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米FDAが、半年に1度の注射で済むPrEP薬を承認しました

2025年06月19日

 昨年8月に半年に1回注射するだけのPrEP薬の臨床試験で100%の有効性が確認されたとのニュースをお伝えしていました。レナカパビルという注射剤は毎日の服薬が苦手な方でも半年に1回注射するだけでほぼ100%予防できるという画期的なPrEP薬で、昨年7月のエイズ国際会議で発表されたときは会場が割れんばかりの拍手に包まれたといい、昨年12月の『サイエンス』誌ではレナカパビルが「今年の画期的成果」に選出されてました。そのレナカパビルがついに米国で薬事承認されました。


 AFPによると、米食品医薬品局(FDA)は18日、米製薬大手ギリアド・サイエンシズのHIV感染予防薬を承認しました。ブランド名「Yeztugo」で販売されるレナカパビルは、治験では、成人および10代のHIV感染リスクを99.9%以上減少させることが確認されており、強力なワクチンに匹敵する効果を持ちます(昨年のニュースでお伝えしたアフリカでの大規模な臨床試験では、レナカパビル服用群の2134人のうちHIVに感染した人はゼロでした)
 
 ギリアドは「Yeztugo」の薬価を公表していませんが、アナリストは米国での発売価格は年間2万5000ドル(約360万円)と見積もっています。抗HIV薬(治療薬)として既に承認されているレナカパビルの現在の定価は年間3万9000ドル(約570万円)で、予防薬として使用される場合は価格が低下すると見込まれている。HIV活動家は、HIVの世界的な感染拡大を終わらせる一助として、ギリアドに薬価を大幅に引き下げるよう求めています。「年間2万ドル(約290万円)を超える場合、高所得国でさえレナカパビルを広範に使用することはできない」と英リバプール大学のアンドリュー・ヒル氏は指摘しています。ヒル氏が率いた研究チームの調査・試算によれば、レナカパビルの大量生産は可能で、1人当たり年間わずか25ドル(約3600円)で販売できるとしています。(早くこの治療法が普及し、日本でも使えるようになるといいですね)

 日本でも昨年、ギリアドが開発したツルバダがPrEP薬として承認されましたが、保険適用されないため、月に7〜8万円という高額な薬価になってしまっています(一部のお金持ちの人以外は利用できない状況。しかも、薬事承認によって、ツルバダのジェネリック薬は輸入が禁止に…)。これに対してコミュニティで「HIV感染を薬で予防する方法、PrEPを日本でも当たり前の選択肢に!」という署名が立ち上げられていますので、ぜひご協力をお願いします(詳細はこちら
 
 このように書いてくると、ギリアドという製薬会社が(80年代のエイズ禍のとき、明日をも知れぬ命の「ACT UP」のメンバーが製薬会社に立ち入って血のりを撒いたりしたことを思い出す方もいらっしゃるかもしれませんが)人命を軽視し、不当に価格を吊り上げているのではないかとのイメージを持つ方もいらっしゃるかもしれませんが、ギリアドは2030年までのHIV流行の終結を目指す「HIV/AIDS GAP6」にも協力し、プライドイベントやプライドハウス東京にも協賛してきたアライ企業であり、ただ暴利を貪るだけの会社ではありません。
 日本では予防には健康保険を適用しないというルールがあり、そのことがツルバダを安価に提供できない根本原因になっています。海外では国や自治体が援助して誰もがPrEPに安価にアクセスできるような体制が整えられているところが多いのですが(タイやフィリピンなどでもそうです)、日本でも、HIV感染を少しでも減らすためにということで厚労省がHIVコミュニティやギリアドと協議し、前向きに検討しているようです。なんとか、いい方向に進むことを祈っています。
 私たちにできることは、署名に協力することと(せめて1万人には達してほしいですよね…)、この問題についての意識を高め、周囲にPrEP利用に対する偏見や先入観を持ってる方がいたらそれを払拭するよう働きかけたり、aktaやぷれいす東京やJaNP+などの団体の方たちの活動を応援していくことではないでしょうか。


 
参考記事:
米国、HIV予防薬を承認 半年に1度の注射で効果期待(AFP)
https://www.afpbb.com/articles/-/3584250

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