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特集:統一地方選挙2023
4月9日(日)は道府県の知事・議員と政令指定都市の市長・市議を選ぶ投票日、23日(日)は市区町村の首長・議員を選ぶ投票日です。期日前投票なども活用し、忘れずに投票に行きましょう。1人でも多くのLGBTQフレンドリー議員が当選しますように!
統一地方選挙とは?
地方自治体の議会の議員又は長の選挙は原則として、各自治体が自主的に期日を定めて行なうものですが、特例を定める法律によって全国的に期日を統一して行うものを統一地方選挙と言います。有権者の選挙への意識を全国的に高め、また選挙事務や費用を節減する目的で、4年ごとに実施されています。
戦後、新しい地方自治制度が作られ、1947年4月に全地方自治体で一斉に選挙が行なわれたのが最初です。地方自治体の議会の議員や首長の任期は4年ですので、任期の途中で議会が解散されたり首長が退職したりといったことがなければ、4年ごとに多くの自治体で任期満了となり、4月に選挙が行なわれることになります。
期日を統一して行なうことで、国民の地方自治や地方選挙にする関心を高めることにもつながるとのねらいから、2回目にあたる1951年以降も、4年ごとに特例法を作り期日を統一した地方選挙が行なわれています。その後、市町村の合併、首長の死亡や辞職、議会の解散などにより、統一地方選挙での選挙の実施率(統一率)は下がってきてはいますが、半分近い自治体の議会の議員選挙が行なわれます。
今年の投票日と注意点
今年は道府県知事・道府県議員、政令指定都市市長・市議会議員の投票日が4月9日(日)、市区町村首長・議員(一部、衆参補選も)の投票日が4月23日(日)です。
4月23日は東京レインボープライドが開催される日で、多くの区や市の投票日と重なっていますので、うっかり投票を忘れることがないよう、お気をつけください。期日前投票なども活用しましょう(期日前投票は用紙がなくてもできますので、投票する人が決まっていたら、フラリと立ち寄ってスムーズに投票することが可能です)
LGBTQにとっての今回の統一地方選挙の意味
もちろんどの選挙もそうなのですが、当事者の候補、LGBTQフレンドリーで支援的な政策を進めることを公約している候補を選ぶことで、よりLGBTQにとって暮らしやすい社会になります。
国よりも地方議会のほうが、当事者やアライの議員がいるかどうかが影響が大きく、ダイレクトに施策の推進を左右すると言えます。
例えば上川あや区議、石川大我区議、石坂わたる区議らがいた世田谷区、豊島区、中野区ではいち早く同性パートナーシップ証明制度が実現していますし、それだけでなく、世田谷区では、LGBT差別を禁じる条例が作られ、日本で初めて同性パートナーも遺族として認め、同性パートナーにも異性婚と同額のコロナ傷病手当金を独自支給し、学校医や水防従事者などの同性パートナーに遺族補償し、同性パートナーにも災害弔慰金を支給するなど、画期的な施策が数多く実現し、豊島区でも、性的指向や性自認による差別やアウティングを禁じる条例ができ、そのおかげで、会社からアウティング被害に遭ったゲイの方が豊島区に申立てを行ない、会社が和解に応じるという解決につながりました。そのほか、石川区議は2015年、区内のダブルルームのある宿泊施設143ヶ所のうち同性どうしの宿泊を拒否する施設が30ヶ所あると指摘し、区が指導したという話もあります。尾辻かな子さんが大阪府議だった2005年には、府議会で大阪府の住宅供給公社が管理・運営する住宅に同性カップルも入居できるよう認めさせたということもありました。
当事者の議員が一人いるとどれだけ施策が進むかという話は枚挙にいとまがありません。
当事者でなくても、全国に、アライとしてLGBTQ支援の施策を進めてくれた議員さんがたくさんいます(ほとんどの自治体の同性パートナーシップ証明制度は、議会でアライの議員が質問し、市や区に認めさせてくれたおかげで実現しています)。そういう議員さんが多数当選し、議会で過半数を占めると、条例なども通りやすくなります。当事者やアライの議員が増えることが大切です。
それから、今回の選挙は、旧統一教会が政界と癒着していることが明らかになって以降、初の大型選挙となります。国政だけでなく、地方議会などにも巧妙に入り込み、LGBTQ施策の推進を妨げてきました(つい最近のこちらの記事でも、旭川市や浦添市での制度導入に猛反対した実例が記されています)。残念ながら国は旧統一教会がこれ以上選挙に関与することを厳しく取り締まったりせず、今回の選挙でも旧統一教会と関係のある議員(こちらにまとめられています)がしれっと立候補します。絶対に投票しないようにしましょう。
「足立区が滅ぶ」とか「LGBT差別は存在しない」とか「LGBTを声高に主張する人。うさんくさい」などと発言してきた議員も同様です。
それから、ヤシノミ作戦という選択的夫婦別姓と同性婚に賛成しない候補者の情報を集めたサイトがあります(選択的夫婦別姓問題の当事者であるサイボウズ社長の青野慶久さんが運営してくださっています)。同性婚や同性パートナーシップ証明制度に反対している議員が一目でわかりますので、ぜひご覧ください。(※落選運動は、選挙運動期間中でも投開票日であっても選挙違反ではなく、公職選挙法で認められています)
こうした議員が当選しないよう、できるだけLGBTQフレンドリーな、支援的な施策を推進してくれそうな議員に投票するようにしたいですね。
(なお、ぜひこの人に入れたいという候補者が見つからないとしても、白票を投じるのは意味がないどころか、現状への信任になってしまいます。アンチじゃない、できるだけLGBTQに理解がありそうな方に投票しましょう)
出馬を予定している(予想される)LGBTQの候補者
LGBT政策情報センターの情報を参考に、現職の地方議会議員の方々に加えて、新たに立候補を予定している方々を以下にご紹介します。全員当選してほしいですね。
<現職で、今回の統一地方選にも出馬する方々>
東京都世田谷区議 上川あや(5期)(T)
東京都中野区議 石坂わたる(3期)(G)
北海道議(札幌市東区) 渕上綾子(T)
岩手県盛岡市議 かとうまい(L)
茨城県水戸市議 なめかわ友理(L)
東京都新宿区議 高月まな(T)
東京都北区議 うすい愛子(L)
<今回初挑戦となる方>
京都府議(京都市山科区) あかたちかこ(B)
東京都江戸川区議 七崎りょうすけ(G)
東京都港区議 斎木陽平(G)
東京都墨田区議 加藤良(G)
愛知県高浜市議 しばぐち征寛(G)
愛知県春日井市議 小嶋さゆり(T)
大阪市議(淀川区) みなと隆介(G)
候補者の考え方がわかる政策アンケート
神奈川県知事選候補者に東京新聞がアンケートを実施し、「パートナーシップ制度など性的少数者(LGBT)への支援や権利の保障」について聞いていて、県として「同性パートナーシップ条例」を制定すべきだという方から「LGBTQの方を特に取り上げて支援すること自体が性差別という考えもある」と否定的な考えの方までいることがわかります(東京新聞「神奈川県知事選 立候補者アンケート(中)」より)
また、山形県議選候補者に山形新聞がアンケートを実施し、「県の「パートナーシップ制度」導入をどう考えるか」「同性婚を法律で認めることをどのように考えるか」という設問があり、各候補者の考え方を知ることができます。
東京都杉並区では、「杉並から差別をなくす会」が3月に採択されたパートナーシップ制度を含む性の多様性条例に賛成した区議、反対した区議の一覧を掲示しています。投票の参考になると思います。
これだけでなく、NHKがまとめている候補者アンケートで、LGBTQに関する質問が設けられている自治体もありますので、ご紹介します。
青森、山形、栃木、群馬、千葉、神奈川、長野、富山、静岡、滋賀、和歌山、岡山の各県の県議選候補者には「同性婚に賛成か」どうかを、秋田、山形、埼玉、山梨、愛知、和歌山、広島、愛媛、大分の各県の県議選候補者には「パートナーシップ制度に賛成かどうか」を尋ねています。
また、北海道知事選では、「福祉の充実・共生社会の実現にどう取り組みますか」という質問で、性的指向や性自認を理由とした差別をなくす条例の制定、と回答している候補者もいたりします。
大阪府知事選、大阪市長選でも、「共生社会の実現(女性、障害者、外国人、性的マイノリティーなど)に、どう取り組みますか」という質問がありますので、ぜひ回答をご覧になってみてください。
残念ながらこうしたアンケートが実施されていない自治体もありますが、選挙公報がご自宅に届くはずですので、そちらを読んでいただき、ジェンダー平等(男女平等)や福祉に熱心に取り組もうとしている方ならおそらくLGBTQフレンドリーだろう、といった判断もできるのではないかと思われます。
こちらはLGBTQイシューだけではなく政策全般なのですが、候補者が掲げる様々な政策とご自身の考え方が近い候補者がわかる「統一地方選挙2023投票マッチング」も、神奈川県知事選と札幌市長選について行なわれています。
また新たに候補者アンケート等の情報がわかりましたら、追記していきたいと思います。
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