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レポート:「結婚の自由をすべての人に」訴訟東京地裁判決と報告会

11月30日、「結婚の自由をすべての人に」訴訟の東京地裁判決が下されました。300人くらいの方たちが傍聴を求めて列をつくり、法廷も静かな熱気を感じさせました。判決の内容への評価や、判決報告会の様子もお伝えします。

レポート:「結婚の自由をすべての人に」訴訟東京地裁判決と報告会

 2019年のバレンタインデーに全国で一斉に起こされた「結婚の自由をすべての人に」訴訟。コロナ禍の影響もあって予想外に一審の判決が出るまで時間がかかってしまったと思いますが、2021年3月には札幌地裁で「同性婚を認めないのは違憲である」との画期的な判断が示されました。一方、今年6月には大阪地裁で婚姻の自由を定めた憲法24条にも法の下の平等を定めた憲法14条に違反するものではないとの残念な判決が出ました。今回の東京地裁判決は、全国で3番目の判決になります。深刻かつ切実な現状に置かれている原告のみなさんや婚姻の平等を望む全国のLGBTQ+ALLYが応援し、また、国内の企業300社以上が婚姻の平等に賛同するなど様々な方面からも賛意が示されるなか、2022年11月30日、「結婚の自由をすべての人に」訴訟の東京地裁判決が下されました。300人くらいの方たちが傍聴を求めて列をつくり、法廷も静かな熱気を感じさせました。判決は、がっかりするような前半と、画期的なところに踏み込んだ後半で、喜んでいいのかどうかよくわからない、モヤモヤするような内容だったものの、夕方の判決報告会ではっきりと「間違いなく歴史に残る判決です。みんなの力で勝ち取った前進。ぜひ喜んでください」と述べられ、やっと「お祝いしていいんだ」と思えました。



判決と旗出し
 
 11月30日13時半頃、東京地裁には傍聴を希望する方たちが300人近く集まり、長蛇の列を成していました。

 運よく傍聴することが叶い、14時頃、満席の第103号法廷に。厳粛な静けさのなか、原告や弁護団の方たちが座っていて、多くの人々が同性婚実現への願いを胸にそれを見守っている姿に感涙しました。会場に、願いや思いが満ちていました。誰も一言も発しないのに、ただそこに人々が集まっているというだけで泣けるということがあるのだなと実感しました。
 池原桃子裁判長をはじめ3人の裁判官が出廷し、みなさん立ち上がって一礼し、再び着席しました。記録用の写真撮影のために1分か2分、そのままの姿勢でいた後、おもむろに判決文が読み上げられました。
 判決は、前半は大阪地裁判決と似て、男女が子を産み育てるという伝統云々とか、社会通念云々といった言葉で、憲法24条、14条には違反しない(合憲である)とされたため、みなさんが落胆するため息が聞こえるようでしたが、後半、子育てもしていてすでに実質的に男女と異ならないような社会生活を送っている同性カップルが家族になる法制度がない現状は「同性愛者への重大な脅威、侵害であり、24条2項※に反する(違憲状態にある)」として、国会は(それが結婚かパートナー法かは議論するとして)同性カップルを家族と認めるような法制度を作らなくてはいけないといった趣旨のことが述べられました。違憲状態にあるというところで、会場の方たちが色めき立つ様子がうかがえました。
 判決が読み上げられると、すぐに閉廷となりました。廊下で弁護団の方などが、判決の解釈をめぐって話し合っているのが見えました。
(判決の要旨はこちらこちらを、全文はこちらをご覧ください)
 
※日本国憲法第24条
婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
(2)配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。

 裁判所の外には、マスメディアの大量のカメラや、レインボーフラッグやプラカードを持ったLGBTQ+Allyの方たちなどが大勢(200人近くいらしたと思います)待機し、判決の行方を見守っていました。この日は11月末としては異例の暖かさで(最高気温20度)、みなさんが凍えることもなかったと思います。よかったです。
 14時半過ぎ、「婚姻の平等に前進!」というレインボーカラーの横断幕を持った原告と弁護団のみなさんが登場し、「違憲状態」という旗出しを行ない、一斉にフラッシュが焚かれました。ひとしきり撮影が行なわれたあと、弁護団代表の寺原さんが、どういう判決だったかを簡潔に伝え、また、原告の方も一言ずつコメントしていました。
 原告と弁護団のみなさんが退席といいますか、次の会場に移動する際は、多くの方が「おつかれさまでした」「ありがとう」と言って温かな拍手を送っていました。
 
 その後、17時からは、城山トラストタワーで記者会見と判決報告会が行なわれました。
 
記者会見

 初めに、弁護団の上杉弁護士が弁護団声明を読み上げました。
 まず「画期的な判断」であると述べられました。そして、判決の概要や意義を伝え、「裁判所が、勇気をもって声を上げた原告らの本人尋問の結果を真摯に受け止め、上記のように判示したことは、高く評価できるものである」「本判決は、法律上同性同士であるカップルの婚姻が認められていない現状は、憲法に違反する状態にあるとの判断を示した点で極めて重要な意義を有し、法律上同性どうしであるカップルの婚姻の法制化を前進させるものである」「本判決は、現行法が違憲状態にあると言い切った点では、実質的な違憲判決と評価すべきものである。国は、本判決を真摯に受け止め、本件諸規定の改正に直ちに着手し、婚姻の扉を同性カップルに速やかに開かなければならない」「他方、本判決は違憲状態にあると判示しながら、法制度を構築する方法については多様なものが想定されるとして、憲法24条2項に違反すると断ずることはできないとした点は、婚姻以外の制度を認めるのであれば「分離すれども平等」を認めることになり極めて不当である」と評価されました。

 続いて、原告の方々が語りました。
 大江千束さんは、「今日の判決、一生懸命聞いていましたが、わからない言葉、意味があまり伝わらないところもあり、24条2項について違憲状態とされて、喜ばしいけど、まだまだこれからなんだな、と思いました。立法府でどうなっていくんだろうという複雑な思いもあり。判決を聴きながら気持ちが上がったり下がったりして。今後どうなっていくかということが重要だと思います。総合的に、実効性をもった活動をしていく必要があると思いました。私たちが家族であるということをある程度盛り込んでいただいたことは、うれしかったです。私たちは27年以上パートナーシップを築いてきて、かけがえのない家族だし、びくともしません。そこに触れていただいたことはうれしかったです」と語りました。

 小川葉子さんは、「私も、どんな判決が出ようとも真摯に受け止めようと思っていましたし、周りにもそう伝えていました。実際に判決を読まれたとき、わからないところもあり、気持ちが上がったり下がったり。同性パートナーに法的保護がないのは重大な障害であると認めざるをえない、そういった言葉が裁判長から出たことは大きかった。違憲状態であるということを明言されたのは、大きな一歩だと思います。今後の、私たちがどのような一歩を踏み出していくかというところで勇気をもらえました。ここまでやってこれたのは、いろんな方々のサポートのおかげです。小野さんや西川さん、原告の仲間、全国の原告団、支援者の方々…いろんな思いが、万感の思いが胸に迫ってきて…。違憲状態と言ってくれたはのうれしかったけど、もっと踏み込んでいただきたかった、けど、今後の糧にはなると。今後もみなさんと歩みたいです」と語りました。

 ただしさんは、「ドキドキしていて、大学受験の100倍くらい緊張していました。朝、ぼくたちが前住んでいた家のそばの新宿御苑を散歩していて、そのときに、『今日ひどい判決が出るかもね。だとしても、かつと、海と太陽(飼っている犬と猫)がいるから大丈夫だけどね』『そうだよね』と話していて。僕にとっては、かつがパートナーであり、まぎれもない家族です。自分たちはそう思ってるけど、家族である、パートナーであるということが社会的に認められなかったら、あらゆる局面で大変な思いをします。自分の尊厳が日々、傷つけられる思いです。この裁判、なぜ、私生活を丸裸にして、泣いたり、思い出したくない過去のことまで話してきたか…(涙)。結婚できないことの不都合ってありますか?と聞かれたときに、かつが、いくさんのように、家族と認められなかったら、先に亡くなったときに、面会もできない、遺産も残してあげられない、よくよく考えていくと、ずっと傷つけられたてきた個人の尊厳をちゃんとみんな取り戻さないといけないと思って。ぼくたちが家族であるということを、国に承認されて、法に守られていくということが大切。それを求めた裁判だったと思います。24条2項は、予想もしていなかった。心が千々に乱れながら聞いた判決でした。前を向いて進んでいきます」と語りました。

 かつさんは、「札幌と大阪の次で、不安が半分、期待が半分という状況でした。判決はまず、24条、まあそういう感じなんだろうなと、次の14条に期待していたのですが、そこでも厳しい内容で、よくないのかなと思っていたら、最後のの24条2項で違憲状態だと述べられて。原告と、弁護士のみなさんで、裁判所で伝えたことが裁判官の皆さんに伝わったのかなと思いました。ただ、もうちょっと、私たちに寄り添った、もっと踏み込んだ内容であればうれしかったというのが本音です」と語りました。

 療養中で自宅からオンライン参加となった小野春さんは、「まずは、大きく一歩前進ということに安堵しています。うちの子たちにも説明しました。違憲状態ということで、いろいろ思うところがないわけではないけど、裁判所の確かな手応えがあったと感じています。同性の家族、子どもを育てている家族と明言してくれたことがうれしかった。パートナーの西川と3人の子供を育ててきて、養育される子も含めた共同生活の安定、という言葉が、よかったです。しかし、とはいえ、結婚制度か別の制度にするのかという議論、と言われていました。私たちは全く同じものを求めています。全く同じ内容の別のものを用意するのはかえって不自然で、差別ではないかと感じています。立法府で議論を、と言われてきましたが、慎重な検討を要するという言葉ばかりが繰り返されてきました。判決を受けて、この対応が変わってくださると、変わらなければいけないと受け止めてくれることを強く望みます」と語りました。

 同様にオンライン参加となった西川麻美さんは、「よかったのは、最後のほうの、憲法24条2項に反する、違憲状態だとはっきり言ってくれたこと。これがなくても文意はつながるので、わざわざ言ってくれたんだと思います。そこに価値がある、裁判長の思いが込められていると感じました。反対者にも気を遣っていて、伝統的な家族、子を産み育てるという考えを一方的に排斥するのは難しいと。でも、やっぱり違憲状態なんだと。私たちが訴えてきたことは、法的に家族になるというときに、異性愛者には結婚制度という大きな幹線道路が用意されている、けど、同性カップルは、通るなと、法律がないところの別のかたち、細いけもの道を通れと言われていて、それはおかしいということでした。そこのところが、あまり伝わってないと感じました。家族をつくるということは伝わってる けど、別の幹線道路も作れるとかいう話しが気になりました。この幹線道路が通れないことが差別なんだと訴えてきたのをわかっていただきたかったです」と語りました。

 それから、寺原弁護士が判決についての補充説明を行ないました。24条2項については、「24条が同性婚を排除している、禁止しているという誤解があるが、それはないと明確に言っている」と指摘し、そのうえで、婚姻の本質は「親密な人的結合関係について、その共同生活に法的保護を与えるとともに、社会的承認を与えるものである」として、異性カップルも同性カップルも等しく当てはまると言っていること、また、原告らの尋問をふまえ、子を養育する実態は男女と変わならいということをきちんと認定し、社会的公証を受けられるべきだと述べてくれたことも評価に値すると語りました。「同性間の人的結合関係を保護することは社会全般の安定に資すると言っている。これは札幌地裁も言ってないこと。よく性的マイノリティが生きやすい社会はすべての人にとって、と言われるが、まさしくそのことを言っている」とおっしゃっていたのも印象的でした。最後に、今回の判決が、踏み込んだ視点をいくつか入れているのを評価したい、として、「東京高裁で、より明確に違憲と言ってもらうためのトスなんだと解釈。意図を汲み取って、明確な違憲判決を獲得するためのステップだと捉えている」ということと、「国会に対して明確に、今の同性カップルが置かれている状況が違憲状態で、何もしないわけにいかない、速やかに法改正に動く義務があると述べた」ことを挙げました。そのうえで、「同性愛者が“二級市民”にならないよう、今の婚姻制度のなかで法改正を、と要望していくことが大事」と締めました。

 質疑応答では、2020年に東京地裁の田中寛明裁判長が本人尋問は「夾雑物(余計なもの)」で不要だとの判断を示し、抗議運動が起こった(その後、声が聞き入れられ、本人尋問が行なわれることになりました)という経緯があったが、あらためて、本人尋問が実現した意義について、という質問がなされ、「その意義は大きかった。裁判官の面前で原告の方たちがこれまで被ってきた不利益や困難を語り、裁判長もとても真剣に聞いていた、いくさんが亡くなった話のときに涙していたように見えたし、心を動かしたと思う。その結果が判決文にも表れている」と答えられ、ジーンときました。

 
判決報告会

 記者会見に続いて行なわれたコミュニティ向けの判決報告会は、弁護団の仲村渠(なかんだかり)さんが司会をつとめ、主に記者会見のときには語らなかった方たち、二次訴訟の原告の方々や、地方の原告や弁護団の方々などがお話しました。

 最初に、寺原さんがあらためての総評として「100点満点かと言われるとそうではないが、裁判所が違憲状態だと言うのは踏み込んでいて、ほぼ違憲だと言っているに等しい。前向きに捉えてください。今日は国会議員の方も来ています。いろんなご意見をいただいて、次につなげたいと思っています」とコメントしました。

 続いて、現役の当事者の国会議員である石川大我さんがスピーチ。「立法裁量だと繰り返し言われていたことは注目に値します。十分に議論されるべきだと国会にボールが投げられました。私はこのたび法務委員となりまして、まさに同性婚をつくる委員会ですので、暴れていきたいと思っております。ひと暴れの成果としてお伝えしたいのは、今まで『家族制度の根幹に関わる極めて慎重な検討を要する』という耳タコ答弁が繰り返されてきましたが、これをやめていただきたいと申し上げ、葉梨さんから『国民的なコンセンサスを理解を得たうえでなければ』という言い方に変わったんです。これは国民の理解が得られれば、進められると解釈できます。『まずは国民各層の意見を聞き、同性婚に関する訴訟の動向、地方自治体におけるパートナーシップ制度の動きも注視していきたい』と述べられました。前進だと思います。世論が盛り上がることが大事だと思いますので、今後もみなさんといっしょに、連帯してやっていきたいです」とのお話でした。

 続いて、東京二次訴訟の原告の方々のお話です。
 元TRP共同代表の山縣さんは、「原告になったのは昨年3月からですが、大江さん&小川さんが婚姻届を提出しに行ったときから応援しています。4月の第1回公判はパレードで行けなかったのですが、それ以外は全部、傍聴しています。前の裁判長はアレでしたが、今日の判決を聞いて、証人尋問がどれだけ大切かがよくわかりました。これから、そこで自分が何を話せるか、どうやって裁判長の気持ちを動かすかということを、これからも、生きている間に頑張っていきたいです」と語りました。

 藤井さんは、「今日はレインボーフラッグを持って応援しました。原告の方たちに拍手が送られて、心にじんときました。みなさんの応援が世の中を動かします。SNSに上げたり、小さいことからやっていきましょう」と語りました。

 藤井さんのパートナーの福田さんは、「札幌ですごくいい判決で勝訴して喜び、大阪で裏切られて意気消沈し、今回はどういう判決になるのか、また、東京ということもあり、緊張と期待がありました。まさにローラーコースターに乗ってるような気持ちになりましたが、違憲状態とのことで、よかったし、声を上げることが大事だなと感じました。これまでの原告の方たちの声が届いたと思います」と語りました。

 いちはしさんは、「3年9ヶ月、さまざまなご苦労があったと思います。先頭に立って訴えてこられた方々に敬意を表します。判決は初め、もしかして大阪と同じかも…と思わせましたが、24条2項のところでガッツポーズしたくなりました。反対派がいたとしても法制度をつくることはできるし、そのほうが社会の安定につながると言っていた。早く法制度を作りなさいよ、と前向きに受け取れるものでした。裁判所にここまで進んだ判断をさせたのは、みなさんのおかげだと思います。大きな希望になります」と語りました。

 たけださんは、「少しは前進したと感じられました。初め、伝統的にとか、男女が子を産み育て、とかのくだりで怒りを感じたものの、24条2項については、私たちの生活を保障する制度が必要だと、子どもの養育の安定というところにも目が向けられるようになったので、声は全く届かないわけではなく、少しずつ変わっていくと実感できました。SNSなどでも応援する方たちの声がたくさんあって、そういう声が社会を動かし、裁判所も、国も動かすんだなと思えました」と語りました。

 けいさんは、「歴史が変わる瞬間を記憶に刻みたいと思い、2019年から今までほぼ欠かさず傍聴してきました。一人一人の思い、人生が伝わってきました。判決は、男女が子を産み育てる云々に、またか…と思いましたが、後半、尊厳、おや?と、正直、喜んでいいのか、よくわからなかったのですが、閉廷後に弁護団に『喜んでいいんだよ』と言われて、初めて涙が流れました。喜んでいいんですよ。みなさんの闘いの成果が今日の成果です。二次訴訟もがんばります」と語りました。

 鳩貝さんは、「coLLaboのスタッフが法廷で判決を聞けたのですが、同性カップルの権利を保障する制度がないことはおかしいという言葉を聞き、うるっときたと語っていました。肌を通じて伝わってくるものがあったのでしょう。渾身の叫びが届いたのだと思いました。違憲状態の一言を胸にこれからも頑張ります」と語りました。

 かわちさんは、「重大な脅威、障害、違憲状態だ、という言葉に安堵しました。絶望状態を生きてきたけど、前進がありました。大切な人と家族と認められる、結婚ができる日まで頑張ります」と語りました。

 そのほか、関西訴訟の原告の坂田麻智さん、関西訴訟弁護団の佐藤弁護士、17年パートナーシップを結んでいるぐみさん&梅さんカップルなどが語りました。日弁連でLGBTQのことに携わっている本多弁護士が「判決文を読むと、法制度が存在しない状態が『違憲状態』であるという文章であり、状態について違憲だと言ったのであって、『違憲状態』が『違憲』よりも弱いというように割り引いて考える必要はないと私は考える」と言う場面もありました。
 
 最後、東京弁護団の中川弁護士のまとめのスピーチでも「本多さんの考えは正しい、違反するとはっきりと書いてある」と述べられました。中川弁護士は「今日の判決、ぜひ喜んでください。間違いなく歴史に残る判決です。みんなの力で勝ち取った歴史的な判決です」と熱く語り、会場のみなさんを激励していました。「原告の本人尋問は夾雑物だと言われ、跳ね返そうと頑張ったが、どうなるかわからなかった。書面で正攻法で攻めたが、最後は65名の手紙を出した。原告の小野春さんのお子さんも書いた。『母たちは真剣なんです。なんで聞いてくれないんですか』と書かれていたのをよく憶えています。みなさんが思いを込めて、声をあげて、実現した本人尋問。ライフヒストリーです。人生の歩みです。うれしかったこと、つらかったこと、耐え難かったこと。それが歴史的な判示を導いた」「大阪の判決、本当に…言葉が見つからなかった。しかし、東京の原告の話だけじゃなく、札幌で、大阪で、証言し、このあとも、愛知、九州でもやっている、そういうみんなの声が、司法に向けられて、集まって、その厚みが、事の重みを理解させたと思っています。判決の根拠は、札幌だけじゃなく、大阪の判決にも書いてあることもある。積み上げられている。その積み上げの上に今日の東京の判決がある。大阪が切り開いた土俵でもあるのです」「コミュニティのみんなの歩みがつくってきたということが本当によく表れている判決だと思います」「この喜びの力で国会に声を届け、社会に声を届け、もっと大きくしていきましょう」
 本当に勇気づけられるお話でした。最後に中川さんの言葉を聞けて、やっと、「喜んでいいんだ!」と思えました。感謝です。



東京判決議員向け報告会

 12月2日、東京判決のポイントを国会議員の方々に向けてお伝えする報告会が、議員会館とオンラインで開催されました。

 初めに代表の寺原弁護士から判決のポイントが述べられ、憲法学者の木村草太氏から今回の判決をどう見るかが語られました。木村草太氏の解説が「さすが」と思わせる明晰なものでしたので、簡単にご紹介します。
 まず、今回の判決は憲法24条2項に違反する、違憲だと明確に言っているとのこと(一部、新聞の見出しなどで合憲だとするものが見られましたが、それはおかしいとのこと)
 それから、憲法24条2項に違反する状態だと言いながら、そのあとで「原告らが主張する同性間の婚姻を可能とする立法措置を講ずべき義務が直ちに生ずるものとは認められない」と、「違反ではない」というように言っている部分については、原告が(1)同性カップルの家族生活を保護する制度の不在は違憲であり、(2)その違憲状態の解消法は、現行の婚姻規定に同性婚を包摂することに限られると主張しているのに対し、判決は(1)を認めつつ、(2)を否定したもので、それゆえ、(2)婚姻に包摂しなかったことを理由とする国家賠償は否定した、とのことでした。
 さらに、今回の判決の2つの致命的問題として、(1)「分離すれども平等」を正面から肯定した(原告の求める効果は婚姻の効果。あえて別制度にする理由は?)、(2)「家族」概念の無理解(「家族」=親子関係+婚姻関係である。判決が憲法24条2項に依拠して、同性間でも形成できる様にすべきとした「家族」関係とは? 親子関係でないことは明らか。つまり、判決は、「婚姻によらない婚姻関係」なるものを想定している)と指摘していました。
 最後に、東京原告団の達成したこととして、「緻密な理論」「原告本人の的確なメッセージ」「違憲判断を勝ち取った」ということが挙げられました。
こちらの記事でも詳しく報じられています)
 
 それから、原告の方たちが語りました。
 小野春さんは、周囲の方も私たちを家族と認めてくれているが、法的に家族じゃないとされていることで逆に困っていらっしゃる、今回の判決で異性愛の方も含めてみんな幸せになると言われたのはよかったと語りました。
 いちはしさん(トランス男性の方)は、娘との法的関係を認めてほしいと涙ながらに切々と語っていらっしゃいました。

 そのほか、議員さんからのコメント、質疑応答なども行なわれました。
 最後に、中川弁護士がご挨拶し、「フェーズが変わったと感じている。札幌、大阪、それぞれお互い影響しあいながら、この違憲判決につながった。今後、司法の流れも、ほぼこの流れになるのではないか。裁判所が「違憲だ」と毎年言うのは異常なこと。与党の先生にもインパクトを持って伝わってると思う。ぜひ、与党の場でも受け止めてもらうよう働きかけを」と語りました。

 なお、今後の控訴について、12月7日夜に原告のみなさんで話し合い、8日か9日には控訴する予定だそうです。



 いろんな方が語っていましたが、今回の画期的な部分もある大きな前進を見た判決は、これまでの、先人たちやみなさんの少しずつの頑張りの積み重ねのおかげで、なされたものでした。まずはそのことを喜び、祝いましょう。
 そして、3年9ヵ月にわたって裁判に携わってきた原告や弁護団のみなさんに(これまでも大変だったと思いますし、この1日だけでも大変そうでしたし、まだ先もありますが、ひとまず)心から感謝申し上げます。ありがとうございました。
 


【追記】
「結婚の自由をすべての人に」愛知訴訟が2日、結審し、来年5月に判決が言い渡されることになりました。札幌、大阪、東京での判断もきっと踏まえられると思いますので、この流れを受けて、さらによい判断が示されることを期待します。

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