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特集:2025年1月の映画・ドラマ
2025年1月に上映・放送・配信されるLGBTQ関連の映画やドラマの情報をお伝えします。今月は抱腹絶倒!な下ネタコメディ『ディックス!! ザ・ミュージカル』、アルモドバルがヴェネツィアで金獅子賞に輝いた『ザ・ルーム・ネクスト・ドア』などが公開されます
(『ディックス!! ザ・ミュージカル』より)
みなさま、2024年はお世話になりました。2025年もどうぞよろしくお願いいたします。
毎月恒例の映画・ドラマ紹介特集をお届けします。
今月は抱腹絶倒!な下ネタコメディ『ディックス!! ザ・ミュージカル』、アルモドバルがヴェネツィアで金獅子賞に輝いた『ザ・ルーム・ネクスト・ドア』などが公開されます。
きっとほかにも素敵な映画やドラマの情報が出てくると思いますので、新たにわかり次第、追加・更新していきます。
ちなみに1月1日は「ファーストデー」。多くの映画館で1100円〜1200円で映画を観ることができます(特別上映等を除く)
(最終更新日:2025年1月9日)
1月1日より配信
「きのう何食べた?」シーズン2
昨年放送され、「神回」が続出した名作ドラマ、「きのう何食べた?」シーズン2が1月1日からアマプラで配信されます。もう一度あの感動を味わいたい皆様も、まだご覧になっていない皆様もぜひ。
<あらすじ>
小さな弁護士事務所で働く雇われ弁護士・筧史朗(西島秀俊)とその恋人で美容師の矢吹賢二(内野聖陽)。2人は“シロさん”“ケンジ”と呼び合う恋人同士だ。史朗の日課は、定時に事務所を出た後に近所の安売りスーパーへ向かうこと。お買い得な食材をすばやく吟味しながら、頭の中で瞬時に夕食の献立を組み立てていく。月の食費を 2 万 5 千円以内に抑えるのが史朗にとっての重要課題だが、いよいよ限界が近づき値上げを考え始める。さらに、それぞれの勤務先や、男2人暮らしにも徐々に変化が起きてくるのだが…
「きのう何食べた?」シーズン2
全12話
2023年
Amazon prime videoにて配信スタート
1月5日より配信
グッバイ・ファーストラブ
短編『WILL YOU LOOK AT ME(英題)』(2022)が第76回カンヌ国際映画祭クィア・パルム短編賞やサンダンス映画祭2023短編映画部門審査員賞、第59回金馬奨最優秀短編ドキュメンタリー映画賞等を受賞し、撮影監督を務めた『FAREWELL, MY HOMETOWN(英題)』(2021)は2021年釜山国際映画祭でグランプリに輝いた、ニューヨーク在住の中国人映像作家シュリ・ホアン。ゲイである彼が、自らの実体験をもとに、互いに海外で暮らす元恋人同士の中国人青年たちのフランクフルトでの再会を叙情豊かに描いた13分の短編最新作が『グッバイ・ファーストラブ』です。第63回年ベルリン国際映画祭でプレミア上映され、第51回ゲント国際映画祭で最優秀国際短篇映画賞を受賞しています。1月5日からJAIHOで配信されます。
<あらすじ>
ニューヨークで長く暮らしている青年は、ヨーロッパ出張を利用して7年ぶりの再会となる元恋人に会うためドイツのフランクフルトを訪れる。かつて二人で過ごした北京での日々、今の恋人との生活、そしてこれからの人生について二人は静かに語り合う。やがてフランクフルトの夜はふけ、別れの時が迫る。二人はお互いに二度と会うことはないと感じていた…。
グッバイ・ファーストラブ
英題:GOODBYE FIRST LOVE、原題:经过
2024年/アメリカ/13分/監督:シュリ・ホアン/出演:シム・チェン、シュリ・ホアン
JAIHOにて配信
1月17日より公開
ディックス!! ザ・ミュージカル
エブエブや『ムーンライト』『ザ・ホエール』など数々の名作クィア映画を手がけてきたA24の、初のミュージカルは、ゲイテイストで下ネタ全開な『ディックス!! ザ・ミュージカル』。ひょんなことから再会した生き別れの双子が、両親を復縁させようとするも思わぬ事態に陥っていく姿を描き、2023年・第48回トロント国際映画祭ミッドナイト・マッドネス部門で観客賞を受賞したコメディミュージカル作品です。この映画のポイントは、主演の二人、そして重要なサブキャラクターのネイサン・レイン(『バードケージ』『プロデューサーズ』『ジェフリー!』)、ボーウェン・ヤン(『ファイアー・アイランド』)などがゲイの俳優だという点。ある意味、女好きで下品なノンケ男をゲイが笑い飛ばすような作品になっているのです。監督は『ボラット 栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習』(あのマンキニを世界に広めた映画です)のラリー・チャールズで、『グレイテスト・ショーマン』や『ラ・ラ・ランド』のスタッフが製作に携わっています。(トップ画像は艶やかな神様に扮したボーウェン・ヤンです)
<あらすじ>
ニューヨークでセールスマンとして働く、女と権力が大好きなクレイグとトレヴァー。新しい職場で出会った彼らは互いに敵意を抱くが、実は生き別れの双子であることが判明する。自分たちの人生に足りないのは完璧な家族だと気づいた2人は、離婚した両親を復縁させようと企てる。しかし父親が世間に隠していた異形の家族の存在によって計画が狂いはじめ、やがて地下世界に隠された大いなる秘密へとつながっていく。
ディックス!! ザ・ミュージカル
原題または英題:Dicks: The Musical
2023年/アメリカ/86分/R15+/監督:ラリー・チャールズ/出演:ジョシュ・シャープ、アーロン・ジャクソン、ミーガン・ザ・スタリオン、ネイサン・レインほか
1月17日より公開
今日の海が何色でも
タイ南部の海辺の町で出会った二人の女性がひかれあう姿を、環境問題をテーマにしたアートを交えながら美しい映像でつづったドラマ作品。本作が長編劇映画デビュー作となるパティパン・ブンタリクが監督・脚本を手がけています。2023年・第28回釜山国際映画祭ニューカレンツ部門にてNETPAC賞(最優秀アジア映画賞)を受賞しました。
<あらすじ>
イスラム教徒が多く暮らすタイ南部の町ソンクラー。かつてこの町には美しい砂浜があったが、高潮によって侵食され、現在は護岸用の人工の岩に置き換えられている。保守的なイスラム教徒の家庭に生まれ育ったシャティは親から結婚を急かされているが、親が決めた相手と結婚させられることに疑問を抱いていた。そんなある日、シャティは町で防波堤をテーマにした美術展を開くため都会からやって来たビジュアルアーティストのフォンと出会い、彼女を手伝うことに。正反対の環境に生まれ育った対照的なふたりは、互いを深く理解していくなかでひかれあうようになるが……。
今日の海が何色でも
原題または英題:Solids by the Seashore
2023年/タイ/93分/G/監督:パティパン・ブンタリク
1月17日上映 軽井沢
恋人はアンバー
子どもからシニアまで障害の有無にかかわらず、日本語が母語でない人もみんなで映画を楽しむユニバーサルなイベント「まるっとみんなで映画祭2025 in KARUIZAWA」が1月17日から20日まで軽井沢で開催されます。その中の上映作品の一つとして『恋人はアンバー』が17日に上映されます。
『恋人はアンバー』は2021年のレインボー・リール東京で上映されたあと、一般公開もされた映画で、ゲラゲラ笑えるコメディでありながら最後には泣けてしまう青春ラブコメ。自分がゲイだとなかなか受け容れられない男子高校生の苦悩や、レズビアンとゲイの友情を描いた作品です。とても良い映画ですので、未見の方はぜひこの機会にご覧ください。
<あらすじ>
1995年、アイルランドの田舎町。高校生のエディは父の後を継いで軍隊に入ることを望み、アンバーは自由な大都会ロンドンに引っ越すことを夢見ている。二人の共通点は同性愛者だということ。周囲にセクシュアリティを悟られないようカップルを演じることにしたエディとアンバーだが、やがて二人の“理想的”な関係は崩れはじめ…。
恋人はアンバー
原題:Dating Amber
2020年/アイルランド/92分/監督:デヴィッド・フライン
軽井沢町中央公民館 大講堂(長野県北佐久郡軽井沢町長倉2353-1)で1月17日(金) 18:30〜20:05に上映
1月24日より配信
孔雀
レインボー・リール東京2023のオープニング作品として上映された『孔雀』は、釜山国際映画祭やサンフランシスコ国際映画祭にも出品された韓国映画『孔雀』。短編『神の娘のダンス』(2020)で世界に注目された実力派のピョン・ソンビン監督が、同作主演のヘジュンと再びタッグを組んで撮りあげた長編デビュー作です。トランス女性が主人公の韓国作品で、ダンスのシーンや主人公のメイク&ファッションが素晴らしくてエンタメ感も感じさせつつ、地方の村でのクィアフォビアがものすごくシビアに描かれていて、観客にいろいろ考えさせるような作品です。その『孔雀』が1月24日よりJAIHOで配信されます。
<あらすじ>
家族や故郷の人々と絶縁しているトランスジェンダー女性のミョン。性別適合手術の費用が必要な彼女は、賞金目当てにワックダンスの大会に出場するが、優勝を逃してしまう。そんな時、ミョンは父の訃報とともに、「四十九日の法要で伝統舞踊のソゴチュム(小鼓舞)を踊れば遺産を渡す」と父が遺言を残していたことを知り……
孔雀
原題:공작새、英題:Peafowl
2022年/韓国/115分/監督:ピョン・ソンビン/出演:ヘジュン、キ・ジュボンほか
1月24日よりJAIHOで配信(日本語字幕つき)
1月26日上映 西東京(東京)
ゲイビー・ベイビー
アメリカや欧州でゲイやレズビアンのカップルによる子育てが当たり前になって久しいわけですが、そうして成長した子どもたちを主役に据えた「GAYの家庭に育つ子どもたちを、彼ら自身の視点で描いた初めてのドキュメンタリー映画」として世界のLGBTQ映画祭などで上映され、反響を呼んだのが2015年のオーストラリア映画『ゲイビー・ベイビー』でした。2016年のレインボー・リール東京でも上映されています。監督は、自身も二人の母親に育てられたマヤ・ニューウェル。ゲイやレズビアンのカップルに育てられている4人の子どもたちをフィーチャーしています。映画の最後に、オーストラリアだからこその、とっておきの映像が流れます。素晴らしいフィナーレ。感動させられます。(レビューはこちら)
そんな名作『ゲイビー・ベイビー』が、西東京市男女平等推進センター「パリテ」が主催するイベント「パリテまつり」(吉田恵里香さんの講演会などもあるそうです)の中の一企画として上映され、実際に子育てをしている茂田まみこさん&長村さと子さんカップルを招いてのトークも行なわれます。
ゲイビー・ベイビー
原題:Gayby Baby
2015年/オーストラリア/85分/監督:マヤ・ニューウェル
映画『ゲイビーベイビー』上映会&交流会
日時:1月26日(日)13:30-15:30
会場:J:COMコール田無 イベントルームA
定員:40名
対象:多様な家族のかたちに興味・関心がある方、LGBTQに関心がある方
申込フォームはこちら
1月31日より公開
ザ・ルーム・ネクスト・ドア
ペドロ・アルモドバル監督の最新作がヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞にというニュースでお伝えしていた『ザ・ルーム・ネクスト・ドア』がいよいよ公開されます。
スペインが生んだ世界的巨匠であり、ゲイであることをカムアウトして『欲望の法則』『バッド・エデュケーション』『アイム・ソー・エキサイテッド!』『ペイン・アンド・グローリー』、そして『ストレンジ・ウェイ・オブ・ライフ』のようなゲイ映画を世に送り出してきたペドロ・アルモドバル監督。最新作の『The Room Next Door』は安楽死をテーマとした作品で、ティルダ・スウィントンとジュリアン・ムーアという大ベテラン女優が共演し、がんを患う女性がかつての友人と再会し、友情が再燃していく様が描かれています。深い感情描写の演技とエモーショナルなストーリーラインが観客の感動を喚び起こし、ヴェネツィアでの上映後は17分にも及ぶスタンディングオベーション、史上最高の絶賛を受けたそうです。
アカデミー外国語映画賞を受賞した『オール・アバウト・マイ・マザー』以降の洗練された芸術的な作風の系譜に属する作品で、クィア映画ではないと思われるのですが、アルモドバルが金獅子賞に輝いた記念すべき
作品として、ぜひ鑑賞の候補に入れていただければ。
<あらすじ>
重い病に侵されたマーサは、かつての親友イングリッドと再会し、会っていなかった時間を埋めるように、病室で語らう日々を過ごしていた。治療を拒み、自らの意志で安楽死を望むマーサは、人の気配を感じながら最期を迎えたいと願い、“その日”が来る時にはイングリッドに隣の部屋にいてほしいと頼む。悩んだ末にマーサの最期に寄り添うことを決めたイングリッドは、マーサが借りた森の中の小さな家で暮らし始める。マーサはイングリッドに「ドアを開けて寝るけれど、もしドアが閉まっていたら私はもうこの世にはいない」と告げ、マーサが最期を迎えるまでの短い数日間が始まる…。
ザ・ルーム・ネクスト・ドア
原題:La habitacion de al lado
2024年/スペイン/107分/G/監督:ペドロ・アルモドバル/出演:ティルダ・スウィントン、ジュリアン・ムーアほか
INDEX
- 特集:レインボーイベント2025(上半期)
- レポート:第23回女装紅白歌合戦
- レポート:年忘れお楽しみイベント「gaku-GAY-kai 2024」
- 特集:2025年1月の映画・ドラマ
- 特集:年越しカウントダウンイベント 2024→2025
- 「結婚の自由をすべての人に」九州訴訟二審・福岡高裁判決の意義
- レポート:ピンクドット沖縄2024
- レポート:GLOW UP! ラガンジャ・エストランジャ東京公演
- レポート:高知にじいろパレード
- レポート:エイズ学会2024(3)
- レポート:エイズ学会2024(2)
- レポート:エイズ学会2024(1)
- 2024-2025 冬〜新春のオススメ舞台作品
- 特集:2024年12月の映画・ドラマ
- 2024-2025 冬〜初春のアート展
- レポート:「トランスジェンダーを含むLGBTQ+差別に反対する映画監督有志の声明」掲出プロジェクトに関する会見
- 特集:新宿の街へ出よう
- レポート:東京トランスマーチ2024
- レポート:みやぎにじいろパレード2024
- レポート:「work with Pride 2024」カンファレンス
SCHEDULE
- 01.17しゃぶしゃぶガールズ
- 01.18令和のぺ祭 -順平 BIRTHDAY PARTY-
- 01.18GLOBAL KISS