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特集:2022年1月のLGBTQ映画

新年あけましておめでとうございます! この1月もLGBTQ関連の映画がいろいろ上映されます。年初から良い映画を観て、良い一年にしましょう!

特集:2022年1月のLGBTQ映画

(『モンスーン / Monsoon』より)

新年あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。
2022年の1月もLGBTQ関連の映画がいろいろ上映されます。ご都合がよい時にぜひご覧ください。
ちなみに1月1日は映画サービスデー。都内では、劇場版『きのう何食べた?』も『マトリックス レザレクションズ』『パーフェクト・ノーマル・ファミリー』などがご覧いただけます(先月の特集をご覧ください)
日付順にご紹介していきます。情報が入り次第、随時、追加していきます。
(最終更新日:1月14日)




1月7日~9日上映 東京(北千住)
『伯林漂流』『初戀』『家族コンプリート』『すべすべの秘法』など今泉浩一監督作品


伯林漂流(Berlin Drifters)』をはじめとする今泉浩一監督作品の上映イベントが3日間にわたり東京・北千住のスペース「BUoY(ブイ)」にて開催されます。ベルリン国際映画祭パノラマ部門で上映された『初戀(First Love)』、たいへんエロティックなポルノ作品『家族コンプリート』、たかさきけいいちさんの作品を映画化したかわいらしくてセクシーな作品『すべすべの秘法』など、今泉監督の代表作を観るチャンスです(作品の性質上、なかなか上映されないですし、DVD化もされないので)。『伯林漂流』では自身初となる脚本を手がけた田亀源五郎氏をはじめ多彩なゲストを迎えたアフタートークも予定されています。20年にわたってゲイ映画を作り続けてきた今泉監督の活動を俯瞰できる貴重な機会。お見逃しなく!

新作映画『東京漂流』ファンドレイジング企画
今泉浩一監督作品特集上映会「ポルノとはなにか?」
日程:1月7日(金)~9日(日)
会場:会場:BUoY(ブイ)(東京都足立区千住仲町49-11)
※各回完全入替制で当日券のみ、また料金は作品ごとに異なります
※一日券、全プログラム通し券の販売も予定しています
※一部のプログラムは15歳以上、それ以外は全て18歳以上が入場可能(要ID提示)




1月7日より公開
ユンヒへ

 2019年、釜山国際映画祭のクロージングを飾り(『燃ゆる女の肖像』や『マティアス&マキシム』などが顔を並べるなか)クィアカメリア賞を受賞し、2020年には青龍映画賞で監督賞、脚本賞の2冠に輝いた作品。韓国の地方都市で暮らすシングルマザーのユンヒが、長い間、連絡を絶っていた初恋の女性から1通の手紙を受け取ったことから始まるラブストーリー。岩井俊二監督の『Love Letter』にインスパイアされた作品だそう。東アジアにおける中年女性たちの同性愛と、彼女たちが経験してきた抑圧を真摯に描き出しており、『82年生まれ、キム・ジヨン』や『はちどり』に続く、ジェンダーやフェミニズムをテーマにした傑作、とのこと。

<あらすじ>
母の手紙を盗み見てしてまった高校生の娘セボムは、自分の知らない母の姿をそこに見つけ、手紙の差出人である日本人女性ジュンに会う決心をする。セボムに強引に誘われるかたちで、北海道・小樽へ旅立つユンヒ。それは、二十年前の自分と向き合う、心の旅でもあった――。

ユンヒへ 
原題:Moonlit Winter
2019年/105分/韓国/監督:イム・デヒョン/出演:キム・ヒエ、中村優子ほか
1月7日(金)よりシネマート新宿ほか全国にて公開

 



1月8日より公開
春原さんのうた

 『ひかりの歌』で注目された杉田協士監督の長編第3作。作家・歌人の東直子の第1歌集「春原さんのリコーダー」の表題歌「転居先不明の判を見つめつつ春原さんの吹くリコーダー」を基に、喪失感を抱える女性がささやかな暮らしを続ける姿を映し出した作品。2021年・第32回マルセイユ国際映画祭でグランプリ、観客賞、主演の荒木知佳が俳優賞を受賞。

<あらすじ>
美術館での仕事を辞め、カフェでアルバイトを始めた24歳の沙知。常連客から勧められたアパートの部屋で新しい生活をスタートさせる彼女だったが、その心にはもう会うことの叶わないパートナーの姿が残っていた…。

春原さんのうた
2021年製作/120分/日本/原作:東直子「春原さんのリコーダー」/監督・脚本:杉田協士:出演:荒木知佳、新部聖子ほか
1月8日(土)よりポレポレ東中野ほかにて公開




1月8日配信
愛で家族に〜同性婚への道のり

 レインボーさいたまの会が主催する「にじいろシネマ」で台湾の同性婚を描いたドキュメンタリー『愛で家族に〜同性婚への道のり』の特別上映&トークショーがオンライン開催されます。この映画に出ていた台湾とマカオのゲイカップルが、2021年に国際結婚が認められてニュースになったりもして、お隣の台湾の出来事ではありますが、我が事のように身近に、感動的に感じられます。ぜひこの機会にご覧ください。李琴峰さん&鈴木賢さんのトークショーもあります。

にじいろシネマ 特別上映 & トークショー『愛で家族に〜同性婚への道のり』
日時:2022年1月8日(土)14:00~16:30
オンライン(Zoom)
無料(先着100名様限定)
トークゲスト:李琴峰さん(作家)、鈴木賢さん(明治大学法学部教授)





1月13日から配信
ソン・ランの響き

 『さらば、わが愛/覇王別姫』に通じるようなベトナムの伝統歌舞伎にオマージュを捧げる作品です。惹かれ合う二人には、そうなるだけの必然性があり(物語がしっかりしています)、途中のロマンチックなシーンで登場するエピソードがラストシーンを盛り上げ(脚本が巧みです)、号泣させられます。1カット1カットが絵のように美しく、ベトナムの街の異国情緒も味わえる、大いに感情を揺さぶられる名作です(レビューはこちら)。2月13日までGYAO!で無料配信されますので、未見の方はこの機会にぜひ!

ソン・ランの響き
原題:The Tap Box[Song Lang]
2018年/ベトナム/監督:レオン・レ/出演:リエン・ビン・ファット、アイザック、スアン・ヒエップほか
2月13日までGYAO!で無料配信





1月14日より公開
モンスーン / Monsoon

追憶と、踊りながら』のホン・カウ監督(ゲイの方です)の新作は、30年ぶりに生まれ故郷に戻ったゲイのベトナム系英国人の恋を描いた作品です。英国版で男性2人だったポスターが日本版では1人に削られ、配給会社への批判の声が上がった(炎上した)のですが、それはそれとして、映画自体はすごく良い作品だと思いますので、ぜひご覧ください。

あらすじ
ベトナム系イギリス人のキットは、30年ぶりに生まれ故郷に戻ることに。ベトナム戦争後、家族でボートピープルとしてサイゴン(ホーチミン)を離れたのは8歳の時であった。もはや異国であり、母国語もしゃべることができないキットは、両親の遺灰をまく場所を求めてサイゴンからハノイへと旅に出る。道中では、リーを通して疎遠になっていた親戚と会い、ベトナム戦争で戦った父親をもつアメリカ人のルイスと恋に落ちる。旅を続ける中で、キットは両親の思い出や自身のルーツを紐解いていく。

モンスーン / Monsoon
原題:Monsoon
2019年製作/85分/英国・香港合作/監督:ホン・カウ/出演:ヘンリー・ゴールディング、パーカー・ソーヤーズほか




1月14日より公開
フタリノセカイ

 ぴあフィルムフェスティバル PFFアワード2011において自伝的作品『僕らの未来』が審査員特別賞を受賞し、国内外で高い評価を得たトランス男性の飯塚花笑さんの新作です。トランス男性の主人公とその彼女が、結婚して人生を共に歩みたいと望むも、様々なハードルが…というリアリティを、それぞれの視点で描いた作品。

<あらすじ>
出会った時から互いに惹かれあった、トランスジェンダーの真也とユイ。恋愛し、いずれ結婚して家族をつくり、共に人生を歩んでいきたいという願い。だが、その願いを叶えるには、ひとつひとつクリアしなくてはならない現実があった。時にすれ違い、別々の道を歩むが再び出会ったフタリ。愛を確かめあい、ある決断をする。それはもしかすると常識を越えているのかもしれない。だが、安らぎに満ちたフタリには、確かに感じる未来があった――。

フタリノセカイ 
2021年/83分/PG12/日本/監督・脚本:飯塚花笑、出演:片山友希、坂東龍汰ほか
1月14日(金)新宿シネマカリテほか全国順次ロードショー




1月14日より公開
スティルウォーター

 殺人のかどで服役中の娘を持つアメリカ人の父親が、その無罪を信じてフランス・マルセイユで事件の真相を追うスリラー映画。娘のアリソンはレズビアンで、セクシュアリティゆえに事件がセンセーショナルに報じられ、有罪判決が出ますが、自分は無罪であり、アキムという男が真犯人だと主張します。父親のビルは探偵を雇える経済状況になく、偶然出会ったシングルマザーのヴィルジニーの協力を得て自力でアキムを探すものの、一筋縄ではいきません。ビルは保守的なオクラホマ州の貧しい労働者で逮捕歴もある人物、ヴィルジニーは移民の街・マルセイユに住むリベラルな女性。アラブ系のアキムに対する態度も全く異なります。文化や言語の異なる国で、ビルは果たして真実にたどりつくことができるのか。分断され、理解しあえないような人々が共生していくことは可能なのか。いま世界中で起きているような難しい問題に取り組んだヒューマンな味わいの作品です。監督・脚本は『スポットライト 世紀のスクープ』などのトム・マッカーシー。マット・デイモンが米オクラホマ州の肉体労働者を演じるために肉体改造(増量)し、娘を救うために奔走する父親・ビルの役を熱演しています。

<あらすじ>
米オクラホマ州スティルウォーターに暮らすビルは、娘のアリソンが留学先のフランス・マルセイユで殺人容疑で逮捕されたことを知る。娘の潔白を証明すべく現地へ向かうビルだったが、聞き込みを重ねる彼は地元民に警戒され、何者かに襲われてしまう。それでも諦めないビルは娘を取り戻したい一心で、真犯人を見つけ出そうと奔走する…

スティルウォーター
原題:Stillwater
2021年/アメリカ/139分/監督:トム・マッカーシー/出演:マット・デイモン、カミーユ・コッタン、アビゲイル・ブレスリンほか
2022年1月14日、TOHOシネマズ シャンテ、渋谷シネクイントほか全国公開
(c)2021 Focus Features, LLC.




1月21日より公開
ゲームボーイズ THE MOVIE ~僕らの恋のかたち~

 オンラインゲームを通じて出会う主人公たちの恋を描き、YouTube配信で人気沸騰となったフィリピン発ドラマシリーズ「GAMEBOYS(ゲームボーイズ)」の続編にあたる映画『ゲームボーイズ THE MOVIE ~僕らの恋のかたち~』が公開決定。コロナ禍のロックダウンのことをバックグラウンドとする作品で、ゲイカップルとして共に過ごすことになった2人の主人公を中心に、映画では新たな登場人物を交えながら、より身近で濃密な人間模様が描かれていくそうです。

<あらすじ>
都市封鎖(ロックダウン)という特殊な状況下で出会いながらも、着実にカップルとして愛を育んできたガブとカイロは、ガブの亡くなった祖母の家で過ごすように。そんな2人のもとに突然やってきたのは友人であるテレンスとウェスリー。ガブとカイロが知らない間に親密な関係になっていた彼らは、多少のわだかまりを抱えながらも共にガブの祖母の家に身を置くことになる。奇妙な共同生活を始める4人だったが、そこにガブの親戚のスーザンおばさんがやってくる。保守的な考えをもつ彼女は、カイロとガブの“本当の関係”を知るよしもなく、偏見に満ちた心ない発言を繰り返し、2人の心を深く傷つけてしまう。2人は迷いながらもありのままの自分を受け入れ、その思いは運命を変えることができるのか――。

ゲームボーイズ THE MOVIE ~僕らの恋のかたち~
原題:Gameboys: The Movie
2021年製作/107分/G/フィリピン/監督:イヴァン・アンドリュー・パヤワ/出演:ココイ・デ・サントス、イライジャ・カンラス、アドリアンナ・ソー、カイル・ヴェリーノ、ミギー・ジメネッツ
1月21日(金)よりシネ・リーブル池袋、イオンシネマほかにて公開




1月28日より配信
ジョナサン・ヴァン・ネスのどうして? なぜ? がいっぱい

 『クィア・アイ』美容担当ジョナサン・ヴァン・ネスの新シリーズ『ジョナサン・ヴァン・ネスのどうして? なぜ? がいっぱい』が1月28日からNetflixで配信されます。ジョナサンといえば、依頼人の個性や髪質、そして「変えたいこと/変えたくないこと」を最大限に尊重しながら、まるで別人のように生まれ変わらせる美の達人で、依頼人の悩みには真剣に向き合い、時にはジョナサン自身ももらい泣きしたりもするような、情に厚く、優しい心の持ち主で、何事にも好奇心旺盛なキャラクターとして人気を博しています(ノンバイナリーであること、HIV陽性であることをカミングアウトしています。昨年1月にはめでたく結婚したこともニュースに)。そんなジョナサンが「気になるトピックや疑問について、大胆に、独特に、そしてスマートに追求していく番組」が、この『ジョナサン・ヴァン・ネスのどうして? なぜ? がいっぱい』。「どうしてこの髪はこんなに流行っているの?」「私はお菓子に依存しているの?」「虫って綺麗なの? キモいの?」といったジョナサンのきらめく好奇心が番組を引っ張っていきます。「エピソードごとに、ジョナサンがさまざまな分野の専門家に会い、超高層ビルから小さな虫、さらには性自認からおやつに至るまで、多岐にわたるテーマの複雑さを解き明かします」。JVNファン必見!の番組になりそうです。

ジョナサン・ヴァン・ネスのどうして? なぜ? がいっぱい
2022年1月28日17時よりNetflix独占配信

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