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レポート:Living Together「オンラインLIVEショー」

11月3日(祝)に配信されたLiving Together「オンラインLIVEショー」。会場のAiSOTOPE LOUNGEからの現場レポートをお届けします。

レポート:Living Together「オンラインLIVEショー」

 11月3日(祝)、YouTubeライブでLiving Together「オンラインLIVEショー」が配信されました。文化の日らしい、二丁目らしい、笑いあり涙ありのとても素敵なイベントになりましたね。今回、会場となったAiSOTOPE LOUNGEでリハと本番を拝見させていただくことができましたので、現場からのレポートをお届けします。写真もリハの時だったり、配信とは異なる角度だったり、記念の集合写真だったりします。
 まずは(本番の配信をご覧になれなかった方は)YouTubeのアーカイブをご覧ください。(※現在はイベント全体のアーカイブはなくなり、それぞれのキャストの方の朗読やパフォーマンスが再掲載されているので、そちらをご覧ください)

 当日は18時頃、AiSOTOPE LOUNGEにおじゃまし、リハから拝見させていただきました。
 メインフロアの後方に、予想をはるかに超えるような本格的な機材やカメラが設置され、プロのスタッフの方たちが動き回っていて、スゴいなぁと思っていました。
 18:50頃から配信画面がスタンバイし、19:00に本番がスタートしました(ステージ左横のソファで拝見させていただきました)
 MCのお二人のハイテンションなトークで幕を開けました。
 DJ Hugestさんは、感染がわかってから初めて好きになった人に宛てて書いた20代の方の手紙でした。病気のことを言ったら嫌われるかもしれない、うつらないようにすれば黙ってつきあってもいいんじゃないか、などとも思いつつ、「後出しじゃんけん」をするのではなく、好きだからこそ正直に言おうと思った、という、本当に正直で真っ直ぐで、カミングアウトの結果がどうなったかも書かれていない、とても切ない手紙でした。Hugestさんは、HIV陽性であることがわかって、それを自分のなかで消化したうえで、次のステップに進んでいこうとするところ、よりよい恋愛をしていきたいと願っているところに感銘を受けたと語りました。26歳のみずみずしい感性が光るお話でした。
 ヌーディカラーの素敵なドレスで登場し、小原さんに「アンジェリーナ・ジョリーみたいですね」と言われていた(11/27のG-TOUR@ageHaでHappy Welcome Girlをつとめる)レイチェル・ダムールさんは、お父さんにHIV陽性の告知を受けたことをカムアウトした後、自分だけで受け止めることができなくなったお父さんが知り合いに相談し、近所中に広まってしまった…という手記をリーディング(凄い話ですよね…)。他の人よりも何倍も濃い人生を歩んで来られたレイチェルさんは、若い頃のハッテン場通いや、初めて検査を受けた時の体験、周りの陽性者のお友達の話も含め、自らの人生経験に基づきながら、さまざまな奥深いお話を語ってくれました。「Living with HIVって、自分がHIVとともに生きるというよりも、HIVを持った人が他者とどう生きていくかだと思う」という言葉が印象的でした。
 その後の小原さん、ジャンジさんも交えたトークでは、小原さんがドラマの『POSE』のことを紹介してくださって、とてもうれしかったです。
 そして「つづき」の5人によるライブ。SEKINEさんがLiving Togetherのことにも通じるのではないかと選んだ歌は、大橋ちっぽけさんの「だれも知らない」という歌で、痛みを抱えながら誰にも言えず独りでたたかおうとすることの切なさを歌っていて、初めて聴いたのですが、ものすごく沁みました(泣きました)。そして『東京Neighbors』のエンディングテーマとしておなじみの「逡巡歌」も、とてもよかったです。SEKINEさんのファンの方、本当に多いと思いますが、彼のライブを間近で(特等席で)聴くことができて幸せでした。
 最後にみなさんがステージに上がり、「HIVを持っている人も、そうじゃない人も、まだ分からない人も。わたしたちはすでに、一緒に生きている。WE’RE ALREADY LIVING TOGETHER。」というメッセージをお伝えし、幕を閉じました。




 リハの時、小原さんが「Living Togetherは2年ぶり? ずっとやりたかったんですよ〜待ちきれなくて毎日○ナニーしてました笑」と話していてウケました(本番はみなさん緊張していましたが、リハの時は和気あいあいでした)が、今回このイベントが実現したのは、aktaの方たちだけじゃなくAiSOTOPE LOUNGEの小原さんの思いもあったんだなぁということが伝わってきました。
 「Living Together」のイベントといえば、二丁目の「advocates tokyo」や「ArcH」で2000年代に開催された「Living Together Lounge」や、「九州男」で開催されてきた「Living Together のど自慢」がありますが、AiSOTOPE LOUNGEでも、ゲイ雑誌『バディ』などコミュニティのいろんなグループとコラボした「akta TAG TOUR」というイベントシリーズが開催されていました(2015年、16年の世界エイズデーには「WORLD AIDS DAY Party RED awareness」も開催)
 小原さんが「二丁目からこういうLiving Togetherのメッセージを発信できることに意味がある」「LGBTQが自分らしくいられる二丁目という街を守りたい」と語っていたのには、大きくうなずきました。
 
 そして、もちろんこのLiving Together「オンラインLIVEショー」はaktaのジャンジさんあってこそのイベントです。ジャンジさんは(こちらのインタビューでもお伝えしていますが)、ゲイではないにもかかわらず、aktaの代表を務めるまでになったという方。aktaの代表を退いた今も、日本中で最も精力的にLiving Togetherのイベントをやり続けています。その熱意に頭が下がります。
 
 HIVに感染してしまった人たちの手記を、代わりに誰かが読むことで、HIV陽性者のリアリティを追体験しながら、HIVのことを身近に感じることができる「Living Together」の手法。そこには、感染した方を自業自得だとして切り捨てたり差別するのではなく、HIV陽性者に寄り添いながら予防啓発をしていこうとする思いが込められています。ぷれいす東京の生島さんへのインタビューでもお伝えしましたが、今のこのコロナ禍にも通じるものがあると思います。コロナ禍でHIV検査も激減しましたし、HIVのイベントも減ってしまったなかで、こうして今回、AiSOTOPE LOUNGEさんのご協力のおかげで、二丁目が生んだ偉大なカルチャーの一つである「Living Together」のイベントが実現したこと、本当に素晴らしいと思います。拍手!です。
 
 今回リーディングで使われたHIV陽性者の手記集はぷれいす東京が発行している「Living with HIV 身近な人からHIV陽性と伝えられたあなたへ」でした。読んでみたいな、と思う方は、ぜひこちらをご覧ください。

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