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ダヴ・キャメロンが最優秀新人賞を受賞し、「この賞をクィアの若者たちに捧げます」とスピーチしたのをはじめ、今年のMTVアワードでのLGBTQ関連のトピックをご紹介します

2022年08月31日

 8月28日(現地時間)に米・ニュージャージーのプルデンシャル・センター(ザ・ロック)でMTVビデオ・ミュージック・アワード(MTV VMA)が開催されました。
 かつてはマドンナ、ブリトニー、アギレラがステージ上でキスをしてみせ、異性愛規範をカッコよく打ちこわし、レディ・ガガが(生肉ドレスだけでなく)同性愛者であることを理由に軍を追われた方たちを伴ってレッドカーペットに登場し、昨年はリル・ナズ・XがVIDEO OF THE YEAR受賞スピーチで「OK、まず僕が感謝を言いたいのは、ゲイ・アジェンダだよ」と語るなど、あらゆる音楽イベントのなかでも最もLGBTQ的に先進的で刺激的な出来事が展開されてきたMTVアワード。今年もバイセクシュアルであることをオープンにしているダヴ・キャメロンが最優秀新人賞を受賞し、「この賞をクィアの若者たちに捧げます」とスピーチするなど、素敵なシーンがいろいろありました。LGBTQ関連のトピックをまとめてお伝えします。
 
 
 ディズニー・チャンネルの『うわさのツインズ リブとマディ』や『クラウド9』『ディセンダント』などに主演し、女優/歌手として人気を博してきたダヴ・キャメロン。2019年からはソロ・アーティスト(シンガー・ソング・ライター)としての活動をスタートしました。彼女は2020年にバイセクシャルであることをカミングアウト、今年初めて同性愛をテーマにしたシングル「Boyfriend」をリリースし、キャリア最大のヒットを記録していました。
 そして迎えた今年のVMAでダヴ・キャメロンは、「Boyfriend」と最新シングル「Breakfast」のメドレーを披露し(素敵な黒のパンツスーツ。ダンサーも全員スーツで、ダヴが女性ダンサーの顎をクイッと上げるシーンがセクシャルでした。映像はこちら)、プレゼンターを務めたアヴリル・ラヴィーンから新人賞のムーン・パーソン(トロフィー)を受け取ると、「本当にありがとうございます。とても驚いていますし、胸がいっぱいです。自分が崇拝しているたくさんのアーティストの方々と一緒にここにいられることが信じられません。ここには私がずっと大好きだったアーティストの方々が集まっているのですから」と喜びを語りました。
「この1年は私にとって激動の1年でした。皆さんのおかげという以外に、説明のしようがありませんし、自分でもそう思っています」
「この賞は、ありのままの自分らしさを存分に感じられる居場所がないと感じている、世の中にいるすべてのクィアの若者たちに捧げたいです。ものすごくクィアな曲をメインストリームのラジオでかけてくださり、ありがとうございます。人としても、アーティストとしても私のことをサポートしてくれてありがとうございます。皆さんにも同じ特権が与えられることを願っています」

 昨年、MTVアワードで見事「VIDEO OF THE YEAR」に輝いたリル・ナズ・Xは、ブラック・カーペットにゲイのデザイナー、ハリス・リードがデザインした、まるで後光が差しているように見える巨大なヘッドピースが印象的な黒のドレス(上半身は裸)で登場し、ゲイ・アイコンとしてのセンスやセクシーさをアピール。今回はパフォーマンスこそ行なわなかったものの、「インダストリー・ベイビー featuringジャック・ハーロウ」で最優秀コラボレーション賞、最優秀アート・ディレクション賞、最優秀視覚効果賞を受賞しました(受賞は逃したものの、最優秀ビデオ賞、最優秀アーティスト賞、最優秀監督賞、最優秀振付賞にもノミネートされていました)。リル・ナズは授賞式の翌日、3つのムーン・パーソンを手にして喜んでいる写真に「昨日はめちゃくちゃ酔っぱらっていて、正直に言うと今、3部門獲得したことに気づいたよ。ありがとう、vmas」と添えてSNSに投稿しました(お茶目さんですね)
 ブラック・カーペットではYSL Beautyのアンバサダーに就任したことを発表するとともに、自身のSNSに「言葉の意味はまだわからないけど、すごく達成感を感じている」と投稿しました。来月にはヘイリー・ビーバーとタッグを組んで、ニューヨーク・ファッション・ウィークで『VOGUE』誌130周年を祝う予定だそう。音楽だけでなくファッション界にも活躍の幅を広げるリル・ナズくん、頑張ってほしいですね。


 オープンリー・バイセクシュアルのヴィクトリア・デ・アンジェリスがベーシストをつとめるマネスキンは、最優秀オルタナティブ賞を受賞(イタリアのバンドとして初)。「Supermodel」を披露したステージでは、ボーカルのダミアーノ・ダヴィドが上半身裸で(レザーマンの定番アイテムである)チャップスを穿き、ヴィクトリアは(ポリシーを持って)片胸をはだけて乳首にニップレスシールを貼るというスタイルで演奏しました(途中でずり落ちて放送規制がかかり、「男性のお尻は露出してよいのになぜ女性の乳首はダメなのか」との声も上がったそうです。詳細はこちら
 
 2018年にパンセクシュアルであることをカミングアウト、テイラー・スウィフトと「Me!」でコラボしたり(そのPVの冒頭で発したセリフがゲイ応援ソング「You Need To Calm Down」につながっています)、アナ雪2の「イントゥ・ジ・アンノウン」を歌ったことでも話題になったパニック!アット・ザ・ディスコのブレンドン・ユーリーは、ステージで「Don't Let the Light Go Out」を披露しました。
 
 マドンナとのコラボも記憶に新しいソーシー・サンタナは、プレショーで「Booty」と「Too Much」のメドレーを披露。全員黒人で、ゲイと思われるダンサーも登場し、Vogue Femmeのディップ(床に倒れこむ技)で締めるという、カッコいいステージでした。

 ハリウッドの大手スタジオとして初となるゲイを主人公にしたロマンティックコメディ映画『BROS』を制作したビリー・アイクナーがステージに上がり、『BROS』のようなメジャーなスタジオによる映画がいかにLGBTQのリプレゼンテーションに寄与するかを語る場面もありました。ビリー・アイクナーは歯に衣着せぬ物言いで「最高裁にいるすべての同性愛嫌悪者」が我々を前世紀に引き戻したと、痛烈に批判しました。

 それから、ラッパーのバッド・バニーのキスも話題になりました。ステージで「Tití Me Preguntó」を披露したバッド・バニーは、女性のダンサーとキスしたあと、男性のダンサーともキスしてみせました(かつてのマドンナとブリトニーのキスを彷彿させます) 
 彼は2020年に『ロサンゼルス・タイムズ』に対し、「俺はセクシュアリティに定義されない。最終的に、20年後、俺が男性を好きにならないとは言えない。誰も人生に何が起こるかなんてわからないんだ」「現時点では俺は異性愛で女性が好きだけどね」とコメントしていました。
 同年、彼はジミー・ファロンの「トゥナイト・ショー」に出演した際、プエルトリコ人のトランス女性、Alexa Negrón Lucianoが殺されたことを非難するTシャツを着ていたそうです。
 


 

参考記事:
ダヴ・キャメロン、不安を抱えるクィアの若者たちに新人賞を捧げる【VMA2022】(フロントロウ)
https://front-row.jp/_ct/17566704

リル・ナズ・X、【VMAs】で3部門受賞したことに翌日気付く「めちゃくちゃ酔っぱらってた」(Billboard JAPAN)
https://www.billboard-japan.com/d_news/detail/116084

LGBTQ wins at MTV VMAs: Lil Nas X's "Industry Baby" scores three Moon Person trophies, Dove Cameron wins best new artist(GLAAD)
https://www.glaad.org/blog/lgbtq-wins-mtv-vmas-lil-nas-xs-industry-baby-scores-three-moon-person-trophies-dove-cameron

EVERYTHING BAD BUNNY HAS SAID ABOUT HIS SEXUALITY AMID VMA’S GAY KISS(HITC)
https://www.hitc.com/en-gb/2022/08/29/everything-bad-bunny-has-said-about-his-sexuality-amid-vmas-gay-kiss/

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