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特集:2021年初夏のオススメ映画

今年4月以降もLGBTQの映画やドラマがいろいろ公開されそうです。初夏(4月〜6月)に公開予定の作品をまとめてご紹介します。

特集:2021年初夏のオススメ映画

(『2gether』より)

2021年も、ゲイをはじめとするLGBTQ(クィア)を描いた映画やドラマがたくさん公開されます。映画館で上映される作品も、オンラインで上映(配信)される作品もあります。まだコロナ禍収束の見通しは立っておらず、元通りの生活が送れるようになるのはもう少し先になりそうですが、映画館はかなり感染予防に気を遣っていますし、十分気をつけながら、できるだけ足を運び、日本の文化・アート・エンタメ産業を応援していきましょう。というわけで、2021年初夏(4月〜6月)に公開される予定の作品を、日付順にご紹介していきます。情報が入り次第、随時、追加していきます。
※緊急事態宣言の発令により、東京・大阪・兵庫・京都の大手シネコン系は5/11まで休業となるようです。おそれいりますが、上映館のアナウンスをご確認ください。

(最終更新 2021.4.28)
 


4月全国順次公開
ステージ・マザー

 オープンリー・ゲイのトム・フィッツジェラルド監督(『ハンギング・ガーデン』など)によるカナダ映画『ステージ・マザー』は。製作は『キッズ・オールライト』やNetflix映画『シカゴ7裁判』を製作したJ・トッド・ハリス。『世界にひとつのプレイブック』『アニマル・キングダム』などで知られるジャッキー・ウィーヴァー、『チャーリーズ・エンジェル』『キル・ビル』のルーシー・リュー、『プラダを着た悪魔』『アントラージュ☆オレたちのハリウッド』のエイドリアン・グレニアー、そして大傑作『タンジェリン』のマイア・テイラーといった素敵なキャストが揃います。田舎町のお母さんが、家族と疎遠になっているドラァグクイーンたちの「ママ」になっていくという感涙必至の話題作。ゲイコミュニティと偉大な「ママ」がともに悲劇を乗り越え、成長していく姿、愛と自由の大切さを見事に描いた、笑いあり涙ありの名作です(レビューはこちら
 2月から公開された東京や関西の映画館ではそろそろ上映が終わりそうですが、4月から全国に順次拡大上映されていきますので、ぜひお近くの映画館でご覧ください。全国の公開劇場の情報はこちらです。

<あらすじ>
テキサスの田舎町の主婦で、保守的な教会の合唱団を手伝ってりもしているメイベリンは、オーバードーズで亡くなった息子リッキーの葬儀に参列するためにサンフランシスコに向かいますが、その葬儀があまりにもゲイゲイしく、そして息子のパートナーだという男性ネイサンから、リッキーがドラァグクイーンで、「パンドラの箱」というゲイクラブを経営していたことを知らされ、ショックを受けます。さらにリッキーは遺言を遺さずに他界したため、破綻寸前となっているバーの経営権が母親のメイベリンにあることも発覚し、メイベリンは困惑。しかし、生前には愛する息子のことを理解してあげられなかったという後悔をバネに、ゲイバーの建て直しを決意。彼が自分らしく生きた街で、メイベリンもまた自分らしさとは何か、生きるとは何かを見つめ直す…。

ステージマザー
原題:Stage Mother
2020年製作/93分/カナダ/監督:トム・フィッツジェラルド/出演:ジャッキー・ウィーバー、ルーシー・リュー、エイドリアン・グレニアー、マイア・テイラー、オスカー・モレノ、ジャッキー・ビートほか
 




4月9日公開
アンモナイトの目覚め

 ケイト・ウィンスレットとシアーシャ・ローナンという当代きっての演技派女優が初共演し、19世紀イギリスを舞台に、異なる境遇の2人の女性が化石を通じてひかれあう姿を描いたドラマ作品。女性は男性に従属する立場にあった19世紀当時、メアリーが発掘した化石は大英博物館に買い取られましたが、展示の際に発掘者の名前は全て別人の男性の名前に置き換えられたといいます。「だからこそ男性との関係を描く気になれなかった。彼女にふさわしい、敬意のある、平等な関係を与えたかったんだ。メアリーが同性と恋愛関係を持っていたかもしれないと示唆するのは、自然な流れのように感じられたんだ。そのうえで社会的にも地理的にも孤立し完全に心を閉ざしてきた女性が、人を愛し、愛されるために心を開き、無防備になることがどれだけ大変だったかを描きたかった」と、監督のフランシス・リーは語っています。そう、あの稀代の名作『ゴッズ・オウン・カントリー』のフランシス・リーです! これは名作の予感しかしません…。

<あらすじ>
1840年代、イギリス南西部の海沿いの町ライム・レジス。人間嫌いの古生物学者メアリー・アニングは、世間とのつながりを絶ち、ひとりこの町で暮らしている。かつて彼女の発掘した化石が大発見として世間をにぎわせ、大英博物館に展示されたが、女性であるメアリーの名はすぐに世の中から忘れ去られた。今は土産物用のアンモナイトを発掘し、細々と生計を立てている彼女は、ひょんなことから裕福な化石収集家の妻シャーロットを数週間預かることになる。美しく可憐で、何もかもが正反対のシャーロットにいら立ち、冷たく突き放すメアリー。しかし、自分とあまりにかけ離れたシャーロットに、メアリーは次第にひかれていく…。

アンモナイトの目覚め
原題:Ammonite
2020年/117分/R15+/イギリス/監督:フランシス・リー/出演:ケイト・ウィンスレット、シアーシャ・ローナンほか
4月9日から東京・TOHOシネマズ シャンテほか全国で順次公開





4月9日〜5月8日 GYAO!で無料配信
ナチュラルウーマン

 第90回アカデミー賞授賞式で92ヵ国からエントリーがあったなかから見事、外国語映画賞に輝いた作品で、トランスジェンダー俳優が演じたトランスジェンダー作品として史上初めてオスカーを獲得した『ナチュラルウーマン』が、GYAO!で無料配信されます。2017年のベルリン国際映画祭テディ賞(最優秀クィア映画賞)、米『ハリウッド・レポーター』誌が選ぶ「2017年のLGBT映画ベスト10」第2位などにも輝いています。(レビューはこちら

<あらすじ>
チリの首都・サンチアゴでウェイトレスをしながらナイトクラブのシンガーとしてステージにも立っているトランス女性のマリーナは、歳の離れた恋人オルランドと愛犬といっしょに幸せに暮らしている。オルランドがマリーナの誕生日を祝ってくれた夜、急に頭が痛いと言い、病院に運ぶも、手当の甲斐なく、亡くなってしまう。最愛の恋人の死に直面し、悲しみに暮れる間もなく、マリーナは警察の理不尽な取調べを受け、遺族から容赦ない侮辱を浴びせられる。しかし、彼女はへこたれなかった…。

『ナチュラルウーマン』Una Mujer Fantastica
2017年/チリ・ドイツ・スペイン・アメリカ合作/監督:セバスティアン・レリオ/出演:ダニエラ・ベガ、フランシスコ・レジェス、ルイス・ニェッコほか
5月8日(土)23:59までGYAO!で無料配信




 
4月15日からNetflixにて配信
彼女

 モデルや女優(『ノルウェイの森』『ヘルタースケルター』など)として活躍し、『クィア・アイ in Japan!』にも出演してゲイフレンドリーな姿を印象づけた水原希子さんが、Netflix映画『彼女』でレズビアンの主人公を演じることが話題になっています。原作は、中村珍さんの『羣青』。殺人がモチーフになっていることから「また同性愛者を「モンスター」に仕立てて…」と受け止める方もいらっしゃるかもしれませんが、中村珍さん自身、「お母さん二人いてもいいかな!?」という作品を発表しているレズビアンの方であり、決して同性愛を貶めるものではないと思います。こちらこちらこちらで熱く語られているような、凄い作品です。そしてこの原作を映画化するにあたり、あの水原希子さんがレズビアンの主人公を演じるのだからスゴい。相手役の七恵はゲス極。のさとうほなみさん。監督は、『ヴァイブレータ』や『余命1ヶ月の花嫁』、『軽蔑』など、数々の話題作を手がけてきた鬼才、廣木隆一監督。というわけで、楽しみに待ちましょう。
 
<あらすじ>
レズビアンの永澤レイと、夫から壮絶なDVを受けている篠田七恵。高校時代から七恵に恋をしていたレイは、彼女のために夫を殺害する。自分のために殺人まで犯したレイに疎ましさと恐ろしさを抱く七恵と、そんな彼女を生かすため、すべてを受け入れるレイ。互いに愛を欲しながら、絡み合わない想いをぶつけあう、レイと七恵。正しいことも悪いことも、愛も憎しみも限界を超えた彼女たちの逃避行がはじまる…。

彼女
2021年/日本/監督:廣木隆一/出演:水原希子、さとうほなみ、烏丸せつこ、真木よう子ほか
4月15日からNetflixにて配信




4月20日からテレビ大阪で放送
2gether(ドラマ)

 タイBLドラマ史上No.1と評される大ヒット超話題作『2gether』が、テレビ大阪で地上波初放送されます。タイの大学を舞台にイケメン同級生たちが繰り広げる胸キュンラブストーリーで、2020年2月にタイで放送が開始された直後から、キャストのイケメン度、ストーリーの面白さに世界のドラマファンから注目を集め、日本でも関連書籍の発売やコミカライズも始まるなどしています。一部のゲイの方たちも熱い賛辞を贈っている作品です。

<あらすじ>
大学の新入生タインは、可愛い女子が大好き。女の子に近づくために学部のチアリーディングチームへの入部を決めるが、ゲイの同級生グリーンに一目惚れされ、行く先々で猛アプローチを受けてしまう。バラ色の大学生活を送るため、偽装彼氏を作ってグリーンに諦めてもらう作戦を友人と立てるタイン。狙いを定めたのは、軽音部の超イケメン・サラワット。サラワットをニセ彼氏にするためにあの手この手で近づくも、SNSもやらない硬派な彼に冷たくあしらわれてしまう。最後の手段として、サラワットが所属する軽音部への入部を決意。一から必死にギターを学ぶタインの姿を見て、サラワットはついに彼氏のフリをすることを承諾する。グリーンの前でわざと甘い言葉や態度を見せつけ、「タインは俺のものだ」と言い放つのだが…。

2gether(全14話)
2020年/タイ/監督:ウィーラチット・トンジラー/出演:メータウィン・オーパッイアムカジョーン(ウィン)、ワチラウィット・チワアリー(ブライト)ほか
4月20日からテレビ大阪にて放送(朝8:30〜9:27)




4月20日〜5月10日 GAYO!で無料配信
イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密

 「コンピュータの父」であり第二次大戦の英雄であったアラン・チューリングの天才と、ゲイを許さなかった時代ゆえの悲劇を描ききった感動的な作品です。ベネディクト・カンバーバッチが主演したことでも話題になりました。(レビューはこちら

<あらすじ>
第二次世界大戦時、ドイツ軍が誇った世界最強の暗号<エニグマ>。世界の運命は、解読不可能と言われた暗号に挑んだ、一人の天才数学者アラン・チューリングに託された。英国政府が50年以上隠し続けた、一人の天才の真実の物語。時代に翻弄された男の秘密と数奇な人生とは…?

『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』 
2014年/アメリカ、イギリス/配給:ギャガ/監督:モルテン・ティルドゥム/原作:アンドリュー・ホッジス『Alan Turing: The Enigma』/脚本・製作総指揮:グレアム・ムーア/出演:ベネディクト・カンバーバッチ、キーラ・ナイトレイ、マシュー・グード、マーク・ストロング、チャールズ・ダンス、アレン・リーチ、マシュー・ビアード、ロリー・キニアほか/5月10日(土)23:59までGYAO!で無料配信




4月23日〜5月13日 GAYO!で無料配信
ムーンライト

 月明かりの下で青く光る愛のかけらは、本当に儚く、一瞬の夢のような出来事で…美しくも切ない男どうしの純粋な恋の物語であり、同時に、静かな怒りを感じさせる名作『ムーンライト』。あの『ブロークバック・マウンテン』も獲れなかったアカデミー作品賞を、ついに獲得した、記念碑的作品です。(レビューはこちら

<あらすじ>
マイアミの貧困地域で暮らす内気な少年シャロンは、学校ではいじめられ、家庭では麻薬常習者の母親からネグレクトされていた。そんなシャロンに優しく接してくれるのは、近所に住む麻薬ディーラーのフアン夫妻と、唯一の友達であるケヴィンだけだった。高校生になったシャロンは、ケヴィンに対して友情以上の思いを抱くようになるが…。

『ムーンライト』Moonlight
2016年/アメリカ/監督:バリー・ジェンキンス/製作総指揮:ブラッド・ピット/出演:トレヴァンテ・ローズ、アシュトン・サンダース、アレックス・R・ヒバート、マハーシャラ・アリ、ナオミ・ハリス、アンドレ・ホランド、ジャネール・モネイ、ジャハール・ジェロームほか/GYAO!で5月13日(木)23:59まで無料配信





4月23日〜 Disney+にて配信
ジェンダー革命

 ジェンダー・アイデンティティを取り巻く疑問に答えるべく、ジャーナリストのケイティ・クリックが全米を巡り、第一線の科学者、医師、専門家、そしてトランスジェンダーの当事者の人々にインタビューし、ジェンダー問題における科学、社会、文化の役割を検証し、これまで語られてこなかった葛藤、理解、無知、愛についての無数のストーリーに光を当てたドキュメンタリー。GLAADメディアアワードの最優秀ドキュメンタリー賞を受賞した作品です。GLAADは「トランスの若者について正しい情報が欲しいなら、トランスの若者が自分たちの人生について自分たちで話している『ジェンダー革命』を見てください」と推薦しています。

ジェンダー革命
原題:Gender Revolution: A Journey with Katie Couric
2017年/アメリカ/92分/製作:ケイティ・クリック(ナショナル・ジオグラフィック)
4月23日からDisney+にて配信(AmazonPrimeでもレンタル視聴が可能です。¥150〜)





4月26日〜5月16日 GYAO!で無料配信
君の名前で僕を呼んで

 『モーリス』のジェームズ・アイボリーが脚本を執筆し、見事にアカデミー賞に輝いた『君の名前で僕を呼んで』。一見、『モーリス』や『アナザー・カントリー』のような美青年たちを主人公とした「お耽美」ゲイ映画の系譜に位置づけられるような作品、若いイケメンたちがバカンスで一夏の恋(アバンチュール)を楽しむセクシーな作品、というふうに見えるのですが(その通りなのですが)、それだけにとどまらない、ものすごく知的で、極めて芸術性の高い、奥の深い作品でした。もしかしたら男どうしの愛というものへの見方(概念)が変わるかもしれません。(レビューはこちら

<あらすじ>
1983年。17歳のエリオは今年も、両親とともに、北イタリアの避暑地にあるヴィラ(別荘)で夏休みを過ごしている。父親は大学教授で、古代ギリシャ・ローマの美術史を教えている。ヴィラには毎年、教授の教え子が1人、研究の手伝いを兼ねてやってくる。今年は容姿端麗なオリヴァーという大学院生だ。背が高く、快活で知的な好青年・オリヴァーに女性たちは夢中になる一方、エリオは「なんとなく横柄そう」とけなす。みんながバレーボールに興じているとき、オリヴァーはさりげなくエリオの体に触れる。ギターでバッハを弾いているエリオにアンコールをお願いし、エリオは同じ曲をピアノで弾いてみせる。二人は一緒に自転車で街に出かけ、買い物をしたり、プールで泳いだり、二人の時間を過ごすようになる。そして…

『君の名前で僕を呼んで』Call me by your name
2017年/イタリア・フランス・ブラジル・アメリカ合作/監督:ルカ・グァダニーノ/出演:アーミー・ハマー、ティモシー・シャラメ、マイケル・スタールバーグほか/GYAO!で5月13日(木)23:59まで無料配信





4月26日〜5月9日 オンライン
ダムタイプ『S/N』記録映像

 ゲイであることやHIV+であることを前面に打ち出し、ハイテクなパフォーマンスと生の語りが交互に訪れるような奇蹟の感動作で、ゲイコミュニティにも(世界にも)影響を与えた故・古橋悌二さん(ダムタイプ)の伝説の作品『S/N』の記録映像が、世界で初めてオンライン配信されます。ノーマルスクリーンが古橋さんの調査を行なっている関係で、それをサポートする(古橋さんとも交流があった)ニューヨークのアート団体「Visual AIDS」が主催し、実現することになりました。5月1日には『S/N』に出演したブブ・ド・ラ・マドレーヌさん、古橋さんと深い関係にあった山中透(DJ LALA)さん、古橋さんの作品をMOMAに入れたキュレーターのBarbara Londonさんが語る「LIFE WITH VIRUS": Teiji Furuhashi in New York」というトークイベントも開催されます。

ダムタイプ『S/N』記録映像世界初配信
日程:4月26日〜5月9日
視聴方法:トークイベントのチケット(無料です)も含め、こちらで予約をすると、後日、配信URLが送られてくるそうです


 


4月30日(金)、5月3日(月祝) 東京(イタリア映画祭)
泣いたり笑ったり

 東京(ユーロライブ)はGWに、大阪(ABCホール)は6月上旬に開催されるほか、オンラインでも5月13日(木)~6月13日(日)に開催される「イタリア映画祭2021」の上映作品『泣いたり笑ったり』は、シモーネ・ゴダノ監督の第2作で、ゲイを描いたコメディ。アレッサンドロ・ガスマン、ジャズミン・トリンカ、ファブリツィオ・べンティヴォッリョというイタリアの有名な俳優が出演するエンターテインメント作品だそうです。
 
<あらすじ>
裕福でオープンマインドだが利己的なカステルヴェッキオ家と、保守的な価値観を持つ労働者階級のペターニャ家。対照的な家族が海辺の別荘で一緒に夏の休暇を過ごすことになる。それぞれの家族の長であるトニとカルロだけが知っている秘密があり、それが明らかになると騒動が巻き起こる……。

泣いたり笑ったり
原題:Croce e delizia
2019年/イタリア/100分/監督:シモーネ・ゴダノ/出演:アレッサンドロ・ガスマン、ジャズミン・トリンカ、ファブリツィオ・べンティヴォッリョほか
上映日時:4月30日(金)14:45-、5月3日(月祝)10:15-
会場:ユーロライブ
※大阪会場とオンライン上映は、まだ上映スケジュールが発表されていません。わかり次第、更新いたします。





5月3日〜5日 オンライン
迷い子たちの物語

 レインボー・リール東京初のオンラインイベントとして、第26回レインボー・リール東京で上映された台湾映画『迷い子たちの物語』の上映と、台湾人ゲスト3名が本作の制作背景や台湾のLGBTQ事情、台湾の映画やTVドラマにおけるLGBTQの表象、映画祭やプラットフォームの運営などについて語るトークショーが行なわれます。イベントの詳細はこちらをご覧ください。(映画『迷い子たちの物語』のレビューはこちら

<あらすじ>
妊娠した恋人をマニラに置いて台北を訪れたフィリピン人の整備工アレックスは、バーで台湾人の医大生ジェリーと出会い意気投合する。母に置き去りにされたアレックスと、ゲイであることを保守的な両親に告げられずにいるジェリー。二人はジェリーの家族に会いに彼の故郷・宜蘭へ向かうが…。

迷い子たちの物語
2017年/台湾、フィリピン/90分/英語、タガログ語、中国語、アタヤル語(日本語字幕付き)/監督:ホセリト・アルタレホス




5月4日(火) 
ケネス・アンガー『花火』

 マーティン・スコセッシ、デヴィッド・リンチ、デレク・ジャーマン、R.W.ファスビンダー、デニス・ホッパー、ガス・ヴァン・サント等、数多のクリエイターに影響を与えたアンダーグラウンド映画界のヒーローであり、映像の魔術師とも称されるケネス・アンガーの短編を集めた「マジック・ランタン・サイクル」が(残念ながら閉館が決まった)アップリンク渋谷で不定期上映中です。
 『花火』(1947年)はアンガーが17歳の頃の処女作で、世界初のゲイ映画と言われていて、ジャン・コクトーやテネシー・ウィリアムズからも絶賛されています。性的な妄想にとりつかれた少年をアンガー自身が演じ、大挙して押し寄せる水兵たちに暴行を受けたり、ペニスが花火に変わったりといった性衝動のイメージが描かれています。しかし、作品が発表されるや、アンガーはわいせつ罪で逮捕され、事件はカリフォルニア州最高裁判所に持ち込まれますが、裁判所はポルノではなく芸術であると見なし、無罪となりました。この作品をきっかけにアンガーは性科学者アルフレッド・キンゼイと交流を始め、1956年にキンゼイが亡くなるまで友情を育みました。
 この「マジック・ランタン・サイクル」【B_PROGRAM】では、ほかにも、バイカーたちの日常をフェティッシュに描いた『スコピオ・ライジング』や、ピチピチのシャツとジーンズのイケメンがバイクの剥き出しの内部を柔らかなパフで磨くだけという『K.K.K. Kustom Kar Kommandos』などが上映されます。伝説のゲイの映像作家の作品に触れるチャンスです。

花火
1947年/アメリカ/白黒/15分/監督・撮影・編集・主演:ケネス・アンガー
アップリンク渋谷でケネス・アンガー「マジック・ランタン・サイクル」HDリマスター【B_PROGRAM】として、5月4日(火祝)14:20-15:33に上映



5月10日(月)17:45-
アリフ・ザ・プリン(セ)ス

 台湾原住民のゲイの青年と彼の生き方や彼を取り巻く仲間、家族の人間模様を描いた、笑って泣けるヒューマンドラマ。『父の初七日』のワン・ユーリン監督が描く、さまざまなジェンダー、セクシュアリティ、世代の間の人間模様。2017年の東京国際映画祭でワールドプレミア上映されて話題を集め、翌年のレインボー・リール東京でも上映されました。今回は、台湾巨匠傑作選2021の中の一作品として新宿K's cinemaで上映されます。

<あらすじ>
都会で働く美容師のアリフは、女性になることを望むトランスジェンダー。しかし田舎の父からは原住民族の族長として後を継ぐように言われている。アリフの親友でレズビアンのペイチェンは、友情とは異なる感情をアリフに抱き始めるが、アリフは妻のいる公務員、クリスに惹かれていく…。

アリフ・ザ・プリン(セ)ス
2017年/台湾/95分/監督:ワン・ユーリン/出演:ウジョンオン・ジャイファリドゥ、チャオ・イーラン、ウー・ポンホンほか 
台湾巨匠傑作選2021の一プログラムとして新宿K's cinemaで上映。5/10(月)17:45〜




5月
未来は私たちのもの

 5月20日〜23日、渋谷ユーロライブにて開催される「ドイツ映画祭 HORIZONTE 2021」の目玉作品です。1994年生まれのイラン系ドイツ人のファラズ・シャリアット監督による自伝的デビュー作で、ドイツにおける移民系の青年の成長とLGBTQカルチャーを繊細かつポップに描き、多様性をパワフルに肯定している作品です。2020年のベルリン国際映画祭でテディ賞(最優秀クィア映画賞)を2部門で受賞しました。

<あらすじ>
イラン系移民の両親を持つミレニアル世代の青年パーヴィスは、両親がドイツで築いた安定した快適な環境で育つ。出会い系アプリのデート、レイヴやパーティで暇つぶしをしながら、地方暮らしの退屈さを紛らわせている。ある日、万引きがバレて、社会奉仕活動を命じられたパーヴィスは、難民施設で通訳として働くことになり、そこでイランからやってきた兄弟バナフシェとアモンに出会う。しかし、3人の間に微妙なバランス関係が生まれ、ドイツにおけるそれぞれの未来が平等でないことを、彼らは次第に気づき始める…。

未来は私たちのもの
原題:Futur Drei
2020年/92分/ドイツ/監督:ファラズ・シャリアット/出演:ベンヤミン・ラジャブプル、バナフシェ・フールマズディ、アイディン・ジャラリー、マリアム・ザレーほか
「ドイツ映画祭 HORIZONTE 2021」にて上映(※上映スケジュールは3月中に発表予定)





5月 
異端児ファスビンダー

 同じくドイツ映画祭で上映されるのが『異端児ファスビンダー』です。ニュー・ジャーマン・シネマの鬼才、ライナー・ベルナー・ファスビンダー監督(『ケレル』『13回の新月のある年に』)。その天才や愛、芸術家としての多様な側面を描き出した作品です。監督オスカー・レーラーは、映像の色合いや照明、舞台セットの効果を強く意識した演出により、ファスビンダーの宇宙に深く迫ります。
 
<あらすじ>
1967年、ミュンヘン-- 弱冠22歳のファスビンダーは劇団「アンチテアター」の舞台を席捲したが、この無遠慮極まりない若者がいつかドイツを代表する異才の映画監督になろうとは、当事、だれも想像もしていなかった。間もなく、この、カリスマ性に満ち、高い要求を突き付けるファスビンダーの下に、俳優、取り巻き連中や恋人などが集結する。次々に発表される新作はベルリンやカンヌの映画祭で話題を集める。しかし若き監督は仕事でもプライベートでも周囲を二極化させ、自身の身体を痛めつけるような無茶な仕事ぶりや過度な麻薬摂取などによって、その犠牲となる者も生まれてくるのだった…。

異端児ファスビンダー
2020年/135分/ドイツ/監督:オスカー・レーラー/出演:オリヴァー・マズッチ、カティア・リーマン、ハリー・プリンツ、アレクサンダー・シェアー、エルダル・イルディズ、アントン・ラッティンガー、フェリックス・ヘルマンほか
「ドイツ映画祭 HORIZONTE 2021」にて上映(※上映スケジュールは3月中に発表予定)




5月
ベルリン・アレクサンダー広場(1979・1980年)
 
 『ユリシーズ』『特性のない男』等と並ぶ20世紀前半の前衛文学の名作、アルフレート・デーブリーンの『ベルリン・アレクサンダー広場』をファスビンダーが映像化した伝説のTVシリーズが上映されることになりました。フランシス・フォード・コッポラ、トッド・ヘインズ、タル・ベーラなど数々の映画作家を魅了してきた類まれな人間ドラマ、観る者の人生観を揺るがす世紀の大傑作です。主人公フランツと、その友人の同性愛関係も描かれています。この機会を逃すとスクリーンで観るチャンスはこの先ないかもしれません。15時間に及ぶ耐久レース的な鑑賞にはなりますが、決して観て損はないと思いますので、興味がある方はチャレンジしてみてください。
 
<あらすじ>
1920年代末ドイツのベルリン。第一次大戦敗戦の痛手で社会も人々の心も不安定を極めていた。失業者は日々増加し、犯罪が横行した。議会政治は骨抜きとなり、巷ではナチスと共産主義者の対立が過激さを増していた。その一方でベルリンはヨーロッパ有数の大都市(メトロポール)として爛熟した文化が花開いた。そんな激動の時代を一人の“普通”になりたかった男、フランツ・ビーバーコップが辿る受難に満ちた物語である。

ベルリン・アレクサンダー広場
1980年/西ドイツ・イタリア合作/全14話(898分)/監督:ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー/出演:ギュンター・ランプレヒト、ハンナ・シグラ、エリザベート・トリッセナー、バルバラ・スコヴァ、マルギット・カルステンセンほか
ドイツ映画祭 HORIZONTE 2021」にて上映(※上映スケジュールは3月中に発表予定)





5月 東京
ことの成り行き

 東京(国立映画アーカイブ)で5/28〜6/20に、京都(京都文化博物館)で6/17~7/4に、オンラインで5/28〜6/25に開催される「EUフィルムデーズ2021」で上映される『ことの成り行き』は、スロヴェニア初のLGBTQ映画で、トロント国際映画祭で注目を集め、本国の映画祭では監督賞、俳優賞、観客賞を受賞したそうです。

<あらすじ>
アンドレイは些細な問題行動を重ね、一定期間、少年院に入所することになった。そこでカリスマ的な魅力を持つリーダーのジェリコに、性的にも恋愛的にも惹かれるが、本当の気持ちを明かすことができず、苦悩し……。

ことの成り行き
原題:Posledice/Consequences
2018年/スロベニア/監督:ダルコ・シュタンテ
※上映スケジュールがまだ発表されていません。わかり次第、更新します





5月29日から公開
ジュ・テーム・モワ・ノン・プリュ

 セルジュ・ゲンズブールが1969年に発表し、性行為を思わせる歌詞など官能的な内容で物議を醸しつつも大ヒットを記録した楽曲「ジュ・テーム・モワ・ノン・プリュ」をモチーフに、ゲンズブールが自らメガホンをとり映画化した伝説のゲイ映画『ジュ・テーム・モワ・ノン・プリュ』がゲンズブール没後30年を記念して「4K完全無修正版」でリバイバル公開されます。
 この映画がスゴいのは、ゲンズブールが、いくら妻だったからとはいえ、あのジェーン・バーキン(ナチュラルな魅力で世界を席巻したレジェンダリーなモデル。エルメスのバーキンの生みの親です)を、ゲイカップルの間に割って入る、ショートヘアで男の子みたいに見える「ゲイになりたい女の子」として描いた(アナルセックスまでさせた)ところです。ジェーン・バーキンは「セルジュはゲイに憧れていた。現実にゲイになるよりもゲイを描くことのほうが簡単だったのね」と語っています。
 男の子にしか見えないジョニー(ジェーン・バーキン)をスナックで見かけて興味を持つようになったクラスキーを演じたジョー・ダレッサンドロは、ウォーホルに見出された俳優で、20世紀アメリカのアンダーグラウンド映画では最も有名な男性セックスシンボルであり、ゲイのセックス・シンボルであり、また70年代ニューヨークのアート・シーンにおける性革命のスター的存在でした(自身もバイセクシュアルでした)
 また、今やフランスの国民的スター俳優であるジェラール・ドパルデューが白馬に乗ったゲイの農夫として登場し、「やめときな。俺のは無理さ。デカすぎて病院行きが何人も出た」と言って去るという、スゴいシーンがあります(詳細はこちら
 1975年にこれが作られたというのもスゴいし、いろんな意味でスゴい、歴史に残るゲイ映画です。
 
<あらすじ>
クラスキーとパドヴァンは、ゴミをトラックで運びながら町から町へと変転と移動する若者たち。人生に目的を持つわけでもなく、成りゆきにまかせてその日暮らしをしている。ある日、ガソリンスタンドに寄った二人は、そこのスナックで奇妙な女に出会った。初めは男の子かと思ったくらいやせたショートカットの無愛想な女ジョニーだ。彼女はケチな主人に反抗しながらも、いつもハンバーガーを焼いている。クラスキーは、そんなジョニーに興味を持ち、この町にしばらく留まることに決めた。夜のパーティで二人はダンスし、感情が高まるのをお互いに感じる。しかし、その気になったジョニーを置いて、クラスキーは去ってしまった。彼はパドヴァンとつきあっていたのだ。それを知ったジョニーは、ショックを受けながら、クラスキーに愛されようと必死で努力する……。

ジュ・テーム・モワ・ノン・プリュ
原題:Je t'aime moi non plus
1975年/90分/R18+/フランス/監督・脚本:セルジュ・ゲンズブール/出演:ジェーン・バーキン、ジョー・ダレッサンドロ、ユーグ・ケステル、ジェラール・ドパルデューほか
5月から新宿「K's cinema」ほか全国順次公開
(c)1976 STUDIOCANAL – HERMES SYNCHRON




6月5日〜
デニス・ホー ビカミング・ザ・ソング

 レズビアンであることをカミングアウトした香港の歌手、デニス・ホーの音楽活動の軌跡と、自由と民主主義を守ろうとする運動家としての活動を追うドキュメンタリー映画です。監督、脚本、プロデュースを務めたスー・ウィリアムズは、同作について「私が気づいたのは、デニスの人生が、そのまま香港の歴史に重なるということだ。政治的な浮き沈み、締付けを緩めようとしない中国共産党の動向が、その都度、反映されている。他の香港人と比べてデニスが際立つ点は、彼女いわく、10代の日々を過ごしたモントリオールの地で学び、吸収した民主主義の原則と、その価値観への揺るぎない信念だ。キャリアや資産を危険にさらし、逮捕され、スポンサーを失い、友人と思っていた人々が離れていく。そんな苦境を恐れ、言動を控える人々が多いなか、何百万人に上る香港市民の思いを伝えようと声を上げ、自由と民主主義のために戦う姿勢を公の場で表明する彼女の強さは、この固い信念があるからこそだ。『デニス・ホー ビカミング・ザ・ソング』は、そんな彼女の物語である」と語っています。

デニス・ホー ビカミング・ザ・ソング
原題:Denise Ho: Becoming the Song
2020年/83分/アメリカ/監督・脚本:スー・ウィリアムズ/出演:デニス・ホーほか
2021年6月5日からシアター・イメージフォーラムで公開





6月19日〜
息子のままで、女子になる

 パンテーンCM「#PrideHair」起用や「AbemaTV」コメンテーターをはじめ、多くのメディアへ出演し、トランスジェンダーの新しいアイコンとして注目されるサリー楓さんに密着したドキュメンタリー映画です。ロサンゼルス・ダイバーシティ・フィルムフェスティバルでドキュメンタリー賞を受賞しています。

<あらすじ>
慶應義塾大学で建築を学び、大手建設会社に内定し、8歳からの夢だった建築家としての未来を歩み始めた楓。男性として入学し、女性として卒業し、社会に出ていくなかで、彼女は世間にある「トランスジェンダー」という既成概念に疑問を抱く。そして自らビューティ・コンテストに出場し、LGBTの就職支援活動や講演活動などを通し、これまでのステレオタイプとは違う、新しいリアルな「一個人」としてのトランスジェンダー女性像を打ち出そうとする。しかしそんななか、楓の心には、父親の期待に応えられなかった息子としてのセルフイメージが残っていた。新しい自分、本当の自分として世界に出た時、家族はそれをどう受け止めるのか……。

息子のままで、女子になる
2020年/日本/105分/監督:杉岡太樹/出演:サリー楓、スティーブン・ヘインズ、西村宏堂、はるな愛ほか





7月2日
デュー あの時の君とボク

 イ・ビョンホン主演の韓国映画『バンジージャンプする』をリメイクしたタイのBL映画です。オリジナルの韓国映画に切なくも温かいタイ風エッセンスを盛り込み、純度の高い青春BL作品へと昇華させました。チェンマイをはじめとするタイのノスタルジックな風景のなか、過去と現在が交錯する濃密なストーリーが展開します。前半は、同性の転校生に惹かれながらも周囲の目を気にして素直になれない男子高校生の切ない恋心をリアルに描写、後半では舞台を現代に移し、結婚して教師として母校に戻ってきたポップが、教え子の女子高生リューになぜか強く惹かれ、禁断の関係から衝撃のラストへと向かっていく…とのことです。

<ストーリー>
ある田舎町の高校生ポップは、転校生のデューと道端で出会う。友情を育みながらお互いに惹かれ合っていくが、保守的な彼らの町や学校ではLGBTに対する理解は少なく、素直に愛情を表現することができずにいた。「一緒にバンジージャンプしよう!」という目標に向かって過ごしていたある日、二人の関係を変えてしまう出来事が起こる。やがて22年の時が経ち、結婚し教師として母校に戻ってきたポップは、何故か彼の教え子である女子高生リューと無性に惹かれ合い…。

デュー あの時の君とボク
原題:Dew
2019年/123分/タイ/監督:チューキアット・サックビーラクル/出演:パワット・チットサワンディ、スコラワット・カナロス

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