる「Don't Ask, Don't Tell」政策の撤廃に関する法案を賛成多数で可決しました(民主党を中心に65議員が賛成、共和党の31議員が反対)。オバマ大統領の署名で撤廃が成立し、米軍での同性愛者差別に幕が下ろされます。長年の悲願が達成され、歴史が動いたのです。

 米軍は同性愛者の入隊を禁じてきましたが、クリントン政権当時の1993年、同性愛者かどうかを周囲が尋ねず、本人も公言しなければ容認する「黙認政策」としての同法が導入されました。が、同性愛者であることが発覚した時点で除隊処分になる状況は変わらず、「差別的」だとの批判が高まっていました。
 この政策によって1993年以降、約14,000人が除隊処分を受け、今も6万人以上が処分を恐れているという推計もあります。

 あらゆる差別に反対する立場からこの法律の撤廃を公約していたオバマ政権は、紆余曲折を経て、発足から2年をかけて実現にこぎ着けました。
 オバマ大統領は同日、「米国の国家安全保障をむしばむ政策を終わらせるための歴史的な一歩」「愛国的な米国人が、数年間にわたる模範的な任務にもかかわらず、同性愛を理由に除隊させられるなどということもなくなる」という声明を発表しました。

 今後は、国防総省が関連規則の変更に関する計画を策定しますが、同省は新規則の周知徹底や教育にかなりの時間を要するとの姿勢を示しており、実際の実施時期がいつになるかは、まだ不透明です。

 同性愛者の入隊をめぐっては、米海兵隊幹部らがアフガニスタンに展開する部隊の士気に影響するなどとして、現状維持を求めてきました。このため、国防総省は、兵士や家族を対象とする調査を実施し、現役兵士の7割が「撤廃に問題はない」との回答を得ました。また、今年9月、カリフォルニア州の連邦地裁が同政策を「違憲」とする判決を出し、10月には国防総省に「Don't Ask, Don't Tell」政策の撤廃を命じました。が、ゲイツ国防長官は、部隊の士気や規律に影響が出ないよう、司法判断による早急な解禁ではなく、議会での審議を経て慎重に進めることを求めており、オバマ大統領も同意しました。しかし、連邦上院での審議がなかなか進まず、中間選挙で共和党優勢の結果になったため、今回の採決を逃すと当面撤廃は見送られるものと見られ、オバマ大統領は年内の議会での採択を急いでいました。その結果、見事に、歴史的な勝利を得たのです。
 
 MTVアワードに除隊させられた同性愛者の兵士を連れて登場し同政策の撤廃を本気で訴えていたレディ・ガガは、「ゲイプライドに涙をこらえきれないわ。やったのよ! 今日、私たちの声が聞き入れられた。17年経ってやっと平等が勝利した」「今日ほどアメリカ人であることを誇りに思えたことはないわ。帰国してみんなとお祝いに参加したい。私たちは完全な平等の達成の途上にいる」とFacebookやTwitter上でコメントしています。
 他にもエレン・デジェネレスが「完全な平等の達成に一歩近づけてくれた上院議員たちに感謝!」と、P!NKが「おめでとう!17年もの人権蹂躙が撤廃された。希望が持てる」と、ニール・パトリック・ハリスが「正しい決断をしてくれた議会を誇りに思う。これですべての兵士たちが1つになれる。偉大な日だ」と、リッキー・マーティンが「歴史的! 平等達成への一歩!」とコメントしています。

 軍隊内部での根強い反対もありながら、長年の同性愛者人権擁護団体(ゲイコミュニティ)の運動が実り、オバマ大統領をはじめ多くの政治家たちが動き、こうした著名人らの応援も得て、世論も動き、歴史に新たな1ページが刻まれました(おそらくアメリカの教科書にも載るのでは?)。あきらめずに活動していけば社会は変わるという希望が持てるような、本当に晴れやかな気持ちになれるニュースでした。(後藤純一)


米軍、同性愛者差別に幕 勤務制限撤廃の法案を議会可決(朝日新聞)
http://www.asahi.com/international/update/1219/TKY201012190162.html

米国:同性愛者も軍入隊可能に 「黙認政策」廃止(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/today/news/20101220k0000m030053000c.html

Lady Gaga, Ellen DeGeneres Cheer for "Don't Ask, Don't Tell" Repeal Via Twitter(E!ONLINE)
http://www.eonline.com/uberblog/b217097_lady_gaga_ellen_degeneres_cheer_dont.html

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