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2025年春の舞台作品
2025年3月〜5月に上演される演劇やミュージカル、ダンス公演などの舞台作品をご紹介します。『Take Me Out』の再演や、ミュージカル『キンキーブーツ』の上演などです。

(舞台『Take Me Out』2025より)
YouTubeやNetflixを観たりTVアニメや映画やドラマを観たりするのも楽しいですが、舞台上の俳優の肉体美や息遣い、臨場感を生で感じ取れる演劇(やミュージカル、バレエ、ダンスパフォーマンスなど)の魅力も格別なものがあります。この特集では、2025年3月〜5月に上演されるLGBTQ(クィア)を描いた舞台作品をまとめてご紹介いたします。フライングステージの名作『TEA FOR TWO 二人でお茶を』を別の劇団が上演したり、theStagPartyShow東京の本公演『サクラ特急晴れカラス』、MLBのチームのロッカーを舞台にした『Take Me Out』の再演、そしてミュージカル『キンキーブーツ』の上演などです。この春、生の舞台の熱さをぜひ、ぜひお楽しみください。
(最終更新日:2025年3月1日)
3月21日 東京
TEA FOR TWO 二人でお茶を(プレビュー公演)
ゲイの劇団フライングステージの代表作の一つとも言うべき『TEA FOR TWO~二人でお茶を~』。札幌市内のホテルの一室を舞台にした作品で、1980年から25年にわたって札幌で逢瀬を続ける二人のゲイが主人公で(清掃のおばちゃんも登場します)、ゲイがカミングアウトしてゲイとして生きていくことが困難だった時代から、少しずつ社会が変わっていきますが、それとともに二人をとりまく状況にも変化が訪れ…しみじみとした情感や感動を味わえる名作です。HIVにまつわることなど、さまざまなゲイのリアリティが描かれています。この名作を「オトナの事情≒コドモの二乗」「Sweet Arrow Theatricals」という2つのユニットが共同で上演することになりました。本番のアトリエ公演の前に、ブロードウェイなどでよくあるお客様の意見を聞くための「プレビュー公演」が行なわれます。内容はリーディング公演+パネルディスカッションで、脚本を書いた関根信一さんもパネラーとして登場します。
<あらすじ>
1980年。25歳の亮平は予備校教師。冬期講習前の特別講座で訪れた札幌でしたたかに酔い、気づけばホテルの一室だった。隣で眠っていたのは若い男・健人。妻子もある身でありながら、男と一夜を共にしてしまったのだ。それから25年間、彼らは毎年一度のデートを重ねることになる…。
TEA FOR TWO 二人でお茶を(プレビュー公演)
日時:2025年3月21日(金)19:00-
会場:東高円寺K's スタジオ本館
出演:伊藤靖浩、塚越健一 パネル出演:関根信一
入場無料
4月12日〜13日 東京
サクラ特急晴れカラス
旗揚げから17年目を迎えたtheStagPartyShow東京。その本公演第1弾は、ほんの少しのファンタジーを織り交ぜた一つの家庭の人間模様。魔法使いや殺し屋、はたまた花魁まで登場する奇想天外なストーリーが、春が逝く季節の中で繰り広げられます。桜散る景色の中で、主人公たちの切ない思いをご一緒に体感くださいませ。
<あらすじ>
梶野原の家は父の代までの自宅を改装し、古民家カフェ&ギャラリーとして営みを始めていた。切り盛りするのは跡取りの宣明である。カフェ&ギャラリーと言っても、地元の人々が集まる集会場のような趣である。宣明の弟、和春が久々にこの家に戻ってくる日、のんびりとした時間の流れるその場所に、その春、花見客と共に新たなお客もやってくる。和春の心の中で繰り広げられる幼い頃の思い出の詰まったその家の風景は、空想世界となり、現実の人々とオーバーラップして春の短い幻が動き出す…
theStagPartyShow東京 24回公演「サクラ特急晴れカラス」
日時:4月12日(土)14:00-/17:30-、13日(日)14:00-/17:30-
会場:東京おかっぱちゃんハウス(練馬区上石神井3−30−8)
料金:2800円(1ドリンク付き)
チケットはこちら
作・演出:キタムラセキチ
出演:まる、ゆうだい、たかし、おおすけ、ともひろ、ヒロキ、マサムネ、年清由香(GUEST)、立花明依(GUEST)
音楽:菊池ジョバンニ、USHI
4月24日〜27日 東京
TEA FOR TWO 二人でお茶を(アトリエ公演)
上記の「オトナの事情≒コドモの二乗」「Sweet Arrow Theatricals」による『TEA FOR TWO 二人でお茶を』アトリエ公演、いわば本番の舞台です。3名の演出家がそれぞれの舞台を演出しあうかたちになるそうです。
(ちなみに演出の一人、伊藤靖浩さんは東京都でパートナーシップ宣誓をしていらっしゃる当事者の方です)
TEA FOR TWO 二人でお茶を(アトリエ公演)
日程:2025年4月24日〜27日 全9ステージ
会場:東高円寺K's スタジオ本館
料金:¥3500
脚本:関根信一
演出:伊藤靖浩(Sweet Arrow Theatricals)、稲垣干城、塚越健一(オトナの事情≒コドモの二乗)
4月27日~5月18日
ミュージカル『キンキーブーツ』
数あるゲイミュージカルの中でも『RENT』などと並び称される感動の名作『キンキーブーツ』(ブロードウェイ版のレビューはこちら)。日本版ではかつて三浦春馬さんが主演し、多くの観客を魅了しました。この4月27日~5月18日に渋谷の東急シアターオーブで、5月26日~6月8日に大阪のオリックス劇場で、メインキャストがほぼ一新されたかたちで上演されます。ドラァグクイーン・ローラ役は甲斐翔真さん(『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』など)と松下優也さんのWキャストです。
ミュージカル『キンキーブーツ』
【東京公演】
日程:2025年4月27日(日)~5月18日(日)
会場:東急シアターオーブ
【大阪公演】
日程:2025年5月26日(月)~6月8日(日)
会場:オリックス劇場
詳細・チケットはこちら
5月17日~6月8日 東京
舞台『Take Me Out』2025 【東京公演】
2003年度トニー賞作品賞受賞作である『Take Me Out』は、メジャーリーグチームのロッカールームを舞台にした男だけのストレートプレイで、人種差別問題や性的マイノリティ、階級、スポーツにおける男らしさといったテーマを基に、メジャーリーグの華やかな選手たちの関係を捉えながら、そこに渦巻く閉鎖性によって浮き彫りになる社会的マイノリティに深く切り込んだ作品です。メジャーリーグのスター選手のカミングアウトによってチーム内に微妙な空気が流れるなか、新たな問題が…。セクシュアリティ、人種、出自も様々なメンバーたちの葛藤。予想外にして衝撃的な展開は、いろいろなことを考えさせます。2016年に東京と兵庫で日本初演され、第51回紀伊國屋演劇賞団体賞対象作品となりました(レビューはこちら)
この『Take Me Out』が(2018年に再演されたそうなのですが)7年ぶりに、東京・愛知・岡山・兵庫で上演されます。2018年の再演を支えたオリジナルメンバーに新メンバーを加えた経験豊かな「レジェンドチーム」、そして新たな試みとして、一般公募計330人の中からオーディションを勝ち抜いた11人の新メンバーのみで構成する「ルーキーチーム」の2チームで上演されます。野球経験の豊富なキャストや、今回が舞台初出演となるキャストなど多様な俳優が集まっており、2つのチームによる試合さながらの熱い公演が繰り広げられるそうです。
演出の藤田俊太郎さんは、このようにコメントしています。
「舞台となるアメリカ合衆国のメジャーリーグ、2003年。イラク戦争開戦の年です。リチャード・グリーンバーグさんがどんな希望を込めて劇作をしたのかを更に深く、とことん追い求めたいと考えています。ラストシーンのせりふで、「言葉にするのが難しいだけかな」という呟きがあります。価値観の違うもの同士の対話、友好関係、そして言葉と肉体を通して思いを伝え合うこと。野球の感動と演劇を交錯させ、言葉を尽くした上で、言葉にできない思い、もしくは言葉にしか託せない想いを役者の身体に宿したいと思っています。そして『Take Me Out』というタイトルに込められた“ここではないどこかへ連れ出してくれる存在”には、ルーツや今いる場所を大事にするというもうひとつのテーマが明確に描かれているのではとあらためて考え、新たな創作をしたいと思っています。
21世紀の初頭から激動の時を過ごし、2025年を生きる私たちが、この四半世紀で何を損ない、何を守ることができたのか。この愛の物語を最愛のお客様と共に劇場で体感したいと思っております。真心を込め大切に紡ぐ2チームを是非ご覧になってください」
<あらすじ>
メジャーリーグのルーキーでMVPも獲っているスーパースター、ダレン・レミングは、ある日突然、テレビで「私はゲイです」とカムアウトし、大騒ぎに。しかし、誰よりもカミングアウトに驚き、動揺したのは、チームメイトたちで…。
舞台『Take Me Out』2025
作:リチャード・グリーンバーグ
翻訳:小川絵梨子
演出:藤田俊太郎
出演:
レジェンドチーム:玉置玲央、三浦涼介、章平、原嘉孝、小柳心、渡辺大、陳内将、加藤良輔、辛源、玲央バルトナー、田中茂弘
ルーキーチーム:富岡晃一郎、八木将康、野村祐希、坂井友秋、安楽信顕、近藤頌利、島田隆誠、岩崎MARK雄大、宮下涼太、小山うぃる、KENTARO
ベンチ入り(スウィング):本間健太(レジェンドチーム)、大平祐輝(ルーキーチーム)
【東京公演】
2025年5月17日(土)~6月8日(日)
会場:有楽町よみうりホール
全30公演(レジェンドチーム20回、ルーキーチーム10回)
※6月以降の愛知・岡山・兵庫公演についてはまたあらためてお伝えします
INDEX
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