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米国のホリデー映画におけるLGBTQ作品の数が過去最高に多くなったことが明らかになりました

2020年12月20日

 2020年、男女のロマンスを描きがちだった「ホリデー映画」において、同性カップルをメインに据えた作品や、LGBTQのキャラクターが主役または脇役として登場する作品の数が過去最高となったことが明らかになりました。
 

 クリスマスの「ホリデー映画」といえば、『ホーム・アローン』シリーズのような子ども向け作品、そして『ラブ・アクチュアリー』『ラスト・クリスマス』のようなハートウォーミングでロマンチックな恋を描いた作品です。後者で描かれるのは専ら男女の恋で、同性カップルが主人公になることはほとんどありませんでした(そもそもクリスマスは、子どもが「神様はゲイの僕も愛してくれる?」とサンタさんに手紙を書くほど宗教的な行事ですし、クリスマス・ホリデーは年に一度家族が集まるイベントですので、LGBTQにとっては居心地の悪いものになりがちでした)
 そんなホリデー映画でも近年は同性カップルを描いた作品が増えつつあり、2020年は過去最高を記録したそうです。

 LGBTQが公正に描かれているかどうかのメディアモニタリングを行う団体「GLAAD」は、2020年、テレビや映画に登場するLGBTQのキャラクターの割合が過去最高の数字となったことを発表しました。
 GLAADのサラ・ケイト・エリスCEOはこの喜ばしい変化を「前年に比べて、LGBTQにインクルーシブな映画の公開数を見ると、昼と夜くらい(違う)」「ハリウッドが(LGBTQ+をメインキャラクターに据えるという)ビジネスモデルが機能していることを理解した」と語りました。
  
 今シーズンのホリデー映画として最も注目を集めるのは、ホールマーク・チャンネルが放送した映画『The Christmas House』と、Huluの映画『Happiest Season』だそうです。
 『The Christmas House』は(『モダン・ファミリー』のように)3つのファミリーのうちの1つがゲイカップルで、ホールマーク・チャンネルでゲイが主要なキャラクターとして登場する作品は初めてです。実はホールマーク・チャンネルは昨年、同性結婚式をフィーチャーしたCMを放送中止にし、批判や抗議、大規模なボイコット運動が巻き起こり、謝罪を余儀なくされたという話があります。今年は自らゲイカップルをフィーチャーした作品を制作するに至りました(素晴らしいですね)
 『Happiest Season』は女性たちの恋を描いた映画で、クリステン・スチュワートとマッケンジー・デイビスが主演したことや『シッツ・クリーク』のダン・レヴィも出演したことで話題となり、ストリーミングサービスの記録を更新、Huluオリジナルシリーズで最高の視聴者数を達成したそうです。(『Happiest Season』は『ハピエスト・ホリデー 私たちのカミングアウト』という邦題で来年3月に配信されます)
 ほかにもライフタイムの映画『The Christmas Setup』、パラマウント・ネットワークの映画『Dashing in December』、Netflixのドラマ『ダッシュ&リリー』(主人公リリーの兄がゲイです)、Amazonプライム・ビデオの『Friendsgiving』、テローの『I Hate New Year's』など、LGBTQのキャラクターが主役または脇役として登場するホリデー映画が続々と公開されています。
 
 サラ・ケイト・エリスCEOは「(LGBTQ作品は)非常に長い間、(利益に対する)リスクとして認識されていましたが、実際のところ本当にリスクとなって確認されたことはありませんでした」「これまではアンチLGBTQの人たちからの反発のほうが大きかった。しかし、それは変わりました」と語りました。
 
 現在、アメリカのゴールデンタイムに放送されている台本付きテレビ番組のレギュラーキャラクター879人のうち、LGBTQは90人(約10%)で、今年は初めて女性や有色人種のLGBTQがそうでないキャラクターをわずかに上回ったといいます。

 エンタメ界においては、テレビよりも映画の方がLGBTQのリプレゼンテーションの面で遅れをとっており、サラは、「映画はアメリカで最大の文化的輸出品です。同性愛や性別変更が違法とされている国がまだ70ヵ国もある中で、映画は世界中の視聴者に向けられています。広告もそうですが、私たちはより多くの人々を受け入れる必要があります。子どもや家族向けの番組におけるLGBTQキャラクターの登場の機会が増えていますが、それをもっと見る必要があります」「今まで見たことがないようなジャンルであっても、あらゆるジャンルでクィアのリプレゼンテーションを見ることは可能なはずです」と語りました。

 LGBTQ作品は今後も続々と制作が予定されています。
 2021年に公開予定の映画『A Holiday I Do』は、レズビアンのバツイチ女性が元夫の結婚式のベストマン(花婿付き添い人)を務め、ウェディングプランナーを務めるゴージャスな女性とのロマンスに落ちるストーリーだそう。
 2019年にドラマ『POSE』でエミー賞主演男優賞を黒人のゲイとして初めて受賞した俳優のビリー・ポーターが、男子高校生とトランス女子高生の恋を描く映画で監督デビューすることもニュースになりました。
 シャーリーズ・セロンが、レズビアンの主人公が妻を救う『ダイ・ハード』の制作に意欲を示していることも報じられています。
 

 

参考記事:
2020年、ホリデー映画でLGBTQ+作品が過去最高数に達する(フロントロウ)
https://front-row.jp/_ct/17415774
ビリー・ポーター、監督デビューへ 男子高生とトランス女子の恋物語(cinemacafe.net)
https://www.cinemacafe.net/article/2020/11/19/70031.html
シャーリーズ・セロン、レズビアンの主人公が妻を救う『ダイ・ハード』を作りたい(フロントロウ)
https://front-row.jp/_ct/17416107

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