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2024-2025 冬〜初春のアート展
2024年12月〜2025年2月に開催されるLGBTQ(クィア)関連のアート展の情報をまとめてご紹介します
![2024-2025 冬〜初春のアート展 2024-2025 冬〜初春のアート展](assets/images/FEATURES/E2024/Art2/SH_kamito_osaka_top.jpg)
(「shinji horimura 個展 神と生きる漢たち」より)
街にイルミネーションが輝き、世界エイズデー関連のイベントがいろいろ開催される12月になりました。寒い時期&忘年会などで忙しい時期ではありますが、週末は美術館やギャラリー、劇場、映画館にお出かけしませんか? というわけで、2024年12月〜来年2月に開催されるLGBTQ(クィア)関連のアート展の情報をまとめてご紹介いたします。
今後も新しい情報が出てくると思いますので、わかり次第、追加していきます。
(最終更新日 2024年12月19日)
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トピック
大阪の国立国際美術館は11月29日、2025年2月15日から開催を予定していた「フェリックス・ゴンザレス=トレス」展の開催を中止すると発表しました。諸事情により同氏の重要作品の借用が困難となったため、だそうです。
(フェリックス・ゴンザレス=トレスは1957年、キューバ生まれのゲイの現代美術作家です。主にNYで活動し、公共の場に個人史を持ち込み、身近な問題に対する気づきをもたらす作品で評価され、1990年代以降の美術史において最も重要な作家の一人と目されていますが、1995年にグッゲンハイム美術館で大規模な回顧展が開催された翌年、エイズによって亡くなりました。没後も多くの後進に影響を与え続けている存在です)
そのニュースはたいへん残念でしたが、代替の展示企画として2025年2月22日から6月1日まで同館所蔵のフェリックス・ゴンザレス=トレス《「無題」(ラスト・ライト)》を含む「ノー・バウンダリーズ」展という特別展が開催されることになったそうです。「国境、アイデンティティ、文化、ジェンダー、そして美術におけるジャンルなど、あらゆる境界(バウンダリーズ)を超越あるいは融合する作家の作品を、当館のコレクションから包括的に紹介するもの」だそうで、ミン・ウォン、アリン・ルンジャーン、エヴェリン・タオチェン・ワン、田島美加、山城知佳子、シンディー・シャーマン、森村泰昌、クリスチャン・ボルタンスキー、フェリックス・ゴンザレス=トレス、ヤン・ヴォー、ヴォルフガング・ティルマンス、キム・ボムほかの作品が出展されるそうです。(ヴォルフガング・ティルマンスもゲイのアーティストです)
また詳細がわかりましたら、お伝えします。
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〜12月8日 東京(銀座)
「Everyday Enchantment 日常の再魔術化」展
銀座のシャネル・ネクサス・ホールが若手キュレーターの育成を目指す「Hasegawa Lab」とコラボレーションした展覧会のシリーズ第一弾・「Everyday Enchantment 日常の再魔術化」展に、丹羽海子さんの作品「ダフネのクローゼット」が展示されています。米国のセカンドハンドショップで見かける合金の置物を溶かし、新たに「ダフネ」と名づけられた針金の人形に草花を纏わせ、洗面台など日常の空間に置かれます。まるで生活空間に小さな生き物が現れたかのような、かわいらしくて微笑ましい作品です。これについて丹羽海子さんは「私のつくるものは、脆くて壊れやすい作品が多いですが、それは自分がトランスジェンダーとして成長していく過程の儚さや弱さといった経験から来ています。トランスジェンダーのコミュニティも、強固な関係を築きにくく、なかには自ら命を経ってしまう人もいます。今回の作品は、オープニングの日には素敵に見えても次の日には枯れ、さらに時間が経つとバラバラになっていきます」と語っています。展示も終わり頃になると、ダフネが纏った草花もすっかり枯れて、見る影もない姿になっているのではないかと思われます。トランスジェンダーのことや、それだけでなく、世界の様々な、儚く、弱く、バラバラで、消えていったりするものたちに思いを馳せてみてはいかがでしょうか。
「Everyday Enchantment 日常の再魔術化」展
会期:2024年10月18日(土)~12月8日(日)
会場:シャネル・ネクサス・ホール(東京都中央区銀座3-5-3 シャネル銀座ビルディング4階)
~12月16日 東京(六本木)
ペインティングス・アー・ポップスターズ
米国在住のクィア・パフォーマンス・アーティスト、荒川ナッシュ医さんによる国内初の美術館個展です。
荒川ナッシュ医さんは1977年福島県いわき市生まれで、1998年からニューヨークに、2019年からロサンゼルスに居住し、様々なアーティストと共同作業を続けながら「私」という主体を再定義し、アートの不確かさをグループ・パフォーマンスとして表現している方です。ロサンゼルスの「アートセンター・カレッジ・オブ・デザイン」大学院アートプログラム教授です。
今回の「ペインティングス・アー・ポップスターズ」展は2021年にロンドンのテート・モダンで発表された、美術館の床に来館者が自由に絵を描ける参加型の作品《メガどうぞご自由にお描きください》からスタートし、アート活動と子育ての両立にまつわる絵画の空間、絵具をトリートメントとして使うクィアな美容アクション映像、都市と色のスペクトラムに関する作品、絵画たちが交互に歌うかのような空間、20世紀の戦争や移民画家の歴史と国立新美術館の空間を結ぶ作品、福島やドイツの空を飛ぶ凧絵画、そして絵画が哲学を語りかけるクラブのような空間などが続きます。荒川さんに協力する20名超の画家による絵画が会場内に「登場」し、それぞれの絵画を存在感のあるポップスターとみなした荒川さんがその絵画のアティテュード(姿勢)から発案された協働パフォーマンスを発表したりもするそうです。
以下は荒川ナッシュ医さんのコメントです。
「国立新美術館ではパフォーマンス・アーティストの大規模な個展が初めてだという。
心のどこかにあったのは、2011年の高嶺格展、近年のdumb type展やChim↑Pom展の存在、今年の夏の内藤礼展や島袋道浩展。
白川昌生さんの言う日本のパフォーマンスの「うねり」がZ世代も続きますように!
そして国立の美術館では施工屋さんの入札のために、半年前には細部まで決定しないといけない難しさがある。
ストレスフルな矛盾が生まれたらどうしよう。
なぜならパフォーマンス・アートは実際に始まってみて、観客の前で生成中に成長するのです。
わたしの人生で間違いなく一度きりのこの展覧会。ユーモラスにお届けしたい!」
荒川ナッシュ医 ペインティングス・アー・ポップスターズ
会期:2024年10月30日(水)~12月16日(月)
会場:国立新美術館 企画展示室2E(東京都港区六本木7-22-2)
無料
開館時間:10:00-18:00 ※毎週金土は20:00まで ※入場は閉館の30分前まで
休館日:毎週火曜
主催:国立新美術館
協力:タカ・イシイギャラリー
11月28日~2025年1月19日 静岡
キース・へリング展 アートをストリートへ
80年代ニューヨークのレジェンドであり、ポップカルチャーとファインアートの世界に革命をもたらしながら、1990年にエイズによって早逝したキース・ヘリング。明るく、ポップなイメージで世界中から愛され、今なおその人気は衰えを知りません。そんなキース・ヘリングの大規模な展覧会「キース・へリング展 アートをストリートへ」が巡回中。東京、神戸、福岡を終えて、9/28から名古屋で開催されます。東海地方のみなさん、ぜひご覧ください(レポートはこちら)
「アートはみんなのために」という信念のもと、1980年代のニューヨークを中心に地下鉄駅構内やストリートにアートを拡散させることで、混沌とする社会への強いメッセージを発信し、人類の未来と希望を後世に託したキース。彼が駆け抜けた31年間の生涯のうちアーティストとしての活動期間は10年程ですが、残された作品に込められたメッセージは、今なお人々の心に響き続けています。今回の展覧会では6メートルに及ぶ大型作品を含む約150点の作品が展示され、キース・ヘリングのアートを体感していただける貴重な機会になりそうです。社会に潜む暴力や不平等、HIV・エイズに対する偏見と支援不足に対して最後までアートで闘い続けた彼のアートは、時空を超えて現代社会に生きる人々の心を揺さぶることでしょう。(公式サイトより)
キース・へリング展 アートをストリートへ
会期:2024年11月28日(木)~2025年1月19日(日)
会場:静岡市美術館
開場時間:10:00~19:00(展示室入場は閉館の30分前まで)
休館日:毎週月曜(ただし1月13日は開館)、12月29日〜1月1日、1月14日
主催:静岡市、静岡市美術館 指定管理者(公財)静岡市文化振興財団、テレビ静岡、中日新聞東海本社
後援:静岡市教育委員会
特別協力:中村キース・ヘリング美術館
企画協力:朝日新聞社、東映
12月1日〜20日 小渕沢
中村キース・ヘリング美術館 世界エイズデー2024
中村キース・ヘリング美術館では、今年も世界エイズデーにちなんだ特別企画が実施されます。
①キース・ヘリングが生前に制作したポスターや資料の展示
館内のオープンスペースにて、エイズにまつわるポスターや資料を紹介。なかでも1989年に制作されたポスター「ストップ・エイズ」は昨年新たに収蔵し、今回初公開となるものです。
②HIV・エイズタイムライン2024版の展示
HIV・エイズの歴史をまとめた年表とあわせてぜひご覧ください。オープンスペースは誰でも無料でお入りいただけます。
③コンドームの無料配布
今年も相模ゴム工業株式会社の協力のもと、ショップにてコンドームの無料配布を行ないます(12月1日から配布開始。無くなり次第終了)。ショップでは「ACT UP」のグッズや書籍などHIVコミュニティをサポートできるグッズも販売いたします。
12月4日~8日 大阪
shinji horimura 個展「神と生きる漢たち」
日本男児を主役に繊細かつ大胆な作品を制作しているshinji horimuraさんの個展です。祭りや神事に体当たりで挑む荒々しい男たちの姿を、実際に取材に赴き、熱狂を体感しながら描いています。関西の皆さん、ぜひ。
shinji horimura 個展「神と生きる漢たち」
会期:12月4日(水)~8日(日)
会場:ギャラリー1616(大阪市浪速区恵美須東1丁目16-16)
開廊時間:11時~19時 ※最終日は~17時
12月7日 東京
エイズフェス2024 ~START BY KNOWING~
毎年池袋で開催されている世界エイズデーのフェスイベントです。ゲストによるステージパフォーマンスを行なうほか、レッドリボンのオリジナルキーホルダー作成やポスター・メッセージなどの展示、出展ブースを通して、HIVとともに生きている人たちに思いをめぐらせるものです。今回は「極私的梅毒展」の展示もあります!
エイズフェス2024 ~START BY KNOWING~
日時:2024年12月7日(土)13:00-17:00
会場:中池袋公園
入場無料
出演予定:瀬川あやかさん(歌)、KEIKOさん(バルーンアート)、OBR(ダンス)、ゼロから打ち師始めます。(ペンライトパフォーマンス)
出展予定:認定NPO法人 ぷれいす東京、公益社団法人 東京都臨床検査技師会、青少年の性と健康を考え活動する会(2SK会)、東大で性教育を学ぶゼミ、「極私的梅毒展8」コケ丸 ※その他ブース、展示など全28団体のご協力のもと開催いたします
主催:東京都
2025年2月15日〜6月1日 大阪
国立国際美術館「コレクション2 Undo, Redo わたしは解く、やり直す」
今年の春、国立国際美術館「コレクション2 身体———身体」において、2022年にオオタファインアーツで行なわれたブブ・ド・ラ・マドレーヌさんの《人魚の領土ー旗と内臓》(レポートはこちら)などが展示されていたのですが、工事の影響により会期半ばで展示が終了してしまいました。そのリベンジということで、2月から「コレクション2 Undo, Redo わたしは解く、やり直す」という新たなテーマとラインナップのコレクション展で再び展示されることになりました。草間彌生さんや横尾忠則さんなどの作品も展示されるようです。
コレクション2 Undo, Redo わたしは解く、やり直す
会期:2025年2月15日(土)〜6月1日(日)
会場:国立国際美術館 B2階展示室
開館時間:10:00–17:00(金曜・土曜は20:00まで)
休館:月曜(ただし2月24日、5月5日は開館)、2月25日、5月7日
出品作家(変更となる場合があります):ルイーズ・ブルジョワ、ルース・アサワ、レオノール・アントゥネス、工藤哲巳、安齊重男、ソピアップ・ピッチ、寺内曜子、塩田千春、伊藤存、加藤泉、石原友明、竹村京、内藤礼、草間彌生、青木陵子、片山真理、ブブ・ド・ラ・マドレーヌ、石内都、芥川(間所)紗織、タイガー立石(立石紘一・立石大河亜)、横尾忠則、福田美蘭、清水晃、杜珮詩(ドゥ・ペイシー)、スターリング・ルビー、手塚愛子
常設作品作家:高松次郎、ヘンリー・ムア、マリノ・マリーニ、ジョアン・ミロ、アレクサンダー・コールダー、須田悦弘、マーク・マンダース
~2025年5月18日 小淵沢
Keith Haring: Into 2025 誰がそれをのぞむのか
「1980年代のアメリカ美術を代表するアーティスト、キース・ヘリング(1958-1990)は、明るく軽快な作風で知られる一方、彼の作品の根底には社会を鋭く洞察する眼差しがありました。ヘリングは、時にユーモラスに、時に辛辣に社会を描写し、平和や自由へのメッセージを送り続けました。
本展の副題は、ヘリングが広島平和記念資料館を訪れた際に日記に残した「誰が再び望むのだろうか? どこの誰に?(原文:Who could ever want this to happen again? To anyone?)」という言葉に着想を得ています。一瞬で街を焼け野原にした原子爆弾。今なお世界には1万2000にのぼる核弾頭が存在し、絶え間なく戦争が続くなか、来年には第二次世界大戦の終結から80年の節目を迎えようとしています。本展は、ヘリングの眼差しを通して世界が抱える課題に向き合い、現代における「平和」や「自由」の意味について考えることを目的としています」
(中村キース・へリング美術館プレスリリースより)
Keith Haring: Into 2025 誰がそれをのぞむのか
日程:~2025年5月18日(日)
会場:中村キース・へリング美術館(山梨県北杜市小淵沢町10249-7)
開館時間:9:00-17:00(最終入館16:30)
定期休館日なし ※展示替え等のため臨時休館する場合があります
主催:中村キース・へリング美術館
INDEX
- 特集:レインボーイベント2025(上半期)
- レポート:第23回女装紅白歌合戦
- レポート:年忘れお楽しみイベント「gaku-GAY-kai 2024」
- 特集:2025年1月の映画・ドラマ
- 特集:年越しカウントダウンイベント 2024→2025
- 「結婚の自由をすべての人に」九州訴訟二審・福岡高裁判決の意義
- レポート:ピンクドット沖縄2024
- レポート:GLOW UP! ラガンジャ・エストランジャ東京公演
- レポート:高知にじいろパレード
- レポート:エイズ学会2024(3)
- レポート:エイズ学会2024(2)
- レポート:エイズ学会2024(1)
- 2024-2025 冬〜新春のオススメ舞台作品
- 特集:2024年12月の映画・ドラマ
- 2024-2025 冬〜初春のアート展
- レポート:「トランスジェンダーを含むLGBTQ+差別に反対する映画監督有志の声明」掲出プロジェクトに関する会見
- 特集:新宿の街へ出よう
- レポート:東京トランスマーチ2024
- レポート:みやぎにじいろパレード2024
- レポート:「work with Pride 2024」カンファレンス
SCHEDULE
- 01.17しゃぶしゃぶガールズ
- 01.18令和のぺ祭 -順平 BIRTHDAY PARTY-
- 01.18GLOBAL KISS