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特集:2024年夏のクィア・アート展

2024年5月〜8月に開催されるLGBTQ(クィア)関連のアート展の情報をまとめてご紹介します。カナイフユキさんの個展、台湾のManbo Keyさんの個展「父親的錄影帶|Father’s Videotapes」、「第七回美男画展」。「MASURAO GIGA -益荒男戯画展-」などです

特集:2024年夏のクィア・アート展

(「父親的錄影帶|Father’s Videotapes」より)
 

今日(5/21)の都心の最高気温は28.9度。初夏というより、もはや夏ですね。もうすぐ6月、梅雨入りですが、週末どこかにお出かけするとしたら、屋外よりも映画館やギャラリーがいいかも、と思う方も多いのではないでしょうか? というわけで、5月〜8月のLGBTQ(クィア)関連のアート展の情報をまとめてご紹介します。今のところカナイフユキさんの個展や、台湾のManbo Keyさんの個展「父親的錄影帶|Father’s Videotapes」、「第七回美男画展」、そして「MASURAO GIGA -益荒男戯画展-」などが開催予定です。新たな情報がわかり次第、順次追加していきます。
(最終更新日 2024.6.6)
 
 


〜5月18日 東京(九段下)
長谷川サダオ 「春」 

 これまでに数々のレジェンダリーなゲイアーティストの展覧会を開催してきた成山画廊で、11月9日から5月18日まで半年間2期に分けて、近年多方面から注目されている画家、長谷川サダオ(1945-1999)の展覧会が開催されます。2024年2月22日〜は「春」は鉛筆を多用した作品を中心に展示するそうです。途中、展示替えもあります。
 展示に合わせて、画集「SADAO.HASEGAWA 1945-1999」も刊行。サイケデリックに誘発されて描いた初期のロマンティックな作品、アフリカなど異国への憧憬を織り交ぜた作品から、雑誌の挿絵としてのエロティックな男性像、漫画。晩年、自身の浄化を試みたかのような崇高な男性像まで網羅されています。長谷川サダオ展会場と特設サイトでご購入いただけます。スペシャルエディションとして作品証明書付きオリジナル作品が挟み込まれたバージョン4種類も若干部発売されます。
 
長谷川サダオ 「春」 
会期:2024年2月22日〜5月18日
会場:成山画廊(東京都千代田区九段南2-2−8)
開館時間:13:00-19:00
定休日:水日祝 ※4月30日、5月2日はアポイントメントオンリー


4月11日〜6月16日 東京(初台)
宇野亞喜良 AQUIRAX UNO

 多くの人々に鮮烈なインパクトを与えてきた少女の絵、見ればそれが誰の作品かすぐにわかるような、そんな画家が何人もいます。高橋真琴さん然り、金子國義さん然り、そして宇野亞喜良さんもそんな一人だと思います。宇野亞喜良さんは1960年代に「イラストレーション」「イラストレーター」という言葉を広め、時代を牽引してきた方で、化粧品会社のポスター、寺山修司さんの「天井棧敷」の公演ポスターなどを手がけ、横尾忠則さんや細江英公さんなど時代を築いてきた様々な領域の芸術家、クリエイターたちと並走してきた方です。そんな宇野亞喜良さんの初期から最新作までの全仕事を網羅する最大規模の個展が東京オペラシティアートギャラリーで開催中です。宇野さん自身がクィアというわけではないのですが、伝説のゲイ雑誌『薔薇族』でお仕事をしていたり、ゲイに対して偏見や拒否感を持たず、オープンにつきあってきた方です。それに、宇野さんが描く上下のアイラインが異様に太かったり髪(かつら?)が異様に大きかったりする女性のイラストは、ある種ドラァグクイーン的な印象です。たぶんゲイのファンの方もいらっしゃるはず。そういう意味で、今回の特集でご紹介することにしました。展覧会の詳しいレポートがこちらに掲載されていますので、ご参考になさってみてください。

宇野亞喜良展 AQUIRAX UNO
会期:2024年4月11日〜6月16日
会場:東京オペラシティ アートギャラリー(東京都新宿区西新宿3-20-2)
開館時間:    11:00-19:00
休館月曜(※月曜が祝日の場合は開館し、翌火曜が休館)
料金:一般1400円、大学生・高校生800円



4月27日~6月23日 神戸
キース・へリング展 アートをストリートへ
 
 80年代ニューヨークのレジェンドであり、ポップカルチャーとファインアートの世界に革命をもたらしながら、1990年にエイズによって早逝したキース・ヘリング。明るく、ポップなイメージで世界中から愛され、今なおその人気は衰えを知りません。そんなキース・ヘリングの大規模な展覧会「キース・へリング展 アートをストリートへ」が、森アーツセンターギャラリーでの開催を皮切りに、神戸、福岡、名古屋、静岡、水戸と約1年にわたって巡回されます。(レポートはこちら
 「アートはみんなのために」という信念のもと、1980年代のニューヨークを中心に地下鉄駅構内やストリートにアートを拡散させることで、混沌とする社会への強いメッセージを発信し、人類の未来と希望を後世に託したキース。彼が駆け抜けた31年間の生涯のうちアーティストとしての活動期間は10年程ですが、残された作品に込められたメッセージは、今なお人々の心に響き続けています。今回の展覧会では6メートルに及ぶ大型作品を含む約150点の作品が展示され、キース・ヘリングのアートを体感していただける貴重な機会になりそうです。社会に潜む暴力や不平等、HIV・エイズに対する偏見と支援不足に対して最後までアートで闘い続けた彼のアートは、時空を超えて現代社会に生きる人々の心を揺さぶることでしょう。(公式サイトより)

キース・へリング展 アートをストリートへ
会期:2024年4月27日(土)~6月23日(日)
会場:兵庫県立美術館ギャラリー棟3階ギャラリー
※この展覧会は、神戸の後、福岡、名古屋、静岡、水戸と約1年にわたって巡回される予定です



5月31日〜6月11日 東京
Fuyuki Kanai Solo Exhibition|Now It's Time

 こちらで2022年の渋谷PARCOでの個展をご紹介した金井冬樹(旧筆名カナイフユキ)さんが「心の故郷」と呼ぶ目黒の「SUNNY BOY BOOKS」で個展を開催します。
「僕、変化を受け入れるのって苦手なタイプなんです。
 知らないものや人と出会うのが怖い。
 慣れ親しんだ環境が変わるのも怖い。
 未来への心配と、過去への執着を手放せずに生きています。
 でも(だから)、最近は、”変化は最良のタイミングで訪れる”と、自分に言い聞かせているんです。
 過去の想い出は”今”の自分の中にあるし、未来を想像するにも結局”今”が必要だと思うんですよね。
 だから、いちばん大事なのも、いちばん素敵なのも”今”、いつでも、”今がそのとき”だと思いたいんですよね。
 上手くできるかは、わからないんですけど(笑)。
(金井冬樹)」

Fuyuki Kanai Solo Exhibition|Now It's Time
会期:2024年5月31日(金)〜6月11日(火)
会場:SUNNY BOY BOOKS(東京都目黒区鷹番2-14-15)(東急東横線学芸大学駅東口徒歩約5分)
開場時間:12:00-19:00(最終日は18:00まで)
水木定休



6月7日〜8月29日 東京
父親的錄影帶|Father’s Videotapes

 現代の台湾を生きる注目のクィア・アーティスト登曼波(マンボウ・キー)によるソロ・エキシビション。1994年のある運命的な日、マンボウが父親の禁断のコレクションである自撮りのセックステープを発見し…不安と戸惑い、そして好奇心に占領された10代を経験し、自身のアイデンティティを探求することで結実した作品が『父親的錄影帶|Father’s Videotapes』です。2019年に臺北美術獎(台北美術賞)でグランプリを、そのシリーズの延長である「Father’s Video Tape_Avoid A Void」は2021年に台新藝術獎(台新芸術賞)を受賞しています。
 今回、コマーシャルギャラリーとプロジェクトスペースの特性を併せ持った馬喰町の現代美術ギャラリー「PARCEL」のディレクター・佐藤拓氏と青山の「H BEAUTY&YOUTH」がタッグを組んで展開する、ファッションとアート双方のアマチュア性をファクターとしてキュレーションしていく新しいアプローチのギャラリー「AMATEUR」の企画として、『父親的錄影帶|Father’s Videotapes』の個展が実現しました。
 6月7日(金)から青山のH BEAUTY&YOUTHと日本橋馬喰町のparcelにて同時開催されるそうです。それぞれでレセプションパーティも開催され、マンボウ・キー氏も在廊するそうです。
こちらの記事も読んでみてください)

【登曼波|Manbo Key プロフィール】
マンボウ・キーは、台北を拠点に活動する台湾の写真家・アーティスト。マンボウの創作プロセスには、写真家と被写体との親密な関係や、被写体や日常生活の光景の観察が含まれる。マンボウのレンズが捉えた人物や空間は、傍観者の冷静で遠い視点に対する直接的なメタファーである。作家は映像プロジェクトに参加し、さまざまな映像表現方法を模索しており、プロジェクト作品ではジェンダーやアイデンティティの方向性に焦 点が当てられている。写真家としては「Vogue Taiwan」「GQ Taiwan」「marie claire」などファッション、広告、多数のセレブリティのプロジェクトに携わる。日本のアーティストでは渡辺直美さん、小松菜奈さんを撮影。アーティストとしては台北市立美術館で開催された2019年「父親 的錄影帶|Father’s Videotapes」をはじめ、活動範囲を香港、ベルリン、東京へ広げている。
 
父親的錄影帶|Father’s Videotapes
◎青山
Father’s VHS 2024
会期:2024年6月7日(金)~2024年8月29日(木)予定
会場:H BEAUTY&YOUTH(東京都港区南青山3-14-17)(東京メトロ表参道駅A5出口より徒歩約2分)
開場時間:平日12:00-20:00、土日11:00-20:00
入場無料
レセプションパーティ:7日(金)17:00-20:00
◎日本橋馬喰町
Father’s Videotapes
会期:2024年6月7日(金) 〜 2024年7月7日(日)予定
会場:parcel(東京都中央区日本橋馬喰町2-2-14 まるかビル2F)(JR総武線快速馬喰町駅6番C4出口すぐ、JR総武線浅草橋駅東口より徒歩5分)
開場時間:14:00-19:00
定休:月火祝
入場無料
レセプションパーティ:8日(土)18:00-21:00




6月8日~6月15日 東京(銀座)
第七回美男画展

 銀座のぎゃらりぃ朋で開催されている美男画展。第七回を数える今回は、六原龍さん奥津直道さん林克彦さんをはじめ18名の作家が描いた美男画が展示されます。たくさんの、そして、多彩な美男たちに会いに行きましょう。

第7回美男画展
会期:2024年6月8日(土)~6月15日(土)
会場:ぎゃらりぃ朋(東京都中央区銀座1-5-1 HOLON GINZA II(旧第三太陽ビル)204)
開館時間:12:00-18:00(最終日17:00)
日曜休廊 
出展者:浅沼明子、上杉尚、大貫一則、奥津直道、片塩広子、黒川晄、塩崎顕、竹淵直美、多田圭輝、津田やよい、中森惠子、西牟禮あやめ、林克彦、深澤健作、村社由起、山田りえ、山本磨理、六原龍(五十音順)

 

8月30日~9月11日 東京(新宿)
MASURAO GIGA -益荒男戯画展-

「男性を描くアーティスト6人の展示です。
「益荒男」は、「勇気のある強い男」のような意味ですが、展示参加のアーティストたちは、強い男性を描くだけではなく、それぞれのもつイメージで、様々な表現方法で描いています。
「戯画」は、戯れ(遊び)で描かれた絵のような意味があります。今回の展示では遊びを「楽しんで」と解釈しました。
 日本を意識した美しい和の響きを残しつつも、メインタイトルを漢字ではなくアルファベット表記「MASURAO GIGA」としたのは、今回の展示を見ていただき、男性モチーフの絵に対して、イメージが少しでも変わったり、新しい気付きになれるように、という意図があります。
 アーティスト6人が描いた男性の絵を、ジェンダーやLGBTQ+における差別も偏見もなく、純粋に楽しんでいただけたらと思います」(公式TUMBLRより)

MASURAO GIGA -益荒男戯画展-
会期:2024年8月30日(金)~9月11日(水)
会場:新宿眼科画廊
開館時間:12:00-20:00(水曜日17:00まで)
木曜休廊
入場無料
※全作品撮影OK、SNS公開OKです
参加アーティスト:亀井徹、SIN5、shinji horimura、TORAJIRO、NARUSE Nonnow(成瀬ノンノウ)、六原龍

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