g-lad xx

NEWS

2025年03月29日

 厚労省エイズ動向委員会は28日、2024年に報告されたHIV感染者とエイズ患者の新規報告数(速報値)の合計が3年ぶりに1000人に達したと発表しました。新規HIV感染者は664人(前年比5人減)、エイズ患者は336人(同45人増)で、合計1000人です。新規報告数全体に占めるエイズ患者報告数の割合は33.6%で、過去20年間で最も高い割合となったそうです。感染経路別では、同性間の性的接触が最も多く、HIV感染者で419人(全体の63%)、エイズ患者で173人(51%)となりました。
 保健所などでのHIV抗体検査数は前年比2851件増の10万8988件、相談数が同1944人減の8万4144件です。同委員会は「保健所などでの無料・匿名の検査を積極的に受けてほしい」と呼びかけています。 
 

 ここ数年の新規HIV感染数を見てみると、以下のように推移しています。()は同性間性的接触による感染です
2020年 新規HIV感染740人(543人) エイズ患者336人(190人) 計1095人(733人)
2021年 新規HIV感染742人(531人) エイズ患者315人(162人) 計1057人(693人)
2022年 新規HIV感染632人(443人) エイズ患者252人(127人) 計884人(570人)
2023年 新規HIV感染669人(476人) エイズ患者291人(157人) 計960人(633人)

 2020年は前年より2割近く減少しましたが、それはコロナ禍による検査休止が影響していると見られています。2021年も同様ですが、2022年、保健所でのHIV検査も回復した(検査数が前年より25.6%増えた)のに新規感染がガクンと減ったのはPrEPの効果も大きいのではないかと見られています。

 同性間の性的接触について推移を見てみると、新規HIV感染は543人→531人→443人→476人→419人で、実は今年(2024年分)の報告が過去最少になっています。全体に占める割合も以前は7割を超えていましたが、今年は63%にとどまっています。これもやはりPrEPの効果ではないかと考えられます(昨年、念願のPrEP薬の公的承認が実現しましたが、薬価が高すぎて買えないという問題があり、現在コミュニティの署名活動が展開されています。ご協力をお願いします)
 一方、新規エイズ患者は、190人→162人→127人→157人→173人で、いったん減ってまた増えてきている状況です。数字だけでは何とも言えませんが(今年の委員長コメントでも「エイズ患者の増加については、トレンドが変わってきている可能性も疑われるため、今後の状況を注視していく必要がある」とされていて、何かこれまでと違う傾向が表れているのかもしれません)、ずっと検査を受けずにいて、自身の感染に気づかず、発症してわかる方が増えてきているわけで、気がかりです。g-lad xxでも検査に役立つ記事SAFER SEXコラムなどHIVに関する多岐にわたる記事をお届けしていますが、さらに何ができるのか、考えていきたいです。
 
 


参考記事:
HIV感染、24年は千件 新規エイズ患者増加目立つ(共同通信)
https://nordot.app/1278304587979047508?c=302675738515047521

HIV報告1000人に 3年ぶり、昨年速報値 厚労省(時事通信)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2025032801226


INDEX

SCHEDULE

    記事はありません。