REVIEW
アート展レポート「MASURAO GIGA -益荒男戯画展-」
新宿眼科画廊の4つの部屋を全て使ってのグループ展「MASURAO GIGA -益荒男戯画展-」がスタートしました。それぞれの作家さんのセクシーさが表現されていて、とても見応えのある素敵な展覧会です。ぜひご覧ください!
ちょっと前に伊勢丹のショーウィンドウでも展示されて話題になった「MASURAO GIGA -益荒男戯画展-」。期待が高まるなか、いよいよ8月30日(金)に新宿眼科画廊で展覧会がスタート!ということで早速、雨の合間を縫って出かけてきました。
今までも何度も男絵のグループ展や個展などが開催されてきた新宿眼科画廊ですが、今回、M、S、E、Oという4つのお部屋の全てを使っての展覧会になっていました。
まず入口を入ってすぐの広いお部屋は、TORAJIROさんと六原龍さんの作品が展示されていました。
TORAJIROさんは昨年の渋谷パルコ1階LOEWEストア横アートウォールでの展示や、個展「UNDER THE BLUE SKY」も素晴らしかったですが、今回はいつになく直球のセクシーな新作を発表されていて、熊が擬人化したような作品などは特に新境地を感じさせました。個人的には泣いている男の子を動物たちが慰めてたり、森の中でガチムチ系の裸の男の子に出会ったユニコーンが恋したり(尻尾がハートになってます)という絵もたまらなくカワイイと思いました。日焼けした男の子が多かったのも夏らしくていいですね。
六原龍さんは第七回美男画展でもひときわセクシーな作品を出展して目立っていましたが、今回、たくさんの作品を一挙に観ることができました。写実的というんでしょうか、陰毛の1本1本までとてもリアルに裸体を描いていらっしゃるので、目のやり場に困るといいますか(と言いながらじっくり鑑賞させていただきました)、たいへんエロティックでした。ものすごくマッチョとかガチムチというわけじゃない、わりと身近にいそうな感じの男の子の自然なヌードが人気を博しているようで、なんと今回、オープンして30分以内に作品が全て完売してしまったんだそう…すごいですね。
ちょっと進んで左手のお部屋に展示されていたNARUSE Nonnow(成瀬ノンノウ)さんの作品は、安定のクオリティで、世間的な美男・イケメンを実に美しく描いていらっしゃいました。ちょっとヤンキーっぽい感じの男の子を描いているのも新鮮でしたし、四角ではない、丸い枠に収められた作品もユニークだと思いました(初めから丸い紙なのか、描いてからカットしたのか聞いてみたいと思ったり)。美男子好きなゲイのみなさんや女性の方などはきっと成瀬さんの作品を気に入るんじゃないでしょうか。
その右隣の小さめのお部屋は、亀井徹さんの作品でした。今回初めて拝見したのですが、左側の絵は、スペイン〜モロッコ辺りの魔術師のイメージで、端正な顔立ちの美男(自画像だそう)だけなく白馬や蝶やデコラティブな背景なども含め、エキゾチックで素敵でした。点数も少ないですし、裸の絵じゃないし、何だか物足りないな…と思った方は、ぜひ展示されている画集をご覧ください。幻想的だったり神話的なモチーフだったりするセクシーな作品を観ることができます。
昨年、同画廊での個展「神と生きる漢たち」をレポートさせていただいたshinji horimuraさん。今回は祭りの様子だけでなく、六尺&緊縛の様子を描いた作品なども展示されていて、素晴らしくセクシーでした(私もお名前を聞いたことがあるのですが、いま人気の縛り師さんがモデルなんだそうです)。和の装いや日本の伝統的な文化の中のエロスに魅了される方はきっと多いハズ。木に描いた立体的な作品などもあって多彩でした。
そして2021年の個展をレポートさせていただいたSIN5さん。以前からマッチョ、ガチムチ、ベアー系男子の肉体美を力強い線と印象的な色彩で描いてこられた方だと思いますが、今回はさらにハッテンして、よりダイレクトに様々なSEXを描いた(それでいて花とかも描かれている)大きな作品が展示されていて、素晴らしかったです。ゲイのハッテンの全てが1枚に盛り込まれたような作品でした。働く男シリーズやアスリートシリーズも好きでしたし(特にスパッツをはいた陸上選手の股間とか…)、SIN5さんが日々、こまめに描いているポストカード的な作品群もよかったです。
六人六様のエロスが迸る、同じ男絵でもこんなにも多彩で多様なのかと感心させられる、実に見応えのある展覧会でした。週末は作家さんも在廊していることが多いと思うので、ぜひお話してみてください。雨で蒸し蒸ししてても画廊は涼しくて快適です。連日20:00までなのですが、遅くとも19:30までには入られたほうがよいと思います。二丁目に行かれるついでにでも、ぜひ足を運んでみてください。
MASURAO GIGA -益荒男戯画展-
会期:2024年8月30日(金)~9月11日(水)
会場:新宿眼科画廊
開館時間:12:00-20:00(水曜日17:00まで)
木曜休廊
入場無料
※全作品撮影OK、SNS公開OKです
参加アーティスト:亀井徹、SIN5、shinji horimura、TORAJIRO、NARUSE Nonnow(成瀬ノンノウ)、六原龍
INDEX
- これまでにないクオリティの王道ゲイドラマ『あのときの僕らはまだ。』
- まるでゲイカップルのようだと評判と感動を呼んでいる映画『ロボット・ドリームズ』
- 多様な人たちが助け合って暮らす団地を描き、世の中捨てたもんじゃないと思えるほのぼのドラマ『団地のふたり』
- 夜の街に生きる女性たちへの讃歌であり、しっかりクィア映画でもある短編映画『Colors Under the Streetlights』
- シンディ・ローパーがなぜあんなに熱心にゲイを支援してきたかということがよくわかる胸熱ドキュメンタリー映画『シンディ・ローパー:レット・ザ・カナリア・シング』
- 映画上映会レポート:【赤色で思い出す…】Day With(out) Art 2024
- 心からの感謝を込めて――【スピンオフ】シンバシコイ物語 –少しだけその先へ−
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- トランス男性を主演に迎え、当事者の日常や親子関係をリアルに描いた画期的な映画『息子と呼ぶ日まで』
- 最高!に素晴らしい多様性エンターテイメント映画「まつりのあとのあとのまつり『まぜこぜ一座殺人事件』」
- カンヌのクィア・パルムに輝いた名作映画『ジョイランド わたしの願い』
- 依存症の問題の深刻さをひしひしと感じさせる映画『ジョン・ガリアーノ 世界一愚かな天才デザイナー』
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- 女性やクィアのために戦い、極悪人に正義の鉄槌を下すヒーローに快哉を叫びたくなる映画『モンキーマン』
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- 1970年代のブラジルに突如誕生したクィアでキャムプなギャング映画『デビルクイーン』
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