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特集:2026年3月の映画・ドラマ
2026年3月に上映・放送・配信されるLGBTQ関連の映画やドラマの情報をお伝えします。今月は大木裕之さんの追悼特集上映があるほか、バレエ界の伝説的な振付家の半生を描いた『ジョン・クランコ バレエの革命児』などが公開されます

(「追悼・大木裕之 撮ることと生きること」より『あなたがすきです、だいすきです』)
春一番も吹き、梅も咲き始め、春はもうすぐそこ。3月はお花見もあったりして(花粉症の方にはつらいですが)心躍る季節ですね。
さて、そんな3月に上映・配信されるクィア映画の特集です。今月は大木裕之さんの追悼特集上映があるほか、バレエ界の伝説的な振付家の半生を描いた『ジョン・クランコ バレエの革命児』などが公開されます。3月は21日〜23日の三連休もありますし、お休みの日はぜひ映画館に足を運んでみましょう。
新たに情報がわかり次第、追加・更新していきます。
ちなみに3月1日は「ファーストデー」(しかも日曜日)。多くの映画館で1100円〜1300円で映画を観ることができます(特別上映等を除く)。『アバウトアス・バット・ノット・アバウトアス』『レンタル・ファミリー』なども上映中です。
(最終更新日:2025年2月28日)
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<今月のトピック>
1930年代のアメリカを舞台に、ロサンゼルスからメキシコに逃亡する硬派な刑事と若い青年のロマンスを描くゲイ映画『De Noche(原題)』の製作が再始動しました。この作品は『ジョーカー』シリーズのホアキン・フェニックスが持ち込んだ構想やアイデアを基に、『ポイズン』『ベルベット・ゴールドマイン』『エデンより彼方に』『キャロル』などの作品で知られるゲイのトッド・ヘインズが脚本を書き、監督も務め、製作されることになっていましたが、一昨年、ホアキン・フェニックスが土壇場で降板し、頓挫していました…が、このたび『ストレンジ・ウェイ・オブ・ライフ』でイーサン・ホークとのロマンスを演じたペドロ・パスカルが主役に決定し、ついに再始動しました。相手役(寄宿学校教師)を務めるのは『キャプテン・アメリカ ブレイブ・ニュー・ワールド』『トップガン マーヴェリック』のダニー・ラミレスです。フランスの独立系映画会社MK2 Filmsが資金調達とアメリカ国外における配給を担当し、来月から撮影が開始されるそうです。新たなゲイ映画の名作が生まれそうな予感…また続報が入りましたら、お伝えします。
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上映中
アバウトアス・バット・ノット・アバウトアス
10年前の東京国際映画祭で拍手をもって迎えられ、観客賞と最優秀男優賞に輝いた『ダイ・ビューティフル』を憶えている方もいらっしゃることでしょう。フィリピンの「ミスコンの女王」として名を馳せたトランスジェンダーの突然の死とあまりにも美しく感動的な葬儀を描いた作品でした。その『ダイ・ビューティフル』のジュン・ロブレス・ラナが監督・脚本を手がけ、発表するやいなや国内外の映画祭で20冠近くに輝き、フィリピンでは舞台化も決定している話題作が『アバウトアス・バット・ノット・アバウトアス』です。「死」をトリガーに「生」と「性」に鋭くメスを入れた「都会派・新感覚・会話劇」。愛する人との別れ、LGBTQ+、性加害、SNS世代の危うさなど、さまざまなテーマを盛り込みながら現代フィリピンのリアリティを描き出した作品です。(レビューはこちら)
<あらすじ>
先生、本当の僕を知りたいですか? コロナ禍。大都会マニラの老舗レストラン。著名な小説家である恋人マルコスを亡くしたばかりのフィリピノ語文学教授エリックは、教え子のランスと再会の約束をしていた。喪失感を抱えつつも、自分を慕うランスとの時間を楽しみにしていたエリック。アップルパイとダフトパンクの話題で距離を縮めてゆく二人だったが、マルコスの話をきっかけに空気は一変する。まるで“別人”のように。自分を見つめるランスの瞳の奥から、エリックはマルコスの驚くべき真実を知ることになる――
アバウトアス・バット・ノット・アバウトアス
原題または英題:About Us But Not About Us
2022年/フィリピン/91分/監督・脚本:ジュン・ロブレス・ラナ/出演:ロムニック・サルメンタ、イライジャ・カンラス
2026年1月17日(土)シアター・イメージフォーラム他にて全国順次公開
上映中
レンタル・ファミリー
『ザ・ホエール』で死にゆく巨漢のゲイを演じ、第95回アカデミー主演男優賞に輝いたブレンダン・フレイザーが主演を務め、全編日本で撮影を敢行したヒューマンドラマ映画です。ゲイのキャラクターが登場するようです(※ブレンダン・フレイザーではありません)。また、“家族”のような役割を演じる人をレンタルするというありようが、血のつながりを重視するのではなく各々が大切だと感じる人と家族になっていくLGBTQの「chosen family」を連想させる、などとも言われているようです。
<あらすじ>
かつて歯磨き粉のCMで一世を風靡したものの、近頃は世間から忘れ去られつつあるアメリカ人俳優フィリップ。俳優業を細々と続けながら東京で暮らし、すっかり街になじんでいた。そんなある日、フィリップはレンタル・ファミリー会社を経営する多田から仕事を依頼される。レンタル・ファミリーとは、依頼人にとって大切な「家族」のような役割を演じることで報酬を得る仕事。最初のうちは、他人の人生に深く関わることに戸惑うフィリップだったが、仕事を通して出会った人々と交流していくうちに、いつしか彼自身の心にも変化が起こりはじめる。
レンタル・ファミリー
原題:Rental Family
2025年/アメリカ/110分/配給:ディズニー/監督:HIKARI/出演:ブレンダン・フレイザー、平岳大、山本真理、柄本明、ゴーマンシャノン眞陽ほか
2月27日より全国でロードショー公開
3月13日公開
ジョン・クランコ バレエの革命児
英国で振付家として名を成したのち、1960年代にドイツに渡り、地方都市の小さなカンパニーだったシュツットガルト・バレエ団を短期間で世界トップレベルに引き上げた天才振付家、ジョン・クランコ。生涯で90作を超えるバレエを作り、代表作である『オネーギン』は金字塔と呼ばれ、今日でも各国で上演され続けています。その『オネーギン』の誕生秘話や、45歳の若さで非業の死を遂げた彼の素顔を、現役の花形ダンサーたちによる圧巻のダンスシーンで彩りながら描き出した作品です。撮影は本拠地であるシュトゥットガルト州立歌劇場で行われ、シュツットガルト・バレエ団が全面協力。クランコ役を『マレフィセント』のサム・ライリーが演じるほか、シュツットガルト・バレエ団からフリーデマン・フォーゲル、エリサ・バデネス、ジェイソン・レイリー、ロシオ・アレマン、ヘンリック・エリクソンが出演。監督・脚本を、長年同バレエ団を取材してきたヨアヒム・A・ラングが務め、1960年代の美術や衣裳も再現。音楽をシュトゥットガルト州立管弦楽団が担当しています。
<あらすじ>
英国で活躍する新進気鋭の振付家ジョン・クランコは、警察のおとり捜査により同性間性行為の罪で起訴される。1960年、ロンドンを追われた彼は、伝手を頼ってドイツに渡り、シュツットガルト・バレエ団で客演することになる。偏見なく自分を受け入れてくれる同バレエ団に居場所を見つけた彼は翌61年に芸術監督に就任し、自由な発想で美と情熱を表現する作品とカンパニーを作り上げていく。1969年、バレエ団はニューヨークのメトロポリタン歌劇場に招かれ、一夜にして世界の頂点へと駆け上がる。
ジョン・クランコ バレエの革命児
原題または英題:John Cranko
2024年/ドイツ/138分/G/監督:ヨアヒム・A・ラング/出演:サム・ライリーほか
3月13日より上映
ソドムの市
長らくさまざまな事情により上映が叶わなかった作品を集めたシネマート新宿の特集「コケティッシュゾーン Vol.3」。1月はディヴァイン出演のオリジナル版『ヘアスプレー』、2月は『13日の金曜日』、そして3月はゲイの映画監督ピエル・パオロ・パゾリーニの『ソドムの市』が50年の時を経てスクリーンに甦る! マルキ・ド・サドの『ソドムの百二十日 あるいは淫蕩学校』を映画化した作品で、美と残酷、支配と欲望、そして死の影が交錯する比類なき寓話的衝撃作。20世紀映画史において最も過激で、そして最も冷徹な寓話のひとつとして今も語り継がれている、パゾリーニ監督の遺作にして、芸術と思想の到達点です。公開当時は同性どうしのセックス、獣姦、強姦、スカトロジーなどの性描写が問題視され、上映禁止となった国もあったそうですが、実は(ミラノ五輪閉会式と同様)ダンテの『神曲』の構成を借りていたり、現代社会へのさまざまな批判が込められたりもしている作品です。この先映画館での上映はほとんどないでしょうから、この機会にぜひ。
<STORY>
1944年、第二次大戦の終焉が迫る北イタリア・サロ。敗戦の影が濃くなる中、侯爵、大司教、判事、大統領の四人の権力者が、町中の美少年美少女たちを拉致し、閉ざされた館で独自の支配の儀式を始める。そこでは、人間性が試され、快楽と苦痛、秩序と狂気がねじれ合う異様な日々が続く。若者たちは逃げ場を失い、服従と絶望の狭間で心を削られていく。外の世界では戦争が崩壊を告げ、内なる地獄では権力の暴走が極限に達する。
ソドムの市
1975年/イタリア=フランス/117分/監督・脚本:ピエル・パオロ・パゾリーニ/撮影:トニーノ・デッリ・コッリ/音楽:エンニオ・モリコーネ/出演:ジョルジョ・カタルディ、ジョルジオ・カタルディ、ウンベルト・P・クィンタヴァレ、アルド・ヴァレッティ
3月13日(金)よりシネマート新宿で上映
3月13日より配信
『愛はステロイド』『テレビの中に入りたい』
Prime Video(プライムビデオ)で3月13日から『愛はステロイド』『テレビの中に入りたい』という最近の傑作クィアムービーが配信されます。まだご覧になっていない方はアマプラでぜひ!
愛はステロイド
原題:Love Lies Bleeding
2024年/英米合作/104分/R15+/監督:ローズ・グラス/出演:クリステン・スチュワート、ケイティ・オブライアンほか
3月13日からPrime Videoで見放題配信
テレビの中に入りたい
原題:I Saw the TV Glow
2024年/アメリカ/102分/PG12/監督:ジェーン・シェーンブルン/出演:ジャスティス・スミス、ジャック・ヘブン、ヘレナ・ハワード、リンジー・ジョーダン、フレッド・ダースト、ダニエル・デッドワイラーほか
3月13日からPrime Videoで見放題配信
3月14日より上映 東京
追悼・大木裕之 撮ることと生きること
昨年10月に訃報が伝えられたゲイの映像作家・大木裕之さんを追悼する特集「撮ることと生きること」が渋谷のシアター・イメージフォーラムで開催されます。1989年から36年間にわたって続くライフワークとなった「松前君シリーズ」をはじめ、ゲイポルノとして撮られた初の商業映画『あなたがすきです、だいすきです』、死を予感する青年が見たけだるい夏の風景を捉えた『ターチ・トリップ』、10分×6セクション(箱)という厳密な構造のもと高知の風景や人々の営みの断片を映す『HEAVEN-6-BOX』、亡くなる直前に完成した最新作『木三(ムミ)』など計18の主要作を網羅し、大木裕之さんの軌跡をたどるものです(『たまあそび』や『松前君の死のための映像』『g8』『g8−2』がないのは残念…)
大木さんの作品にはふつうに自分自身や恋人や友達が映っていたりしますが特にゲイ映画というわけではなかったりもして、カテゴライズが難しいのですが、最もエンタメ的に観れるのは全国の薔薇族映画館で上映された『あなたがすきです、だいすきです』です。初期作品の『心の中』『遊泳禁止』『ターチ・トリップ』なども観やすいと思います。内外で高い評価を得ただけでなく90年代から堂々とゲイとして生きてきた伝説の映像作家の作品を、この機会にぜひ、ご覧になってみてください。
追悼・大木裕之 撮ることと生きること
日程:2026年3月14日(土)~27日(金)連日21:00-
会場:シアター・イメージフォーラム
料金:一般1500円、学生・シニア・会員・障害者割引1300円
上映プログラム
A 松前君の映画(180分)
B 遊泳禁止(89分)
C あなたがすきです、だいすきです(58分)※R18+指定作品
D 色風(10分)、ターチ・トリップ(64分)
E 移動教室(23分)、HEAVEN-6-BOX(60分)
F 優勝 ―Renaissance(88分)、JEANS FACTORYテレビCM集(12分)
G 3+1(82分)
H 心の中(89分)
I 松前君の旋律(50分)、木三(ムミ)(30分)
J 光景獲り(5分)、メイドオンザバルコニー 2006(12分)、メイIV(50分)
K 松前君の絵日記(6分)、松前君とトヨタ君の映画(60分)
3月15日上映 東京
Re:Orientations
東アジアのクィアをつなぐ[道をつくる]3の企画として、東中野の「Space&Cafe ポレポレ坐」で『Re:Orientations』というドキュメンタリー映画が上映されます。トロントに住む14人のアジア系クィアの青春をとらえた1984年の革新的なドキュメンタリーに出演した7人が、今あらためて作品を振り返り、自身の人生や考えを見つめ直す姿に迫るというものです。
アフタートークでは、日本の植民地主義の過去に立ち向かう草の根の活動家と連携し、日本の歴史を政府の公式な物語を超えて再発見することを目的としたプロジェクト「Nikkei Decolonization Tour」からクィアのメンバーにオンラインで出演してもらい、会場からは文芸や映画などについて執筆活動をされている水上文さんに話してもらいます。
Re:Orientations
2016年/カナダ/68分/監督:リチャード・ファン
2026年3月15日(日)18:00-(開場17:30)、Space&Cafe ポレポレ坐(東中野)にて上映
ご予約はこちら
3月22日 石垣
パウワウ・ピープル
石垣島で始まる映画祭「第1回 島んちゅぬ映画祭」で『パウワウ・ピープル』というドキュメンタリー映画が上映されます。
「歌と踊りによってアイデンティティを表現するパウワウは、ネイティブ・アメリカンのコミュニティにとって欠かすことのできない祝祭である。映画監督でありメディア・アーティストでもあるスカイ・ホピンカは、自らのルーツに根ざした視点から、この文化を外側ではなく内側から記録する。司会者のルーベン、歌い手のフレディ、そして、多様化する現代パウワウを象徴する、ノンバイナリーの若きダンサーのジェイミーなど個性が揃う」(公式サイトより)
パウワウ・ピープル
原題:Powwow People
2025年/米国/89分/監督:スカイ・ホピンカ
INDEX
- 特集:2026年3月の映画・ドラマ
- レポート:愛と結婚を考えるバレンタインパーティー in 新宿二丁目
- 特集:アジアンクィア映画祭2026
- 特集:衆院選2026 〜私たちの未来への一票を投じましょう〜
- 特集:2026年2月の映画・ドラマ
- レポート:Queer Space Tokyo
- 特集:レインボーイベント2026(上半期)
- レポート:年忘れお楽しみイベント「gaku-GAY-kai 2025」
- 特集:2026年1月の映画・ドラマ
- レポート:BUFF Fetish Xmas
- 2026年への希望を込めて――年忘れ&年越しイベント特集2025
- レポート:高雄同志大遊行(KHPride)
- レポート:レインボーフェスタ和歌山2025(2日目)
- 2025-2026 冬〜新春のクィア・アート展
- レポート:涙、涙の院内集会「第8回マリフォー国会」
- 特集:2025年12月の映画・ドラマ
- レポート:東京トランスマーチ2025
- 2025-2026 冬〜新春の舞台作品
- レポート:レインボーフェスタ那智勝浦(2日目)熊野古道パレード
- レポート:レインボーフェスタ那智勝浦(1日目)
SCHEDULE
- 03.06Z -Bad Bitch‼︎‼︎-
- 03.06昭和ギャラクシー・弐
- 03.07ノーパンスウェットナイト 58本目
- 03.07Mirror Ball







