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石川大我議員がLGBTQ施策について国会で総理に質問を行ないました

2023年03月06日

 立憲民主党の石川大我議員が3月6日、参議院予算委員会で岸田総理に同性婚やLGBT差別解消法の法制化などについて質問を行ないました。今や国会で唯一のカミングアウトしている議員となった石川氏は、LGBTQの置かれた状況やリアリティを当事者として総理に伝えながら、G7の議長国として荒井秘書官の差別発言のことを公式に謝罪すべきではないか、日本の企業も、同性カップルのお子さんなども同性婚を求め、世論調査でも自民党支持者ですら過半数が賛成しているなか、同性婚法(民法の改正案)を法務委員会で議論しましょう、世界基準では何も達成したことにならない理解増進法ではなく、差別解消法を議論しましょうと訴えました。

   
 本日、国会で参議院予算委員会が開かれ(NHKでも中継されていたそうです)、11時半頃、レインボーカラーのマスクを着けた石川大我参議院議員が質問に立ちました。
 石川議員は冒頭、「9時50分、衆議院に婚姻平等法案を2回目として提出しました。一緒に法案を作っていきましょう」と呼びかけましたが、岸田総理は、「議員立法提出法案ですから、国会で議論する課題である。同性婚を求めている方大勢おられることは承知している。一人ひとりの家族観、幅広い、国民生活に関わる課題であるからして、求める声もあるなか、国会での議論、裁判の行方、自治体でのパートナーシップ制度の状況を踏まえて、議論していくべきだと思う」と答弁しました。
 お昼休憩を挟んで13時から質疑が再開されました。石川議員は、日本の8%がLGBTQであるとの調査結果が出ている、これはAB型の方、左利きの方、佐藤さん鈴木さん高橋さん渡辺さん伊藤さん中村さんを合わせた人数に匹敵すると、ただ、世間の無理解や偏見ゆえになかなかそうだと言えないのだと、自身の体験も踏まえながら説明し、当事者はいじめや不登校、孤立、親の無理解などに苦しみ、自殺未遂率が異性愛者の6倍にも上っている、トランスジェンダーにいたっては10倍である、性的指向や性自認は選べるものではなく、変えられるものではないと述べました。そのうえで、神道政治連盟や旧統一教会の関係の人物などが精神障害、依存症、治療や宗教信仰で変わるものだなどというひどい主張を広めているとして、「総理はこうした考えに同意されないですよね?」と確認しました。岸田総理は、「LGBTの方が8%であるということなどは様々な資料、調査で承知している。私も2月に当事者の方に直接会って、様々な悩みを多くの方が抱えていると受け止めた。私自身、そのような考えを持ってはいない。不当な差別や偏見はあってはならない。多様性が尊重される社会を求め、様々な国民の声を受け止めながら取り組んでいく」と答弁しました。
「荒井秘書官の差別発言について、G7の場で謝罪すべきではありませんか?」との質問に対しては、「政府の考え方とは一致せず、言語道断である、こうした発言によって不快な思いをされた方に心からお詫び申し上げると繰り返し申し上げているが、改めてお詫びします」との答弁で、石川議員はさらに「各国の要人にも当事者の方がいます。米国のブティジェッジ運輸長官カリーヌ・ジャンピエール報道官(官房長官の役割)、レイチェル・レヴィン保健福祉省次官補など、実際にG7の中で共に働いている仲間です。議長国として、まずは謝罪すべきではないでしょうか」と追及、総理は「LGBTの方々に対する日本の国の考え方、実情を説明していく。G7議長国としての役割は様々あるが、その中でも、多様性を尊重し、人権を大切にする国としての姿勢は丁寧に説明していく」と、G7の場で謝罪するつもりはないと述べました。
 続いて石川議員は、LGBTQ関連の法整備について日本はOECD加盟国35ヵ国中ワースト2位であること、評価指標となる施策の一覧のなかで日本は、市民的自由の保護(集会や結社の自由)、同性間性交渉の非犯罪化、法的性別変更(ただし子なし要件や断種の強制などの課題があるため、また今度取り上げます、とのこと)という民主主義国家であれば当たり前のことしか実現していない、4つ目の差別からの保護(差別禁止法の整備)すら達成していないのが実状である、理解増進法ができたとしてもこの4つ目のチェックは付かないと説明し、ぜひ差別禁止法の法整備を、と求めました。総理の答弁は「LGBT差別解消法案は衆議院に提出され、継続審議となっていることは承知しているが、超党派のLGBT議連の話合いの結果である理解増進法をまずは国会に提出し、成立に向けて努力したい」というものでした。
 石川議員はパナソニック、富士通、コカコーラなどを含む企業が小倉大臣に要望書を提出している、「Business for Marriage Equality」にも359社が賛同している、とあるオフィスビルへの企業誘致に関して、海外企業は日本では同性カップルにビザが下りないため日本進出は難しいとの反応である、という実態もある、LGBTQ施策はすべの従業員に関わる取組みのバロメーターである、また、当事者だけでなく、同性カップルに育てられた子どもたちが総理宛てに「ママたちに結婚させてあげたい、クラスのお友達もママが二人であることをわかってくれるのに、なぜ政府はわかってくれないんだ、子どもにもわかるように説明してください」という手紙を書いている、この思いにどう答えるのか、と問いました。総理は「重く受け止めなければならない。パートナーシップ制度の評価を踏まえながら議論を進めなければいけないと強く感じている」と答えました。
 石川議員は、「議論すると言って物事が進まない。このままでは一生結婚を認められずに亡くなる方も。子どもたちの手紙を読んで、自分の子ども時代を思い出しました。差別や偏見がひどかったけど、憲法14条の法の下の平等を信じて、いつか結婚できると思えました。総理、私は、いつ、愛する人と結婚できるでしょうか」と問いました。総理は「こうした家族観をはじめ、国民に広くかかわる問題であるから、国民の理解や議論が深められなければいけない。こうした社会の理解や議論の深まり、取組みの進み具合で時期が決まってくる」と述べました。
 石川議員は、「社会の理解は進んでいます。毎日、読売、朝日、フジサンケイが世論調査を行ない、自民党支持者でも過半数が賛成しているという結果が出ています。我々は今日、同性婚法案を提出しました。これを法務委員会で議論しましょう」と述べました。しかし総理は、「議論を注視しながら」と、法務委員会での具体的な審議を進める考えがないことを示しました。
 最後に石川議員は、「残念です。なぜ法制化しないのか。旧統一教会や神政連などに忖度しているのではないでしょうか。政権の椅子にしがみつくために、国民を見ずにいると思わざるをえません。私は今日、この場に立つことについて、NHKでも中継されるとのことで、一つ心配がありました。当事者のみなさんが、同性婚ができるんじゃないかと期待しているのに、全く前向きでない答弁に対して失望しているのではないかと、とても心配しています。(カメラの向こうの当事者に向けて)みなさん、独りではありません。社会が悪い、政治が悪い、決してあなたが悪いのではありません。希望を持って生きていきましょう」と語りました。
 
 婚姻平等(同性婚)や差別からの保護(差別解消法)の実現を求めるLGBTQのみなさんの思いを代弁する、パネルなども用意して広く国民のみなさんにもLGBTQの社会的課題を知っていただけるような、感動的でもあるような質問でした。
 残念ながら、総理が前向きに議論を進めるような言葉を発することはありませんでした…が、国際社会の趨勢も踏まえ、LGBTQの人権、社会的課題に関して政府はどう動いていくべきなのか(何を拒んでいるのか)ということが国民に広く認知されるような、重要なモーメントとなったのではないでしょうか。

 今朝は東京新聞の一面に「同性婚の制度化、世界の潮流なのに…政府は「社会が変わってしまう」と消極姿勢 国内の世論も賛成多数に」と題した記事が掲載されました。
 世論は明らかに同性婚賛成で、社会はいい方向にすでに変わってきています。婚姻平等(同性婚)を認める法案も再び提出されました。政府が前向きに議論を進めてくれさえすれば、案外すんなり実現するのでは(ただ政府が拒んでいるだけでは)…と思う方も多いことでしょう。
 たまに「LGBTという言葉のない社会になるといい」とおっしゃる方がいますが、まずは「政治家による差別発言で傷つく人がいない社会」「同性婚を求める裁判などやらなくてもいい社会」が実現してほしいですね。

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