REVIEW
アート展レポート:画集『APOLLON』原画展『アポロンたち』
昭和の貴重なゲイアートを収録した画集『APOLLON - Gallery Naruyama Collection: Selected Works 1950-1990』の刊行を記念して東中野の「platform3」で開催中の原画展『アポロンたち』を観てきました。レポートをお届けします

1990年代から2000年代にかけてゲイ雑誌『バディ』で長谷川サダオさんなど日本のゲイアート作品や海外の貴重なゲイアートを紹介するカラーページの記事をご覧になったことのある方も多いと思いますが、その多くを所蔵し、たびたび展覧会も開催してきた成山画廊がこのたび、画集『APOLLON - Gallery Naruyama Collection: Selected Works 1950-1990』を刊行しました。成山画廊が長年にわたり収集してきた膨大なコレクションのなかから、1950年代〜1990年代にかけて制作され、『薔薇族』『さぶ』『サムソン』など、日本のゲイ雑誌の表紙や誌面を彩った作品を中心に紹介するもので、三島剛さん、長谷川サダオさんをはじめ日本のゲイアート史を語るうえで欠かすことのできない作家たちのエスキースやスケッチのほか、月岡弦さん、大川辰次さん、Seijiさんなど、これまでその作品が広く知られてこなかった作家たちの作品も収録されています。
この『APOLLON - Gallery Naruyama Collection: Selected Works 1950-1990』の刊行を記念して、東中野駅前のブックストア「platform3」で原画展『アポロンたち』が13日まで開催されています。原画展と画集を実際に見てきた感想をレポートしたいと思います。
(後藤純一)
「platform3」は能村さんの個展のレポートでもお伝えしたように、読みたい本や見たい雑誌・写真集・ZINEだらけの、宝の山のような本屋さんです。ソファもあって、座りながらじっくり本を読んだりもできます。moriuoさんの個展もありましたし、その後も数々のクィアな作家の企画、映画上映やトークイベントなども行なっていて、内外の良質なクィアカルチャーをつなぐハブのような場所でもあり、ある種のコミュニティセンターのような場所にもなっていると思います。
11月3日の文化の日、ひさしぶりに「platform3」におじゃまして、原画展『アポロンたち』と画集を拝見しました。
壁に5点ほど、画集に収録された三島剛さんや長谷川サダオさんの原画が展示されていました。個人的にはいちばん右の大川辰次さんの作品に惹かれました。よく鍛えられた肉体や整った顔立ち、短めの髪といったモデルさんの特徴は他の作家さんと同様なのですが、その流し目や誘惑するような表情がなんとも言えず妖艶だと感じました。ぜひ実物をご覧いただきたいです。
壁の下のほうには、私も見たことがない70年代とか80年代初期とかのゲイ雑誌がたくさん置いてあって、『サムソン』のモデルって昔はこんなに若くて細い人だったんだなぁとか、漫画にも時代を感じたりして、とても興味深かったです。40代以上の方たちにとってはちょっと前までとても身近な存在だったゲイ雑誌ですが、20代の方などはほとんど知らないでしょうから、これを機にご覧になってみてはいかがでしょうか。昔は文通欄というもので出会っていたのだなぁとか、こういうグラビア写真や小説や漫画でヌイていたんだなぁとか、とても新鮮な驚きがあると思います。
画集がテーブルの上に並べられていて、手に取って中を見ることができたので、じっくり拝見しました。今まであまり見たことのなかった作家さんの作品(なかには作者不詳という作品も)も収録されていて、どの絵にも(世の中に男性のヌードというものがほとんどなかった時代の)男性の裸の美しさへの賛美や男性自体への率直な欲望や熱意があふれていたし、アート作品としても見応えがあって、とてもよかったです。成山さんや編集したPOIPOIさんや、以前『日本のゲイ・エロティック・アート』を編集した田亀源五郎先生など、いろんな方の言葉も掲載されていて、それらも全部読んだのですが、アキラ・ザ・ハスラーさんの文章がとりわけ素晴らしかったです(特に「ゲイであることもAIDSという病も思うよりずっと大きな命をかけた挑戦だったのだ」というくだりが)
あの時代、世間のゲイに対する偏見や侮蔑的な眼差しは今とは比べ物にならなくらい厳しいものがあり、多くの作家さんたちは、もしかしたら人目を忍んで(誰かに見つかったら大変なことになると覚悟しながら)、それでもやむにやまれぬ思いに突き動かされて男性のヌードを描いていたのかもしれません。ある意味、この画集に載っているのは「命がけ」で描かれた作品であり、その一つひとつの作品にあの時代を生き抜いた方たちの情熱や魂が宿っているのです。今とは比べ物にならなくらいゲイとして生きることが困難だった時代の作家さんたちの、これは「命の軌跡」のような画集なのだと思いました。
以下、画集に掲載された作品を何点かご紹介します。成山画廊やplatform3で手に取ってご覧いただくのがいちばんだと思いますが、見ているときっと欲しくなると思います。


APOLLON - Gallery Naruyama Collection: Selected Works 1950-1990
出版:成山画廊
発売日:2026年10月31日(土)
仕様:176ページ ※1,000部限定
価格:7,000円(税別)
寄稿:山本聡美(早稲田大学教授、日本美術史)、田亀源五郎(ゲイ・エロティック・アーティスト)、櫻木徹郎(元『さぶ』編集長)、アキラ・ザ・ハスラー(アーティスト)
発行者:成山明光 成山画廊
編集・構成:篠原泰之/DJ POIPOI
デザイン:潟見 陽 lonelines books
取扱店:成山画廊 STORES、platform3、Amazon.com(12月以降)
原画展『アポロンたち』
会期:2026年11月1日(日)~13日(金)
会場:platform3(東京都中野区東中野1-56-5 ホシノビル401)
開館時間:平日14:00-22:00、土日祝12:00-22:00
入場無料
INDEX
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SCHEDULE
- 11.06Brush ”TOKYO-3”
- 11.06OPPA -6TH ANNIVERSARY-
- 11.07雄っぱい vs プリケツ!
- 11.07ロックオン35
- 11.07デブ専フェス BOOBOO大阪






