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舞台『AKA-TONBO!』に出演するゲイの役者さんにインタビュー

10月18日から新宿一丁目シアターブラッツで上演される『AKA-TONBO!』に出演するゲイの役者さんお二人にお話をお聞きしました。外能久さんはこのお芝居のそもそもの発案者でもあります。ゲイとしてゲイの芝居をやる意気込み、思いを聞いてみました。

舞台『AKA-TONBO!』に出演するゲイの役者さんにインタビュー

10月18日から新宿一丁目シアターブラッツで上演される『AKA-TONBO!』に出演するゲイの役者さんお二人にお話をお聞きしました。外能久(がいよしひさ)さんはこのお芝居のそもそもの発案者でもあります。ゲイとしてゲイの芝居をやる(しかも商業演劇として)ということ、その意気込み、思いについてお話をお聞きしてみました。(聞き手:後藤純一)


AKA-TONBO!
日程:10月18日(火)〜23日(日)
会場:シアターブラッツ
チケット:4800円(全席自由)
脚本・演出:小野真一
出演:馬場良馬、NAOKI、外能久、
加藤真、青木十三雄、高山のえみ、
Takeshi(Marmoset)
——お二人ともプロの役者さんとして活躍されてきた方たちなんですよね。簡単に俳優としてのプロフィールをお聞かせ願えますか?

外能久さん(以下「外」):僕は青年座の養成所を出て、劇団朋友っていう長山藍子がいる大きな劇団に所属したんですね。そのときはストレートプレイで、重苦しい芝居が多かったんです。特攻に行く兵隊の役とか警察官とか、性格を病んだ家族の兄貴の役だったり。そこをやめて、ラブ・セッションっていう新しく立ち上がったユニットに参加するようになって、そこからは本当にハートフルコメディばっかりやるようになって。そこのユニットが解散して、今度は事務所に入って、マスコミの仕事、TVの仕事、映画の仕事をやるようになりました。

加藤真さん(以下「真」):僕も青年座の養成所にいて、卒業してからニューヨークに行って。ミュージカルが好きで。ブロードウェイとか勉強して。帰ってきて、飲んだくれてたら外さんと出会ってしまい、ラブ・セッションにも出させていただいて。今は小劇場系に出ております。

——ちなみに周りの演劇関係の方は、セクシュアリティのことをご存じなんですか?

外:加藤と僕は、同じ事務所にいたんです。加藤は今はフリーで、僕はまだ残ってるんですけど、セクシュアリティをカミングアウトした状況で役者としてやってます。うちの社長も「本物いますよ」みたいなことで売ってはくれてますね。TVとかでもそういう役が来たりとか。

——へええ。ドラマとかですか?

外:昼ドラですね。テレビ東京でやっていた「サギ師リリ子」とか「ママはニューハーフ」とかに出てました。

——観てました!

外:今回出る高山のえみも本物のニューハーフなんですけど、「ママはニューハーフ」に出演してました。

——そうなんですね~。たぶん、演劇関係の方とかは、理解がある方が多いのでは?

外:知らないことは聞いてきますけど、そのことに深く嫌悪感を持ってる人はいないですね。他人にはあまり興味がないっていうか、やっぱり基本的にみんな自分がいちばん好きなんでね。

真:(爆笑)

——(笑)そんなの気にしてるひまがあったら、いかに目立つかってことを考える。

外:そうなんです。

——では、今回のお芝居が立ち上げられたきっかけ、経緯を教えてください。

外:演出家の小野さんと前回、お芝居をやらせていただいて、すごく感激して。芝居作りとか方法論とか、僕が思い描いていたところに近かった。で、僕がゆくゆくはやりたいと思っていた芝居の演出をお願いできるとしたらこの人しかいないと惚れ込んじゃって。それでこちらからアプローチをした次第です。

真:もとからこういうショーパブの話をしたかったんでしょ? 

外:うん。作家の小野さんもやりたかったということで。じゃあやろうと。

——脚本は小野さんがお書きになっているけれども、そもそもは外さんの発案なんですね。

外:プロットというか、大まかな、ぼやっとした感じの話をしたんですね。そしたら小野さんが詰めてくださって、じゃあこんなことしよう、あんなことしようってどんどん話が急展開して。ショーがあって華やかで、でも人情話で、あまり難しくなく、観ていても遠い話じゃなく、実感できる。暗いままで終わるのではなく。

——『AKA-TONBO!』ってきくと、40代以上くらいの方たちはちあきなおみの『紅とんぼ』を思い出して、お店が閉まるお話っていうイメージを思い描くのかな?と思います。言い方はあれですけど、昭和で場末な物語なのかな?って。

外:僕がちあきさん大好きで、ちあきさんの歌をショータイムで歌ったりもしてたので、「題名何がいい?」っていう話になったときに、「僕はちあきさんの『紅とんぼ』っていう歌が好きなんですよ」って言ったら「じゃあそれで」って決まっちゃった。

——なるほど(笑)

外:で、実際それ歌う…ネタばらしで言うと『紅とんぼ』を歌うシーンがあるという。

——なるほどなるほど。ミュージカルではない?

外:ミュージカルほどではないですが、エンターテインメントな感じです。ショーパブが舞台なので、筋としてからめてもおかしくないように、ダンスシーンがあったり、ちょっと歌のシーンがあったりとか。基本的なストーリーは人間ドラマみたいな感じです。

——人情モノなんですよね。

外:はい。プロデューサーの都築さんっていう方が、二丁目によく来てくださっていて、「初めはドヒャーって面白いなあって思ってたけど、まあ、僕らのこととか含めて、人間的に、すごい通じるものがあって、考えさせられた」って言ってたんですね。ただゲイだから面白いじゃなく、その先の…やっぱゲイの人たちってよく、バカにされないようにいろいろ勉強してたり、努力してたりするので、そういうところに感銘を受けたそうです。観に来るお客さんって、馬場くんのファンの20代の女の子が多いと思うんですけど、うわべのゲイの面白さだけじゃなく、あ、同じ人間なんだ、っていうことをわかってもらえるお芝居にしたいっていうのがプロデューサーの意向だったんです。そこはみんなにわかりやすいように書いてもらってます。まあ、言葉はオネエ言葉だったり、僕らが使う専門用語もペロっと出てきます。

——エンターテインメントで楽しく観れるお芝居だけど、ちょっとホロリとさせられる。

真:「ハートフル・コメディサーカス」です(笑)

——うまいコピーですよね(笑)。今回、SHIOさんが衣裳を担当するって聞いたんですけど、外さんはゲイの役者としてゲイのお芝居をやりたいっていうところで今回の舞台が実現した、そこにかける思いとか、心意気みたいなところを聞かせてください。

外:たとえば、ゲイの役が来ても、ギャーって、世間が思ってるゲイの役なんですよ。ゲイの本質が描かれることはなくて、お客さんがこうあってほしいと思ってる色物扱いとしてのゲイの姿。そういうのしかやったことがなくて。自分のゲイとしての本質で舞台に載ったときに、どこまで演じれるのかなって。演じたらうそになっちゃうんじゃないかな、とか。そういうことにチャレンジしてみたいというのもあった。

——リアルなゲイの姿を。

外:でもそのリアルさが、リアルだけだと、小さい感じなんですよ、たぶん。お芝居として載せるには、お客さまに届ける力を足さなきゃいけないので。リアルによよと泣いても、たぶん、見えないし、聞こえない。そういうことを丸投げして受けとめてくれる演出の方にも出会えたので、これはこの機会に、と思った。裸になってぶつかってみようかなと。だから二丁目の方だけじゃなく、一般の方にもぜひ観てほしい。

——世間一般の方にはこういうふうに観てほしいっていうのと、二丁目のゲイの方にはこういうふうに観てほしいっていうのは、違うと思いますが、どうでしょう?

外:二丁目の方たちには、単純に笑ってほしい。心のひだはわかっていただけると思う。一般の方には、生きるってこういうことよっていうのをフィードバックしていただければ。

——今までにもゲイの芝居ってけっこうたくさんありました。この前シアターサンモールでやった本物のドラァグクイーンが出るお芝居もありましたし、あと、フライングステージっていうゲイの劇団もあります。ご覧になったことあります?

外:あります。笑えるものからシリアスなものまで。どっちかっていうと僕たちは中間ですかね。シリアスなことを、できるだけシリアスじゃなく、笑ってもらいながら、ちょっと意図を混ぜ込んでわかってもらう。ああ楽しかったねっていう。理想は笑い泣きしてもらうことです。

——プロの方が集まってこそ、できる技でしょうね。

外:いちばん難しいところに目標をおいてがんばろうと。

——素敵です。真さん何か、こういうところを観てほしいとか、こういうことやります!っていうことを。

真:こんなデブが女装やります(笑)。小野さんと焼き肉屋に言ったときに、メモばかかりとってて。僕らの会話の中にちょいちょいリアルな話が出るので、そういうのを参考にしようと思ったんだと思う。

——ゲイの世界ってそういう話あるよね、みたいなことがお芝居にたくさん出てくるわけですね。

真:そうそう。親にカミングアウトしたときの話とか。共感できることが多いと思うし、楽しめると思います。

——なるほど。ちなみに女装は初めて?

真:ちょいちょい。お芝居ではやってきました。色物ですけどね(笑)

——ヘアメイクさんとかもついてるんですよね。

外:SHIOさんのところでやってる子が。


「がいずば」
東京都新宿区2-14-10 若尾ビル1-1
03-5379-0757
19:00~2:00(金土のみ5:00まで)
定休日:火水
——そうでしたか! では最後に、今日は外さんのお店をお借りしてインタビューをさせていただいているので、お店のこともちょっとお聞きしたいと思います。やっぱりお芝居が好きな方が多いんですか?

外:役者さんが多いですね。お客さんの半分はノンケさん。

真:業界の方は多いですね。

外:あとはお芝居が好きなゲイの方も多い。土曜日はメンオンリーで、平日はミックスゲイバー。ほとんど僕と彼とでやってます。

——お芝居をご覧になった方もそうでない方も、ぜひ二丁目の「がいずば」に来てみてください。というわけで、今日はどうもありがとうございました!