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英国大使館でゲイカップルが結婚

2015年04月27日

 4月24日、駐日英国大使館で、同大使館に勤務する英国人男性、ティム・ジョンソンさん(51)とライアン・パーキンスさん(40)が結婚式を挙げました。 

 ジュリア・ロングボトム公使が執り行った式に、揃いのグレーのスーツに青と赤の色違いのシャツとネクタイで臨んだお二人は、やや緊張した面持ちで手を取り合い、誓いのキスを交わし、友人や同僚ら約50人の出席者からあたたかい拍手を送られると、晴れがましい笑顔を見せました。そして、異性婚と全く同じようにマリッジ・ブック(婚姻届)にサインしました。大使館の庭園で行われた披露宴では、ティモシー・ヒッチンズ大使が「鏡開き」を行い、日本酒で乾杯したり、お二人がサプライズで和太鼓を披露するなど、たいへん和風で和やかなパーティになりました。
 式には、4月19日に同性結婚式を挙げた一ノ瀬文香&杉森茜さんも参加、「フランクで、とても素敵な結婚式でした。総領事の方も、気さくに話しかけてくれました」と笑顔で語りました。
 また、NPO法人「虹色ダイバーシティ」代表の村木真紀さんも参列、「素晴らしいロケーション。新郎同士も、とてもチャーミングでした」と微笑みました。「結婚式は、とてもプライベートなものなのに、東京レインボーパレードのタイミングで、私たちのようなLGBTアクティビストも招待してくれて、すごく英国大使館がサポートしてくれているんだなと感じました。私たちは、もともと英国のストーンウォールの活動をモデルにしているので、一層頑張らないといけないなと思いました」 

 ティムさん&ライアンさんは、18歳頃にゲイであることを家族に打ち明け、前向きに受け入れられたといいます。「いかなる差別も経験しなかった」そうです。
 ティムさんは、自らのセクシュアリティを受け入れ、周囲の友人や家族にカミングアウトできるようにサポートをする団体「ロンドンフレンド」で活動していた経験を持ち、ライアンさんは、レイシズム(人種差別)による犯罪をなくすためのチャリティ・キャンペーン「ノー・ヘイト・クライム」で役員を務めていたそうです。
 そんなお二人が出会ったのは2010年、スポーツのチャリティイベントだったそうです。「最初のデートは、ロンドン西部にあるキューガーデンでした。大きな王立植物園で、日本の仏塔もあるところです。そこで、私たちは将来、日本で休日を過ごすことができるだろうか、と語り合いました。いつか、私たちが日本に暮らし、働き、そして結婚することになるとは、その当時は思いもしませんでした」
 そして、英国貿易投資総省で働くお二人は、2013年に東京の駐日英国大使館に異動してきて(東京レインボープライドの英国大使館ブースにも来られています)、日本への想いを強くし、東京にたくさんの友だちもでき、日本で結婚式を挙げようと思うようになったそうです。「駐日英国大使館は、英国の法律の下、私たちの結婚を認証します。ですから、母国英国に戻ったときに、私たちのパートナーシップは認められることになります」
 同性カップルのパートナーシップを結婚に相当すると認める渋谷区の新条例についてお二人は、「それぞれの国々が、それぞれのペースでLGBT政策を進めていかなけばなりません。私たちは、英国におけるダイバーシティ&インクルージョン(多様性と包括性)の方針を見てもらえるように、結婚式に日本のゲストやメディアの方々を招待しました」と語りました。

 英国では同性愛は半世紀前まで違法とされましたが、1970年代ごろから多様な性の権利を求める市民運動が広がり、受容へ大きく動きました(映画『パレードへようこそ!』に80年代の英国のリアリティが描かれています)。2005年にはシビルユニオン(結婚と同等の実質を備える同性パートナー法)が認められ、昨年3月、晴れて同性カップルも結婚できるようになりました。そして昨年6月、英国は、地元当局が許可すれば、たとえ同性婚が合法化されていない国や地域であっても、英国人とその同性パートナーに現地の在外公館での婚姻届の受理を認めると発表しました。これに対し、香港政府は拒否の姿勢を示し、地元のLGBT団体から非難を受けましたが、中国では、駐上海英国総領事が同性パートナーと結婚しました(詳しくはこちら)。駐日英国大使館でも、これまでに4組の同性カップルの結婚式が行われたそうです。 
 
「この結婚が、差別や偏見に苦しむセクシュアルマイノリティにとって一つの希望になれば」と、東京レインボープライドの前日に結婚式を挙げ、東京レインボープライド「フェスタ」2日目には英国大使館の和太鼓パフォーマンスにも参加してくれたティムさん&ライアンさん。本当に素敵なかたちで日本のセクシュアルマイノリティへのフレンドシップ(連帯)を示してくれたお二人に、感謝の気持ちと、心からの「おめでとう」をお伝えしたい気持ちです。



多様な性 受け入れて 英国大使館 同性職員が結婚式(東京新聞)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2015042502000251.html

「それぞれの国が、LGBT政策を」男性2人が、駐日英国大使館でウェディング(The Huffington Post)
http://www.huffingtonpost.jp/2015/04/24/same-sex-marriage-at-the-british-embassy_n_7134456.html

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