g-lad xx

NEWS

6月最終週のプライドデーにNYやサンフランシスコでプライドパレードが開催されました

2024年07月01日

 毎年6月最終週の日曜日はプライドデー。1969年6月28日未明のストーンウォール暴動から1年が経ったことを祝い、1970年からニューヨークをはじめ全米各地でプライドパレードが開催されるようになりました。 
 今年もニューヨークやサンフランシスコなどでプライドパレードが開催されたほか、珍しくロンドンでもこの週にプライドパレードが開催されました。
 
 ニューヨークでは6月30日、ストーンウォール55周年を記念するNYC PRIDEのパレードが開催され、五番街〜グリニッジ・ヴィレッジ〜ストーンウォール・イン〜七番街を盛大に行進しました。
 米国ではここ数年、保守的な州でトランスジェンダーやドラァグクイーンなどの権利を抑制するアンチLGBTQの州法が続々と成立するバックラッシュが強まっており(昨年、史上初めて人権団体が非常事態宣言を発したほどです)、今年秋には大統領選も控えており、パレード参加者は危機感をあらわにしていました。参加者の一人は「われわれを政治に利用すべきではない。われわれの存在は消せない」と語り、主催者は「今後も公正と自由を求め、連帯していく」と表明しました。
 パレードには、パレスチナ旗とレインボーカラーを組み合わせた旗を持ち「FREE PALESTINE」とコールしながら歩くフロートも参加していました。
 米国務が5月、プライド月間にLGBTQを標的にしたテロの可能性が高まっているとして全世界の米国民に対し渡航注意情報を出すなど、パレード参加者への暴力やテロなども危惧されていましたが、幸い、パレードは無事に開催されました。
 ニューヨークではパレード前日の29日、ストーンウォール暴動(PRIDEの始まり)の史実を伝えるための施設「Stonewall National Monument Visitor Center」が「ストーンウォール・イン」の隣に誕生しました。そのグランドオープニングの式典にはバイデン大統領も参加し、「この場所はLGBTQの歴史の象徴であり続けている」「どんなバックグランドの人であれ尊厳と敬意を持って扱われるべきだ」と述べ、LGBTQへの差別を容認しない姿勢を強調していました。
 
 
 ニューヨークと並び、サンフランシスコでも6月30日、「Beacon of Love(愛の狼煙)」をテーマにプライドパレードが開催されました。恒例のダイクス・オン・バイクスの先頭にはオープンリー・バイセクシュアルのケイト・ブラウン知事も乗っていたそうです(素敵!)。何万人もの観衆が見守るなか、マーケット・ストリートではレインボーカラーに身を包んだ多様な参加者が行進しました。
 サンフランシスコのプライドウィークエンドは、日曜のプライドパレードの前に、金曜にトランスマーチが(今年で20周年だそう)、土曜にダイクマーチが開催されるのが定番となっていましたが、90年代からの長い歴史を誇るダイクマーチは今年、直前にキャンセルされました(主催してきた方たちが亡くなったり高齢化したりして組織運営が難しくなってきたそうです)。しかし、集合場所のドローレス・パークには大勢の女性たちが集い、ピクニックイベントを楽しんだそうです。
 一方、サンフランシスコが世界に誇るkinkコミュニティの祭典「FOLSOM STREET FAIR」が今年、プライドとコラボし、ディープにワイルドに自由(解放)を祝福するアダルトオンリーなイベント「The Root of Pride」を開催しました。

 
 ロンドンではこれまで7月第1週の土曜日に「Pride in London」のプライドパレードが開催されてきましたが、今年は6月29日にパレードが行なわれました。500を超える団体や企業、3万2000人を超える人たちがハイドパークからトラファルガー広場まで行進し、沿道では大勢の人が声援を送りました。
 パレードの先頭(グランド・マーシャル)はロンドン市長のサディク・カーンと妻のサアディヤ・カーンが務め、カーン市長は「ロンドンに住む多様なLGBTQI+コミュニティとアライが、世界的に有名なプライドの祝祭と連帯の行進のために、再びロンドンの中心地に集まったことをうれしく思う」と述べました。
 また、LGBTQIA+のバスケットボールクラブ「ロンドン・ナイツ」が移動式ミニバスケットボールコートのフロートで参加したり、レズビアンのバイク・クラブ「サフィック・ライダーズ」が小型バイクとクルーザーバイクで隊列を組んで参加したり、パレスチナを支援する「Queers for Palestine」がピンクウォッシングを非難するポスターを掲げて参加するなどしました。
 このパレードのほかにもソーホースクエアやレスタースクエア、ヴィクトリア・エンバンクメント・ガーデンズなど、ロンドン市内のあちこちでプライドを祝うイベントが開催されたそうです。
 なお、JETROによると、「Pride in London」のゴールドスポンサーである大手スーパーマーケットのテスコは、同社のプライベートブランドの一部の衣類やインテリア関連製品の売り上げの5%をLGBTQ支援団体に寄付したそうです。
 

 それから、6月1日にプライドパレードが行なわれたバンコクでは、プライド月間を締めくくり、30日にも「LOVE PRIDE ♥ PARADE 2024」のパレードが開催されました。首相が開会式を主宰してナショナルスタジアムを出発し、ラーマ1世通り、スクンビット通り、ベンチャシリ公園まで行進する全長6キロとなるアジア最長のパレードで、6月18日に婚姻平等法案が上院で可決され、年内にも同性婚が実現する見通しとなったことを祝いました。終点のベンジャシリ公園ではコンサートが開催され、2023年にオープンした商業施設「EMSPHERE」でアフターパーティも開催されました。



参考記事:
ニューヨークで毎年恒例 LGBTQ支援の「プライドマーチ」 今年は大統領選を控え参加者に危機感も(FNNプライムオンライン)
https://www.fnn.jp/articles/-/721839
NYで性的少数者ら権利求め行進 旗振り大歓声、ガザ停戦訴えも(共同通信)
https://nordot.app/1180294777129599164?c=39550187727945729
性的少数者の差別容認せず NY暴動55年でバイデン氏(共同通信)
https://nordot.app/1179553891223454689
バイデン氏がNYの性的少数者の聖地訪問 「健在ぶり」アピール(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20240629/k00/00m/030/142000c

‘I see a lot of love’: SF Pride parade draws thousands of spectators(The San Francisco Standard)
https://sfstandard.com/2024/06/30/sfpride-parade-kicks-off-downtown-sanfrancisco/
Dyke March Canceled for San Francisco Pride, Organizers Say(KQED)
https://www.kqed.org/news/11992072/dyke-march-canceled-for-san-francisco-pride-organizers-say

ロンドンでプライド・パレード、沿道から大きな声援(BBC)
https://www.bbc.com/japanese/articles/c9r37xvd615o
結婚統計発表、同性婚数は過去最高、ロンドンでLGBTQ+イベントも開催(英国)(JETRO)
https://www.jetro.go.jp/biznews/2024/07/7f9f6b79d8ed1135.html


INDEX

SCHEDULE