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ゲイ旅コラム:明石・姫路

2020年11月15日、奇跡的にパレードが開催された明石と、お城や「そらにじひめじ」がある姫路にも行きました。それほどいろいろ見て回ったわけでもないのですが、せっかくなので旅行記をお届けします。

ゲイ旅コラム:明石・姫路

昨年はソウルニューヨーク沖縄台北とたくさんの旅行記をお届けできましたが、今年はコロナ禍の影響でほとんど旅行に行けず…唯一行けたのが、パレードがあった明石と、そのちょっと先の姫路でした。どちらも駆け足で行った感じで、それほどいろいろ見て回ったわけでもなく、甚だ中途半端な旅行記にはなってしまうのですが、せっかく行ったので、書き留めておきたいと思います。(後藤純一)

※さあ旅行に行きましょうと呼びかけるものではありません。お住まいの地域の感染拡大の状況を見つつ、落ち着いたらお出かけください。
 


プライドパレードが開催された明石

 パレードのレポートにも書きましたが、大阪から新快速で明石に向かおうと思って電車に乗ったら偶然(奇跡的に)パレード友達のVENさんと会い、道中、積もる話をしながら向かいました。三ノ宮を過ぎて、学生時代に何度か行った塩屋(ゲイが集まると聞いて行ってみただけ。何もなかったです)を過ぎて、海側に大きな橋が見えたので、「あれが明石海峡大橋かな。ということは向こうに見えるのが淡路島?」みたいな、初心者な会話をしました。あとで知ったのですが、明石市ではなく神戸市(垂水区)から架かってる橋なんですね。淡路島もいつか行ってみたいです。

 明石といえば明石焼き(だしにつけて食べます)。明石駅から徒歩3分くらいの所にある「きむらや」という有名店に行きましたが、10人くらい入店を待つ人たちが並んでました。「玉子焼」という名前の明石焼と、名物だというおでんをいただきました。人生初明石焼、ふわっふわでめっちゃ旨かったです(本当はビールを頼みたい気分でしたが、これからパレードを歩くのだから…と思い、やめときました。次回はビールと一緒に味わいたいです)



 駅の反対側に向かうと、すぐ目の前が明石公園。お堀があり、明石城跡の櫓も見えます。中に入ると、菊が展示されてたり、木々が紅葉してたりで、風情がありました。あまりゆっくりする暇もなく、パレードの集合地点に向かいました。公園から出発して、駅前をのんびり歩きましたが、ごみごみしてなくて雰囲気のいい街でした。きっと来年もあると思うので、ぜひパレードも参加してみてください(パレードのレポートはこちら

 それから、明石と言えば「子午線」ですよね(小学校で習った気がします)。天文科学館などに行くと日本標準時子午線の標識があったりするそうです。また今度行ってみたいと思います。
 
 なお、明石市は全国で初めて「パートナーシップ・ファミリーシップ制度」を導入し、1月9日土曜日にあかし市民広場でブルボンヌさんらをゲストに招いた「LGBTQ+フレンドリープロジェクト」キックオフイベントを開催します(詳細はこちら)。お近くの方、ぜひお出かけください。


 
 
お城と「そらにじ」の街、姫路
 
 明石のパレードの後、姫路に向かいました。実は今回、明石のパレードだけでなく、もう一つ目的があって、旅行を決意したのでした。それは姫路でゲイの友人が運営しているコミュニティスペース「そらにじひめじ」を訪問することでした。

 「そらにじひめじ」を運営しているのは、だいすけくんという人で、3年くらい前の台北パレードの時に西門の紅楼のバーで東京レインボープライドのグループに混ざって飲んでた時に知り合い(彼もTRPのボランティアをしていました)、その後、青森のパレードでも会ったりして、パレード友達になりました(気さくで、飄々としてて、独特の魅力がある人です)。だいすけくんは青森のパレードを主催する翔子さん&おかっちさんが運営するコミュニティカフェ「Osora ni Niji wo Kake Mashita(通称そらにじ)」に影響を受けて、姫路でも「そらにじ」をオープンさせました。LGBTQやHIV陽性者、不登校やひきこもりの方、精神疾患を抱える方、依存症の方など、生きづらさを感じたり、孤立しがちな社会的マイノリティの方たちが安心して過ごせる居場所としてのコミュニティスペース(カフェ)です。
 姫路駅から歩いて5〜6分くらいの、商店街の中にあるスペースで、2階もあって、かなり広々とした、イベントなんかもできそうなスペースでした(前は三畳一間くらいのスペースだったのですが、今年物件が空いて、移転したそうです)。本棚にはLGBTQ関係だけでなくいろんな本が置いてありました。コーヒーやお茶を飲みながら、自由にくつろぐことができます。はるたんとなっちゃんという猫がいて、遊んだりもできます。
 パレードを歩いていた方が三々五々集まってきて、夜、みんなで近所の中華のお店にご飯を食べに行って(ちゃんとしたお店なのに信じられないくらい安かったです。しかもドリンクバーとかもついてました)、また帰ってきて、お酒も入ったせいなのかな?と思いますが、にわかにハイテンションな盛り上がりになりました(やっぱり関西の方たちの話術ってスゴい)。パレードの時は神妙な顔で歩いてた方とかもすごい楽しそうに笑ってたのが印象的でした。
 余裕があれば、市内に何軒かあるはずのゲイバーにも行ってみたかったのですが、朝から行動して疲れていたので、今回は断念しました。


 翌日、せっかく姫路に来たのだからと、姫路城に行きました。駅からちゃんと見渡せるように街が設計されてて、本当にお城の街なんだなと思いました。
 バスを降りて、お堀からちょっと歩いて、公園に入ります。天守閣は予想以上に大きくて、真っ白で美しい、立派なお城でした。お城って地元の弘前城しか知らなかったので、三階建くらいの天守閣をイメージしてたのですが、近くで見るとビックリするくらい大きかったです。せっかくだから中に入ってみようと思い、天守閣の中の階段を昇り始めたのですが、いちばん上に辿り着く頃には汗だくになってました(いちばん上に神社がありました。何を願ったかは秘密です♪)
 お城の隣には好古園という日本庭園もあり(セット券を買うと安く入れます)、ちょうど紅葉も見頃でしたし、趣があって、よかったです。
 お茶屋さんがあり、名物だという豆大福を買ってみました。美味しかったです。
 それから、大通りを挟んでお城の向かい側にめっちゃ広い広場(大手前公園)がありました。ステージもあるし、ここでパレードできたら最高だなぁと思いました。







 
 出発までまだ少し時間があったので、再び「そらにじひめじ」に寄って、お昼ご飯をいただきました。この日のメニューは「すき焼きうどん」。美味しかったです。
 昨夜とはうってかわって落ち着いていて、だいすけさんのパートナーの方などとゆっくりお話ししました。
 女性の方や(2階でミーティングがありました)、ストレート男性の方などもいて、差し入れを持って来てくださる方や、ご近所の年配の方なども来られていて、「寄り合い」みたいな雰囲気でした。
 多くの方は、ネットで見て、コミュニティ(居場所)を求めてここに来ます。いろんな生きづらさを抱えた方がいらっしゃいますが、自分で語るまでは「あなた何の人?LGBT?」などと詮索されたりしません。ただそこにいて、普通にのんびりしたり、猫と遊んだり、しゃべりたかったらしゃべれるし、何か相談事があったら相談できるし。自由で、心理的安全性が保たれた場所になっています。それは運営のだいすけくんの目配りのおかげだと感じました。アットホームで、根が生えてしまいそうな居心地の良さでした。
 東京、大阪、名古屋などの大都市にはHIV予防啓発のコミュニティセンターがありますが(新宿には初のLGBTQセンターもできました)、青森や姫路のような地方都市には行政の支援も行き届かず、生きづらさを抱え、居場所を求めている方たちにとって、こういうコミュニティスペースは、かけがえのない場所だと思います。「そらにじ」がモデルケースになって全国にこういうスペースが広がっていくといいな、と心から思います。
 帰りにお会計を聞いてビックリしたのですが、軽食付き、お茶・コーヒー飲み放題で300円でした(申し訳ない気持ちになります)。経済的に困っている方も多いので、そういう価格設定になっているとは思うのですが、どうやって維持していくのだろう…と、心配になりました(と思っていたら、運営を続けていくためのクラウドファンディングが始まりました。よろしければご支援をお願いします)



 
 姫路にはお城以外にも、ロープウェイで登る室町時代の古刹・書写山圓教寺(紅葉がキレイだそう。行きたかった…)や、中世のお城、万里の長城、凱旋門、モアイ像、ピラミッドなどを再現した太陽公園(結構ゲイ受けする気がします。行ってないですが…)、サファリパークなど、いろんな観光スポットがあります。
 個人的には、姫路はタイプの人(純朴な感じの太め系)も多いし、人々は気さくで大らかだし、街はキレイだし、とてもいいところだなぁと思いました。また行きたいです。


 というわけで、駆け足で明石・姫路のレポートをお届けしました。
 行くならもちろん、神戸や大阪も含めての旅行も全然アリだと思います(神戸は言うまでもなく、北野異人館街やメリケンパーク、六甲山や有馬温泉などがあります)。大阪〜姫路はJRの新快速で1時間(新幹線だと43分)、神戸〜姫路は新快速で37分(新幹線なら15分)と、そんなに遠くないです。名古屋や大阪、岡山辺りの方ならちょっとした旅行が楽しめます(日帰りも可能です)。東京から行かれる方は、個人的には、新幹線よりも飛行機(伊丹空港か神戸空港)をオススメします。窓側の席で天気がよければ神奈川〜静岡〜愛知辺りの海岸線や富士山がとてもよく見えます(みなさんもう乗り慣れて、見飽きてるかもしれませんが)。1時間足らずであっと言う間に着くので、疲れたり飽きたりタバコが吸いたくなったりもしないです。ちゃんと機内サービスもあります。飛行機のメリットをしっかり味わえて、デメリットが少ないのです。
 
 来年は、もっとたくさんの旅行記をお届けできることを祈ります。
(みなさんもコロナが落ち着いたらいろんなところに旅行しましょうね)

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