FEATURES
2026夏のクィア・アート展
2026年6月〜9月に開催されるLGBTQ(クィア)関連のアート展の情報をまとめてご紹介します。東京ではプライド月間に【Queer Art Exhibition】が開催。多くのゲイのアーティストの作品が展示されているテート美術館展は京都に巡回します

(【Queer Art Exhibition】展示風景)
早くも夏ですね!(今年は台風多そうで憂鬱…) ぜひ劇場や映画館などと合わせてギャラリーや美術館にもお出かけください。というわけで、2026年6月〜9月に開催のLGBTQ(クィア)関連のアート展の情報をまとめてご紹介します(と言っても、現在、あまり数は多くないのですが…)。東京ではプライド月間にTRPが【Queer Art Exhibition】を開催。40名近いクィア・アーティストの作品が一堂に会します。それから、多くのゲイのアーティストの作品が展示されているテート美術館展は京都に巡回します。
今後も新しい情報が出てくると思いますので、わかり次第、追加していきます。
(最終更新日:2026年6月10日)
* * * * * *
トピック
日本のゲイアートの傑作が多数収録された図録『お花畑/Utopian Vol.2』
美術蒐集家である中村ましゅうさんのゲイアートZINEが素晴らしいのでご紹介します。
こちらでもご紹介したように、大塚隆史(タック)さんが経営する二丁目(住所で言うと新宿3丁目)のゲイバー「タックスノット」では、(今はやってないのですが、何十年もの間)お店のお客さんによる月替わりのギャラリー展示が行なわれていました。その「タックスノット」の常連である中村ましゅうさんは、自らがアーティストとして作品を展示するのではなく、ゲイのアーティストが作ったゲイゲイしい作品を蒐集するコレクターで、時にはそうした所有作品を展示するアート展なども開催してきた方です。そんな中村ましゅうさんが、自らのゲイ(クィア)アートコレクションを図録にしたZINE※を3月末に発表しました。作品のセレクトも素晴らしいのですが、作品に添えられたコメントがとても素晴らしくて、日本のゲイアートの歴史とまではいかずとも、優れたゲイアートを生みだしてきた作家さんを多数紹介しつつ、独自の視点でそれらを(いい意味で)批評・評価しているところが読み物としての面白さになっています。日本のゲイ・エロティック・アートについては田亀源五郎さんが編纂した素晴らしいシリーズがあるのですが、エロティック・アートに限らない、もっと幅広くたくさんのゲイアートについて解説した本はほとんどなかったと思われますので、そういう意味でも貴重な、意義ある一冊になっています。
いちばん初めに紹介されているのは、最盛期の『バディ』誌の表紙の絵を描いていたJonathanです。2002年、中村さんは「タックスノット」で見たJonathanの絵にいたく惹かれ、「これは絶対に手に入れなければ」と思ったそうです。その理由がとても素敵で、全裸の男の子が自分の肛門に触れながら満足そうに微笑んでいる作品なのですが、彼はこの作品に、エロティックというよりも「朝ごはんが美味しかった」とかと同様の日常性を感じ、「うしろめたさ」が全くないことに感動したというのです。「ゲイなのか」と聞かれて怯んでしまいそうなときにも「そうだよ」と言える、そういう勇気をもらった、とも。
そんな感じで、伝説的な作家・長谷川サダオさんのことや、今はなき大阪の「ロイヤル」にもその絵が飾られていた須田剋太さんという知られざる作家さんのことや、大塚隆史さんのドラァグクイーン・トランプのことや、内藤ルネさん、ムネチカさん、アキラ・ザ・ハスラーさん、ブブ・ド・ラ・マドレーヌさん、櫻田宗久さん、関根信一さんとぢるぢるさん、矢頭保さん、ノリスケさん(「ゲイサウナ洛中洛外図」という大傑作が紹介されています)、林克彦さん、三島剛さん、寿司テルヤさん、浦丸真太郎さん、大木裕之さんなど、これでもかと、次々に、素敵な作品とそれを作った作家さんにまつわるエピソードや想いが綴られていきます。
流通に乗らないものなので、入手が結構大変なのですが、東中野のplatform3でお買い求めいただけるようですのすで、東中野に行かれた際は、ぜひお手に取って見たりお買い求めください。
※ZINEとは、個人や少人数が、商業出版や出版社に頼らず、テーマ、形式、制作から販売までを完全に自由に行う「自主制作の冊子」です。以前は「ミニコミ」とか「同人誌」と呼ばれることが多かったのですが、2000年代後半から、ZINEという言葉が輸入され、定着するようになりました

* * * * * *
5月29日〜6月14日 東京
podcast U=U × Gup to you展
二丁目のaktaと60組以上のポッドキャスターがコラボした「大丈夫だよって、伝えたい!U=Uキャンペーン!」の一環として、リニューアルしたばかりのコミュニティセンターaktaで「podcast U=U × Gup to you展」のメッセージ展が開催されています。「大丈夫だよって伝えたい」というポッドキャスターのメッセージが、以前の梅毒展のコケ丸さんによって素敵に展示されています。
podcast U=U × Gup to you展
会場:コミュニティセンターakta
開館時間:木~日曜 15-21時
6月3日~9月6日 京都
テート美術館 - YBA&BEYOND 世界を変えた90s 英国アート
1980年代後半から2000年代初頭にかけて制作された英国美術に焦点を当てる企画。サッチャー政権時代(1979-90年)を経験して失業率が悪化するなど緊張感漂う英国社会では、既存の美術の枠組みを問い、作品の制作や発表において実験的な試みをする作家たちが数多く登場しました。当時「ヤング・ブリティッシュ・アーティスト(YBA)」と呼ばれた作家たち、そして、彼らと同時代のアーティストたちは、大衆文化、個人的な物語や社会構造の変化などをテーマとし、絵画、彫刻、写真、映像、インスタレーションなど多様な手法を用いて独創的な作品を発表してきました。約60名の作家によるおおよそ100点の作品を通じて、90年代の英国美術の革新的な創作の軌跡を検証します。
そのアーティストのリストにはフランシス・ベーコンやギルバート&ジョージ(公式サイトにギルバート&ジョージの全裸写真がモチーフになっている《裸の目》(1994)という作品が紹介されています)、デレク・ジャーマン(ホモフォビアとエイズフォビアに直面したデレク・ジャーマンが描いた絵画シリーズ「クィア」の展示があるようです)、ヴォルフガング・ティルマンスといった著名なゲイのアーティストの名前もあります(ティルマンスの《The Cock (kiss)》(2002)はフライヤーにも使われていて、今回の展覧会を象徴する作品として位置づけられています)。また、異性装者として知られるグレイソン・ペリーは「陶による作品や著書を通じて性に関する社会的規範に疑問をつきつける」そうです。(レビューはこちら)
テート美術館 ― YBA & BEYOND 世界を変えた90s英国アート
【京都展】
会期:2026年6月3日(水)~9月6日(日)
会場:京都市京セラ美術館 新館 東山キューブ(京都市左京区岡崎円勝寺町124)
主催:テート美術館、ソニー・ミュージックエンタテインメント、ABCテレビ、キョードーエンタテインメント、京都新聞、FM802/FM COCOLO、京都市
出品作家: ※姓アルファベット順
サラ・エインズリー、フランシス・ベーコン、リチャード・ビリンガム、スタパ・ビスワス、ブラック・オーディオ・フィルム・コレクティヴ、ヘンリー・ボンド、クリスティン・ボーランド、アンジェラ・ブロック、ヘレン・チャドウィック、ディノス・チャップマン、ジェイク・チャップマン、マット・コリショウ、キース・コヴェントリー、マイケル・クレイグ=マーティン、マーティン・クリード、ジェレミー・デラー、キャシー・ド・モンショー、トレイシー・エミン、シール・フロイヤー、マーク・フランシス、アニャ・ガラッチョ、ギルバート&ジョージ、リアム・ギリック、ダグラス・ゴードン、ルーシー・ガニング、リチャード・ハミルトン、モナ・ハトゥム、ルベイナ・ヒミド、ダミアン・ハースト、デレク・ジャーマン、サラ・ジョーンズ、アニッシュ・カプーア、ジム・ランビー、マイケル・ランディ、マーク・レッキー、サラ・ルーカス、スティーヴ・マックィーン、リサ・ミルロイ、シーマス・ニコルソン、クリス・オフィリ、ジュリアン・オピー、コーネリア・パーカー、サイモン・パターソン、グレイソン・ペリー、スティーヴン・ピピン、マーク・クイン、ジュリー・ロバーツ、デイヴィッド・ロビリヤード、ジョニー・シャンド・キッド、デイヴィッド・シュリグリー、ジョージナ・スター、ヴォルフガング・ティルマンス、ギャヴィン・ターク、マーク・ウォリンジャー、ジリアン・ウェアリング、レイチェル・ホワイトリード、エリザベス・ライト
6月4日〜28日 東京
Queer Art Exhibition
※3日からスタートの予定でしたが、台風6号の影響により4日からとなりました
プライドフェスティバルの開催を目前に控えた4日(木)からは、今年オープンしたばかりのQueer Space Tokyoで【Queer Art Exhibition】が開催されます。LGBTQ+のアーティストによる作品を中心に、クィア文化の紹介やその歴史を見つめ直す作品、またLGBTQ+コミュニティの物語やアイデンティティを表現した作品を展示します。無料でご覧いただけますので、プライドフェスティバルと合わせてぜひお立ち寄りください。(昨年のレポートはこちら)
Queer Art Exhibition
会期:6月4日(木)~28日(火)
会場:Queer Space Tokyo(東京都港区南青山7-10-3 南青山STビル1F)
開館時間:12:00-19:00
休館日:月火
出展アーティスト(順不同):蒼/あんず/vivi & vela/上田有紗/大塚隆史 a.k.a. taqotsuka/OTOKONOKOTO/おもち/織部 佳積/かしま/KANE and KOTFE/狩野萌/川端 櫂/kurukuru ART/アヤスズキ/Kuro Roi/コココ/佐海ずう/末浪(大塚)伸二/Stitchguy/TEN/鳥籠みつ器/浪岡 道祐/Nelson Hor Ee Herng/NOAH 淵 ノア/能村/バスコ田ガマ子/林克彦/藤木 幸聖/HEY2/街角ノワ/実禾[mitsuwa]/村上陽香/最寄り/リリコーコ/林家夯 Lin Jaihang/久々利/翔平/長嶋一孝/FROM THE HELL MAGAZINE
※各アーティストのプロフィール・作品コンセプトについては公式サイトをご覧ください
6月12日〜17日、19日〜24日
「はたらくおっさん入門編」ホリムラシンジ
「TOKYO CRUISING HERO」SIN5
ホリムラシンジさんとSIN5さんの「2人展」。というよりも、昭和によくあった映画の同時上映的なノリで、同じ空間に二つの個展が存在するような「豪華大出血二本立て」になるそうです。対照的なおっさんの昼と夜をお楽しみください。会場はこれまでもゲイアート展がたくさん開催されてきた新宿眼科画廊です。
「はたらくおっさん入門編」ホリムラシンジ
「TOKYO CRUISING HERO」SIN5
会期:6月12日(金)〜17日(水)、19日(金)〜24日(水)
会場:新宿眼科画廊スペースO
開館時間:12:00-20:00 ※水曜は17:00まで
6月18日〜7月12日 東京
キミはジブン 原画展
コミュニティセンターaktaで開催されるアート展。『キミはジブン』というのは絵本で、つっとんさんという方が絵を手がけているのですが、今回、その素敵な絵の原画が展示されるようです。
キミはジブン 原画展
会期:6月18日(木)〜7月12日(日)
会場:コミュニティセンターakta
開館時間:木~日曜 15-21時
7月16日〜27日 東京
尻博2026
毎年開催されているお尻をテーマにしたグループ展「尻博」。今回は六原龍さんも参加します。
※女性のお尻も多数というか、女性のほうがメインになりますので、ご注意ください。
尻博2026
会期:2026年7月16日(木)〜27日(月)
場所:東京神保町 文房堂ギャラリー
7月に発表するモデルさんのスケッチ。新しい方と何度か描かせていただいているモデルさん。〝お尻〟の博覧会ということで思い切ってお尻を全面に出した作品を2枚描く予定です pic.twitter.com/2qiVVFeleA
— 六原龍 (@ryu_rokuhara) April 23, 2026
7月18日〜19日 東京
TOKYO MALE ART FAIR
TOKYO MALE ART FAIRは、2024年から新たにスタートした男性表象・メイルアートに特化したアートフェアです。TOKYO MALE ART FAIR では、進化を続ける男性表象の「いま」を体感することのできる機会、およびアーティストの発表・交流の場を創出することで、男性表象のさらなる普及・発展を目指しております。第3回の開催となる今年は、日本のみならずアジアで身体性、セクシュアリティ、社会とのかかわりなど男性表象をテーマに作品制作を行なってきたアーティスト、男性表象にまつわる本を取り扱う書店などが一堂に集結します。
TOKYO MALE ART FAIR
会期:7月18日(土)13:00–18:00、19日(日)12:00-19:00
会場:会場:BUoY(東京都足立区千住仲町49−11)
料金:¥1,500(会場内で使用できる500円クーポン付き)
INDEX
- レポート:名古屋レインボープライド2026
- 2026夏のクィア・アート展
- 特集:第33回レインボー・リール東京〜東京国際レズビアン&ゲイ映画祭〜
- 特集:プライドウィーク2026東京
- レポート:プライドクルーズ大阪2026
- 特集:2026年6月の映画・ドラマ
- レポート:山口レインボープライド2026
- 名古屋のゲイフェス「NLGR+2026」が熱い!
- レポート:乱雄會presents六尺ナイトvol.14
- レポート:huGe+Xposure -ふんどしBanquet-
- レポート:いわてレインボーマーチ2026
- レポート:京都レインボープライド2026
- 特集:2026年5月の映画・ドラマ
- 特集:GAY NIGHT 2026 GW
- 特集:2026年4月の映画・ドラマ
- レポート:GAP6「2030年までのHIV流行終結を目指すPhoto&Movieプロジェクト」記者発表会
- 2026上期の舞台作品
- レポート:第4回岸和田レインボーパレード
- 春だから検査を受けよう! 東京都新宿東口検査・相談室レポート
- 2026春のクィア・アート展







