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インドネシア・アチェ州で同性どうしで性交渉を持った男性2人が公開鞭打ち刑に処され、人権団体などから非難されています

 インドネシアのアチェ州で1月28日、同性どうしで性交渉を持った男性2人に対する公開鞭打ち刑が執行され、人権団体などから批判の声が上がっています。

 昨年11月、借家の一室に半裸でいたところを所有者に目撃され、逮捕されていた2人の男性は、28日、スマトラ島北部・アチェ州のシャリア※(イスラム法)に則り、それぞれ80回近く鞭で打たれました。うち1人の母親は、息子が鞭で打たれる様子を目の当たりにして失神したそうです。

※シャリアは、イスラム教の聖典コーランと預言者ムハンマドの言行録「ハディース」を基に作られたイスラム教の法律。シャリアをどのように現代社会に適用するかについては、世界中の保守派ムスリム(イスラム教徒)と進歩派ムスリムの間で論争の的となっています。不倫やレイプ、同性愛、窃盗、殺人などに対して鞭打ちや石打ち、死刑などの厳格な刑罰を科します。サウジアラビア、アフガニスタン、スーダン、パキスタン、ナイジェリアの一部、カタールなどでも適用されています(どこまで厳密に適用するかは、国によって異なります)(AFP「イスラム世界におけるシャリア、その解釈と適用」より)
 
 インドネシアは世界最大のイスラム教国ですが、同性間性交渉は違法とはみなされておらず、アチェ州だけが国内で唯一シャリアが施行されています。今回のような公開鞭打ち刑をめぐっては、人権団体は残酷だと非難し、ジョコ・ウィドド大統領も廃止を呼び掛けていますが、アチェ州民は強い支持を示しているそうです(大統領の意向を無視してまで鞭打ちを強く支持する州民…ただ同性と愛し合ったというだけでなぜそこまで憎まれなければいけないのでしょうか…)

 インドネシアは、国としてはもともと多様性を重んじ、同性愛者に対しても寛容でしたが、近年、LGBTQに対するヘイトが増大しています。2016年、LGBTQの法的保護を求めてジョグジャカルタで行なわれた平和的なパレードを警察が暴力的に弾圧し、人権団体が非難しました。また、首都ジャカルタなどで(同性愛行為そのものは合法であるはずなのに)ゲイサウナが摘発され、そこにいた人々がたくさん逮捕されるという事案が度々発生しています(外国人も含まれます)。昨年にはトランス女性が焼き殺されるという痛ましい事件も起こりました…。
 


 東南アジアではほかにも、ブルネイでシャリアが制定され、2019年から施行されることになっていましたが、同性間の性行為に石打死刑が科されると報じられて国際的な非難を浴び(ブルネイ系ホテルへのボイコットも起こされ)、適用が猶予されています。
 
 ピンクドットの開催で知られるシンガポールでは、1月25日、高裁がソドミー法(英植民地時代の名残りで、同性間の性交渉に2年以下の禁錮刑を科す法)を支持する判断を下したことを受けて、同性愛活動家が上訴しました。
 27日には、トランスジェンダーの学生のホルモン治療を教育省が阻止したことに対して教育省前で小規模デモを行なっていた3人が逮捕されるという出来事がありました。

 ベトナムでは2013年、同性婚禁止措置が撤廃され、結婚式を挙げたり同棲することが認められました(法的に同性カップルの権利が認められているわけではありません。日本と同じような状況です)。2012年からプライドレードも行なわれており(ミャンマーやラオスでもパレードが行なわれています)、比較的寛容で自由な印象がありました。しかし、昨年のヒューマン・ライツ・ウォッチの報告によると、性的指向・性自認をめぐる社会通念から生じた根深い暴力や差別がLGBTQの若者に大きな影響を与えている、学校でいじめにあったり、教師も守ってくれないという状況だそうです。
 
 東南アジアで最も寛容な、「ゲイの楽園」と言われているタイでも、トランス女性が名門大学の講師採用試験に合格しながら、採用を拒否されるなどの差別にあっています(彼女は大学を提訴し、2018年に勝利)。ほとんどの官公庁や大企業はLGBTQに対して門戸を閉ざし、歓迎されるのはエンターテインメントや美容業界に限られるといいます(毎日新聞「「楽園」の光と影~タイのLGBT」より)
 こうした現状を変えるべく、2019年には4人のLGBTQが国会議員に当選し、LGBTQ関連の法整備に向けて活動しています。
 2020年7月にはタイの内閣が養子縁組を含め、結婚とほぼ同等の権利を同性カップルに認める「シビルパートナーシップ法」を承認したという朗報がありました。が、7月頃から政府への抗議運動が大きくなったこともあり、国会での審議は進んでいないようです(この抗議運動に合流するかたちで11月、バンコクでプライドパレードが行なわれました)
 
 東南アジア諸国のLGBTQを取り巻く状況については、こちらによくまとまっています。植民地時代のソドミー法の影響、宗教の影響(特にイスラム教)がLGBTQの抑圧の背景にあると指摘されています。一方で、「LGBTへの差別解消に向けて、東南アジアでのLGBT運動は拡大している」といいます。「例えば、この地域におけるLGBTの権利を訴えるために、東南アジア8つの国のLGBT運動家がフィリビンでASEAN SOGIE CAUCUS(ASC)という地域の非政府協力機関を作り上げた。ASCは2018年12月にASEANリーダーシップウィークを発足し、LGBTの権利について、東南アジア諸国の間でディスカッションができる場が作られた」
 課題は山積みだと思いますが、それでも、このような前向きな動きが見られるのは、希望が持てますね。今後、少しずつでも状況が良くなっていくことを願います。
 
 

参考記事:
同性愛の男性カップルに公開むち打ち刑 インドネシア・アチェ州(AFP)
https://www.afpbb.com/articles/-/3328943
男性間性交渉禁じる法律支持に反発、活動家らが上訴 シンガポール(AFP)
https://www.afpbb.com/articles/-/3328273
シンガポール警察、LGBTの権利訴えるデモ参加者3人を逮捕(AFP)
https://www.afpbb.com/articles/-/3328701

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