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レポート:TRP2024(4)プライドパレード

2024年4月21日まで代々木公園イベント広場で東京レインボープライド(TRP)が開催されました。過去最大規模で盛り上がり、「“性”と“生”の多様性」を祝福する実りの多い豊かな祭典となりました。5回に分けてレポートをお届けします。Part4はプライドパレードです

レポート:TRP2024(4)プライドパレード

 4月21日(日)はTRP2024「プライドフェスティバル」の最終日であり、プライドパレードが行なわれる日でした。
 今年は日本のパレード30周年という節目を迎え、TRPでも30周年をお祝いする様々な企画が行なわれました。フロートが60にも上り、プライドパレードが過去最大規模となったこともその一つだったと思います。
 事前に、パレード参加者の方たちの待機場所が、今までのけやき並木ではなく、代々木第二体育館となることが発表されていました。出展ブースがけやき並木エリア全体に広がった(もうこれ以上ブースを増やせないくらいパンパンになった)ことも関係あると思います。果たして待機場所はどんな感じなのか、今までとどう変わるのか見てみたいという興味もあり、22番の「JAPAN PRIDE 30th」フロートで歩きませんか?とお誘いを受けていたこともあり(友人のVENさんも歩くと言っていたので)、土曜日にフロートの登録をしておいたのですが、当日、見事にリストバンドを忘れてきてしまい…再度、登録しようかと思ったのですがすでに締め切られていて…いつものように、出発地点で写真を撮ることに決めました。
(パレード参加者の方の話によると、体育館では座席に座ることができ、エアコンも効いていて、快適だったそうです。もちろんトイレもありますし。暑かったり雨が降ったりするかもしれない屋外で立ったまま待機するよりはよさそうです)

 11:30から出発地点前で恒例のフォトセッションがあり、共同代表や司会の方たち、與真司郎さんやゼロプリのみなさんが並び、待ち構えていた多くの報道陣が一斉にシャッターを切っていました。
 そして正午、ほとんど遅れることなく、30周年記念のプライドパレードがスタートしました。
 私も最初の1時間半は、出発地点で撮影していましたが(写真はこちら)、ここではカケジクさんの撮った美しい写真をお届けします。

 以下、フロート毎に簡単に紹介いたします。

 先頭は「東京レインボープライド」のフロートで、共同代表の方たちと南定四郎さんが横断幕を持ち、日本ろうLGBTQ+連盟の方たちなども先頭を歩いていました。(たぶん李琴峰さんやみたらし加奈さんらが持った)巨大なレインボーフラッグに続いて、今年も(元SECRET GUYZの諭吉さんや山口颯一さん、東郷潤さんらが持った)巨大なトランスジェンダーフラッグもあって、素晴らしかったです。その後を、11:00過ぎにステージに登壇した議員のみなさん(詳しくは、Part5をご覧ください)やLGBT法連合会の神谷さんらが歩きました。





 2番目は「公益社団法人Marriage For All Japan -結婚の自由をすべての人に」で、トラックに與真司郎さんと、俳優の篠井英介さんが乗り、訴訟の原告団の方たちが横断幕を持って先頭を歩き、弁護団の方たちも大勢歩いていました。例えば金沢の直海さんなど各地で『結婚の平等にYES!』を展開する方たち、プライドセンター大阪の村木さん、プライドハウス東京の前田さん、浜松の鈴木げんさん、LUSHのキャンペーンのモデルを務めたゲイカップル、そして「94歳のゲイ」の長谷忠さん&ボーン・クロイドさんなど、本当にたくさんの方たちが歩いていました。




 3番目、4番目は「国際外交プライド」。先導するフロート(トラック)にはステージでMCを務めて長谷川ミラさん、ブルボンヌさん、ベビー・ヴァギーさんらが乗っていました。そしてEU、米国大使館、英国大使館、北欧各国大使館の方たちが歩きました。




 5番目は「Family Pride by「一般社団法人こどまっぷ」」「NPO法人 ハートをつなごう学校」「にじいろかぞく」「ひゅっ家」の合同フロート。レインボーフラッグを飾りつけたベビーカーが本当にたくさんで、子育てをしている同性カップルがこんなにたくさんいるんだ!ということが可視化されたと思います。



 6番目はTRP初期の頃から協賛してくれている「一般社団法人Get in touch」。東ちづるさん、レインボーカラーのドレスを着た三ツ矢雄二さん、マメ山田さんらがフロート(トラック)に乗っていました。車椅子ユーザーの方などもたくさん参加していました。



 7番目は「チェリオグループ」。恒例の「LIFEGUARD」仕様にデコレートされた車が先導し、大勢の方たちが歩いていました。


 8番目、9番目は「パナソニックグループ」「パナソニック コネクト株式会社/ワークデイ」。パナソニックとパナソニック コネクトは今年、チェリオと並び、最高位のレインボースポンサーでした。「We are ALLY」と書いたフロート(トラック)を出走させていました。


 10番目は「work with Pride」。毎年秋に「work with Pride セミナー」を開催し、PRIDE指標の発表も行なっています。フロート(トラック)には八方不美人のエスムラルダさん、ドリアンさん、ホイみさんが乗っていました。


 11番目は「LGBT Finance」。様々な金融系企業の方たちが参加していました。

 12番目は「CBRE/Qoo10/サノフィ株式会社/Spotify Japan K.K./KPMGジャパン」でした。

 13番目は「#UpdateHIV」。DJのYUMEさん、ドラァグクイーンのラビアナさん、GOGOのTENさんが乗ったゴージャスなフロート(トラック)に先導され、昨年に続き、HIV陽性であることをカムアウトした方たちが先頭を歩くという、素晴らしいフロートになっていました。たくさんのHIV関連の団体や企業の方たちが「U=U」など様々なメッセージパネルを掲げて参加していました。



 14番目は「ノバルティスファーマ株式会社/アッヴィ合同会社」でした。

 15番目は「NEC/MSD株式会社」でした。

 16番目は「GRAMMY TOKYO」。二丁目で長年にわたって開催されているトランス男性のクラブパーティで、フロート(トラック)はガンガン音楽をかけて、クラブ系多めな参加者のみなさんもノリよく楽しんでいました。



 17番目は今年レインボーカラーの梱包テープで話題を呼んだ「アマゾンジャパン合同会社」でした。

 18番目は「キンドリルジャパン株式会社/川崎重工業株式会社/株式会社ケリングジャパン グッチディビジョン」でした。

 19番目は「東京トランスマーチIn東京レインボープライド」。3月31日のトランスマーチに続き、TRPでもフロートを出展。日出郎さんや、ゴージャスないでたちの女性がフロート(トラック)彩るフロートで、音楽もたいそうカッコよく、トランスジェンダー差別へのプロテストを基調としながらも、大きなパレスチナ旗を持ってFREE GAZAを訴える方などもいました。



 20番目は「国際交流NGOピースボート」「あらさんぽ in TRP(アライなお散歩の意味)」「irOdori〜彩り×踊り〜」「山城性/別關注組(香港の学生団体)」の合同フロートでした。「バイセクシュアルの交流会」のみなさんなども参加していました。



 21番目は「YOUTH PRIDE JAPAN」。フロート(トラック)には2すとりーとのお二人と、ゼロプリのみなさんが乗って盛り上げていました。



 22番目は「JAPAN PRIDE 30th」。フロート(トラック)にはマーガレットさん、ジャスミンさん、バビ江さんというレジェンド級のドラァグクイーンが乗り、砂川秀樹さん、福島光生さん、野宮亜紀さんといった東京レズビアン&ゲイパレード(TLGP)〜東京プライドパレード(TPP)時代の功労者の方々や、レインボーマーチ札幌の功労者である鈴木賢さん、そして70年代から活動していた大塚隆史さん、2005年に大阪府議としてパレードのステージでカムアウトし、感動を呼んだ尾辻かな子さんなども歩いていました。




 23番目は「ドイツ銀行グループ/株式会社 資生堂」でした。

 24番目は「BATジャパン/ブルームバーグ L.P.」でした。

 25番目は台湾同志遊行や同性婚の実現にも貢献してきた「伴侶権益推動連盟」と、HIV団体「レッドリボン基金会」が結成した「チーム台湾」。フロート(トラック)にはクイーンさんだけでなく、男っぽい感じのGOGOさんがたくさん乗っていました(今回の全フロートの中で最もセクシーだったと思います)。昨年、台湾で結婚登録した劉霊均(リュウ・レイキン)さんと、愛知県高浜市議の柴口征寛(しばぐちまさひろ)さんも歩いていました。



 26番目は「アストラゼネカ株式会社/ソニーグループ株式会社」でした。

 27番目は「KOJIMA PRODUCTIONS Co., Ltd./アステラス製薬株式会社」でした。

 28番目は「LVMH」でした。レスリー・キーさんも歩いていました。

 29番目は「Team Coca-Cola/サントリーホールディングス株式会社/公益社団法人 経済同友会/アサヒグループホールディングス株式会社」でした。

 30番目は「アクセンチュア株式会社」でした。

 31番目は「ノボ ノルディスク ファーマ株式会社/タヒチ観光局」でした。 

 32番目は「Power of Education〜自分らしくいられる未来を作ろう〜」という、LGBTQユースと教育関係者のフロートでした。

 33番目は「EY Japan/株式会社中島董商店」でした。貴田守亮さんがEY Japanの先頭を歩いていました。

 34番目は「株式会社セールスフォース・ジャパン」でした。「誇」という書(Maaya Wkasugiさんの作品でしょうか?)を大きく掲げたトラックが出ていました。

 35番目は「西町インターナショナルスクール」でした。

 36番目は「ファイザー株式会社/PwC Japanグループ/シスコシステムズ合同会社」でした。

 37番目は「三井住友トラスト・ホールディングス株式会社」でした。

 38番目は「デロイト トーマツ グループ」でした。

 39番目は「日本ロレアル株式会社」でした。

 40番目は「レインボーメディアアライズ」でした。フロート(トラック)に着物姿のWAKUWAKU♡サセコさんも乗ってました。

 41番目は「JAPAN PRIDE NETWORK」。全国のプライドイベントや映画祭の主催者の方やLGBTQ団体の方、同性結婚式などで知られる最明寺の千田明寛さんなども歩いていました。




 42番目は「Miss International Queen JAPAN」。以前はるな愛さんが優勝したタイのビューティコンテストの日本代表を輩出する団体ということで、たくさんのトランス女性が参加していました。

 43番目は「Medical Pride」。医療関係者の方がたくさん歩いていました。精神疾患・発達障害を抱えるLGBTQのピアサポートなどを行なっている「カラフル@はーと」の方なども参加していました。


 44番目は「パートナー共済~新宿二丁目フロート~」でした。二丁目の方たちの参加が多かったなか、アマランス・レジーヌさんの姿も見えました。




 45番目は「楽天グループ株式会社/野村ホールディングス株式会社」でした。

 46番目は「The Adecco Group/Indeed」でした。

 47番目は「日本アイ・ビー・エム株式会社」でした。

 48番目は「グラクソ・スミスクライン(株)/住友商事」でした。

 49番目は「NTTグループ/Koala Sleep Japan 株式会社」でした。

 50番目は「freee/三菱UFJフィナンシャル・グループでした。


 ここまでで時間は15時半頃になっていたそうです(フロートが多すぎてTRP自体の終了までにパレードが終わらない可能性もあるのでは…と心配していたのですが、警官の方たちの交通整理のおかげもあって、スムーズに進んだようです)。カケジクさんはフォトセッション時から含めて約4時間、撮影に当たっていましたが、ついに「活動限界」が来てしまい、雨も降ってきたため(カメラが濡れるとヤバいので…)、ここで引き上げました。あと10個企業系フロートが残っていたのですが…何卒ご了承ください。
(1人で全フロートをもれなく撮るのは無理があります…ごはんは何とかなるとしても、トイレを4時間我慢するのは拷問に近いです…交代制じゃないと)

★プライドパレードのフォトアルバムはこちら


 こうして、少し雨が降ったりもしましたが、パレード30周年を記念する過去最大のプライドパレードが盛大に行なわれました。
 パレードに参加したみなさんは、例年通り、沿道でパレードを見送る方たちもいたことや、PARCOにレインボーフラッグが掲げられていたことや、明治通り辺りでもロゴをレインボーカラーに変えたりウインドウにレインボーフラッグを掲げたりしているお店がたくさんあったりしたことに感動したのではないでしょうか。

 個人的には、やはりパレード30周年を記念するフロートの、同じ時代に苦労してきたみなさんの姿に、こみ上げるものを感じました。同時に、同じTLGP時代の功労者でも、参加できない方たち…春日亮二さん(がんすけさん)のようにすでに亡くなってしまった方や、パレードを陰で支えた(ものすごく苦労した)にもかかわらず心に傷を負ってしまい、まだその傷が癒えていなくて参加できずにいるような方たちにも思いを馳せ、祈るような気持ちになりました。
 シドニーのマルディグラのパレードでは、第1回のパレードを歩いた(警官隊と闘った)レジェンドたちのために2階建バスを用意して先頭を走らせていますが(高齢で歩くのが困難な方も多いので)、日本でも40周年、50周年の時にはそんなバスが出ると素敵かもしれないですね。
 
 私たちがTLGPをやっていた2000年代は、パレード参加者は多くて3500人くらいでしたが(参加せずとも沿道で応援してくれた方たちも本当にたくさんいて、合わせると1万人近かったんじゃないかという声も、当時ありました)、今は1万5000人が歩いています。たとえ半分以上が企業系のアライの方だとしても、こんなにたくさんの方が歩くようになったのはやはりスゴいこと。感慨深いです。企業のフロートも、ただ自社の名前が入った横断幕を持ってお揃いのTシャツを着て歩くというのではなく、フロート(トラック)を出すところも増えてきました。ご参考までに、ですが、例えばシドニーのマルディグラのパレードでは、カンタス航空が大きな飛行機の形のフロート(山車)を出し、従業員もオリジナルの派手な衣装+パイロット帽というスタイルで行進し、拍手を浴びています。海外のパレードも参考にしながらちょっと一工夫を加えると、観客にも喜ばれるようなフロート作りが可能になるのではないでしょうか。

 ストーンウォール50周年のニューヨークプライドのパレードでは、観客の方たちがLGBTQユースの自殺防止のための24時間ホットラインを長年運営してきた「トレヴァー・プロジェクト」のようなフロートに対して、まるでコンサートのスタンディング・オベーションのように惜しみない拍手や歓声を贈り、議員の方などに対しても同様で、ずっとそんなハイテンションな感じで盛り上がっていました。私たちのためにいいことをしてくれてありがとう、差別と闘ってくれてありがとう、という感謝の気持ち、敬意、賞賛がビンビン伝わってきました。そもそも何のためにパレードをやっているのか、「PRIDE」ってどういうことなのかをみんなわかっていて、そのうえでストーンウォール50周年を心から祝っていました。日本のパレード30周年を祝うプライドパレードにそのような盛り上がりがあったかというと、正直、そこまでではなかったと思いますが、それは(TRP自体の問題というよりも、フロートが連続して行進できない交通事情とか、沿道に観覧席もなく、ずっと立ちっぱなしで応援し続けることが難しいという事情もありますし)そもそも何のためにパレードをやっているのか、「PRIDE」ってどういうことなのかがコミュニティに広く浸透していないことの表れでもあると思います。パレードに限らず、パレードに象徴されるようなこと…コミュニティの結束力(連帯)をどうやってもっと高めていくかということを、もっとみんなで考え、取り組んでいかなければいけないのでは?と、そんなことを考えるきっかけにもなりました。
 
 最後に、蛇足かもしれませんが、出発地点付近で写真を撮っている方たちにお願いがあります。
 パレードの隊列は、けやき並木の出口から信号を渡って公園通りへと入っていきますが、例年、その信号の向かいの歩道の上と、一本渋谷駅寄りのデイリーヤマザキ近くの歩道のところにたくさん人がいて、声援を送ったりしています。それはいいのですが、デイリーヤマザキの前の細い道は、ハチ公バスの発着地でもあって、バスも車もふつうに通るので、車道に出るのは危険です。取材申請をしたメディアに対してはTRPの広報から注意事項として「車道に出て撮影しないでください」とのお願いがなされているのですが、一般の方で(無断で)車道に出て撮ってる方も結構多いです。なかには、4〜5歳のお子さんたちを連れた親御さんがあからさまに車道に出ていて(どこかの企業系フロートに混ざろうとしていた様子でした)、そのとき、住宅街の方から救急車が出てきて、それでも歩道にちゃんと入らないという…非常に危なっかしい場面もありました。
 また、某民放のテレビ局の取材クルーの方たち(男性3人)も、注意事項を無視してあからさまに公園通りに入って撮影していて(しかも若い女性たちに近づいて「イエーイ」的な声を上げながら至近距離で撮影…。ちなみにパレード30周年のフロートでした)、ひどいと思いました。
 誰かがそういうふうに撮りはじめると周りの人たちもつられてどんどん車道に出てしまったりします。パレードの進行の妨げにもなりますし、交通安全の意味でも、みんなできちんと気をつけていきましょう、と呼びかけたいです。
 
(文:後藤純一)(写真:カケジク)

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