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全米で同性婚が認められ、祝福ムードに包まれた各地のプライドパレード

2015年07月02日
  6月26日に連邦最高裁が同性婚を認める判決を下し、歓喜に沸き返ったまま、アメリカはプライドウィークに突入! 6月28日(ストーンウォール事件と同じ日)には、ニューヨークやサンフランシスコをはじめ全米各地で祝福ムードいっぱいのプライドパレードが行われました。

 ニューヨークでは、目抜き通りの5番街でパレードが行われ、200万人規模の市民や観光客らが集まり、過去最大規模の盛り上がりを見せました。正午前、クラクションを鳴らしながらたくさんの大型オートバイ(Dykes on bykes)が走り抜け、ニューヨーク・プライドがスタート。2万人以上が、3km余りを晴れやかに、特別な思いで行進しました。ニューヨークのビル・デブラシオ市長もパレードを歩き、参加者を祝福したほか、『ホビット』シリーズのイアン・マッケランや、同様にゲイであることをオープンにしている俳優のデレク・ジャコビ(二人は2013年からTVシリーズ「Vicious」で年配のゲイ・カップルを演じています)が共にレインボーのたすきをかけてパレードを先導しました。また、長年同性愛を禁じてきたボーイスカウトも今回は参加し、歓迎を受けました。
 沿道の人たちもレインボーフラッグを振ったり、カラフルな仮装をしたり、同性婚合法化を祝福する雰囲気にあふれていました。その中には、東小雪さんと増原裕子さんの姿もありました。72歳の同性愛者の女性は「かつては、もっと小規模で観衆も少なかった。認められる時代が来るとは思ってもいなかった」と語っていたそうです。70歳の男性同性愛者、ロン・マーティンさんは「以前は偏見が強く専門店以外のレストランに入るのさえつらかった。今はまったくそんなことはない」と感慨深げに語りました。

 

 ニューヨークと並び、最大級のパレードが行われるサンフランシスコでも28日、サンフランシスコ・プライドが開催されました。いつもなら日曜の朝は人影まばらなサンフランシスコ市内の目抜き通りですが、この日は朝からカラフルに着飾った人たちでごった返していました。午前10時半にパレードがスタートし、LGBTやその家族、支援者ら約2万6千人が踊ったり手を振ったりしながら晴れやかに行進しました。なかには男性どうしで熱いキスを交わす人たちや、涙を拭きながら真新しい結婚指輪を沿道の人に見せる人もいました。CEOのティム・クックがゲイであることをカミングアウトしたアップルの社員をはじめ、LGBT支援を表明する企業の従業員や政治家なども多数、参加していました。
 沿道にも多くの人が詰めかけ、最高裁判決の原告だったジム・オバーガフェルさんがオープンカーに乗って現れると、ひときわ大きな歓声が上がりました。
 12歳の娘と同級生の少女2人を連れて来たジバーニさん(ストレートの方)は「子どもたちに平等な権利の重要性を教えるために来た」と語ったそうです。
 実はサンフランシスコでは27日、プライドイベントの最中に発砲があり、観衆の1人がけがをするという事件がありました。これは2つの少年グループが現場で口論となって起こったもので、同性愛嫌悪(ホモフォビア)による憎悪犯罪(ヘイトクライム)というわけではなかったそうです。

 それから、28日にはカナダのトロントでも35回目のプライドパレードが開催されました。あいにくの霧雨ではありましたが、トロント出身のデヴィッド・ファーニッシュ(エルトン・ジョンの夫)やシンディ・ローパーがパレードの主役をつとめ、ゲイの映画監督ジョン・ウォーターズ(『ピンクフラミンゴ』『ヘアスプレー』)やロシアのフェミニストパンクバンド「プッシー・ライオット」も登場、そして、オンタリオ州知事のキャスリーン・ウィン氏(オープンリー・レズビアンの方です)をはじめ主要な政治家やセレブらが参加し、盛大なパレードとなりました(雨でも恒例の水かけが行なわれました)。日本からのトロントプライドツアーに参加したみなさんも、パレードはもちろん、現地のイケメンさんとの交流会を楽しんだり、なんと観光局が用意してくれたスペシャルKey(優待パス)でマドンナがプロデュースした「Hard Candy fitness」に入ることができたり、トロントのゲイツアーを満喫したそうです(詳しくはこちら

 

 アメリカだけでなく、ロンドン、パリ、ベルリン、ダブリンなどでもパレードが行われました。
 ロンドンでは27日(土)にパレードが行われました。ロンドン名物の2階建てバスを走らせたバークレー銀行やVirginグループ、Vodafoneなど多くの企業も参加しました。『パレードへようこそ!』のLGSM(と連帯する炭鉱街の人たち)が登場すると、沿道から大きな拍手が贈られました。
 パリでも27日(土)14時にリュクサンブール公園からパレードがスタート。こちらもパリ交通公団や国鉄、水道局など大手企業や公社がフロートを出していたそうです。
 ベルリンをはじめ、ドイツの多くの都市ではストーンウォール事件が起こったクリストファー・ストリートにちなみ、毎年「クリストファー・ストリート・デイ」というプライドパレードが開催されています。ドラァグクイーンだけでなく、レザーの人たちなども多数。派手にオシャレに盛り上がりました。
 先日、初めて国民投票で憲法を改正して同性婚を認めたアイルランドのダブリンでも、27日(土)にパレードが開催され、これまでの約2倍となる5万人が行進したそうです。やはりグーグルやFacebook、amazon、Yahoo!など、大手企業がたくさんフロートを出展していたほか、各党の党首らもパレードに参加し、アピールしていたようです。
 その他、東欧や南アフリカ、中南米など、各地でこのプライドウィークにパレードが開催されました。ソウルクィアパレードについてはこちらをご覧ください。

 
 

 世界的に祝福ムードに包まれたプライドウィークでしたが、そのなかでひときわ悲しい出来事として伝えられたのが、トルコのイスタンブールでのパレードでした。28日、イスタンブールで行われた「ゲイ・プライド・パレード」で、参加者の一部がエルドアン大統領を批判するシュプレヒコールを上げたことをきっかけに、機動隊が催涙ガスやゴム弾、放水によって参加者らに攻撃を始め、強制的に排除されました(こちらに現場の動画が掲載されています)。パレードを取材していた記者たちも、政権支持者や警官に襲われたそうです。
 イスラム教の国でありながら中東で唯一、政教分離が達成されている世俗国家・トルコでは、同性愛が禁止されておらず、イスタンブールでは2003年以来、平和的にパレードが行われ、イスラム諸国のなかで最大の数万人規模のパレードとなっていました。しかし、エルドアン大統領は独裁者とも言われる強権主義者で、マイノリティに対する抑圧を強めてきました。今回のパレードに対する弾圧にも、国際社会から非難が集まっています。(なお、日本のRainbow Protestersは7月5日(日)にトルコ大使館前で抗議を行うそうです→詳しくはこちら
 
 
 
NYでパレード 同性婚認める判断喜び合う(NHK)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150629/k10010131331000.html

NYで同性愛者パレード“同性婚認定”で盛り上がる(テレ朝)
http://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000053587.html

NYのパレード、同性婚判決で最大規模に(日経新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG29H1S_Z20C15A6CR0000/

米国:同性愛者パレード各地で NYでは2万人参加(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/news/20150630k0000m030048000c.html

同性婚合法の判決後のゲイ・パレードにイアン・マッケランらが参加(Cinemacafe.net)
http://www.cinemacafe.net/article/2015/06/30/32289.html

NYで「ゲイ・プライドマーチ」、最高裁の同性婚合法判断祝う(AFP)
http://www.afpbb.com/articles/-/3052999

LGBTへの支持示すパレード 全米各地で(朝日新聞)
http://www.asahi.com/articles/ASH6Y20NPH6YUHBI001.html

米国:虹色の旗で同性婚判決祝う…パレード、全米最大規模(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/news/20150629k0000e030185000c.html

(フロンティア2.0)虹色パレード、ミルクの遺志を継ぐ男性(朝日新聞)
http://www.asahi.com/articles/ASH6Y4S5SH6YUHBI01N.html

【写真特集】世界各地でゲイ・プライド・パレード開催(AFP)
http://www.afpbb.com/articles/-/3053025

トルコ警察、同性愛者のパレードを強制排除 参加者が大統領批判(AFP)
http://www.afpbb.com/articles/-/3053033

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