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特集:2024年12月の映画・ドラマ
2024年12月に上映・放送・配信されるLGBTQ関連の映画やドラマの情報をお伝えします。今月はエルトン・ジョンのドキュメンタリー映画、アルゼンチンの大作映画『トレンケ・ラウケン』、『クィア・アイ』シーズン9などが上映/配信されます
(『エルトン・ジョン Never Too Late』より)
気づけば12月、今年もあと1ヵ月です(信じられないですね…)。何かと忙しい時期ではありますが、週末は映画館や劇場、ギャラリーに足を運んでみてはいかがでしょうか? というわけで、毎月恒例の映画・ドラマ紹介特集をお届けします。
今月はエルトン・ジョンのドキュメンタリー映画やアルゼンチンの大作映画『トレンケ・ラウケン』が公開され、『クィア・アイ』シーズン9などが配信開始されるほか、渋谷ジェンダー映画祭、トランスジェンダー映画祭などもあります。
きっとほかにも素敵な映画やドラマの情報が出てくると思いますので、新たにわかり次第、追加・更新していきます。
ちなみに12月1日は世界エイズデーですが、年に一度の「映画の日」でもあります。多くの映画館で1000円で映画を観ることができます(特別上映等を除く)。『クルージング』などもまだ上映されています。
(最終更新日:2024年12月26日)
上映中
クルージング
アル・パチーノが主演し、NYアンダーグラウンドのゲイカルチャーを背景に犯罪捜査の行方を描いた問題作『クルージング』(1980年)がリバイバル上映されます。ハリウッド映画史上初めて男どうしのBDSMを正面から描いたこの作品は、製作発表時から公開後まで、同性愛差別を助長するとして全米で猛抗議を受け、批評も興行も振るわず、長い間、言及もされずにきました。しかし近年、クエンティン・タランティーノやセリーヌ・シアマなどの名監督がフェイバリットに挙げ、各国のクィア映画祭ではエイズ禍以前のゲイ・カルチャーを記録した貴重な作品として再上映されるなどして、再評価が進んでいるといいます。レザーマンたちがBDSMを愉しむシーンに触れてストレートとしてのアイデンティティが揺らぐ様が描かれたセクシャルな映画でもあります。
監督は『エクソシスト』『恐怖の報酬』のウィリアム・フリードキン。1973年〜79年、NYで実際にSMクラブに出入りするゲイたちを標的とした猟奇連続殺人事件が起こりましたが、フリードキンは、逮捕された容疑者が『エクソシスト』で病院のシーンに出演していた放射線科の看護師だったことに驚き、容疑者に面会し、元NY市警の友人にゲイSMクラブへの潜入捜査の話を聞き、自らもそこに足を運び、この映画を完成させたそうです。
なお、この映画はテンガロンハットをかぶったケツワレ一丁のマッチョな男性がおもむろに取調べの部屋に入ってきてアル・パチーノをビンタするシーンでも有名になりました(実際に映画を観ても、なぜあのようなシーンがあるのか、意味がわかりません…本当に謎です)(2024.11.10【追記】このシーンはリアルだそうです。こういう理由があることがわかりました→https://x.com/Tori_Corleone/status/1855188646527439103)
<あらすじ>
夜のニューヨークでゲイを狙った連続殺人事件が発生。密命を受けた市警のバーンズはゲイを装い、ストレート立入禁止のSMクラブで潜入捜査を開始する。そして男たちの性の深淵を彷徨い、身も心も擦り減らしていくなか、ついに犯人の手がかりを掴むのだが……。
クルージング
原題:WILLIAM FRIEDKIN‘S CRUISING
1980年/米国/102分/脚本・監督:ウィリアム・フリードキン/出演:アル・パチーノ、ポール・ソルヴィーノ、カレン・アレンほか
11月8日からシネマート新宿ほか全国順次公開
12月2日配信開始
TAR ター
2023年公開の、ケイト・ブランシェットの演技の凄まじさや、登場人物がクィアだらけなところも要注目な作品。惜しくもオスカーは「エブエブ」に譲ったものの、ゴールデングローブでケイト・ブランシェットが主演女優賞に輝いています。未見の方は、この機会にぜひご覧ください。レビューはこちら
<あらすじ>
リディア・ターは、かつてフルトベングラーやカラヤンが指揮をしていたベルリンフィルという世界最高峰のオーケストラで初の女性首席指揮者に任命され、EGOT(エミー賞、グラミー賞、アカデミー賞/オスカー、トニー賞を全て獲った人物)であり、未来の指揮者を育成する事業にも携わるなど、賛辞をほしいままにする音楽家。その人並みはずれた才能とプロデュース力で実績を積み上げ、自身の存在をブランド化し、名声を高めてきた一方、レズビアンであることもカムアウトし、パートナーとともに娘も育てている。しかし、マーラーの交響曲第5番の演奏と録音のプレッシャー、そして新曲の創作に苦しめられていた。そんな時、かつて彼女が指導していた若手女性指揮者の訃報が届き、彼女にある疑念がかけられる…。
TAR/ター
原題:TAR
2022年/米国/159分/監督・脚本・製作:トッド・フィールド/出演:ケイト・ブランシェット、ニーナ・ホス、ノエミ・メルラン、ジュリアン・グローヴァーほか
12月2日よりNetflixにて配信
12月5日配信開始
ブラック・ダヴ
頭の回転が速く実直な妻・母親だが、裏ではスパイとして暗躍しているヘレン・ウェッブが主人公のサスペンスドラマ。この10年間、ヘレンは自身が所属する組織「Black Doves」に政治家である夫の秘密を流し続けてきたが、恋人のジェイソンが暗殺されたことで彼女の人生は一変、ヘレンは、友人で殺し屋のサム・ヤングを頼って真実を暴こうとするが、サム自身も問題を抱えていて…というストーリーです。サムはゲイで、マイケルという恋人がいるそうで、サムのロマンスがストーリー展開にからんでいるようです。サムを演じるベン・ウィショーはクィアの殺し屋という役柄に惹かれて、オファーを受けたそうです。
『ブラック・ダヴ』シーズン1
2024年/英国/出演:キーラ・ナイトレイ、ベン・ウィショー、サラ・ランカシャーほか
12月5日よりNetflixにて独占配信開始
12月6日 東京
上映+トーク 【赤色で思い出す…】Day With(out) Art 2024
30年以上続く企画[アートの(ない)日]に合わせ、NYのアート団体Visual AIDSが世界から集めた映像7作品が世界同時に公開! 日本でも東中野で初上映し、トークも行ないます。
レッドリボンやその他の視覚的な要素を通じ、HIVやエイズは長い間、血液/痛み/悲劇/怒りといった赤色のイメージと結びつけられてきました。『赤色で思い出す… (Red Reminds Me…)』は、観る人にHIVにまつわるイメージや感情の複雑な広がりについて考えるよう促します。
フィリピン、パナマ、アメリカ、アルゼンチン、コロンビア、ベルギーから集まった作品は、官能性や親密さ、母性や親族関係、運や偶然、記憶や亡霊などについて、パロディ、メロドラマ、演劇、皮肉、ホラーなどの手法を用いて、今日のHIVに関する体験を表現する新たな語彙を作り上げます。
ゲストは、#なんでないのプロジェクト代表の福田和子さんとHIV陽性を公表しながら活躍する俳優の福正大輔さんです。
上映+トーク 【赤色で思い出す…】Day With(out) Art 2024
日時:2024年12月6日(金) 19:00-
会場:ポレポレ坐(中野区東中野4‑4‑1 ポレポレ坐ビル1F)
入場料500円 or 1000円(選んでお支払いください)
ゲスト:福田和子さん(#なんでないのプロジェクト)、福正大輔さん
主催:Normal Screen、TOKYO AIDS WEEKS 2024
12月9日配信開始
怪物
カンヌで脚本賞とクィア・パルムを受賞したことで話題の映画『怪物』。公開前、映画のPRのあり方に関していろいろあったりもして、観ていないという方もいらっしゃるかと思いますが、この機会にぜひご覧ください。カンヌで評価されるだけのことはある、とても素晴らしい作品です。レビューはこちら
<あらすじ>
大きな湖のある郊外の町。息子を愛するシングルマザー、生徒思いの学校教師、そして無邪気な子どもたちが平穏な日常を送っている。そんなある日、学校でケンカが起きる。それはよくある子どもどうしのケンカのように見えたが、当人たちの主張は食い違い、それが次第に社会やメディアをも巻き込んだ大事へと発展していく。そしてある嵐の朝、子どもたちが忽然と姿を消してしまう…。
怪物
2023年/日本/125分/G/脚本:坂元裕二/監督:是枝裕和/出演:安藤サクラ、永山瑛太、黒川想矢、柊木陽太、高畑充希、角田晃広、中村獅童、田中裕子ほか
Amazon prime videoにて12月9日配信開始
12月10日配信開始
エゴイスト
逆にこちらはすでにご覧になった方が多いと思います。亡くなったゲイの作家・高山真さんの小説を原作とし、鈴木亮平さんと宮沢氷魚さんがカップルを演じたことで話題になった作品。徹頭徹尾、ゲイのリアルを追求した鈴木亮平さんの驚異的な演技力に感嘆させられ、そして、予想を遥かに超える、心洗われる、涙なしには観られない名作でした。レビューはこちら
<あらすじ>
東京の出版社でファッション誌の編集者として働く浩輔。週末は気のおけないゲイの友人たちと飲み歩いたり、自由気ままな日々を送っているが、14歳のときに亡くなった母親の命日には必ず田舎町に帰省することにしていた。浩輔は自分磨きのためにパーソナルトレーナーをつけてワークアウトを始めるが、爽やかなイケメンのトレーナー・龍太が、シングルマザーである母親を支えながら働いていることを知り、龍太も浩輔に好意を持っていることを屈託なく表現し、二人はにわかに惹かれ合っていく。亡き母への思いを抱える浩輔は、母親のために頑張る龍太に手を差し伸べ、彼を愛する日々に大きな幸せを感じる。しかし、龍太はある日、突然「もう会えない」と告げる…。
エゴイスト
2023年/日本/120分/R15+/原作:高山真/脚本・監督:松永大司/出演:鈴木亮平、宮沢氷魚、中村優子、和田庵、ドリアン・ロロブリジーダ、柄本明、阿川佐和子ほか/配給:東京テアトル
Amazon prime videoにて12月10日配信開始
12月11日配信開始
『クィア・アイ』シーズン9
インテリアデザイン、料理、ファッション、美容、カルチャーを専門とする5人組“ファブ5”が、全米各地の依頼人を素敵にメイクオーバーする人気番組『クィア・アイ』。依頼人の暮らす家を劇的に改善してきたボビーは残念ながら脱退し、新たに、インテリアデザイン会社Jeremiah Brent Designを経営する傍らテレビタレントとしても活躍する(Netflix『ドリーム・ウェディング ~幸せをプロデュース!』にも出演)ジェレミア・ブレントが参加します。メンバーチェンジを経た初のシーズンの舞台はラスベガスです。
『クィア・アイ』シーズン9
2024年12月11日よりNetflixで配信
12月13日公開 東京
Colors Under the Streetlights
イシヅカユウさんが『片袖の魚』に続き、当事者の役として主演した短編映画です。ガールズバーのキャストたちを送迎するユリカというドライバーの役で、多くを語らないキャラクターだそう。イシヅカさんは最初、「ほかの人にバトンを渡すという意味でも、これは私がやる必要があるのかな?」と考えてお断りしたそうですが、監督と会って話すうちに、脚本の面白さに惹かれ、「いかにもトランスジェンダーっぽい」役ではないと思って引き受けることにしたんだそう(CINRA「イシヅカユウが俳優として目指す表現とは。主演映画『Colors Under the Streetlights』をめぐるフォトインタビュー」より)
東京の夜を生きる女性たちの姿を繊細かつ美しく切り取った短編ドラマです。ぜひご覧ください。(レビューはこちら)
<あらすじ>
ガールズバーのキャストたちを乗せ、夜の街を走るドライバーのユリカ。バーカウンターに立つミチルは、今夜も上手く客をあしらっている。カオルは、デート相手の男の車を降り、家に帰るふりをして店に出勤する。スタッフルームに身を潜めるユリカは、そんなミチルやカオルの様子を遠くから見つめていた。そしてその夜、仕事あがりのミチルとユリカが路肩で言葉を交わしていると、巡回していた警察官が二人に事情を聞き始め……。
Colors Under the Streetlights
2024年/日本/22分/監督・脚本:定谷美海/出演:イシヅカユウ、大森亜璃紗、千國めぐみ、斉藤陽一郎、関口アナン、マギー
12月13日よりテアトル新宿にて公開
12月13日配信開始
エルトン・ジョン Never Too Late
『ロケットマン』のような伝記映画ではなく、エルトン・ジョンの人生とキャリアを振り返るドキュメンタリー映画です。
2018年から2023年にかけて行なわれた最後のライブツアーを終え、公演活動のフィナーレを迎えたエルトン・ジョンが、北米での最後のコンサートに臨む際、自身の人生と50年にわたる音楽のキャリアを述懐しました。幼少期に受けた虐待やさまざまな逆境を乗り越え、依存症を克服し、いかにして現在の地位を築いたか。インタビュー映像や秘蔵の未公開映像を交え、これまで語られることのなかったエルトン・ジョンの物語が明らかにされます。
監督は『ビリー・アイリッシュ 世界は少しぼやけている』『ファッションが教えてくれること』のR・J・カトラーと、エルトン・ジョンのパートナー、デビッド・ファーニッシュです。
エルトン・ジョン Never Too Late
原題または英題:Elton John: Never Too Late
2024年/アメリカ/監督:R・J・カトラー、デビッド・ファーニッシュ/出演:エルトン・ジョン
12月13日よりDisney+にて配信
12月13日〜15日 渋谷
渋谷ジェンダー映画祭
ジェンダーの視点を切り口に、映画を通して身近なところで起こっている社会課題や人権の問題を考えるとともに、上映後に対話の時間を設け、それぞれの感想や思いを持ち寄り、さらに映画の世界を深めるような渋谷区主催の映画祭です。2024年度のテーマは「関わること、対話すること、聴(ゆる)すこと」で、今回は『パレードへようこそ』(ジャンジさんやシゲ先生が登壇するトークショーも)や『ザ・ホエール』といった名作ゲイ映画が上映されます。
区の催しなので、渋谷区民優先申込みとなっています。詳細はこちら
◎パレードへようこそ
英国サッチャー政権下、境遇の違う人々をつないだ深い友情と感動の物語。ゲラゲラ笑えてオイオイ泣けるエンタメ作品で、これが実話なの?とビックリするくらい、いろんな意味で素晴らしい大傑作です。レビューはこちら
<あらすじ>
すべては、ロンドンに住む一人の青年のシンプルなアイデアから始まった。炭坑労働者たちのストライキに心を動かされ、彼らとその家族を支援するために、仲間たちと募金活動を始めたのだ。しかし、彼らが実はゲイの活動家(LGSM)だと知ると、寄付の申し出はことごとく断られてしまう。そこへ、勘違いから、唯一受け入れてくれる炭坑が現れる!彼らは、ミニバスに載ってウェールズ奥地の炭坑町へと向かうのだが…。
「パレードへようこそ」
原題:PRIDE
2014年/イギリス/監督:マシュー・ウォーカス/出演:ビル・ナイ、イメルダ・スタウントン、ドミニク・ウェスト、パディ・コンシダイン、ジョージ・マッケイ、ジョセフ・ギルガン、アンドリュー・スコット、ベン・シュネッツァーほか
12月13日(金)18:30- 渋谷区伝承ホールにて上映
◎ザ・ホエール
まるでクジラのように変わり果ててしまった肉体への侮辱にもホモフォビアにもめげない、驚くべき魂を持った人間の、崇高な最期を描いた作品でした。アカデミー賞でブレンダン・フレイザーが見事に主演男優賞を獲得したことでも話題となりました。レビューはこちら
ザ・ホエール
原題:The Whale
2022年/米国/117分/PG12/監督:ダーレン・アロノフスキー/出演:ブレンダン・フレイザー、セイディ・シンクほか
12月15(日)10:00- 渋谷インクルーシブシティセンター〈アイリス〉(渋谷区文化総合センター大和田8階)にて上映
12月13日〜16日 オンライン
トランスジェンダー映画祭2024冬
年に数回、オンラインで開催されているトランスジェンダー映画祭。作品をリニューアルして2024年冬も開催します。
トランスジェンダー映画祭2024冬(オンライン配信)
日時:12月13日(金)14:00〜16日(月)16:00
料金:
⑴ 『最も危険な年』¥800
⑵ 『ノー・オーディナリ・マン』¥800
⑶ 『メジャーさん!』¥800
⑷ 短編『鏡をのぞけば〜押された背中〜』&『スクリプト』¥800
⑴〜⑷の通しチケット ¥2,300
前売チケットのお求めはこちらから
主催:トランスジェンダー 映画祭実行委員会
協力:関西クィア映画祭、Team Respect& Solidarity(TRanS)
※本上映はvimeoを使ったオンライン上映です。インターネットに接続できる機材・環境をご自身でご準備ください。受信者の不備によって視聴できない場合の責任は負いかねます
※vimeoを使った視聴になりますので日本国内からの視聴に限らせていただきます
※URLは購入後にpeatixの連絡システムでお知らせします
※鑑賞券を購入された方のみ視聴をしてください。人数を超えるとログインできなくなります。チケットの譲渡は禁止です
※録音・録画は一切禁止です
※事前チケットのキャンセル・払い戻しには応じかねます
※本上映会の収益の一部は関西クィア映画祭と冊子「トランスジェンダーのリアル」のカンパになります
◎最も危険な年
「トランスジェンダーは出生時の性別のトイレを使うべきだ」。2016年米ワシントン州では、トランスジェンダーのトイレ利用を制限する法案が議論されていた。それに対し、トランスジェンダーの子を持つ親たちが立ち上がる。差別と戦う武器は、自分たちのありのままの物語を語ること。現在日本でも広まりつつあるトランスヘイトの問題を考えるうえでも必見のドキュメンタリー作品。(レビューはこちら)
『最も危険な年』
原題:The Most Dangerous Year
2018年/米国/90分/監督:Vlada Knowlton
◎ノー・オーディナリ・マン
20世紀半ばにアメリカで活躍したジャズミュージシャンのビリー・ティプトン。死後に「実は女性だった」とアウティングされ、妻や子どももメディアの好奇心の餌食にされた。そんな彼の軌跡をコミュニティの歴史として改めて検証しようと現代のトランス当事者たちが集まり、ビリーの息子とも対面する。彼が生きていた頃と今では、どれだけ社会が変わっただろうか。(レビューはこちら)
『ノー・オーディナリ・マン』
原題:No Ordinary Man
2020年/カナダ/83分/監督:アシュリン・チンイー、チェイス・ジョイント
◎メジャーさん!
70代後半になった今でも、投獄されたトランスジェンダーたちに手紙を書き続けるメジャーさん。彼女は1969年、アメリカのLGBT史を変えた「ストーンウォール」を経験し、現在も生き延びて活動をしている唯一の人とも言われる。有色人種のトランス女性たちの人生は過酷だ。家族から見放され、暴力にさらされ、路上で刑務所で、クソみたいな日々を送る。そんなな見放された人たちをメジャーさんは娘と呼ぶ。そして、数えきれないトランスたちが、メジャーさんをママと慕う。そんなメジャーさんのたどった人生とは?トランスコミュニティの愛と闘いを描く、至極のドキュメンタリー作品。彼女の歩みは、第二次トランプ政権にクィアコミュニティが揺れる今だからこそ、私たちにたくさんの勇気を教えてくれるかもしれない。
『メジャーさん!』
原題:Major!
2015年/米国/91分/監督:Annalise Ophelian
◎鏡をのぞけば 〜押された背中〜
とあるカフェの一角で占い業を営んでいるともねのもとに、一人の客がやってくる。その客は、自分がトランス女性であると打ち明けるが、ともねもまた誰にも打ち明けない過去を持っていた。トランスする時期、外見または「パス度」、周囲からの眼差し、自分自身に向けるトランスフォビア。当事者たちが制作したからこそのリアリティと説得力が心に沁みる短編作品。(レビューはこちら)
『鏡をのぞけば 〜押された背中〜』
2023年/日本/30分/監督:河上リサ/脚本:奥村ひろ/出演:奥村ひろ、河上リサ、石原幹史、柴田公彦、莉玲、ワムハチ、Yoshiki、チロ、岡部鈴
◎スクリプト
医者の前では“トランスらしい自分史”を話さないといけない? トランス男性だからってみんなが筋肉隆々になりたいわけじゃないことを病院で話せる? トランスやノンバイナリーの人たちがしばしば経験する医療との微妙で緊張感のある関係を、当事者たちが演劇仕立てでひもとく短編作品。日本語字幕付きは初公開。
『スクリプト』
原題:Script
2023年/米国/15分/監督:リット・フライヤー、ノア・シェイマス
12月14日 秋田
愛で家族に〜同性婚への道のり
秋田プライドマーチ実行委員会が、アジアで初めて同性婚を法制化した台湾のドキュメンタリー映画『愛で家族に〜同性婚への道のり』(日本語字幕)の上映会+トークイベントを開催します。「日本でも婚姻の平等を求める声が高まり、同性婚ができない現行法への違憲判決が積み重なっている。秋田でもこの問題をさまざまな人と一緒に考えていきたい」とのことです。『愛で家族に』は、娘を育てているレズビアンカップルのファミリー、35年間人生を共にしてきたゲイカップル、一方がマカオ出身で二人で一緒に暮らすために同性婚に希望をつなぐゲイカップルという3組の家族をフィーチャーしつつ、なぜ「婚姻平権(結婚の平等)」が求められるのか、実現に向けてどのような道のりを辿ったのか、といったことをパレードなどの映像を交えながら描いた作品。涙なしでは見られない映画です。東北のみなさん、これを機にぜひご覧ください。
愛で家族に〜同性婚への道のり
原題:Taiwan Equals Love[同愛一家]
2020年/台湾/85分/監督:ソフィア・イェン[顏卲璇]/出演:ウー・シャオチャオ(ジョヴィ)、チウ・ミンジュン(ミンディ)、ワン・ティエンミンほか
秋田から結婚の平等にYES! 映画「愛で家族に」上映会&トークイベント
日時:12月14日(土)13:30-
会場:秋田県中央男女共同参画センター7階研究室(秋田市中通2-3-8 アトリオン)
無料
申込みはこちらから
定員40名
12月14日 東京
東京TSネットセミナーVol.15 映画「カミングアウトジャーニー」上映会&クロストーク
「罪」の背景をひもとき、「障がい」のある人と地域をつなげ、誰もが共に生きる社会をつくる東京TSネットが、初の試みとして、映画『カミングアウトジャーニー』の上映とアフタートークを企画しました。上映後のクロストークには、主演の福正大輔さんが登壇し、東京TSネットのメンバーと作品についてお話します。今回は、リアル会場のみの開催で、会場の皆さんからの質問も受け付けます。自分のことをわかってもらいたいけど、カミングアウトってどうやればいいんだろう?カミングアウトするとどうなるんだろう?と悩んでいる人、また、カミングアウトを受けたけどどう受け止めればいいんだろう?と悩んでいる人、障がいと罪というスティグマを背負わされ、ありのままの姿で生きていくことが難しいと感じている人、それを支援しようとしている人、多くの人にご参加いただきたいそうです。
東京TSネットセミナーVol.15 映画「カミングアウトジャーニー」上映会&クロストーク
日時:2024年12月14日(土)14:30-17:00
会場:株式会社TKC東京本社2F(東京都新宿区揚場町2-1 軽子坂MNビル)
参加料2000円(学生は無料)
登壇者:福正大輔さん(立正大学大学院法学研究科、介護福祉士・社会福祉士・精神保健福祉士・公認心理師)
【要申込】お申込みはこちらから
主催:一般社団法人東京TSネット
12月21日〜26日 下高井戸
デビルクイーン
1970年代のブラジルに突如誕生したクィアでキャムプなギャング映画『デビルクイーン』が、東京は下高井戸(杉並区と世田谷区の境目。最寄りは京王線下高井戸駅)にある下高井戸シネマの「新旧ブラジル クィア映画限定上映」という企画の一環で、6日間限定上映されます。見逃していた方、この機会にぜひ。
<あらすじ>
ある時はギャングのボスとして組織を恐怖で支配し、またある時はスウィートな女王として愛されるデビルクイーンは、ある日、お気に入りの男性が警察に追われていることを知り、キャバレーシンガーのイザのヒモであるベレコを身代わりにしようとする。しかし、事態は思わぬ方向へと転がっていく…。
デビルクイーン
原題:A Rainha Diaba
1973年/ブラジル/100分/監督:アントニオ・カルロス・ダ・フォントウラ/出演:ミルトン・ゴンサルベス、オデッチ・ララ、ステパン・ネルセシアン、ネルソン・シャビエル
12/21(土)~12/26(木)18:15- 下高井戸シネマにて上映
12月21日 川崎
I am me
川崎市が性的マイノリティをテーマとした映画上映イベント「カラーズシネマカワサキ」を開催します。上映作品は短編映画『I am me』(相馬雄太監督/17分)。卒業を目前に控えたある日、小学生が「中学校でスカートをはきたくない」と幼なじみにカムアウトすることから始まる物語です。上映後のトークショーには松岡宗嗣さん、イシヅカユウさん、えりかさん(市内で性に悩む若者の居場所づくりを行なう方だそう)などのLGBTQが登壇します。終了後には当事者やその家族などが普段の困りごとや悩みを相談できる交流会も開催されます。
カラーズシネマカワサキ
日時:12月21日(土)13:30-15:00(交流会15:30-16:30)
会場:川崎市役所本庁舎2階ホール
I am me
2023年/日本/17分/監督:相馬雄太/出演:内藤朝、山本湊介ほか
12月26日上映 下高井戸
虎の子 三頭 たそがれない
コロナ禍のサンパウロで製作された、HIV陽性だったりする若いクィア3人のドラァグでマジカルでゆるくてキュートな1日を描いた『虎の子 三頭 たそがれない』。ブラジルのクィア映画で大注目の監督グスタボ・ヴィナグリがサンパウロで撮った、極右ボルソナロ政権下のブラジル社会を皮肉とユーモアたっぷりに描ききった作品です。こちらも下高井戸シネマの「新旧ブラジル クィア映画限定上映」という企画の一環で、下高井戸シネマで1日限り上映されます。昨年のTOKYO AIDS WEEKSで上映されたときのように、ラビアナ・ジョローさん(ドラァグ・クイーン/性教育パフォーマー)がトーク出演します。
<あらすじ>
近未来のサンパウロ。資本主義とウィルスが充満したこの街で生きる若いクィア3人。脳に影響を及ぼすウィルスが街にひろがり人々の記憶力は低下。国家は独裁政権や植民地主義の歴史を忘れているようだ。そんな状況下、3人がHIVと生きる体験を共有したりインフルエンサーに出会ったり頼りない大人たちと時間を過ごしながら、どこかへ導かれる。
虎の子 三頭 たそがれない
英題:Three Tidy Tigers Tied a Tie Tighter
2022年/ブラジル/84分/監督・脚本:グスタボ・ヴィナグリ
12/26(木)20:10- 下高井戸シネマにて上映
12月27日公開
トレンケ・ラウケン
2023年の『カイエ・デュ・シネマ』誌年間ベストテンで第1位に選ばれたアルゼンチン映画。協働的かつインディペンデントな映画制作を20年以上にわたって続けてきたアルゼンチンの映画コレクティブ「エル・パンペロ・シネ」の集大成的作品で、ホルヘ・ルイス・ボルヘスやロベルト・ボラーニョの小説を彷彿とさせる迷宮的ミステリーに、探偵もの、メロドラマ、クィア、フェミニズム、SFなどさまざまな要素を取り入れながら、誰も観たことのない境地へ観客を連れていきます。
2部構成でパート1は128分、パート2は132分(各回入替制)。12月27日から12月30日の4日間限定で、下高井戸シネマで上映されます。
<あらすじ>
1人の植物学者の女性ラウラが姿を消した、アルゼンチンの片田舎トレンケ・ラウケン。残された恋人と同僚の2人の男たちは、彼女を追って町や平原をさまよう。彼女はなぜいなくなったのか。この土地には何が眠っているのか。謎がさらなる謎を呼び、秘密は秘密として輝き始める…。
トレンケ・ラウケン
原題または英題:Trenque Lauquen
2022年/アルゼンチン・ドイツ合作/260分/監督・脚本:ラウラ・シタレラ/出演:ラファエル・スプレゲルブルド、ラウラ・パレーデス、エセキエル・ピエリほか
12月28日〜30日放送
団地のふたり
小泉今日子さん&小林聡美さん主演で今年9月にNHK BSで放送された連続ドラマ『団地のふたり』が12月28~30日に一挙放送されます。原作は芥川賞を受賞しているトランスジェンダーの作家・藤野千夜さんの同名小説。第4回には、フラワーアーティストをしているゲイのキャラクター(ムロツヨシさん)が登場します。制作統括の八木康夫さんは「今は世間的にはLGBTに対する理解が進んでいますが、民間のアパートやマンションでは入居がほぼ断られるという現実があるんです。でも、公営が多い団地にはそういった制約がありません。そういう事実に基づいて、ムロツヨシさん演じる森山というキャラクターが生まれています」と語っています(TVガイド「小泉今日子×小林聡美「団地のふたり」一挙放送決定! 制作統括が語るリアルな描写の裏側」より)
<あらすじ>
団地内のボヤ騒動をきっかけに、最近引っ越してきた森山(ムロツヨシ)と顔見知りになった野枝(小泉今日子)と奈津子(小林聡美)。ある日突然、「今度うちに来て失恋の相談に乗ってほしい」と持ち掛けられ困惑するが、森山が有名なフラワーアーティストで、同じ間取りながら内装もハイセンスだと知り、興味本位で応じることにする。そして当日、自分たちのかつての結婚・同棲の失敗談を語るうち、意外な事実を知ることに…。
団地のふたり(全10回)
NHK BS
12月28日(土)9:30〜30日(月)12:10 一挙放送
12月29日 松山
愛で家族に〜同性婚への道のり
愛媛のLGBTQ団体で来年3月にパレードも初開催する「カラフルドットライフ」が、アジアで初めて同性婚を法制化した台湾のドキュメンタリー映画『愛で家族に〜同性婚への道のり』(日本語字幕)の上映会+トークイベントを開催します。
『愛で家族に』は、娘を育てているレズビアンカップルのファミリー、35年間人生を共にしてきたゲイカップル、一方がマカオ出身で二人で一緒に暮らすために同性婚に希望をつなぐゲイカップルという3組の家族をフィーチャーしつつ、なぜ「婚姻平権(結婚の平等)」が求められるのか、実現に向けてどのような道のりを辿ったのか、といったことをパレードなどの映像を交えながら描いた作品。涙なしでは見られない映画です。
映画上映後は、カラフルドットライフの新山賢さんが聞き手となり、香川県のLGBTQ団体「プラウド香川」の藤田博美さん、松山市議会議員のたぶち紀子さんのお二人を迎え、映画の感想を交えながら日本での「同性婚~結婚の平等~」の実現にむけてお話をする回になります。「年末でお忙しい時期とは思いますが、映画&トークを通して皆さんと結婚の平等や、愛媛から結婚の平等にYES!を発信できればと思っています。ぜひお越しください!」とのことです。
結婚の平等にYES!愛媛実行委員会 映画上映&トーク「愛で家族に 同性婚への道のり」
日時:12月29日(日)13:30-15:30(開場13時)
会場:二番町ホール(愛媛県松山市二番町3丁目8-21 久保豊二番町ビル3階)
無料
お申込みはこちらから
定員:40名(当日も若干名受け付けます)
お問合せ:一般社団法人カラフルドットライフ(野本) info@colorfuldot-life.org
主催:結婚の平等にYES!愛媛実行委員会 、えひめプライド フェスタ&パレード2025実行委員会、一般社団法人カラフルドットライフ
共催:公益社団法人「Marriage For All Japan 結婚の自由をすべての人に」
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