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レポート:バンコクプライド
6月1日に開催されたバンコクプライドのパレードとプライドステージの模様をレポートいたします。同性婚実現を控えたタイのLGBTQコミュニティの熱気や自由、ショーの素晴らしさが伝わるとうれしいです
こちらのニュースでお伝えしていたように、今年の6月1日(土)、ソウルとバンコクでプライドパレードが開催され、プライド月間の始まりを告げました。ソウルのクィア・パレードに毎年のように参加し、応援する方は結構いらっしゃるのですが、2年前から始まったバンコクのプライドはあまり詳細が日本に伝わってこないということもあり、同性婚実現を控えたタイのLGBTQコミュニティの熱気を体験できるのは今しかないということで、バンコクのプライドパレードを取材しに行きました。
GOGOバーやマッサージなどのゲイ風俗、ソンクランの時のパーティ三昧な盛り上がりなど、ゲイ産業の発展やシーンの規模はアジア最大級なのですが、その割にはパレードがほとんど開催されてこなかったバンコク。性的マイノリティの権利回復を求める本格的なパレードはバンコクでは2022年が初開催です(Bangkok Postなどの記事によると、最初のオフィシャルなプライドパレードは2006年に開催されており、16年ぶりだそうです)。この「Naruemit Pride」は、初回は数千人だったのですが(バンコク都知事も参加)、昨年には2万人が参加し、盛り上がりを見せました(下院総選挙で第1党となった前進党のピタ党首が同性婚実現を約束しました)
今年は5月31日から6月4日まで「愛の祝福」をテーマに「バンコクプライドフェスティバル2024」が開催され(バンコク都とNarumit Prideが共催)、6月1日に国立競技場からセントラルワールドまでラマ1世通りを行進するプライドパレードが盛大に開催されました。
同性婚法制化を推進しているセター首相は31日のフォーラムに参加して「政権として性的少数者の権利をより広く認めるつもりだ」と語りました。セター首相はパレードにも参加していました(残念ながらその姿は見れませんでした。出発地点だけだったのかもしれません)
タイ国会では下院で1月に姻平等法案が圧倒的多数で採択され、上院でも審議中、おそらく上院でも採択され、年内には同性婚が実現するのではないかと見られていました(パレード後の18日に上院で圧倒的多数で採択され、成立が確実になりました)
そんな同性婚実現への熱気や祝福ムードが感じられるパレードの模様をレポートします。
※なお、6月30日には「ラブ・プライド♡パレード」も開催されています。国立競技場からラーマ1世通りを行進し、セントラルワールドに入らずスクンビット通りを続けて進み、スクンビット線プロンポン駅のベンチャシリ公園まで、約6kmを行進するアジアで最も長い距離となるプライドパレードだったそうです(タイ政府観光庁より)。プライド月間の初日と最終日、2回もパレードをやるってスゴい! 今度行くときは「ラブ・プライド♡パレード」を観てみたいです。
プライドパレード
パレードは6月1日(日)、国立競技場のNimibutr Building前に14時に集合し、15時にスタート、ラーマ1世通りを真っ直ぐ進み、セントラルワールドまで約2.5kmを行進しますとアナウンスされていました。また、パレードは「1. Love Wins」「2. Love for Identity」「3. Love for dignity」「4. Love for peace and earth」「5. Love for freedom」という大きく5つのブロックに分かれて行進するということも発表されていました。
実はバンコクに一人で行くのは初めてで、セントラルワールドがどんな場所なのかもよく知らず、昨年のパレードの様子の写真を見るにつけ、人ごみが凄そう、会場に入れるのだろうか、ちゃんと写真を撮れるのだろうか…と不安でした。
そこで当日、早めにセントラルワールドに行きました。広場のところにレインボカラーのゲートが設置されていたのを見て、なるほどパレードはこっちから来てこう曲がるんだなという見当をつけたりしてました。6月頭のバンコクは、暑いは暑いのですが、湿度もそこまで高くはなく、木陰にいると風も吹いてきて結構涼しく、気持ちいい感じでした。そうしてパレード出発の15時までスタンバイして、レインボーカラーを身にまとった人たちや手をつないで歩く同性カップルが行き交うのを眺めていましたが、パレードはなかなかやって来ず、先頭集団がやって来たのは16時近くでした。
TRPのように実委や代表の方が先頭というわけではなく、鼓笛隊がやってきて、欧米の大使館系と思われる人たちや一般の参加者がたくさん歩いてきて、そこから次々に途切れることなく怒涛のようにいろんなフロート、いろんな人たちがやって来ました。こちらのニュースでも真ん中に写ってるダブルタキシードで同性婚実現を訴えるゲイカップルも見ましたが、ウエディングドレス姿の方たちはそこまで多くはなかったかも。それよりもとにかくド派手に着飾ったドラァグクイーンやトランス女性がたくさんいて(たぶん数千人くらい)タイらしいと思いました。車もトゥクトゥクだったり、ちょっと日本ではお目にかかれないような3階建てのビルくらいの高さのとんでもなく巨大なトラックだったり。パレードなんだからできるだけ美しく派手に着飾りましょう、フロートもできるだけ目立つようにしましょう、という気合いが伝わってきました。Tシャツにジーンズ、みたいな人がほとんどいなくて、何かしらショーアップしたり、パレードらしさを演出する人たちがほとんどでした。これは「アジアのマルディグラ」かもしれない、と思いました。
5つのブロックに分かれているのは確かにそうなのですが(ブロックの先頭にそれを知らせる車がいました)、1ブロックあたりの参加者の数の統一が全くなく、初めのほうのブロックは極端に人数が多く、最後の方は極端に少なかったです。たぶん登録不要で自由参加制なので、そういうふうになるのかな、と思いました。
それから、歩道で見ていた方や報道陣の人たちがパレードの進行を遮るような感じでバンバン車道の真ん中に出てきて写真を撮るのはビックリしました。そのせいで(本当はもうちょっと進んで左に曲がるとセントラルワールドのレインボーゲートがあって、そこがゴールなのですが)パレードの終点なのかと思って歩道に上がったり帰ってしまう参加者とかもいて…カオスでした。
パレードは日が暮れてからも続き、予定よりも1時間遅い19時頃に終了しました。
写真が多過ぎてすみません、という感じなのですが(これでも厳選しておりまして…全部で1000枚超の写真があり、整理するだけで大変でした)、人の波が押し寄せるような感じや熱気、自由さ、多彩さ、タイらしさが伝わったでしょうか。
一般の参加者にしても企業系フロートにしても、お金をかけてできるだけ立派に、華やかにしよう、観客のためにショーアップしたフロートにしようという心意気がビシビシ伝わって来て、「アジアのマルディグラ」とも呼ぶべきパレードじゃないかと思いました。そういうお金をかけたゴージャスさや華やかさだけでなく、学生や市民団体が横断幕やプラカードを掲げて歩く極めて真っ当なフロートもたくさんあり、デモの側面もしっかりあると感じました。
台北やソウルのパレードに行ったことがある方は多いと思いますが、ぜひバンコクのパレードも体験してみてほしいです。
★バンコクブライドパレードのフォトアルバムはこちら
プライドステージ
パレード終了後、セントラルワールドでトイレに寄ってから(そういうところが便利です)プライドステージに行ってみたのですが、ちょうどパタヤの「Tiffany's Show Pattaya」(あのはるな愛さんの優勝で有名になったMISS INTERNATIONAL QUEENも主催している世界的に有名なショー・シアター)のショーが始まるところで、真横だけどちょっと高い階段の踊り場のところで観ることができました。華やかさや美しさの粋を集めたような世界的レベルのショーを間近で観ることができて、本当に幸せでした。
その後、Tookta Toplineという女性歌手が歌ったのですが、この方はレズビアンであることをカムアウトしていて、「Pride is Power」というプライドソングも披露、その間スクリーンに同性カップルやパレードに参加する人たちの写真が映し出されていたりして、感動しました。
広場にはDUREXとかいろんな会社のブースも出ていましたし、ステージ前のお客さんのスペースに巨大なレインボーフラッグがカーペットのように敷かれていたり、セントラルワールドのデジタルサイネージもプライドの広告になっていたり、至るところ レインボーでした。
セントラルワールドの中のレストランで晩ごはんを食べて、外に出ると、まだステージが続いていて、ロックシンガーのライブにドラァグクイーンが登場してたりしました。見応えのある充実のステージでした。こうしたステージも台北やソウルの場合は割とLGBTQの権利を訴えるスピーチが多めなのですが、バンコクはショーやライブが中心で、現地の言葉がわからない観光客にも優しいと思いました。
バンコクプライドを振り返って
もうすぐ同性婚が認められるタイ王国の首都・バンコクのプライドは、予想をはるかに超えて大規模で楽しいイベントでした。ドラァグクイーンやトランス女性が本当に多いだけでなく、どちらかというとクローゼットになりがちだと思われる熊系の集団が大挙してパレードを歩いてたり、エリート感あるマッチョカップルがセントラルワールドを手をつないで歩いてたりもして、ゲイのオープン化も進んでるんだなと実感しました。
また、別記事でご紹介するように、空港から地下鉄までバンコク市内至るところがレインボーカラーに染められ、街を挙げてプライドを祝っている印象でした。政府も、バンコク都も、企業もすでにLGBTQフレンドリーになっているし、海外のLGBTQの方たちを歓迎するムードが感じられました。よく台湾は日本を追い越してしまったと言われますが、タイもとっくにそうなってたんだということを思い知らされました。
もともとゲイシーンが発達してて、性的な自由を楽しめる街であるうえに、さらに同性婚が認められて人権的にも世界レベルになると、無敵ですよね(日本は大きく水をあけられることに…)。国際社会はますますタイに注目し、台北と並んでバンコクをアジアのゲイの首都と見なすようになるのではないでしょうか。2030年、アジア初のワールドプライドの開催もきっとバンコクに決まると予想されます。
というわけで、ソンクランや年末のホワイトパーティだけでなく、プライドシーズンのバンコクも素敵ですので、みなさんも来年はぜひ。
来年の開催情報は(もう少し先になるでしょうが)バンコクプライドの公式サイトや公式インスタグラムなどを通じてアナウンスされるはずですので、フォローしてみてください。
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