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特集:2022年4月のLGBTQ映画

2022年4月に上映・放送・配信されるLGBTQ関連の映画やドラマの情報をまとめてお伝えします。

特集:2022年4月のLGBTQ映画

(『プレゼント・スティル・パーフェクト』より)
 

 ようやくマンボウも明け、晴れやかな気持ちでお花見をしたり、ひさびさに二丁目に出た方も多いことと思います。この4月1日は、こちらでお伝えしたように、LGBTQの歴史に刻まれるような様々なニュースがありました。年度も変わり、気持ちも新たになる4月、映画やドラマを楽しんでみませんか、ということで、2022年4月に上映・放送・配信されるLGBTQ関連の映画やドラマをご紹介します。
(日付順。情報が入り次第、随時、追加していきます)
 ちなみに4月1日はファーストデイで、各館1100円〜1200円で映画を観ることができます(特別上映等を除く)。ウクライナ侵攻でLGBTQがどうなるのかと心配している方たちにぜひご覧いただきたい『チェチェンへようこそ』(東京だと渋谷のユーロスペースで14:00からというリーマンの方には難しい時間になってしまうのですが…)、キャットウーマンことセリーナ・カイルがバイセクシュアルとして描かれている『THE BATMAN-ザ・バットマン-』もまだ上映中です。
※映画館の多くは、きちんと感染対策をとっていますが、混みそうな時は予約時にいちばん後ろの席にするなど、密を避けたり、十分気をつけながらご鑑賞ください。
(最終更新日:4月19日)

 

4月1日公開
プレゼント・スティル・パーフェクト

 日本でも放送・配信されたドラマ『2Moons2』『Call It What You Want BLドラマの作り方』を手がけたアーム・アヌソーン・ソイサギム監督が北海道を舞台に2人のタイ人青年の出会いと別れを描いたBL映画『プレゼント・パーフェクト』の続編です。妻子がいるオートは仕事だと嘘をついてたった3日間だけトーイに会いに来ます。会えるのはもうこれが最後かもしれないと覚悟しながらの切ない逢瀬。しかし…。号泣必至の作品だとの評もあり、期待してよさそうです。
 前作ではキスシーンと、二人が一緒にお風呂に入るライトなシーンしかなかったのですが、この続編ではしっかりラブシーンが描かれているようで、そのあたりも見どころです。それと、オート役のクリサナ・マルカソンティが、ショートヘアの長身がっちりスポーツマン系&髭&タトゥありというBL映画ではめったに見られない男らしいタイプの俳優だったりします。BLは興味ないという方も多いと思いますが、この作品だけは観てみてはいかがでしょう?
 
<あらすじ>
オートとの突然の別れから4年。旅行でタイのクラダンガー・リゾートへ向かったトーイは、日本からやってきたというバックパッカーのケンタらとの出会いを通して、少しずつ笑顔を取り戻していく。しかし、オートから突然「会いたい」というメッセージが届き、頭に血が上ったトーイは思いのたけを打ち込み、そのまま送信してしまう。翌朝、勢い余って返信したことを後悔するトーイの前に、笑顔のオートが現れる…。

プレゼント・スティル・パーフェクト
原題:Present Still Perfect
2020年製作/118分/タイ




4月1日公開
私はヴァレンティナ

 現代のブラジルを生きる17歳のトランスジェンダーを主人公にした映画で、自身もトランスジェンダーであり、YouTuber・インスタグラマーとしても活躍中のティエッサ・ウィンバックが主役のヴァレンティナを演じています。
 ブラジルは、サンパウロで世界最大のプライドパレードが開催され(参加者は300万人とも400万人とも見られています)、LGBTQ差別が禁止され(最高禁錮5年の刑)、同性婚も承認されている一方、世界でも最もLGBTQへのヘイトクライムが多発しており、2017年には445人が殺されています。とりわけトランスジェンダーへの暴行・殺害は深刻で、トランスジェンダーの平均寿命は35歳と言われています。
 制作にあたって多くのトランスジェンダーにインタビューを行なったというカッシオ・ペレイラ・ドス・サントス監督は、「もしこの映画の物語が軽い内容になってしまうとブラジルでの過酷な現実に対してフェアでないと感じました」「もし自分が10代のトランスジェンダーだとしたらネガティブな映画を観るのはつらいと思いました。苦しい状況の中でも若いトランスジェンダーたちにとってポジティブで希望のある物語を贈りたい」と語っています。

<あらすじ>
小さな街に引っ越してきたヴァレンティナは、出生届の名であるラウルではなく、通称名で学校に通う手続きをするべく、蒸発した父を探している。新生活にも慣れてきたが、自身がトランスジェンダーであることは伏せて暮らしていた。そんな中、見知らぬ男性に襲われる事件が起き、それをきっかけにSNSでのいじめや匿名の脅迫、暴力沙汰などさまざまな危機に見舞われる…。

私はヴァレンティナ
原題:Valentina
2020年/ブラジル/95分/監督:カッシオ・ペレイラ・ドス・サントス/出演:ティエッサ・ウィンバック、グタ・ストレッサー、ロムロ・ブラガ、ロナルド・バナフロほか




4月5日上映
キンキーブーツ

 イギリスの老舗紳士靴メーカーがドラァグクィーン用のブーツを製作して経営を立ち直らせたという実話に基づくブロードウェイ・ミュージカルの名作『キンキーブーツ』。三浦春馬さん主演の日本版も大きな話題を呼びましたが、本家ブロードウェイ版の『キンキーブーツ』の舞台を記録した映画が昨年公開され、満員御礼の大ヒットとなりました。今でも全国から「ぜひ映画館で上映してほしい」というご要望が殺到していることを受けて、『キンキーブーツ』のブロードウェイ・デビュー記念日(2013年4月4日、日本時間4月5日)である4月5日に全国でアンコール上映が行なわれることになりました(上映館一覧などの詳細はこちら) 

<あらすじ>
イギリスの田舎町ノーサンプトンの老舗靴工場「プライス&サン」の4代目として生まれたチャーリー・プライス。父親の意向に反してフィアンセと共にロンドンで生活する道を選んだ矢先、父親が急死し、工場を継ぐことになってしまう。工場を継いだチャーリーは、父の工場が実は経営難に陥って倒産寸前であることを知り、幼い頃から知っている従業員たちを解雇しなければならず、思い悩む…。工場の若手従業員のローレンに「倒産を待つだけでなく、新しくニッチな市場を開発するべきだ」とハッパをかけられたチャーリーは、ロンドンで偶然出会ったドラァグクイーンのローラとの会話にヒントを得て、ドラァグクイーンのための“キンキーブーツ”を作ることにする。チャーリーはローラを説得して靴工場の専属デザイナーに迎え、試作を重ねる。ドンをはじめとする保守的な田舎の靴工場の従業員たちは、なかなかローラを受け入れられず、軋轢が生まれる。チャーリーはファッションの街・ミラノで行われる靴の見本市に“キンキーブーツ”を出展し、工場の命運を賭ける決心をするが…。

キンキーブーツ
原題:Kinky Boots: The Musical
2018年/英国/122分/監督:ブレット・サリバン/脚本:ハーベイ・ファイアスタイン/音楽:シンディ・ローパー/演出:ジェリー・ミッチェル/出演:マット・ヘンリー、キリアン・ドネリー、ナタリー・マックイーンほか
※2005年の映画『キンキーブーツ』ではなく、ブロードウェイミュージカルの舞台を収録した映画です




4月8日公開
ふたつの部屋、ふたりの暮らし

 隣人として暮らす同性カップルの前に立ちはだかる社会の障壁を描き、第93回アカデミー賞国際長編映画賞仏代表&第46回セザール賞新人監督賞を受賞した作品です。
 2019年トロント国際映画祭のオフィシャルセレクションでワールドプレミアを飾った本作の監督・共同脚本を手掛けたのは、長編監督デビューながら成熟した演出を見せたイタリアの新たな才能フィリッポ・メネゲッティ。2021年にセザール賞新人監督賞を受賞したのをはじめ、同年のリュミエール賞で新人監督賞を、さらにアカデミー賞国際長編映画賞ショートリスト(仏代表)に選出され、「ロッテントマト」批評家スコア98%(1月27日時点)を記録するなど絶賛されている監督です。ニナ役を演じるのは『ハンナ・アーレント』のバルバラ・スコヴァ、マドレーヌ役にはフランスの名門国立劇場コメディ・フランセーズの団員でもあるマルティーヌ・シュヴァリエ、マドレーヌの娘アンヌ役に『ジュリアン』のレア・ドリュッケールというように、独仏を代表する実力派俳優たちが顔を揃えています。

<あらすじ>
物語の舞台は南仏モンペリエ。眺めのいいアパルトマン最上階、向かい合う部屋を行き来して暮らすニナとマドレーヌは、世間的には隣人どうしで、仲の良い友人。だが実際は、長年密かに愛し合ってきた恋人だった。ローマへの移住計画を目前に控えた二人の幸せな日常は、マドレーヌを突然襲った病により一変する。最愛の人と築き上げた平和な日常が突如崩れ去ったとき、自らの手で人生を取り戻すべく抗う彼女たちが選んだ答えとは…。

ふたつの部屋、ふたりの暮らし
原題:Deux
2019年/フランス・ルクセンブルク・ベルギー合作/95分/G/監督:フィリッポ・メネゲッティ/出演:バルバラ・スコヴァ、マルティーヌ・シュヴァリエ、レア・ドリュッケールほか




4月8日公開
チェリまほ THE MOVIE 30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい

 童貞のまま30歳を迎えたことで「触れた人の心が読める魔法」を手に入れた安達と、彼に好意を抱く同期の黒沢の姿をコミカルに描いた豊田悠原作の人気コミックがドラマ化されて人気を呼んだ『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』(通称「チェリまほ」)の劇場版です。赤楚衛二さん、町田啓太さん、浅香航大さん、ゆうたろうさんなどドラマ版のキャストのほか、松尾諭さん、遠山俊也さん、榊原郁恵さん、鶴見辰吾さん、松下由樹さんなども出演します。監督は『チア男子!!』の風間太樹さん。「ドラマよりもさらに良い!」との評判です。

<あらすじ>
お互いの気持ちを確認し、恋人どうしとなった安達と黒沢は、デートを重ねて社内恋愛も順調な日々を送るが、安達に転勤の話が持ち上がる。安達はやりたい仕事ができるチャンスに喜ぶが、その転勤先ははるか離れた九州・長崎だった。転勤話により、思いがすれ違ってしまう安達と黒沢は、遠距離恋愛をきっかけに二人の未来について考えるようになり……。

チェリまほ THE MOVIE 30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい
2022年/日本/104分/G/監督:風間太樹、出演:赤楚衛二、町田啓太、浅香航大、ゆうたろう、松尾諭、遠山俊也、榊原郁恵、鶴見辰吾、松下由樹ほか



 
4月9日、26日上映 東京
きらきらひかる

 国立映画アーカイブの特集上映「1990年代日本映画──躍動する個の時代」で、『きらきらひかる』が上映されます。アルコール依存症の妻、同性愛者の夫、そして夫の恋人の奇妙な三角関係を描く江國香織さんの小説『きらきらひかる』を『バタアシ金魚』の松岡錠司さんが映画化した作品で、豊川悦司さんと筒井道隆さんがゲイの役を、薬師丸ひろ子さんが妻の役を演じて話題になりました。

<あらすじ>
フリーでイタリア語の翻訳をしている香山笑子は親の勧めで見合いをすることになった。相手は30歳の医師・岸田睦月。笑子は情緒不安定でアルコール依存症、睦月は同性愛者だったが、それを納得して2人は結婚する。新婚生活がしばらく過ぎた頃、笑子は睦月の恋人・藤島紺に接触しようとする。最初は警戒した紺だったが、ある夜、睦月が帰宅すると紺がやって来ていた。3人の間には、友情とも愛情ともつかぬ不思議な関係ができあがりつつあった。睦月は笑子を好きになっていたが、彼女を抱くことはできず、彼女の親友・瑞穂に笑子に恋人を紹介してやってほしいと言う。それを知った笑子はショックを受けた。紺もまた笑子の方に同情的だった。やがて笑子の両親に、瑞穂を通して睦月が同性愛者であることが知れ渡り、離婚騒ぎに…。

きらきらひかる
1992年/日本/103分/脚本・監督:松岡錠司/出演:薬師丸ひろ子、豊川悦司、筒井道隆ほか
国立映画アーカイブの特集上映「1990年代日本映画──躍動する個の時代」で4/9(土)15:20、4/26(火)15:00に上映




4月10日上映 小樽
性別が、ない!

 小樽プライドが地元の自主映画上映会「オタルデエイガ」とのコラボで映画上映会を開催します。上映するのは『性別が、ない!』。エッセイ漫画『性別が、ない!』シリーズでおなじみの新井祥さんと、アシスタントで一緒に暮らしているゲイのうさきこうさんとの日常、そしてさまざまなセクシュアルマイノリティ(クィア)の友人たちとの交遊を描いたドキュメンタリー映画です。当日、ご来場の方には『雨あがり』というフリーペーパーも配布されるそうです。4月10日(日)11:00-/16:00-、喫茶室ラブラド・レッセンス(小樽市奥沢2-10-1、最寄バス停:第一ゴム前)にて上映。鑑賞料金は1,300円(+ワンオーダー)。お申し込みはこちら

性別が、ない!
2018年/日本/監督:渡辺正悟/出演:新井祥、うさきこう、IKKANほか




4月19日上映 東京
800 TWO LAP RUNNERS

 こちらも国立映画アーカイブの特集上映「1990年代日本映画──躍動する個の時代」で上映。800メートル走に挑む高校生ランナー達が織り成す恋と友情のドラマで、川島誠さんの同名小説を廣木隆一監督(『ヴァイブレータ』『余命1ヶ月の花嫁』)が映画化した作品です。94年度キネマ旬報日本映画ベストテン第7位に選出されています。たくさんの男女が登場するなかで、松岡俊介さんと袴田吉彦さんがゲイカップルを演じています。野村祐人さんのセクシーさも光っています。『きらきらひかる』『二十歳の微熱』と並んで90年代前半に話題を呼んだ作品でした。
 
<あらすじ>
ヤクザの息子でナンパな中沢龍二は陸上部に入るはめになり、自己流の走りで800メートル走の代表選手に。一方同じ800を走る進学校の広瀬健治は、彼を慕う妹・奈央をよそに頭の中は陸上のことだらけだが、足の不自由な少女・杏子が元恋人の相原から聞いたと近づいてくる。相原は自殺した陸上部員で、健治と同性愛の関係にあった。龍二はハードルの選手で県大会一のマドンナ・伊田翔子に一目惚れしアプローチをかける。一方健治と杏子の仲は急接近していくが、肝心のところで健治は彼女を抱けない。海にでも行かないかという龍二の翔子への誘いから、5人全員揃っての賑やかな小旅行となった。各々の思惑を抱えながらも愉快なひとときが過ぎる。ある日翔子は健治を誘い2人はセックスをする。それをきっかけに健治は杏子との関係を取り戻す。一方奈央は龍二を誘惑するが、健治に似ている彼女を龍二は抱かなかった。

800 TWO LAP RUNNERS
1994年/日本/110分/監督:廣木隆一/出演:松岡俊介、野村祐人、袴田吉彦、斉藤慶子、唐十郎ほか
国立映画アーカイブの特集上映「1990年代日本映画──躍動する個の時代」で4/19(火)15:00に上映





4月19日、27日上映 東京
『あなたがすきです、だいすきです』『エクスタシーの涙 恥淫』

 国立映画アーカイブの特集上映「1990年代日本映画──躍動する個の時代」で大木裕之監督のピンク映画2本が同時上映されます。東大工学部出身で、80年代に自主映画制作を開始した大木裕之さんは、既存の映画の枠にはまらない大胆な作風で話題を呼び、90年代には海外でも紹介され、高い評価を受けました。ENKプロモーションのゲイポルノとして撮られた『あなたがすきです、だいすきです』は、大木監督初の商業映画で、若者のヴィヴィッドな心の揺れが舞台となった高知のロケーション撮影や手持ちキャメラによってみずみずしく切り取られています(上野傑作劇場などでも上映されましたが、他の作品とは一線を画す作品で、ハッテンせずに観入ってしまった方も多かったはず)。『エクスタシーの涙 恥淫』は、4人家族のそれぞれの悩みを性愛と絡めて描くドラマで(同性愛も描かれます)、1分のワンシーンワンカットが61集まって構成されるコンセプチュアルな異色ピンク映画です(なんと、音楽はジョン・ゾーンです)

あなたがすきです、だいすきです 
1994年/日本/58分/監督:大木裕之/出演:渋谷和則、CHANO、北風久則、西本タカ、山本洋子、高知子、田中要次、松前直也ほか
エクスタシーの涙 恥淫 
1995年/日本/62分/監督:大木裕之/出演:田口朋毅、大杉暁子、フジタヒロミ、近藤理子、永井卓、与那嶺政之、森本健、葉月螢ほか
国立映画アーカイブの特集上映「1990年代日本映画──躍動する個の時代」で4/19(火)18:00、4/27(水)15:00に上映




4月22日より配信
HEARTSTOPPER ハートストッパー

 イングランド・ケントの高校に通うスポーツマンのニックと、ゲイであることをカミングアウトしているチャーリーが織りなす青春ストーリー。原作は英国の若手作家アリス・オズマンによるグラフィックノベル『Heartstopper(ハートストッパー)』で、本国で話題をさらい、日本版も発売されています。これをNetflixが実写化したのが、ドラマシリーズ『HEARTSTOPPER ハートストッパー』です。制作は『英国王のスピーチ』などを世に送り出してきたSee-Saw Films、監督は英ドラマ界きってのディレクターで、『SHERLOCK(シャーロック)』『デアデビル』などを手掛けてきたユーロス・リンです。
 
<あらすじ>
学校で出会い、思いがけず友達になったチャーリーとニック。2人はやがて、互いに友情以上の感情を抱くようになり…。

『HEARTSTOPPER ハートストッパー』シーズン1(全8話) 
2022年/英国/監督:ユーロス・リン/出演:キット・コナー、ジョー・ロックほか
Netflixで4月22日配信開始




4月22日〜23日配信
私はワタシ~over the rainbow~

 90年代からHIV陽性であることをカムアウトして活動してきた偉人である長谷川博史さんを追悼し、『私はワタシ~over the rainbow~』が期間限定で無料配信されることになりました。ベアリーヌ・ド・ピンク(長谷川博史さん)のポエトリー・リーディング・ショーで幕を開ける『私はワタシ~over the rainbow~』は、LGBTQ約50名の言葉を紡いだドキュメンタリー映画。一般社団法人「Get in touch」の東ちづるさんが企画・キャスティング・プロデュースを務めた作品です。今回、長谷川さんへの追悼として、TRP「プライドフェスティバル」の開催に合わせ、4月23日(土)10時から4月24日(日)21時までYouTubeにて無料配信されることになりました。まだご覧になっていない方、もう一度観たいという方などもぜひ、ご覧になってください。

映画『私はワタシ~over the rainbow~』無料オンライン配信
日時:4月23日(土)10時~4月24日(日)21時
視聴方法:YouTubeにてご覧いただけます
※上記日程のみの配信です



  

4月26日 東京
怒りを力にーACT UPの歴史

 1980年代〜90年代前半、HIV/エイズの蔓延を認識しながら対策を怠る政府や、問題を無視するメディアなどに文字通り命をかけて立ち向かった草の根アクティヴィスト集団「ACT UP(アクトアップ)」。怒りを通して繋がった彼らの活動を、当時もその現場にいたジム・ハバードが監督したドキュメンタリーです。世界中で繰り広げられた活動の中から主にニューヨーク支部が行なった大胆なアクションなどの映像に加え、現在も生きる当時のACT UPのメンバーたちが当時を振り返る映像で綴られます。こちらにレビューも掲載していますが、これはぜひ観ていただきたい、しかしなかなか上映の機会がない作品です。今回、東京レインボープライド2022にあわせてフランス、ドイツ、オランダの大使館が作品を提供し、LGBTQ+の歴史や運動を見つめる映画上映【 Q(WE)R FILMS 】が企画され、その中の一作品として上映が実現するものです。ジム・ハバード監督のオンラインLive(Q&Aあり。手話通訳付き)もあります。拍手。

『怒りを力にーACT UPの歴史』
United in Anger: A History of ACT UP by Jim Hubbard
(監督ジム・ハバード|2012年|93分|アメリカ)」
協力:FAV 連連影展
4月26日(火)20:00- ユーロライブにて上映



4月27日 東京
海に向かうローラ

 ベルギーのトランス女子が主人公で、性別移行を応援してくれていた母親が亡くなり、仕方なく仲が悪かった父親と向き合うようになる…というお話です。演技未経験のミヤ・ボラルスが主役を好演、父親役には歳を重ねたブノワ・マジメル、ローラの親友役は『セックス・エデュケーション』のラヒーム役で注目のサミ・ウタルバリが務めています。【 Q(WE)R FILMS 】の一環として上映されます。
<あらすじ> 
ベルギーのシェルターハウスで暮らす18歳のローラは、ある日突然母親を亡くしてしまう。しかし犬猿の仲である父親のフィリップは、彼女を葬儀に参列させようとしない。怒ったローラは遺灰を持ち出してしまうが、フィリップは“砂丘に散骨してほしい”という妻の遺言をかなえるために、遺灰を離さないローラを乗せて車を走らせる。性別適合手術を応援してくれていた母を失い、ローラはやがて父親と向き合いはじめる…。

『海に向かうローラ』
Lola vers la Mer by Laurent Micheli
(監督ローレント・ミケーリ|2019年|90分|ベルギー/フランス)
4月27日(水)18:00- ユーロライブにて上映



4月27日 東京
未来は私たちのもの

 昨年開催された「ドイツ映画祭 HORIZONTE 2021」の目玉となった映画です。1994年生まれのイラン系ドイツ人のファラズ・シャリアット監督による自伝的デビュー作で、ドイツにおける移民系の青年の成長とLGBTQカルチャーを繊細かつポップに描き、多様性をパワフルに肯定している作品です。2020年のベルリン国際映画祭でテディ賞(最優秀クィア映画賞)を2部門で受賞しました。【 Q(WE)R FILMS 】の一環として上映されます。ファラズ・シャリアット監督によるオンラインLive(Q&Aあり。手話通訳付き)もあります。
<あらすじ>
イラン系移民の両親を持つミレニアル世代の青年パーヴィスは、両親がドイツで築いた安定した快適な環境で育つ。出会い系アプリのデート、レイヴやパーティで暇つぶしをしながら、地方暮らしの退屈さを紛らわせている。ある日、万引きがバレて、社会奉仕活動を命じられたパーヴィスは、難民施設で通訳として働くことになり、そこでイランからやってきたきょうだいバナフシェとアモンに出会う。3人の間に微妙なバランス関係が生まれ、ドイツにおけるそれぞれの未来が平等でないことを彼らも次第に気づきはじめる…。

『未来は私たちのもの』
Futur Drei by Faraz Shariat
(監督ファラズ・シャリアット|2020年|93分|ドイツ)
提供:ゲーテ・インスティトゥート東京
4月27日(水)20:00- ユーロライブにて上映



4月28日 東京
バンビ:ある女の誕生

 フランスで初めて活躍したトランス女性の一人であるマリ=ピエールのドキュメンタリー映画。本人が丁寧に記憶を辿り、美しいフィルムの記録映像と重なりあいます。セバスチャン・リフシッツ監督が『リトル・ガール』以前に取り組んでいた作品で、2013年に発表された短編のディレクターズカット版です。【 Q(WE)R FILMS 】の一環として上映されます。
<あらすじ>
アルジェリアで生まれたマリ=ピエールは、いつもドレスを着ることを夢見、ジャン=ピエールという名前を拒んでいた。そんな彼女に大きな転機が訪れたのは、キャバレーでドラァグクイーンのショーを見た時だった。17歳だった彼女はバンビとしてそれから数年のうちに有名になり、50〜60年代パリのキャバレー界の伝説に…。

『バンビ:ある女の誕生』
Bambi: une Femme Nouvelle by Sébastien Lifshitz
(監督セバスチャン・リフシッツ|2013年|83分|フランス)
提供:在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本
4月28日(木)18:15- ユーロライブにて上映



4月28日 東京
パリ、夜は眠らない。

 ドラマ『POSE』にハマった方にはぜひご覧いただきたい、ボールルームカルチャーを描いたクィア・ドキュメンタリーの金字塔、伝説的な作品です。1980年代のニューヨーク。アフリカ系アメリカ人やラテン系のクィアの若者たちが集うきらびやかなドラァグ・ボールでは、ウィリー・ニンジャらレジェンダリーなヴォーガーが多数登場し、「ハウス」としてトロフィーを獲得するために競いあっていました。その華やかさの裏ではクィアへに対するヘイト、人種差別、AIDS、貧困などの現実も…。コミュニティのしなやかさとたくましさ、光と影が映し出されています。【 Q(WE)R FILMS 】の一環として上映されます。日本を代表するヴォーグ・ダンサーの一人であるKoppi Mizrahi氏が会場でトークします(手話通訳つき)

『パリ、夜は眠らない。』
Paris Is Burning by Jennie Livingston
(監督ジェニー・リヴィングストン|1990年|78分|アメリカ)
協力:在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本
4月28日(木)20:15- ユーロライブにて上映





4月29日上映
ボヘミアン・ラプソディ

 ライブ・エイドのシーンでは感動を禁じえない、圧倒的なミュージック・エンターテイメントであり、フレディ・マーキュリーのセクシュアリティやHIV/エイズのことについても正面から描き、世界的に大ヒットし、アカデミー賞で最多4部門を受賞した記念碑的な作品『ボヘミアン・ラプソディ』(レビューはこちら)。4月29日、第1回宮下公園映画祭のオープニングとして上映されます。この映画祭は、湘南エリアの初夏の風物詩となった野外映画上映イベント「逗子海岸映画祭」が宮下公園に初上陸!というもので、日中はキッチンカーやビアガーデン(クラフトビールやドイツ料理も楽しめるそう)、フリーマーケット、DJ、ライブ、アクティビティなども楽しめて、「逗子海岸映画祭」のシンボルの1つにもなっているメリーゴーランドも設置されるそうです。実は宮下公園は(今は当時とはすっかり姿が変わってしまってはいますが)1994年の第1回東京レズビアン・ゲイ・パレードのゴール(帰着地)で、東京のLGBTQコミュニティにとって歴史的な意味のある場所だったりします。『ボヘミアン・ラプソディ』自体、すでにご覧になった方も多いかと思いますが、野外イベントでもう一度観るというのも楽しいかもしれません。

『ボヘミアン・ラプソディ』Bohemian Rhapsody
2018年/アメリカ/監督:ブライアン・シンガー/出演:ラミ・マレック、ルーシー・ボーイントン、グウィリム・リー、ベン・ハーディ、ジョセフ・マッゼロ、マイク・マイヤーズ、アーロン・マカスカー他
4月29日(金祝)19:00より「第1回宮下公園映画祭」にて上映

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