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ウィスコンシン州退役軍人長官にオープンリー・ゲイのジェームズ・ボンド氏が指名されました

2023年01月17日

 米ウィスコンシン州のトニー・エバーズ知事は1月9日、アメリカ合衆国退役軍人省ウィスコンシン州部署の次期長官として、オープンリー・ゲイのジェームズ・ボンド氏を指名しました。これまで州長官を務めていたメアリー・コラー氏の引退に伴い、州副長官だったジェームズ・ボンド氏が指名されたものです。州長官ではありますが、(かつては軍を追われていた)同性愛者の人物が退役軍人長官になるのは史上初めてです。
 
 
 アメリカ合衆国退役軍人省は、数百の退役軍人用医療施設や診療所、給付事務所を有し、退役軍人とその家族および遺族に対して年金など退役軍人給付プログラムを管理する責任を負っています。連邦政府では国防総省に次いで大規模な省庁だそうです。退役軍人省は各州に支部があり、今回、ジェームズ・ボンド氏が就任したのは、ウィスコンシン州の支部です。
 ジェームズ・ボンド氏は1983年から88年にかけて海軍に所属し、負傷した退役軍人であり(現在も障がいを持っているそうです)、2010年に退役軍人省に入省しました。2019年にウィスコンシン州の事務次官に任命され、このたび、長官に指名されたものです。
 ジェームズ・ボンド氏はこのような声明を発表しています。
「軍隊においてキャリアを築き、この国、ウィスコンシン州、そして退役軍人の仲間たちのために奉仕してきました。退役軍人省ウィスコンシン州部署の長官として努力を続け、退役軍人のおかげで得ることができた恩恵や貢献を届け、軍人の物語を語り、その貢献を称えるために、72の国と11の地域にいる退役軍人の支持者たちとともに働きます。私たちが共にあれば、ウィスコンシン州の退役軍人やその家族のために、より良い未来を築いていけるでしょう」


 バイデン政権が誕生してから、何人ものLGBTQのが閣僚などの要職に任命されてきました。
 ピート・ブティジェッジ氏は運輸長官に任命され、米国初のオープンリー・ゲイの閣僚となりました(ちなみにピート・ブティジェッジ氏も退役軍人で、アフガニスタンで従軍しています)
 オープンリー・レズビアンのカリーヌ・ジャンピエール氏は、大統領報道官に任命されました(黒人女性としても初です)
 レイチェル・レヴィン氏は、保健福祉省次官補に任命されました。トランスジェンダーの連邦政府高官の誕生は史上初の快挙です。
 ネッド・プライス氏は、国務省初のオープンリー・ゲイの報道官です。
 バイデン政権は、史上最も多くのLGBTQを任命しています(一覧はこちら)。退役軍人省も例外ではなく、Kayla Williamsという女性が任命されています。
 
 米軍の同性愛者排除規定が正式に撤廃されたのは2011年のことで、それまで同性愛者はカムアウトしたら除隊処分にされていました(ちなみにハーヴェイ・ミルクは同性愛者であることを理由に1950年代に除隊されています)。そこから10年余りで(現役ではなく退役軍人省、それも州の支部ではありますが)軍に関する部署の長にゲイの人物が選ばれるようになったのです。
 
 現在の退役軍人省(VA)長官のデニス・マクドノー氏は2021年2月、バイデン大統領に任命された際、「私たちのVAを、女性、有色人種、LGBTQであっても広く間口を構えられる組織にしていく」と誓いました。そして同年6月、トランスジェンダーの元軍人に性別適合手術を認める方針を発表しました。GLAADのサラ・ケイト・エリス代表は、「トランスジェンダーの退役軍人たちには当然のことながら、医療的に必要かつ命に関わる治療行為を受ける平等な権利があり、そこにはもちろん、性別適合手術も含まれます。今回の知らせはトランスジェンダーの退役軍人たちにとって、やっと訪れた勝利であり、同時にマクドノー長官と退役軍人省の最新の一歩でもあります」と称えました。
 
 

参考記事:
ジェームズ・ボンドさん、アメリカ初の同性愛者の長官になる(フロントロウ )
https://front-row.jp/_ct/17600245

米国退役軍人省、トランスジェンダーの元軍人に性別適合手術を認める方針(Rolling Stone Japan)
https://rollingstonejapan.com/articles/detail/36103/2/1/1

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