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特集:2024年9月の映画・ドラマ

2024年9月に上映・放送・配信されるLGBTQ関連の映画やドラマの情報をお伝えします。今月は同性愛者だったチャイコフスキーと結婚したアントニーナの苦悩と狂気にフォーカスした映画『チャイコフスキーの妻』や、富や権力を得るために若専のジェームズ1世のもとに息子・ジョージを送り込んだ母メアリーという史実に基づく宮廷ドラマ『メアリー&ジョージ 王の暗殺者』などが観られます

特集:2024年9月の映画・ドラマ

(『メアリー&ジョージ 王の暗殺者』より)
 

 現在、超大型の台風が猛威を振るっていて(被害に遭われた方、お見舞い申し上げます)、週末は映画館や劇場ギャラリーに足を運んでみてはいかがでしょうか?とは言いづらいものがあります…。が、台風が去ったらきっと、秋らしさも感じられ、お出かけしやすくなることでしょう。というわけで、毎月恒例の映画・ドラマ紹介特集をお届けします。
 今月は同性愛者だったチャイコフスキーと結婚したアントニーナの苦悩と狂気にフォーカスした映画『チャイコフスキーの妻』や、富や権力を得るために若専のジェームズ1世のもとに息子・ジョージを送り込んだ母メアリーという史実に基づく宮廷ドラマ『メアリー&ジョージ 王の暗殺者』などが上映・配信されます。きっとほかにも素敵な映画やドラマが出てくると思いますので、新たな情報がわかり次第、追加・更新していきます。
 ちなみに9月1日はファーストデー。各館1100円〜1200円で映画を観ることができます(特別上映等を除く)。『デビルクイーン』『モンキーマン』などもまだ上映されています。
(最終更新日:2024年8月30日)
  

公開中
デビルクイーン

 軍事独裁政権下の1970年代ブラジルで製作された、ギャング、同性愛者、ドラァグクイーン、娼婦など社会から疎外された人々の姿を強烈なサウンドと極彩色の美術で活写したクィア・ギャング映画です。ブラジルの伝説的俳優ミルトン・ゴンサルベスが狂気とチャーミングさを同居させたデビルクイーンを怪演し、ボサノバ歌手としても活躍した女優オデッチ・ララがキャバレーシンガー役で出演。1974年・第27回カンヌ国際映画祭に出品されて話題を集め、その後もカルト的人気を博しました。製作から50年の節目となる2023年に4Kレストア版が製作されました。(レビューはこちら

<あらすじ>
ある時はギャングのボスとして組織を恐怖で支配し、またある時はスウィートな女王として愛されるデビルクイーンは、ある日、お気に入りの男性が警察に追われていることを知り、キャバレーシンガーのイザのヒモであるベレコを身代わりにしようとする。しかし、事態は思わぬ方向へと転がっていく…。

デビルクイーン
原題:A Rainha Diaba
1973年/ブラジル/100分/監督:アントニオ・カルロス・ダ・フォントウラ/出演:ミルトン・ゴンサルベス、オデッチ・ララ、ステパン・ネルセシアン、ネルソン・シャビエル



公開中
モンキーマン

 アカデミー賞作品『スラムドッグ$ミリオネア』などに出演してきたデブ・パテルが、子どもの頃に聞いたインド神話の猿神ハヌマーンにインスピレーションを得て物語を構想し、制作に8年をかけた監督デビュー作です。民への奉仕を通じて神とつながるハヌマーンを信奉する主人公の青年キッドが奉仕すべき人々を抑圧する腐敗した指導者たちに対峙する「復讐の天使」となる様が描かれ、熱狂と興奮を呼び起こす壮絶な復讐劇に仕上がっています。第31回サウス・バイ・サウスウエスト映画祭で観客賞を受賞しています。
 キッドは母を殺され、復讐のために戦うのですが、傷ついたキッドを助け、ハヌマーンの化身として生まれ変わらせるのがヒジュラ(南アジア一帯に2000年以上前から存在してきた性分化疾患やトランスジェンダーなど「第三の性」)のコミュニティの人々で、この映画はヒジュラの人々なしには成立しないと言っても過言ではないほど、重要な役割を果たします。パテルはインタビューでこの映画は「声なき、周縁化された噛ませ犬への讃歌」だと語っています(「PinkNews」より)。「LGBTQNation」はこの映画が「まさに南アジアのクィアのリプレゼンテーションにほかならない」と絶賛しています。バイオレンスなシーンが多いのですが、きっと興奮と感動を味わえることと思います(レビューはこちら
 
<あらすじ>
幼い頃に故郷の村を焼かれ、母も殺されて孤児となったキッド。どん底の人生を歩んできた彼は、現在は闇のファイトクラブで猿のマスクを被って「モンキーマン」と名乗り、殴られ屋として生計を立てていた。そんなある日、キッドはかつて自分から全てを奪った者たちのアジトに潜入する方法を見つける。長年にわたって押し殺してきた怒りをついに爆発させた彼は、復讐の化身「モンキーマン」となって壮絶な戦いに身を投じていく…。

モンキーマン
原題:Monkey Man
2024年/アメリカ・カナダ・シンガポール・インド合作/121分/R15+/監督:デブ・パテル/出演:デブ・パテル、シャルト・コプリー、ピトバッシュ、ビピン・シャルマ他
8月23日より全国で公開




公開中 渋谷
自由の暴力

 ニュー・ジャーマン・シネマの鬼才と称され、まるでトム・オブ・フィンランドの世界から抜け出てきたかのような荒くれ者の水夫たちによるエロティックで耽美的な映画『ファスビンダーのケレル』、トランス女性を主人公にした『13回の新月のある年に』など、強烈なインパクトをもたらすクィア作品を(37年という短い生涯の中で)いくつも世に送り出してきた伝説の映画監督ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー。『リリー・マルレーン』など特にクィア映画というわけではないものの女性を称揚する作品もたくさん撮っていますが、そのファスビンダーの『リリー・マルレーン』『自由の暴力』『エフィ・ブリースト』という3作品の特集上映が8月30日よりBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下ほか全国で順次開催されます。
 3作品のうち『自由の暴力』はゲイ映画で、ファスビンダーがゲイを直接的に描いた初めての作品です。宝くじを当て、一夜にして富と愛を手にした大道芸人フランツが主人公。やっと幸福をつかんだのも束の間、それは奈落への第一歩だった――というお話。ファスビンダー自ら主人公を演じた、あまりにも痛ましい衝撃作です。これまで『自由の代償』という邦題で知られていましたが、今回はより原題に近いタイトルに変更されたようです(Faustrechtは「強者の権利」「暴力政治」「自力防衛」といった意味だそうです)
 
<あらすじ>
アル中の姉しか身寄りのない大道芸人フランツは、宝くじに当たったことをきっかけに、ブルジョワなゲイの社交界に入り込み、工場経営者の御曹司でハンサムなオイゲンに恋をする。一夜で富と愛を手に入れたフランツは有頂天になってオイゲンに貢ぐが、資本家階級に生まれたオイゲンと粗野なフランツとでは趣味も会話も何もかも相容れない。それでもひたすら愛を信じるフランツだったが、やがて二人の齟齬は決定的となり……

自由の暴力
原題:Faustrecht der Freiheit
1974年/西ドイツ/123分/カラー/監督:ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー/出演:ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー、ペーター・カテル、カールハインツ・ベーム
ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー傑作選 2024の1プログラムとして8月30日よりBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下で上映

 


9月2日より放送
ハッピー・オブ・ジ・エンド

 累計発行部数31万部を突破し、「BLアワード2022」ディープ部門の1位、「BLアワード2024」シリーズ部門の4位を獲得したおげれつたなかさんのコミック『ハッピー・オブ・ジ・エンド』を実写ドラマ化。同性愛者であることを理由に家族から拒絶され、全てを失ったどん底の青年の柏木千紘と、彼がバーで出会った美青年ケイトが主人公のボーイズラブストーリーで、沢村玲さん&別府由来さんが出演します。

<あらすじ>
ゲイであることを理由に家族から拒絶され、何もかもを失い、人生どん底の柏木千紘は、ある晩行きつけのバーでケイトと出会う。クールな美青年に見えるケイトは、壮絶な生い立ちからトラウマを抱えていた。成り行きで始まった共同生活は衝突やすれ違いもあったが、千紘の手料理にケイトが感動したり、ケイトがくれた玩具のネックレスを千紘が本気で喜んだりと、穏やかな日常を送るうちに2人は深い愛情で結ばれるように。しかし、そんな幸せな日々もケイトの過去の因縁によって崩れようとしていて……

ハッピー・オブ・ジ・エンド(全8話)
フジテレビで毎週月曜深夜2:55-3:55[2話ずつ放送]
FODにて毎週月曜[2話ずつ]配信
放送終了後TVerにて1週間見逃し配信




9月6日より全国順次公開
チャイコフスキーの妻

『白鳥の湖』や『くるみ割り人形』などで知られるロシアの天才作曲家、ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー。彼が同性愛者だったという、ロシアではタブー視されてきた事実を明確に描き、夫婦間の知られざる真実に迫ったのが、この映画『チャイコフスキーの妻』です。第75回(2022年)カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品され、名だたる批評家たちの賛辞を得た本作は、絵画的な映像美や流麗なカメラワークなど、型破りなまでに刺激的な映像でも話題を呼び、フランスでは17万人超を動員する大ヒットを記録しました。史実に従いながらも大胆な解釈を織り交ぜ、“世紀の悪妻”と呼ばれたアントニーナは本当に悪妻だったのか?と問うような作品になっているようです。予告編には『白鳥の湖』が流れるなか、妻のアントニーナが裸のマッチョなイケメンたちと戯れる刺激的なシーンも盛り込まれていました。

<あらすじ>
女性の権利が著しく制限されていた19世紀後半・帝政ロシア期。かねてから同性愛者だという噂が絶えなかったチャイコフスキーは、恋文で熱烈求愛する地方貴族の娘アントニーナと世間体から結婚することを決める。しかし女性への愛情を抱いたことがないチャイコフスキーの結婚生活はすぐに破綻し、夫から拒絶されるアントニーナは孤独な日々の中で狂気の淵へと堕ちていく…。

チャイコフスキーの妻
原題:Tchaikovsky's Wife
2022年/ロシア・フランス・スイス合作/143分/PG12/監督:キリル・セレブレンニコフ/出演:アリョーナ・ミハイロワ、オーディン・ランド・ビロン、フィリップ・アヴデエフ、ユリア・アウグほか
2024年9月6日より全国順次公開



9月14日より全国順次公開
ヒューマン・ポジション

 ノルウェーの美しい港街を舞台に、女性カップルの日常を静かに見守るように描いた映画です。これが長編2作目となるアンダース・エンブレム監督が、自身の故郷であるノルウェーのオーレスンで撮影、主人公の心の機微や日常を優しく美しく、静かなタッチで描いていきます。心に傷を抱いた主人公アスタを、エンブレム監督のデビュー作でもタッグを組んだアマリエ・イプセン・ジェンセンが演じています。彼女に優しく寄り添うライヴ役にはマリア・アグマロ。そのコケティッシュな仕草と歌声も温かく作品を彩ります。

<あらすじ>
ノルウェーの港町で新聞社に勤めるアスタは、地元のホッケーチームやアールヌーボー建築を保存するための小さなデモ、クルーズ船の景気など、地元に関するニュースを取材し、記事にしている。プライベートではパートナーのライヴと穏やかな時間を過ごしている。そんなある日、アスタは、ノルウェーに10年間住み、働いていた難民が強制送還されたという記事を目にする。その事件を調べていくについれて、アスタは自身を覆っていた無気力を払拭し、仕事とプライベートの両方で自分が求める「心の居場所」を次第に見いだしていく…。

ヒューマン・ポジション
原題:A Human Position
2021年/ノルウェー/78分/監督:アンダース・エンブレム/出演:アマリエ・イプセン・ジェンセン、マリア・アグマロほか




9月18日より配信
メアリー&ジョージ 王の暗殺者

 オスカー女優の(LGBTQの映画にも山ほど出演している)ジュリアン・ムーアと、いま世界で最もホットな英国俳優ニコラス・ガリツィンが共演した『メアリー&ジョージ 王の暗殺者』は、17世紀初頭のジェームズ1世が治めるイングランド宮廷を舞台に、一族の繁栄を望む野心的な母メアリーと「英国一の美男子」と呼ばれ王の寵愛を受けてのし上がっていく初代バッキンガム公ジョージ・ヴィリアーズとの愛、欲望、裏切りと転落、そして国王の死をめぐる知られざる真相を描くドラマです。
 この作品で話題になったのは大胆な性描写です。史実としてジェームズ1世には多くの男性の愛人がいたと言われていて、セクシャルなシーンもあります。撮影は役者と制作陣の間で入念な話し合いを重ね、慎重に進められました。インティマシー・コーディネーター(性的な描写を撮影する際に現場に立ち会い、出演者と制作陣の意向を調整して、演者の尊厳を守りつつ効果的な演出につなげるサポートを行うスタッフ)を務めた方は「時代劇でこのような生き生きとしたクィアで親密な作品に携われることは滅多にない。エキサイティングだった」と語っています。脚本を担当したD. C. ムーアは、ジェームズ1世とジョージには「本物の愛があり、本物の尊敬があった」と言い、セクシャルなシーンにも二人の深い感情が表現されている、と語っています。

<あらすじ>
17世紀、エリザベス1世から王位を継承したジェームズ1世が統治するジャコビアン時代イングランド。地主階級ながら野心的なメアリー・ヴィリアーズは、暴力的な夫や質素な暮らしに嫌気がさし、容姿端麗の次男ジョージをフランスに送って裕福な女性と結婚する社交術を習得させようとする。しかし国王ジェームズ1世が若い男性に目がないことを知ると、息子を国王の愛人にし、権力と富を手に入れるという大胆な計画を企てる。フランスから帰国したジョージは、母の導きのもとに数々のライバルを蹴落とし、ジェームズ1世の寵愛と信頼を得て「バッキンガム公爵」として王政を司る枢密院メンバーにまで上り詰める。一方、自らも上流貴族と再婚したメアリーは、陰謀や策略を張り巡らし、ジョージと共に富と権力と称号を手に入れる。ヴィリアーズ家は宮廷で最も影響力のある一家に成り上がっていくが、政治家のフランシス・ベーコンら政敵との権力争いや敵国スペインとの確執など、彼らの成功を阻む問題が浮上。そして次第にメアリーとジョージが対立し…。

メアリー&ジョージ 王の暗殺者(全7話)
2024年/英国/51分/PG12/字幕・吹替/監督:オリヴァー・ハーマナス/出演:ジュリアン・ムーア、ニコラス・ガリツィン、トニー・カラン、サイモン・ラッセル・ビール、ショーン・ギルダーほか
スターチャンネルEXで9月18日(水)より毎週水曜1話ずつ配信



9月27日〜30日配信
トランスジェンダー映画祭2024秋

 年に数回、オンラインで開催されているトランスジェンダー映画祭がリニューアル。今回はトランスコミュニティを描いた5作品(うち2作品は短編)のほか、ノーマルスクリーンとのコラボで『あの夏のアダム』も上映されます(※チケット等、別になるので、分けて書きます)

トランスジェンダー映画祭2024秋(オンライン配信)
日時:9月27日(金)12:00〜30日(月)14:00
料金:
⑴ 『最も危険な年』¥800
⑵ 『ノー・オーディナリ・マン』¥800
⑶ 『ゲームフェイス』¥800
⑷ 短編『鏡をのぞけば〜押された背中〜』&『スクリプト』¥800
⑴〜⑷の通しチケット ¥2,300
前売チケットのお求めはこちらから
主催:トランスジェンダー 映画祭実行委員会
協力:関西クィア映画祭、Team Respect& Solidarity(TRanS)
※本上映はvimeoを使ったオンライン上映です。インターネットに接続できる機材・環境をご自身でご準備ください。受信者の不備によって視聴できない場合の責任は負いかねます
※vimeoを使った視聴になりますので日本国内からの視聴に限らせていただきます
※URLは購入後にpeatixの連絡システムでお知らせします
※鑑賞券を購入された方のみ視聴をしてください。人数を超えるとログインできなくなります。チケットの譲渡は禁止です
※録音・録画は一切禁止です
※事前チケットのキャンセル・払い戻しには応じかねます
※本上映会の収益の一部は関西クィア映画祭と冊子「トランスジェンダーのリアル」のカンパになります(ただし『あの夏のアダム』は除く)

最も危険な年
 「トランスジェンダーは出生時の性別のトイレを使うべきだ」。2016年米ワシントン州では、トランスジェンダーのトイレ利用を制限する法案が議論されていた。それに対し、トランスジェンダーの子を持つ親たちが立ち上がる。差別と戦う武器は、自分たちのありのままの物語を語ること。現在日本でも広まりつつあるトランスヘイトの問題を考えるうえでも必見のドキュメンタリー作品。(レビューはこちら
『最も危険な年』
原題:The Most Dangerous Year
2018年/米国/90分/監督:Vlada Knowlton


ノー・オーディナリ・マン
 20世紀半ばにアメリカで活躍したジャズミュージシャンのビリー・ティプトン。死後に「実は女性だった」とアウティングされ、妻や子どももメディアの好奇心の餌食にされた。そんな彼の軌跡をコミュニティの歴史として改めて検証しようと現代のトランス当事者たちが集まり、ビリーの息子とも対面する。彼が生きていた頃と今では、どれだけ社会が変わっただろうか。(レビューはこちら
『ノー・オーディナリ・マン』
原題:No Ordinary Man
2020年/カナダ/83分/監督:アシュリン・チンイー、チェイス・ジョイント


ゲームフェイス
 UFC(総合格闘技チャンピオンシップ)の女子王座を狙う総合格闘家のファロン・フォックスは、トランスジェンダーであることを理由に「女子リーグで闘うのはフェアじゃない」とバッシングを受けてしまう。高校バスケ選手のテレンスは、セクシュアリティを理由に長年所属したチームのレギュラーから外された経験を持つ。スポーツ界におけるLGBTQの闘いを追うドキュメンタリー作品。
『ゲームフェイス』
原題:Game Face
2015年/ベルギー=米国/95分/監督:マイケル・トーマス


鏡をのぞけば 〜押された背中〜
 とあるカフェの一角で占い業を営んでいるともねのもとに、一人の客がやってくる。その客は、自分がトランス女性であると打ち明けるが、ともねもまた誰にも打ち明けない過去を持っていた。トランスする時期、外見または「パス度」、周囲からの眼差し、自分自身に向けるトランスフォビア。当事者たちが制作したからこそのリアリティと説得力が心に沁みる短編作品。(レビューはこちら
『鏡をのぞけば 〜押された背中〜』
2023年/日本/30分/監督:河上リサ/脚本:奥村ひろ/出演:奥村ひろ、河上リサ、石原幹史、柴田公彦、莉玲、ワムハチ、Yoshiki、チロ、岡部鈴

スクリプト
 医者の前では“トランスらしい自分史”を話さないといけない? トランス男性だからってみんなが筋肉隆々になりたいわけじゃないことを病院で話せる? トランスやノンバイナリーの人たちがしばしば経験する医療との微妙で緊張感のある関係を、当事者たちが演劇仕立てでひもとく短編作品。日本語字幕付きは初公開。
『スクリプト』 
原題:Script
2023年/米国/15分/監督:リット・フライヤー、ノア・シェイマス



9月27日〜30日配信
あの夏のアダム

 ドラマ『トランスペアレント』のプロデューサー兼コンサルタントを務め、同作に関連して製作した『ディス・イズ・ミー ~ありのままの私~』はGLAADメディア賞で特別表彰を受け、トランスジェンダーのリプレゼンテーションを高めたことでアメリカ自由人権協会からLiberty賞も授与されたリース・アーンストの長編デビュー作で、2006年のニューヨークを舞台に、男子高校生アダムのひと夏の恋と成長を描いた青春ドラマにして最高のクィア・コメディ映画です。(レビューはこちら

<あらすじ>
2006年。全米レベルで同性婚が合法化される10年近く前、黒人大統領の登場がまだ想像し難かった時のアメリカ。ぎこちない思春期を生きる高校生のアダムは親から逃れ、姉のいるニューヨークで夏休みを過ごすことにした。レズビアンの姉ケイシーとともに、アダムは都会の刺激的なレズビアンやトランスジェンダーの運動やカルチャーに足を踏み入れる。そして、プライドで見かけた女性にひとめぼれ、夜のパーティで偶然、彼女を見かけ、なんとか話すきっかけを作ろうと試み、成功するが、ジリアンはてっきりアダムのことをトランス男性だと勘違いしてしまう。訂正する機会を逃していくうちに関係は深まり、にわか仕込みでトランス男性についての知識を身に着けていくアダムだったが、状況は、どんどん複雑に……。

『あの夏のアダム』
2019年/米国/95分/監督:リース・アーンスト/出演:マーガレット・クアリー、ボビー・サルボア・メネズ、ニコラス・アレクサンダー、MJ・ロドリゲスほか
トランスジェンダー映画祭と連動し、日本初配信!
日時:9月27日(金)12:00〜30日(月)16:00
料金:¥800
前売りチケットのお求めはこちら

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